ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

66 / 162
本日投稿2話目です


第63話

目を覚ましたミホークは私とレイ養祖父さんに一言礼を言うと

棺桶に似た船に乗って出航していった

 

手応えを忘れぬ内に己を鍛え直すらしい

 

出航する際に3ヶ月に一度程シャボンディ諸島を訪ねてくれるとの事で

これからもまだ暫くはミホークとの手合わせは続くようだ

 

私自身も目指すべき強さの先がレイ養祖父さんとミホークの戦いのおかげで見えたので

それらをイメージしながら修行をしていく事にした

 

未だ影すら踏めぬ遥か先の領域だがアーロンに確実に報復するためにも

少しでもその領域に近付かねばならない

 

私は改めてアーロンへの報復を誓い修行に打ち込んでいく

 

賞金稼ぎとして実戦経験を積み修行とミホークとの手合わせで己を高めていき1年

 

私は18歳になった

 

 

 

 

「いつもご苦労だね、シラカワ君」

「私自身の為ですから労いの言葉は不要ですよ。センゴク元帥」

 

賞金首討伐の証を提出し次の情報を貰いに来たことでセンゴク元帥と会うことになった

 

以前までは基本的にガープさんが情報をくれる窓口となっていたのだが

ここ最近はライトを演習や航路の巡回に連れていくことが増えて不在であることが多い

 

その為、こうしてセンゴク元帥と会う機会が増えているのだ

 

「シラカワ君が求める情報はこの書類に記してある。記憶したら破棄してくれ」

 

私は書類に目を通していく、一通り見たら書類を破り灰皿の上へと置く

 

「もういいのかね?」

「えぇ」

 

大抵のものは一目見れば覚えられるので問題ない

 

もっとも、理解できるとは限りませんが…

 

「相変わらず優秀なようだ。どうかな、シラカワ君も海軍に…」

「入りませんよ、センゴク元帥」

 

ここ最近、センゴク元帥と会う機会が多いのだがその度にこうして誘いを受ける

 

「ふむ、ライトも友が近くに在れば嬉しいだろう。それに、お互いに切磋琢磨することで

 更なる成長を望めるのではないかな?」

「何度情や利を語ろうとも私の優先順位は変わりませんよ、センゴク元帥」

 

私の返事を受けてセンゴク元帥が大きなため息を吐く

 

見聞色で感じる感情やセンゴク元帥の為人から半分本気で半分演技のため息だろう

 

「それでは、これで失礼します」

 

私はセンゴク元帥に軽く頭を下げて執務室を退室した

 

 

 

 

シラカワ君が退室し執務室に沈黙が拡がる

 

わかっていることだが、重々残念なことだ…

 

コンコン!

 

執務室のドアが叩かれる

 

私は背筋を正し、声をかける

 

「入りなさい」

「失礼しますっと」

 

クザンが気の抜ける声を出し、頭を掻きながら執務室に入ってきた

 

「何の用だ、クザン」

「あらら、書類を催促したのはセンゴクさんでしょうが」

「催促せんでも提出せんか!」

 

まったく、ガープとクザンは目を離せばすぐに書類を放り出すのだからな

 

「今日は随分とご機嫌斜めで…シュウの奴にふられましたか?」

「…わかっているのなら放っておけ」

 

クザンは察する事のできる男だが世話焼きであるのが時折面倒になる

 

「いい加減に諦めたらどうですか、センゴクさん」

「あれほどの人材をか?」

「サカズキが色々と吠えているのは知っているでしょうに」

 

『徹底的な正義』を掲げるサカズキはシラカワ君の事をよく思っていない

 

「奴さん、アカリと赤髪の子であり冥王とも近いシュウがお気に召さないようですよ」

「シラカワ君は賞金稼ぎをしているが海賊のような明確な悪ではない。

 生い立ちだけで裁く訳にはいかないだろう」

「それがわかっているのなら抑えてくださいよセンゴクさん。そのうち奴さんの

 部下が暴走するかもしれませんよ?」

 

海軍の中でも過激派なサカズキはその部下達も同じような考えを持っている

 

だが、サカズキも海兵の家族が海賊に襲われる前はあれほどではなかったのだ

 

「私ばかりに任せずに自分で動かんか!」

「どうも雉と犬は相容れないようでして」

「オハラの一件か…」

 

サカズキが躊躇せずに一般人をも巻き込んでバスターコールで吹き飛ばした事が

今現在もクザンとサカズキの間に溝を作っている

 

「そういうわけなんでよろしくお願いしますよ、センゴクさん」

「…はぁ~、仕方ない」

 

私は大きなため息と共にサカズキに釘を刺すことを了承する

 

書類を置いて退室したクザンを見送った後、私はもう一度大きなため息を吐くのだった

 

 

 

 

「ただいま、レイ養祖父さん、シャッキーさん」

 

賞金首の情報を得た私はライトがいなかったこともあり

早々にシャボンディ諸島に転移で戻ってきた

 

「おかえり、シラカワちゃん」

「おかえり、シュウ。君に客人がきているよ」

 

レイ養祖父さんの言葉を受けビールを飲んでいた人物がこちらを向いた

 

「あんたがシラカワ博士かよい」

「そうですが…貴方は?」

「俺は白ひげ一味の一番隊隊長のマルコっていうよい」

 

白ひげ一味の《不死鳥のマルコ》がなぜここに?

 

「これはご丁寧に、私はシラカワ・シュウです」

「単刀直入にいうよい博士。親父があんたに会いたがってるんだよい」

「…白ひげがですか?」

 

どういうことでしょうか?私は何かをやらかしてしまったのか?

 

「そうだよい。親父の病があんたの造った特効薬で治ったんだよい。

 その礼を言いたくて親父は博士を呼んでるんだよい」

 

なるほど、そういうことですか

 

私は賞金稼ぎの活動の中で白ひげの関係者を討ってしまったかと思ったが違ったようだ

 

そして、本来なら白ひげから礼を言いにくるところなのだろうが

白ひげ程の大物が動くと近辺の海賊どころか海軍まで動く大騒ぎになりかねない

 

その事もあり、こうして信頼する部下であるマルコを私のところに寄越したのだろう

 

さて、この誘いは断れないですね

 

白ひげ程の大物の顔を潰すわけにはいきません

 

それに、いざとなれば転移で逃げればいいだけですからね

 

改めて思いますが私の能力はとても便利なものですね

 

あの悪魔の実を与えてくれた老人には本当に感謝しかありません

 

「マルコさん、その誘い受けましょう」

「話が早くて助かるよい、シラカワ博士」

 

嬉しそうに満面の笑みを浮かべたマルコは残っていたビールを一気に飲み干した

 

「マルコ君といったね、その誘いには私も参加して構わないかな?」

「冥王もかい?いいよい。親父は宴をやるからその気だったら冥王も

 連れてきて構わないと言っていたよい」

 

ミホークでもレイ養祖父さん相手ではどこか緊張を見せていたのだが

このマルコという御仁はその様子を見せない…

 

流石は現役の海賊達の中で世界最強の海賊と言われる白ひげ一味の

隊を率いるだけはあるということでしょう

 

「それじゃ、案内するから準備が出来たら声をかけてくれよい」

 

そう言ったマルコはシャッキーさんにもう一杯ビールを頼んでいた

 

どうやらビールを気に入ったようだ

 

市場に出回り始めたばかりですが彼もいいお得意様になるでしょう

 

こうして私は白ひげと会うことになった

 

レイ養祖父さんと同じく生きる伝説である人物と会える事に、私の心は高揚したのだった




次の投稿は11:00の予定です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。