ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第60話

「…いきなり斬りかかってくるとは穏やかではありませんね。どういうつもりですか?」

 

鷹のように鋭い目をした男が背負っていた剣を抜き放ってきたが

私も腰の剣を抜きなんとか受け止めることができた

 

「暇潰し」

 

目の前の男はさも当たり前のように言う

 

男の理不尽な物言いにライトが怒りの声をあげた

 

「てめぇ!俺のダチになにしやがる!」

 

剣を合わせたままに男はライトに視線を向ける

 

「貴様に興味はない。去れ、弱き者よ」

「俺が弱いだとぉ!」

 

男の言葉に激昂したライトは両手に電気を纏う

 

私は今にも殴り掛かりそうなライトを止めた

 

「止めなさい、ライト」

「シュウ、でもよぉ!」

 

剣を合わせたままに視線をライトに向けている目の前の男だが

その剣からはまったく隙が見当たらない

 

ズキリと縫い合わせたばかりの傷が痛む

 

間違いない…この男は万全の状態でも勝機を得られるかわからない格上の相手だ

 

「覇気も六式もまだ扱えないライトでは、この男の相手は無理です」

「おい、シュウ!」

「申し訳ありませんが、見た目程余裕はないのですよ」

 

ライトは驚き目を見張る

 

「くそっ!今助けを呼んでくるからな!」

 

そう言い残しライトが走り去っていった

 

「直剣とは珍しいな、名乗るがいい」

「私の名はシラカワ・シュウです!」

 

その言葉と共に男の剣を弾き距離をとる

 

男は様子見だったのか仕掛けてはこない

 

「シラカワ?貴様はシラカワ・アカリに縁有る者か?」

「…えぇ、シラカワ・アカリは私の母です」

 

私の言葉に男は驚いた様子を見せる

 

「そうか、貴様は《赤髪》の息子か」

「父さんの知り合いですか?」

「我が名はジュラキュール・ミホーク」

 

いきなり斬りかかってきた男は《鷹の目》だったようだ

 

私はよく生きていましたね…

 

「そうですか」

「貴様の事は酒の席で赤髪からよく聞かされる」

 

やや迷惑そうな声色で告げられる…私の父が絡んですみません

 

「だが、なるほど。加減をしたとはいえ、俺の一太刀を受け止めたことに合点がいった」

 

そう言いながらミホークは片手で剣を構える

 

その構えから受ける圧力はブンタ御祖父さんに匹敵するものがあった

 

私はその圧力に転移での逃走も思考に加えていく

 

「臆すか」

「えぇ、臆して逃げようかと考えています」

「ほう、それを認められる程度には強き者であったか」

 

鋭い目はそのままにミホークは面白そうに口元を吊り上げる

 

こちらは少しも面白くありませんがね!

 

「さて、赤髪の子よ。少し暇潰しに付き合ってもらうぞ」

 

その言葉と共に踏み込んでくる気配を見せたミホークに対して

私は自分からミホークに踏み込んでいく

 

「ほう、流石はシラカワ・アカリの息子…中々の剛の剣だ」

 

踏み込み、何度も撃ち込んでいくが手応えはなく軽くいなされていく

 

ゾワッ!

 

背筋に冷たいものを感じた刹那、私は《剃》使い距離をとる

 

ヒュッ!

 

距離をとった直後、私がいた場所をミホークの柔らかくも鋭い一太刀が通りすぎた

 

「勘か見聞色か…よくやるな、赤髪の子よ」

 

避けきったかに思えたミホークの一太刀だが私の胸に一筋の傷を作っていた

 

「骨には届かなかったか…見事だ」

 

称賛してくるミホークを見据えたままに武装色で傷を締める

 

「くくく…その若さでそこまでやれるか」

 

傷は浅いがシェードとの戦いでの消耗もあり本当に余裕がなくなってきた

 

「では、次はこちらから行くぞ」

 

先程まであの大きな黒刀を片手で操っていたミホークが両手で構え直した

 

…ここまでですね

 

私は転移で逃走の準備に入る

 

「そこまでじゃ!」

 

場を制する大声と共にガープさんが私とミホークの間に割り込んできた

 

「これ以上海軍本部で暴れるのなら儂が相手になるぞ。鷹の目」

「…それも悪くないが中々に楽しめた。今日はここまでにしておこう」

 

どうやら生き残れたようですね…

 

「赤髪の子よ、酒はいける口か?」

「嗜む程度には…」

「そうか、適当なところに案内しろ」

 

そう言ったミホークは棺桶のような船に乗り込んでいく

 

私はため息を一つ吐きガープさんに礼を言う

 

「ガープさん、助かりました。これはシェード討伐の証です」

「ぶわっはっはっは!気にせんでいいわい。賞金はどうする?」

「後日受け取りにきます。それまで預かっておいてください」

 

頷いたガープさんを確認した私はミホークの船に乗り込む

 

「私の能力で案内します。そのまま船を進めてください」

「赤髪の子よ、貴様は能力者か?」

「えぇ、その通りですよ。ミホークさん」

 

ミホークが剣呑な目付きで私を見据えてくる

 

「なぜ先程の戦いで能力を使わなかった?」

「…さて、何故でしょうかね?」

 

私の言葉で不満を露にするミホークに少しはやり込める事が出来たかと笑いが溢れる

 

「ククク…失礼しました。それでは行きましょうか」

 

私の言葉でミホークは棺桶に似た船を出航させる

 

その船の進路に私は能力を用いてワームホールを開いた

 

ワームホールを見たミホークは驚きに目を見張る

 

その顔を見た私はさらに留飲が下がる気持ちとなりまた笑いが溢れる

 

その最中でも船はワームホールへと進んで行き、私達はシャボンディ諸島に転移した




次の投稿は15:00の予定です

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