ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目になります


第75話

フーシャ村を出航し沖合いまで来たところで私は次の目的地を考える

 

ここからだとシェルズタウンが近いですね…

 

そこまで考えた時、海中から迫る気配を感じた

 

「…これは海王類でしょうか?」

「海王類?…そうか、出たか近海の主」

 

ルフィの言葉に釣られたかのように海王類が船の進路上に姿を表した

 

「どうしますか、ルフィ?」

「俺がやる」

 

そう言ったルフィは立ち上がり左の手の平に右拳を打ちつける

 

「ししし、10年の修行の成果をみせてやる!」

 

ルフィは左足を前にして半身になって構える

 

「ゴムゴムのぉ―――!」

 

気合いの声と共に後方に振られた腕が文字通りに伸びていく

 

「ピストル!」

 

収縮した勢いのまま前方に伸びていった拳は海王類を捉えてその身を吹き飛ばした

 

「ししし!どうだ見たか!」

 

満面の笑みでルフィは私を見てくる

 

「お見事ですね、ルフィ」

「だろ?だから俺の仲間になれ!」

「なりませんよ」

 

ルフィは諦めずに何度も私を仲間に誘ってくる

 

面倒だとは思うが嫌だとは思わない

 

その感覚はどこかエースを思わせる

 

「ちぇ~、まぁいいか!シュウ、俺が舵を取るぞ!俺は船長だからな!」

 

そう言ったルフィがこちらにくるので場所を譲る

 

そして船はルフィの舵によりしばらく進んでいくのだった

 

 

 

 

「先程の海王類を撃退した時に見ましたが、ルフィは能力者だったのですね」

「あぁ、俺はゴムゴムの実を食ったゴム人間だ」

 

舵から片手を離して空いた手でルフィは自分の顔を引っ張る

 

すると、言葉通りにゴムのように伸びた

 

「なるほど、全身ゴムとは中々面白い能力ですね」

「ししし、なら俺の仲間になれ!」

「話の脈絡がわかりませんがお断りします」

 

口を突き出してブーブー言ってくるルフィを放っておいて私はルフィの能力を思考をする

 

ゴムの能力ですか…ルフィにも言いましたが中々面白い能力ですね

 

自身の身体1つで近距離、中距離の戦いをこなすことが出来る

 

もっとも、能力で伸ばせる距離をしっかりと把握して離れた相手に攻撃を

当てるための当て勘が必要ですが…

 

そこまで考えた時、不意に波の音が変化したのを聞き取り前方を見る

 

「…ルフィ、進路を変更してください」

「なんだ?何かあったのか?」

 

私はルフィの問いに答える

 

「前方に大渦を見つけました。このままでは飲み込まれますよ」

「本当か!?」

 

舵を放り出したルフィが大渦を見るために船の前にくる

 

そして、大渦を見つけたルフィの目はキラキラと輝いてみえた

 

…嫌な予感しかしない

 

「よし!大渦を見に行くぞ!」

「…この船で巻き込まれたら脱出する事は出来ませんよ?」

「ししし、大丈夫!なんとかなるさ!」

 

私はため息を吐く

 

…最悪、巻き込まれた時は私の能力で空を飛べばいい

 

そしてその時は転移でルフィを海軍本部に連れて行ってガープさんに突き出そう

 

船はルフィの舵で真っ直ぐに進んで行く

 

そして案の定、大渦に捕まってしまった

 

「ししし、おんもしれぇ―!」

「…はぁ、ルフィ掴まってください。空を飛んで脱出しますよ」

 

ルフィは私の言葉を聞かずに樽の中の食料を捨て始めた

 

「ルフィ、何をしているのですか?」

「ん?このままじゃ渦に飲み込まれるだろ?だから樽に入ってやり過ごそうと思ってな」

 

…ふむ、この状況での機転としては悪くありません

 

正直なところ運任せの要素が強いですが…

 

はぁ…仕方ない、もう少しルフィに付き合いますか

 

「ルフィ、樽を貸してください」

 

私は樽を片手で掴んで逆さまにし、中の食料をワームホールに入れていく

 

「おぉ!なんだその穴!あれか?不思議穴か!」

「ククク、食料は私が預かっておきますよ。それで、この後はどうしますか?」

「あぁ、ちょっと待ってくれ」

 

そう言ったルフィは2つの樽をロープで結んでいく

 

「大渦で流されてはぐれないようにしないとな!」

 

ルフィは慣れた手付きでロープを結んでいく

 

「航海術は無いと言っていましたが、こういった事は出来るのですね」

「あぁ、まだ小さい頃にじいちゃんに無人島に放り投げられてサバイバルしたからな」

 

…自分の孫に何をしているのですか、ガープさん

 

「よし出来た!それじゃ樽の中に入って渦をやり過ごすぞ!」

 

そう言ってルフィは樽の中に入って蓋を閉めた

 

私はため息を1つ吐いてからもう1つの樽に入って蓋を閉める

 

