ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿5話目になります


第77話

「いいですかルフィさん、シラカワ博士は凄い方なんですよ!」

 

気を取り直したコビーがルフィに説明していく

 

「8年前には世界三大死病と呼ばれていた病の特効薬を造りだし、その製法も

 開示しちゃったんです!秘密にしておけば莫大な富を手にした筈なのにですよ!」

 

やや興奮して捲し立てるようにコビーは話していく

 

「そして5年前からはグランドラインで賞金稼ぎとして活動を始めて

 数多の賞金首を討ち取ったんです!グランドラインにデビューしたばかりの

 ルーキーだけでなく億超えの大物達だって何人も討ち取っているんです!」

 

センゴク元帥が根回しをしたからなのか賞金稼ぎの時は結構な頻度で新聞に載っていた

 

おそらくは海兵に相応しい人物として内外に伝えていたのだろうが

私に海軍に入る意思が無いのだから意味がない

 

「そして!それらの功績で海軍からは敬意を込めて《天才》海賊からは畏怖の念で

 《魔人》と異名をつけられ、呼ばれているほどの凄い人なんです!」

 

正直なところ異名の事はまったく知りませんでした

 

時折、レイ養祖父さんや父さんが私を見てニヤニヤしていたのだがそういうことですか

 

「新聞にだって数えきれないぐらい載っているのにルフィさんはなんで知らないんですか!」

「俺、新聞読まねぇし」

 

ルフィが左手の小指を鼻に突っ込みながら言うとコビーが項垂れる

 

「まぁコビーのおかげでシュウが改めてすげぇ奴だってわかったよ。ありがとな」

「いえ…どういたしまして…」

 

軽くいい放つルフィにコビーが疲れきった声で応える

 

「ししし、シュウ!そういうわけで仲間になれ!」

「どういうわけかわかりませんがお断りします」

 

ルフィが口を突き出しながらブーブー言ってくる

 

だがその時、見聞色でこの部屋に近づいてくる気配を感じた

 

そしてその気配の主はドカドカと大きな足音をたてながら部屋の前で止まる

 

バンッ!

 

勢いよく部屋の扉を開けた気配の主は怒りの表情を浮かべながら声を張り上げた

 

「ここにいやがったかコビー!てめぇ甲板の掃除をサボって!…なんだお前ら?」

 

私とルフィに気づいた男がこちらを見て問いかけてくる

 

「ししし」

 

私は笑っているルフィを見ると、ルフィの目は面白いものを見つけたように

キラキラと輝いているように見えた

 

…またですか

 

大渦を見つけた時のような反応を見せるルフィに私は頭を抱えるのだった

 

 

 

 

「コビー!一体どこで油を売って!…なんだいお前ら?」

 

あの後、船室にやってきた男に促され甲板にやってきた

 

ちなみにその男は私達の後ろでサーベルをちらつかせている

 

ハッキリ言って構えも雰囲気も素人同然なのでまったく怖くないのだが

コビーは震えてしまっている

 

コビーはルフィとの会話で海軍将校になるのが夢と語っていたのだが…

こんなことで大丈夫なのでしょうか?

 

それはそれとして後ろの男が持っているサーベルが気になって仕方ない

 

何故ならばそのサーベルに錆びが浮いているからだ

 

剣士の端くれとして後ろの男に手入れをしろと説教してやりたいですね

 

「誰だ?この厳ついオバサン」

 

私が後ろの男のサーベルに気をとられていた時、ルフィが前方にいる

巨体の女性に暴言を吐いていた

 

私を除いた甲板にいる全員が口を開けて驚いている中で私は件の女性を見る

 

確かにルフィの言葉に間違いはないですが直接的に言い過ぎ…でもありませんね

 

少々品性に欠けるが相手が敵対するのなら言葉を選ぶ必要もなしと

ルフィは考えているのかもしれない

 

いえ、ルフィの事ですからそこまで考えてないでしょう…

 

巨体の女性がコメカミに青筋をたてながら話し出す

 

「コビー…あたしが誰か言ってみな?世界で一番美しいのが誰か言ってみな!」

 

ルフィが厳ついと評した顔を思いっきり歪めながら女性が話している

 

「なぁシュウ、あのオバサン何を言ってるんだ?」

 

ルフィが首を傾げながら私に聞いてくる

 

…ルフィに習って私も素直に答えるとしますか

 

「さて…私達とは美醜の感覚が違うのかもしれませんね」

「ふ~ん、海には色んな奴がいるんだなぁ」

 

私達の会話に件の女性が歯を剥き出して金棒を甲板に叩きつけた

 

「お前ら!この《金棒のアルビダ》様に向かってなんて言い草だい!」

 

私とルフィはお互いに顔を見合わせた

 

「俺達何か悪い事を言ったか?」

「悪いかどうかはわかりませんが、間違った事を言った覚えはありませんね」

「だよな」

 

ルフィの仲間になったわけではないがこういった場面で妙に息があってしまう

 

その感覚に我が友であるエースの事を思い出した

 

「コビー!お前が誰の下にいるのか言ってみな!」

 

甲板にいる者達の視線がコビーに集まる

 

「ぼ、僕は…」

 

項垂れながら消え入りそうな小さな声でコビーが話し出す

 

「もっと大きな声で!海軍将校になるとかいうふざけた夢を持ったお前が

 世界で一番美しいのは誰か言ってみな!」

 

アルビダの言葉にコビーは拳を握り締める

 

そして、歯を食い縛りながら顔を上げたコビーは甲板に響く大きな声をあげた

 

「アルビダは厳ついオバサンだ―――!」

 

夢をバカにされたコビーが男をみせる

 

そして、響き渡ったコビーの言葉にアルビダ一味の者達が口を開けたまま固まった

 

「コビ―――!」

 

憤怒の表情を浮かべてアルビダがコビーに向かって叫ぶ

 

だがコビーは膝を震えさせ小さな悲鳴をあげながらもアルビダから目を離さない

 

「ししし、よく言った!コビー!」

 

ルフィがコビーを庇うように前に出る

 

「どきな!麦わらの小僧!」

 

アルビダが手にしていた金棒を振りかぶり勢いよく振りおろす

 

ゴンッ!

 

金棒がたてた音が周囲に響き渡る

 

その金棒の下には頭が体にめり込んでいるルフィの姿があった

 

「ひっ!ルフィさん!?」

 

コビーが泣きながらルフィの名を呼ぶ

 

しかし私の見聞色ではルフィの気配に些かの衰えも感じない

 

「効かないねぇ、ゴムだから」

 

金棒の下から聞こえるその声に甲板にいる者達が驚く

 

アルビダが二度金棒を振りかぶりルフィに叩きつける

 

だが、今度の一撃は横に一歩動いたルフィに簡単に回避される

 

「ゴムゴムのぉ―――!」

 

今度はこちらの番とばかりにルフィが右腕を伸ばす

 

その右腕はアルビダの船の幅を軽く超えて遠くまで伸びていく

 

そして、伸びきった右腕は勢いよく収縮していき…

 

「ピストル!」

 

その勢いのまま前方に突き出されたルフィの拳がアルビダの身体を捉えて

アルビダを船の外に吹き飛ばした

 

「「「アルビダ様―――!?」」」

 

甲板にアルビダ一味の者達の叫び声が響き渡る

 

ルフィの一撃は力によって支配されていたアルビダ一味の者達の

戦意まで打ち砕いたのだった




これで本日の投稿は終わりです

また来週お会いしましょう^^

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