ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


本編・原作開始
第73話


「俺はモンキー・D・ルフィ!海賊王になる男だ!」

 

目の前の麦わら帽子を被った青年がどうやらガープさんの孫のようだ

 

だが、自らの名乗りで海賊王になると宣言した事に驚いてしまった

 

どれほどの自信家や楽天家でも海賊王ゴール・D・ロジャーの偉業を知るものなら

そう簡単に海賊王になるとは口にしない

 

それを考えればこれから海に出るルーキーの彼がそれを宣言するのは無理を通り越して

無茶な事だが、一点の曇りのない笑顔で言い切る彼の純粋さが羨ましく感じる

 

「私はシラカワ・シュウです。ルフィさん、貴方に手紙を預かってきました」

 

私はガープさんの手紙を彼に渡す

 

「手紙?誰からだ?それと俺の事はルフィでいいよ」

 

ルフィが手紙を受け取りながらそう言う

 

「げっ!じいちゃんからだ!」

 

舌を出して嫌そうな顔をしながらルフィが手紙の差出人の名を口にした

 

「ほ~ん…」

 

ルフィが左手の小指を鼻に突っ込みながら手紙を読んでいく

 

「…おっ?」

 

手紙を読み進めていたルフィが何を読んだのかはわからないが満面の笑みになる

 

さて、役目は終わったからそろそろ行くか

 

「それではこれで失礼します」

 

ココヤシ村に行くには一度ローグタウンに転移した方が早いですね…

 

そう思いワームホールを開こうとした私にルフィが声をかけてくる

 

「ちょっと待った!」

 

制止の声をかけてくるルフィに振り向くと彼は満面の笑みを浮かべて私に告げてきた

 

「シュウ!お前、俺の仲間になれ!」

 

ルフィの物言いに周囲のフーシャ村の人達がざわめく

 

そんな中で私はルフィに一言で返事をした

 

「お断りします」

 

私の返事にフーシャ村の人達が嘆息していたがルフィだけは変わらずに笑顔のままだった

 

 

 

 

ココヤシ村のとあるミカン畑の一角にはお宝が埋められている

 

魚人海賊団に支配されてから10年

 

一人の少女がココヤシ村を奴等から買い戻す為に集め続けた財宝である

 

「あと一千万ベリーってところね」

 

少女が革袋に入れられている財宝を目利きしながら独語する

 

「今年にはシュウが帰ってくる…早く集めないと…」

 

革袋をこれまで集めていた財宝と同じ場所に埋めていく

 

その場所には少女がここ5年で集めた財宝が埋められている

 

その総額はおよそ九千万ベリー

 

最弱の海と呼ばれる東の海でこれだけの額を集めるのは並大抵の事ではない

 

だが、少女は愛する故郷を開放する為に今日まで頑張り続けてきた

 

「お帰り、ナミ」

 

そんな少女の元に刈り上げられた独特な髪型をした女性がやってきた

 

「ただいま、ベルメールさん」

「今回も結構な収穫だったみたいね。それでビールでも…」

「ダメよ。あと少しで集め終わるんだから」

 

ベルメールの願いをナミは取りつく島もなく断る

 

「いいじゃない別に。今年にはシュウも帰ってくるんだから前祝いってことで」

「…シュウがアーロンに勝てるとは限らないでしょ?」

 

元海軍軍人であったベルメールは新聞で得られる情報からシュウと呼ばれた

青年の力を大体察しているのだが、ナミは10年前の一件がトラウマとなっており

彼がアーロンと戦う事を良しとしていない

 

「…もう目の前で好きな人がいなくなるのを見たくないわ」

 

ナミの言葉にベルメールはため息を一つ吐く

 

ナミが言うことには自分も同感であるのだが、血の繋がらない息子の事を

もう少し信じてあげて欲しいとも思うからだ

 

もっとも、ナミがシュウに本気で惚れているからこその言葉なのは理解している

 

だからこそ、ナミが無理をしないか心配になる

 

「それで、次は誰を狙うのかしら?」

「オレンジの町に《道化のバギー》がいるって聞いたわ。そいつは凄い派手好きな奴って

 噂だから相応にお宝を貯めていると思うのよね」

 

ナミの言葉にベルメールがまた一つため息を吐く

 

「お宝を得る為なら狙いは悪くないわ。でもバギーは能力者よ」

 

ベルメールの言葉にナミが少し目を見開く

 

「どんな能力かわかる?ベルメールさん」

「確か超人系の《バラバラの実》の能力者ね」

 

「バラバラの実?」

「自分の身体をバラバラに出来る能力で剣士の天敵といえる能力ね」

 

ナミが顎に手を当てて考える

 

彼女の思い人と同じ仕草をする養娘にベルメールは笑いが溢れる

 

「ベルメールさん直伝の棒術じゃキツイかしら?」

「バギーは今では東の海で燻っているけれど、かつてはグランドラインで

 生き抜いてきた海賊よ。無理はしないで逃げる事を優先しなさい」

「うん、そうするわ」

 

ナミがココヤシ村を買い戻すと決意してから8年

 

今日に至るまで海軍時代の経験を元にベルメールはナミを鍛え上げてきた

 

その事からナミは東の海を十分に生き抜けるだけの力をつけたと

ベルメールは認識しているが海では絶対は無いのだ

 

用心するにこしたことは無い

 

それを考えればナミを止めるべきなのだろうが、彼女は一度言い出せば止めたりはしない

 

ベルメールは一体誰に似たのやらと苦笑いをするが、ナミを強かな女性に育て上げた

その張本人はベルメール自身である

 

「それじゃお風呂に入ってきちゃいなさい。その間に何か食べる物を用意しておくから」

「うん、お願いねベルメールさん」

 

ナミは埋め終えたお宝の場所を軽く均してミカン畑の他の場所と

見分けがつかないようにしていく

 

「この8年で女として磨きあげた魅力でシュウをメロメロにしないとね♪」

 

ベルメールの言葉にナミは顔を赤くしながら髪を弄っている

 

「あらぁ~?その様子じゃ逆にメロメロにされちゃうかしら?」

「もう!お風呂に入ってくるから食べる物を用意しておいてよね!」

 

走り去っていったナミの初々しい反応にベルメールはご満悦である

 

その後、ベルメールは幾つかのミカンを収穫して家に戻っていった




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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