その後、私達が乗っていた船は大渦に飲み込まれて海に沈んだ

 

 

 

 

現在、私が入った樽は大渦にシェイクされている真っ最中である

 

このままではまずいかと考えて私はルフィと俺の樽に湾曲フィールドを張る

 

ついでに空気穴も要るかと双方の樽に極小のワームホールを展開して外に繋ぐ

 

だが、このワームホールは海流で動く樽に合わせて動かさないといけないため

常に見聞色でルフィの気配を探り調整を続けていかなければならないので疲れる

 

まぁ窒息させるわけにはいかないので仕方ないでしょう

 

そこまでした後に私は1つため息を吐く

 

興味を引かれてしまいこうしてルフィに付き合ってしまったがこの後はどうするか…

 

…1日だけ樽の中で我慢しましょう

 

その間に誰かの船に拾われるかどこかに流れつかなければ当初の予定通りに

ルフィをガープさんに突き出す事にしよう

 

「ククク…貴方に運があるか楽しみですね、ルフィ」

 

 

 

 

「ししし、おんもしれぇ―!やっぱ冒険はこうでなくちゃな!」

 

俺は樽に残してあった干し肉にかじりつく

 

うん、味が染み出してきてうめぇ!

 

そうやって干し肉を食っていた時、なんか樽の雰囲気が変わったことに気づいた

 

「なんだ?シュウが何かしたのか?」

 

何となくそう思って口にしてみた

 

『おや、随分と勘が良いですね』

 

いきなりシュウの声が聞こえて吃驚したけど面白く感じた

 

「おぉ!なんだ!なんでシュウの声が聞こえるんだ!すっげぇ―!」

『ククク、樽に入る前に見せたワームホール…貴方が不思議穴と

 呼んだものを応用したのですよ』

 

へぇ~、やっぱシュウはすげぇ!

 

そしておもしれぇ!

 

「ししし、そっか!ありがとなシュウ!」

『礼には及びませんよ。それでは流れついた先でまた会いましょう』

 

流れついた先かぁ…大丈夫な気がするんだよなぁ

 

干し肉にまたかじりつく

 

すると、シュウが不思議穴から俺の樽に食料を送ってくれた

 

ししし!

 

シュウ!絶対に仲間にするからな!

 

 

 

 

「コビー!サボらずにしっかり甲板の掃除をやんな!」

「はいぃ!アルビダ様!」

 

僕はため息を一つ吐く

 

「はぁ…なんでこんな事になったのかなぁ…」

 

僕は海軍将校になるのが夢だ

 

その夢を果たす為に海軍支部のあるシェルズタウンに向かっていた途中で

船が海賊である《金棒のアルビダ》に襲われてしまった

 

僕は生き残る為にアルビダの一味に見習いとして入り、こうして雑用をさせられている

 

「はぁ…海軍将校になりたかったのになんで海賊の見習いを…」

 

仕方なかった事だけど自分の現状にまたため息を吐いてしまう

 

そして、甲板の掃除をしていて船の端まで来た時、偶然海面に浮かぶ何かを見つけた

 

「あれ?何でこんなところにロープで繋がれた樽が2つ流されているんだ?」

 

どこかで船が難破したのかと思ったが2つの樽はこちらに向かって流れてくる

 

「…お宝が入ってるといいなぁ」

 

そうすればアルビダに貢献を認められて船を降りられるかもしれない

 

僕は僅かな望みを託して道具を使って樽を引き寄せる

 

「う―――!重い!やっぱり僕一人じゃ無理かなぁ!」

 

でも、他の船員の手を借りたら横取りされるかもしれないし…

 

そうやって考えながらも歯を食い縛って引き上げようとしていると不意に樽が軽くなった

 

「あれ?急に軽くなった?樽の中の海水でも抜けたのかな?」

 

もしそうなら樽の中身にはあまり期待出来ないなと思いつつも引き上げていく

 

そして、漸くロープで繋がれた樽2つを甲板に引き上げ終わった

 

「はぁ…疲れた…」

 

僕は甲板にへたりこんで息を吐く

 

すると、樽の1つがガタガタと動き始めた

 

「うわっ!な、なんなんだ!」

 

ガタガタと動いていた樽の蓋が外れる

 

そして、樽の中から人が出てきた

 

「ぷは―――!やっと出られた―――!」

 

樽の中からは麦わら帽子を被った青年が出てきた

 

「僅か1日の漂流で船に拾われるとは…貴方も悪運が強いですね。ルフィ」

「ししし!」

 

僕が麦わら帽子の人に気をとられていた間に波打つ紫の髪の青年が出てきていた

 

あれ?もう1つの樽の蓋は開いてないけど…紫の髪の人が閉めたのかな?

 

「お?お前が引き上げてくれたのか?ありがとな!」

 

麦わら帽子の人が僕にお礼を言ってきた

 

引き上げた樽の中から人が出てきた事に、僕はまだ混乱したままだった




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