ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です


第71話

海上の人となってからさらに4日が経ち無事にローグタウンに到着

カームベルトを突っ切って進むことができる海軍船の面目躍如という早さだ

 

その後、ガープさんとライトに挨拶をした私は転移でシャボンディ諸島に戻り

これまで通りに賞金稼ぎと修行の日々を送っていく

 

そして1年程時間が経ち、私は20歳になった

 

 

 

 

「いいぞシュウ!鷹の目をぶっ飛ばしちまえ!」

 

父さんがビールを片手に囃し立ててくる

 

いえ、父さんだけでなく赤髪海賊団の皆が囃し立ててきていますね

 

20歳になった私はいよいよアーロンへの報復に動くのだが

その前に無人島でミホークとの最後の手合わせをすることになった

 

ガッ!

 

私の木剣の一撃をミホークが木刀で受け止める

 

ミホークとの手合わせをするようになって3年経つが私の剣の腕が上がったのか

戦いが上手くなったのかわからないがこうしてミホークを相手に戦いの形を作れている

 

ガッ!

 

もう一太刀打つがまたミホークが木刀で受け止める

 

そこで私は一度距離を取るために後ろに下がる

 

だが、逃さんとばかりにミホークが踏み込み距離を詰めてくる

 

私は能力の一つである重力球…相手の重力を増やすものをミホークに飛ばす

 

ボッ!

 

武装色を纏わせた木刀で重力球が断ちきられ霧散する

 

一手分の間を得た私は転移で距離を取る

 

転移した場所はミホークの後ろだ

 

私が転移を終えた瞬間ミホークは振り向く

 

この3年で壁を超えたミホークの覇気の技量はさらに磨きがかかっている

 

父さんの副官であるベックマン曰く、壁を超えたミホークはその勢いのままに

父さんを猛追しているようだ

 

一息入れることが出来た私は思考していく

 

正直なところ私の実力ではミホーク相手に勝ち筋が見えない

 

だが、かつてのエースのように一撃は当てたいと思う

 

「わずか3年でよくもそこまで腕を上げたものだ赤髪の子よ」

 

ミホークは一度も私の名を呼ぶことはなく父さんの子と呼称してくる

 

…なんとかしてこの男に認めさせたいものですね

 

「かつての俺や赤髪が貴様の齢で果たしてそこまで出来たかどうか…」

 

紛れもない称賛だが私がいる場所は既に父さんやミホークが過ぎ去った場所だ

 

「一本この俺から取って見せろ。さすれば貴様の名を呼んでやる」

 

えぇ、呼ばせてみせます!

 

剃を使い踏み込み、打ち込む

 

武装色を纏わせて打ち合う音は木製武器とは思えぬものだ

 

転移で横に、後ろに回り込む

 

だがミホークは即座に反応し私の剣を受けるどころか逆に踏み込み打ち込んでくる

 

一合、二合と打ち合い戦いは進んでいく

 

そして私はまた転移で距離をとった

 

「3年前は暇潰し程度…そして冥王との立ち合いのついでだったが

 今では貴様との手合わせを悪くないと感じている」

 

それは光栄です

 

ですがこっちは喋る余裕がないのですよ!

 

私は息を整えながら思考していく

 

一太刀見舞う為の布石は出来た

 

3年前は余りの実力差に死なないようにとしか考えられなかった

 

だが、2年前のエースとの決闘を経験して私の中の何かが変わった

 

それから2年…ミホークに一太刀見舞う為に全力を尽くしてきたが

実力が足りずその布石を打つことすら敵わなかった

 

私は一つ息を吐く

 

ここまでは辿り着きました…後は覚悟だけです!

 

木剣を握り直し構える

 

私の変化を感じ取ったのかミホークも木刀を両手で構える

 

…行くぞ!

 

覇王色の覇気による威嚇でフェイントをかける

 

即座に踏み込むがミホークはわずかに反応しただけだ。これでは一太刀には届かない

 

私は木剣から左手を離し重力球を放つ

 

ミホークは一振りで重力球をあっさりと霧散させる

 

その隙に両手で木剣を持ち直し袈裟斬りの為の構えに移るが

ミホークは既に態勢を整えている

 

私は間合いに踏み込む寸前でワームホールを開き転移する

 

そして転移した先は…間合いの一歩外側だった

 

「む!?」

 

今まではミホークの後方や側面にだけ転移をしてきた

 

離れるにしてもそれなりの距離を転移でとってきた

 

だが今回の私の転移は一歩後ろに下がっただけなのだ…踏み込みの勢いを残したままで…

 

フェイントや牽制で勢いを落とさずに掛け値なしの全力の一撃を振る為の転移

 

だが、これまで積み上げた布石でこの転移はミホークの反応を僅かに遅らせる一手となる

 

ボッ!

 

袈裟掛けに振られる音が重なるようにして鳴る

 

そして私とミホークの剣は…互いの肩口寸前で止まっていた

 

私の全力を尽くした一太刀はミホークから引き分けを得たのだ

 

「…見事だ、シラカワ・シュウ」

 

ミホークが口端を引き上げ笑いながら私の名を呼ぶ

 

そして、その一言がこの手合わせを見守っていた父さん達から歓声を引き出した

 

ミホークが私の名を呼んだことで呆けてしまっていた私はその歓声で我に返る

 

ミホークは本来の得物である黒刀ではないというハンデを負っていた

 

得物の間合いの違いは使用者の感覚に大きな違いを与えるものだ

 

それでも…私の一太刀は確かにミホークに届いた

 

ミホークが私の名を呼び認めてくれた事は私に確かな自信を与えてくれた

 

私は少しの間、その余韻に浸るのだった…




次の投稿は17:00の予定です

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