ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿4話目


第70話

ライトの壮行会を兼ねた食事を終えて3日、私は海上の人となっていた

 

私は来年20歳になるが、その時にはアーロンへの報復の為にココヤシ村に帰る

 

その為、比較的ココヤシ村に近いローグタウンに同行することにした

 

ローグタウンからなら半日程飛べばココヤシ村にたどり着ける事と

ライトと手合わせをするのに転移する為にも一度ローグタウンに行っておく必要があるからだ

 

そして、現在ガープ中将率いる艦隊の船上にいる私だが

今はライトと実験のような事をしている

 

「それじゃ軽く能力を使うぜ。気を付けろよ、シュウ」

「えぇ、大丈夫ですよ。ライト」

 

実験の内容はライトの能力である電気がどれだけ武装色の覇気に効果があるかだ

 

その為、今は腕一本を武装色で黒化した私とライトが握手をしている

 

パリッ

 

小さく空気が弾けるような音がしてライトの手から放電が始まる

 

「大丈夫かシュウ?」

「えぇ、少しずつ強くしてみてください」

 

パチパチ!

 

ライトが電気の出力を上げたが腕を伝わって行かずに手首の辺りで散っている

 

バリバリ!

 

完全に可視出来るほどに電気の出力が上がったが、やはり手首辺りで散ってしまう

 

「う~ん…やっぱり武装色にはほとんど効果が無いんだな」

 

ライトが眉を寄せながら言葉を溢す

 

これ程の規模の電気なら接触している手以外から感電してもおかしくないのだが

ライトは完璧に制御してみせている

 

友人の成長に驚くばかりだ

 

「武装色を弱めてみますか?そうすれば手首より先に至る可能性もありますよ」

「う~ん…ダチにこれ以上危ない橋を渡らせたくねぇから止めとくぜ」

 

そう言ったライトは能力を止めて手を離す

 

「実験に付き合ってくれてありがとよ、シュウ」

「いえ、私も興味がありましたから構いませんよ」

 

私の言葉にライトはガープさんのようにニッと笑う

 

その後は腕を組んで考え始めた

 

「やっぱり覇気使い相手には黒化してない場所を狙うしかねぇか」

「ですが、当たりさえすればダメージを与えられるライトの能力は優秀だと思いますよ」

 

ライトの能力は直接的な破壊力は乏しいが生物に対しては絶対的な力を有するものだ

 

武装色が使えなければ防御することすら許されない

 

これは戦いにおいては大きなアドバンテージとなる

 

「でもなぁ…俺の能力の天敵がいるんだよなぁ…」

 

ライトが呟くように言葉を溢す

 

天敵か…

 

海兵であるライトが言うならば相手は海賊ということだろう

 

「絶縁体を装備として使う海賊がいるのですか?」

「あ、いや、そういうわけじゃねぇんだけど…」

 

ふむ、ライトの能力は電気である事から絶縁体を防具か武器の一部として

使う相手がいるのかと思いましたが…

 

ライトは何かを考え込んでいる

 

「…たぶん今なら勝てると思うんだが、そうすると先がわかんなくなっちまうんだよなぁ」

 

ライトがいつものように何かをブツブツと呟いている

 

「なぁシュウ、戦いたくない相手と出会ったらどうする?」

 

唐突にライトが質問をしてきた

 

「戦いたくない相手とはどういった相手でしょうか?」

「あ~…敵なのは間違いないんだけど、気が合うというか…」

 

ライトは言葉を探すように頭を掻いている

 

「例えばですが、ガープさんとレイ養祖父さんのような感じでしょうか?」

「…そうだな、そんな感じだ」

 

なるほど、海兵であるが故に例え相手がいい奴でも海賊であるならば

戦わなくてはいけない時があります

 

そこに思い悩んでいるのですか

 

私の考えが参考になるかはわからないが答えるとしましょう

 

「その者が己の道を邪魔するのならば叩き潰しますね」

「道?」

「えぇ、生き方と言い換えてもいいでしょうか」

「生き方…」

 

ライトが私の言葉を受けて考え込む

 

「相手を思いやる事ができるのは美徳だと思いますが、まずは自分にとって大事なのは

 何かを考えるべきでしょう」

「自分にとって大事なもの…」

 

「妥協できるのか、曲げないのかはライト次第ですが、過去を振り返った時に

 嘆かずに笑う事ができればこれに勝るものはないと思いますよ」

 

ライトが私の言葉に何度も頷いている

 

「後悔をしない選択というのは難しいですが、それでも己に恥じない

 選択をしていきたいものですね」

 

失敗なんて誰にでもある事だ

 

だから後悔をしないなんて事は出来ないといっても過言ではないだろう

 

それならば私は、いつかアカリママが言っていた生きているという実感を持てる

人生を生きて行きたい…

 

「…うん、そうだな。そうするか」

 

心を決めたのかライトが顔を上げる

 

「決めたぜ、シュウ」

「そうですか」

「あぁ、あれこれ考えるのは性に合わねぇからな。その時に思ったままに行動するぜ!」

 

いきあたりばったり宣言をするライトだがその表情は晴れやかだ

 

「ですが海兵である以上、時には命令に従わなくてはいけない事もありますよ」

「そのぐらいわかってるぜ。だから俺はガープ中将みたいにワガママ言える程に

 大きくなってやるさ!」

 

拳を突き上げてライトが宣言する

 

真っ直ぐに生きているように見えるその姿が眩しく感じる

 

「そういうわけだ!特訓につきあってもらうぜシュウ!」

「おぉ―いライト!休憩は終わりじゃ!甲板の掃除をせい!」

 

ガープ中将に横槍を入れられた事でライトがこけそうになっている

 

「いいところで邪魔すんじゃねぇよガープ中将!」

「うるさいわい!サボっとらんで甲板の掃除をせんか!」

「ガープ中将だっていつも書類を提出しないでサボってるだろうが!」

「ぶわっはっはっは!」

 

2人の掛け合いに思わず笑ってしまう

 

そんな2人の掛け合いはガープ中将の副官であるボガードさんが来るまで続くのだった




次の投稿は15:00の予定です

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