ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日の投稿1話目です


第78話

ルフィがアルビダを殴り飛ばした後、アルビダの船にあった財宝の一部と

小舟を頂戴して、ルフィ、私、コビーの3人でシェルズタウンに向かっていた

 

「この方向に向かって船を進めていけばシェルズタウンにたどり着く筈です

 私は仮眠しますので舵取りの方は頼みましたよ、コビー」

「はい、シラカワ博士はゆっくり休んでください」

 

海賊船で見習いをさせられていたコビーだが最低限の航海術を修めていたので

こうして操船を任せることが出来たのは助かった

 

フーシャ村の沖合いの時のように海王類が襲ってくる可能性もあるので

見聞色を使いながら横になる

 

万が一海に投げ出されても大丈夫なように湾曲フィールドを張っておくのも忘れない

 

「しかし驚きましたよルフィさん。アルビダに殴られた時は死んじゃったかと思いました」

「ししし、大丈夫さ。俺はゴムだからな」

「でも、次の一撃は避けてましたよね?避けられるなら初めからそうしてくださいよ

 口から心臓が飛び出るかと思ったんですから」

「効かないんだから別にいいだろ?」

 

…やれやれ、ルフィもエースのような考えを持っているのですか

 

私は体を起こしてルフィに近づく

 

そして、ルフィの額を指で軽く弾いた

 

弾く瞬間、指に武装色を纏わせて…

 

「いてぇ!っ!?いてぇ!?」

「ゴムだから打撃は効かない…その認識は誤りですよ、ルフィ」

 

額を抑えて痛がっているルフィをそのままに私は元の位置に戻って横になる

 

「海は広いですからね…今のようにルフィに打撃で攻撃を効かせる事が出来る者はいます

 これから先は油断せずに戦ってください」

 

横になりながら大渦に飲み込まれてからここに至るまでの過程を思い出す

 

大渦に飲み込まれたものの結果としては最上となった

 

アルビダの船に拾われた事で新しい小舟と幾ばくかの金を手に入れた

 

更にフーシャ村からシェルズタウンまでの航海日数まで短縮している

 

…ルフィのあまりの運の良さに頭を抱えたくなる

 

そして、危ういと感じてしまう

 

私はゴムの能力の利点を甘く見積もっていたようだ

 

ルフィは腕が伸びるだけの能力者ではない

 

骨も、筋肉も、内臓、神経に至るまで全てがゴムなのだ

 

改めて想定した通りならルフィは常人より遥かに無理が出来てしまう

 

例えば斬撃や刺突で負傷しても、皮膚や筋肉、血管などの収縮で

自然に傷を塞ぐ事が出来るかもしれない

 

私のように武装色で筋肉をしめて止血をするのではなく無意識でだ

 

そして傷が塞がった事で治ったと思い、無理を重ねてまた負傷をする

 

そうやって無理を重ねて冒険を成功させていっても何時かはその

無理が通らなくなる時がくる…

 

私は1つため息を吐く

 

ルフィの仲間になったわけではないのになんでこんなに心配しているんだか…

 

寝不足のせいでしょう…早く仮眠をとるとしますか

 

小舟が波で揺れている

 

私はその揺れに身を任せるように眠りにつくのだった

 

 

 

 

「お~いてぇ」

 

シュウのデコピンで痛むデコを擦ってる

 

じいちゃんのゲンコツも痛かったけどなんでシュウのもいてぇんだ?

 

シュウは他にも出来るのがいるとかいってたな…

 

ししし、やっぱ海は面白ぇ!

 

「は~…シラカワ博士は凄いですね。さすが《天才》と言われるだけはありますよ」

 

さっきのを見てコビーもシュウをすげぇって思ったみたいだ

 

でも…

 

「天才?《魔人》だろう?」

「その異名もありますが《天才》の方がいいじゃないですか」

 

コビーは何を言ってるんだ?

 

「《魔人》の方がカッコいいだろぉ」

「何を言ってるんですか!天才の方がいいですよ!」

 

「魔人!」

「天才です!」

 

こんな感じでシュウの異名はどっちがいいかってコビーと言い合ってたら

時間はあっという間に過ぎていって俺達はシェルズタウンに到着した

 

 

 

 

目を覚ましたころ、ちょうどシェルズタウンに到着した

 

そして一眠りしたおかげでかなり頭がスッキリした

 

グランドラインで賞金稼ぎをしていた時はもっときつい状況もあったが

やはり思考が鈍るのは出来るだけ避けていきたい

 

シェルズタウンを歩きながら私は思考していく

 

私が優先するべき事はなにか、大切なものはなにかを考えていく

 

…うん、整理ができた

 

考えがまとめ終わった頃、シェルズタウンにある海軍支部基地前を通りかかる

 

そして基地に目を向けると、海軍支部基地内の広場には1人の男が磔にされていた

 

「あぁ!あの男は!」

 

磔の男を見てコビーが声をあげる

 

「コビー、知ってんのか?」

「あの男は《海賊狩りのゾロ》です!賞金稼ぎとして東の海では有名な男ですよ!」

 

ルフィとコビーの会話を耳にしながら思考する

 

有名と言われても俺は知らない

 

こうして考えるとココヤシ村の状況以外の東の海の事情を何も知らないな…

 

ココヤシ村の解放を終えたらゆっくりと東の海を巡ってみるのもいいかもしれない

 

出来ればナミと一緒に…

 

そんな事を考えていたらルフィが張り巡らされたフェンスを越えて

ゾロという男と何やら話をしていた

 

「ルフィさん何をしているんですか…」

 

ゾロの雰囲気にあてられたコビーが会話をしているルフィを心配している

 

…どれほどの期間磔にされていたのかはわからないが、彼から感じる圧力は

それほどでもないので問題ないだろう

 

もし戦うことになっても弱っているゾロが相手なら間違いなくルフィが勝つので心配はない

 

そんな感じで会話をしているルフィ達をコビーと一緒に見ていたら

1人の女の子がおにぎりを持ってフェンスを潜りゾロに近づいていった

 

「あぁ!危ないよ君!」

 

コビーが女の子を心配するが見聞色で感じとれるゾロの感情は悪いものではない

 

女の子がゾロにおにぎりを食べさせようとしていた所

キノコのような髪型をした男が海兵を伴い広場に現れた

 

そのキノコ君は女の子のおにぎりを一口食べると地面に落として踏み潰した

 

「なんて酷い事を…」

 

コビーがフェンスを強く掴みながら声を出す

 

ルフィも剣呑な雰囲気を出しているがキノコ君は取り巻きの海兵に女の子を

フェンスの外に摘まみ出させると笑いながら去っていった

 

「…事情はわかりませんが、あのキノコ頭は品性に欠けるようですね」

 

海軍支部基地内の広場に磔にしているということは何らかの見せしめだと思うが

小さな女の子の善意を無下にするのは個人的にいただけない行動だ

 

キノコ君が去った後、ゾロがルフィに何かを言って踏み潰されたおにぎりを拾わせ食べた

 

遠目で見ても砂と一緒に食した事で吐き気を催しているのが見えるがそれでも吐かない

 

それを見たルフィが満面の笑みでこちらに戻ってきた

 

「ししし、決めた!俺はゾロを仲間にするぞ!」




本日は6話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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