ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第69話

「だぁ―――!また負けたぁ―――!」

 

エースとの決闘から1年程が経って私は19歳になった

 

そして、今年でライトが海軍本部から異動するということで

こうして最後の手合わせにやってきたのだった

 

「まだまだ未熟じゃのうライト」

「くっそ―!そう思うならもっと鍛えてくれよガープ中将!」

 

今回の手合わせにはガープさんが立ち会っていた

 

何かと私を海軍に誘うセンゴク元帥の事を考えてくれての配慮だ

 

「それで、ライトはどうじゃった?シュウ」

 

直接手合わせをした者の意見をライトに聞かせたいのだろう

 

「六式の《剃》を使えるようになり、武装色で身体の強化もしています

 ライトの年齢を考えれば十分だと思いますよ」

 

もっとも、今のライトの武装色の覇気では自然系能力者を実体として

捉えることはできないでしょうが…

 

ガープさんは私の言葉に頷いているがライトはそうではないようだ

 

「でもよぉ、シュウは16の時にはもっと出来ていたじゃねぇか」

 

ライトが少し拗ねたように話す

 

「ライト、お前とシュウでは経験が違うわい」

「経験?」

「シュウは賞金稼ぎとしてどれだけグランドラインで戦ってきたと思っとる」

 

そう、私とライトに差があるとすれば超えた修羅場の数だ

 

それがライトと手合わせをするようになったこの4年で出来た差でしょう

 

その差が一つ一つの動きの差となりこうして勝敗を分ける結果となっている

 

「だからこそ今回の異動となったのじゃ。お前がこれからも海兵として生き抜くためにの」

「わかってらぁ、でもよぉ…一度ぐらい勝ってからがよかったぜ」

 

ガープさんやセンゴク元帥、そしてクザンさんからライトの努力の程は伝え聞いているが

私とてこれまで遊んでいた訳ではないのでそう簡単には負けられない

 

「そうだ、シュウなら転移でこれるだろ?たまには手合わせに来てくれよな!」

「何処かわからなければ転移しようがありませんよ、ライト」

 

今更だが私の転移には条件があるのだ

 

そして、その事はライトとガープさんには教えてある

 

友人と命の恩人である故に教えた

 

ちなみにセンゴク元帥には教えていない

 

そして、ライトとガープさんもセンゴク元帥に話していないようだ

 

「俺が異動する場所はローグタウンだな」

「ローグタウン…たしか、海賊王の縁の地ですね」

 

「そうじゃ、ロジャーに肖ろうとグランドラインにデビューしようとする

 海賊のルーキー達の多くがローグタウンに集まる…

 ライトに経験を積ませるには丁度良いというわけじゃ」

 

なるほど、ライトにとって悪くない話ですね

 

「それに、今の時期からローグタウンにいれば関われそうだしな…」

 

何やらライトがニヤケながらブツブツと呟いている

 

「そのクセは変わりませんね、ライト」

「ほっとけ」

 

「やれやれですね…そうだ、ガープさん。食堂の厨房をお借り出来ますか?」

「構わんが何故じゃ?」

「ライトの船出を祝って料理を作ろうかと思いまして」

 

私の言葉にガープさんがニッと笑顔になる

 

「儂も相伴するぞ」

「えぇ、アカリママ直伝のビーフシチューですので楽しみにしてください」

 

ガープさんがいつものように豪快に笑う

 

「ビーフシチュー!?シュウ、作れるのか!?」

 

ライトの剣幕に私とガープさんは顔を見合わせる

 

「ライト、ビーフシチューを知っているのですか?」

「え?あ、あぁ」

 

私はガープさんを見て問い質す

 

「何処かにビーフシチューを出している食事処があるのですか?」

「いや、儂も海で長い間生きておるがアカリが作ったもの以外見た覚えはないのぅ

 じゃから、儂はアカリのオリジナルだと思っとったんじゃが…」

 

其処まで話すと私達はライトを見る

 

「あ、いや、本部の食堂にシチューってのがあるじゃねぇか!それでビーフは肉だろ?

 だから旨いんだろうなって思って…」

 

ライトが慌てるように言葉を捲し立てていく

 

「確かに本部の食堂にアカリの料理を真似てシチューの名前がついた料理はあるが

 ビーフシチューとは似ても似つかん代物じゃぞ」

 

ガープさん曰く、アカリママが海軍時代に同僚の誕生日に食堂の厨房を借りて

シチューを作ったのだが、そのレシピがわからずポトフのような感じになっているらしい

 

「アカリが出汁をしっかりとればと助言してからは寒い時期に人気のスープになったが

 儂にしてみれば、少なくともシチューの名を借りただけの別物じゃな」

 

ガープさんの言葉にライトの視線は落ち着かずに泳いでいる

 

「…まぁライトの不思議発言はいつもの事ですからね」

「そうじゃのう」

 

私達の言葉にライトは安心したように息を吐く

 

…隠すつもりがあるのならもう少し上手くやって欲しいものです

 

友人ながら少し心配になる

 

「それでは行きましょうか。仕込みは済ませてあるので後は温めるだけです」

「ぶわっはっはっは!腹一杯食うかのう!」

「おい、ガープ中将!これは俺への餞別だぞ!シュウ!俺には大盛りな!」

 

私の後ろでギャーギャー騒ぐ2人を連れて食堂に歩いていく

 

ビーフシチューを食べたライトは旨いと言いながら何度もお代わりをした

 

ガープ中将と競うように食べていくその姿に、かつてココヤシ村でナミの誕生日に

ビーフシチューを振る舞った時を思い出して心が暖かくなったのだった




次回投稿は13:00の予定です

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