ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿8話目です


第56話

ライト少年との手合わせが終わりました

 

正直なところ拍子抜けですね

 

初手で能力を使用して突っ込んできたのは驚きましたが

余りにも素直に突っ込み過ぎでした

 

能力は一見した所、電気や雷のように見えたので弾かずに避けたのですが

思いっきり振りかぶり殴りかかってきた時はフェイントかと疑いました

 

ライト少年の能力に当たらないように距離に余裕を持って避け

がら空きだった腹に一撃見舞ったのですが、手応えの良さにまたも驚きました

 

センゴク元帥が覇気の才があると言っていたので武装色を纏っているのを

想定していたからです

 

結局、手合わせはその一撃で決まってしまい消化不良といった気分ですね

 

「見事な一撃だったが納得していないようだね、シュウ」

 

どうやらレイ養祖父さんにはお見通しのようだ

 

「えぇ、武装色の覇気を纏っているだろうと想定していたので

 一撃で終わってしまい、些か消化不良ですね」

「シュウ、君は物心ついた時から武装色を無意識に使っていたようだが

 覇気の才を有した他の者もそうだとは限らないよ」

 

ブンタ御祖父さんがアカリママも物心ついた頃には得意な系統の見聞色を

使っていたと言っていたのでそれが普通なのだと思っていましたが違うようです

 

「むしろ、アカリやシュウのようなケースは珍しい部類だ。その事を認識しておきなさい」

「はい、レイ養祖父さん」

 

レイ養祖父さんの言葉に頷いた私はライト少年を見る

 

…大丈夫でしょうか?

 

「心配せんでいいわい」

「ガープさん…」

「命に関わるような攻撃じゃったら儂やクザンが止めとったからのぅ」

 

審判をしていたクザンさんならまだしも距離のあったガープさんでも間に合うのですか?

 

「それにしても、想像以上に強くなったのぉ…レイリー、シュウに何をさせたんじゃ?」

「なに、良く食べ、良く動き、良く寝る…たったそれだけの事だ」

 

泥のように眠る毎日をそのように表現するのは如何なものでしょう

 

「取りあえず文句の無い結果だのう。そうじゃろう、センゴク?」

「…シラカワ君の特効薬製造の功績を考えれば止めたい所だがな」

「心配性じゃのう、センゴクは」

「お前はもう少し考えろ、ガープ」

 

どうやら情報は貰えそうですね

 

「それじゃセンゴクの執務室に戻るか。クザン、ライトの事を頼んだぞ」

「はいはい、任されましたよっと」

 

クザンさんが肩にライト少年を抱えて歩いて行ったのを見届け

私達もセンゴク元帥の執務室に向かった

 

 

 

 

「くそっ!逃げ…いっ…」

「あらら、もう起きたんだ。もう少しゆっくりしなさいな、ライト」

 

クザンさんの声が聞こえるがそれどころじゃない…なんでこんなに腹が痛いんだ?

 

それに、なんで俺は医務室にいるんだ?

 

「クザンさん…なにが…?」

「あらら、覚えてないのか?」

 

覚えてない?…あ…

 

「クザンさん!あの野郎はどこだ!まだ勝負は終わっちゃ…」

「ライトの負けだよ」

 

何を言ってんだよクザンさん!

 

「俺は負けてねぇ!」

「一撃で気絶させられちゃったからねぇ…納得しろとは言わないけど

 もう勝負は終わったのは理解して欲しいね」

 

理解できるかよ!俺があんな…

 

「あんなすかした野郎に負けるはずがねぇ!」

「あらら…取りあえず、水でも飲んで落ち着きなさいな」

 

クザンさんが水を俺に寄越した

 

俺はそれを一気に飲み干す

 

「クザンさん、あの野郎はどこにいる?」

「それを知ってどうするんだ、ライト」

「決まってんだろ!あのすかした野郎の顔面に一発…」

 

クザンさんがあからさまなため息を吐く…なんだよ?

 

「それで、また良いのを貰って気絶するっていうのか?」

「そんなわけねぇだろ、クザンさん!」

「今のライトじゃ何回やっても当たらないだろうな」

 

そんなの…!

 

「やってみねぇとわからねぇだろ、クザンさん!」

「…少しは大人の言うことを聞きなさいな、ライト」

 

そう言ってクザンさんはまた水を俺に渡す…今度は氷入りだ

 

「それを飲むなり、頭にかけるなりして落ち着け」

「いや、頭にはかけねぇよ」

 

今度は水をゆっくりと飲んでいく

 

冷たい水が腹に染み渡っていく

 

頭が冷えてきた

 

…おかげで、嫌でもクザンさんの言うことが間違いじゃないってわかっちまった

 

「なぁ、クザンさん…俺はなんで負けたんだ?」

「奴さんの方が強かった…それだけの事さ」

「そうか…」

 

「俺は弱いのか?」

「海は広い…無名でも強いのなんていくらでもいる」

「そうか…」

 

悔しい…ここまで悔しいのは今生で初めてだ…

 

「…くそっ!」

「泣きたければ泣きなさいな、ライト」

「なに言ってんだよ、ガキじゃあるまいし」

 

クザンさんが俺の頭に手を置く…親父みたいにデカイ手だ

 

「泣く程悔しい事は大人でもある」

 

クザンさんがワシワシと俺の頭を撫で回す

 

「相手を舐めていても本気で勝ちにいったんだろ?負けて悔しいのは当たり前だ」

 

目頭が熱い…涙が溢れてくる

 

「あらら、本当に泣いちゃったよ」

「慰めるのか、ふざけるのか、どっちかにしろよ!」

 

俺のツッコミに笑うクザンさんの前で、俺は泣き続けた

 

 

 

 

「情報ありがとうございました、ガープさん」

「儂等にも利があることじゃからな。気にせんでいいわい」

 

センゴク元帥の執務室で賞金首の情報を貰った私とレイ養祖父さんは

早速出発する為に海軍本部の建物の外に出ていた

 

そこをガープさんが見送りに来てくれているのが今の情況だ

 

「シュウ、相手は生死を問わずの賞金首じゃ…下手に手心を加えようものなら

 お前の首が取られる事を肝に命じておくんじゃぞ」

「ご忠告、ありがとうございます」

 

私はガープさんの忠告に頭を下げる

 

「レイリー、わかっとるだろうが無理はさせるなよ」

「お前の口からそんな言葉が出るとはな、ガープ」

 

ガープさんとレイ養祖父さんが笑い合っている

 

「おい!」

 

そんな2人を眺めていたら不意に私を呼ぶ声がした

 

「お前、名前は!」

 

声の主を見るとライト少年だった

 

「私の名前はシラカワ・シュウです」

「俺はライトだ!次は負けねぇからな、シュウ!」

 

そう叫んだライト少年は走り去っていった

 

「ぶわっはっはっは、ライトの奴もようやくやる気になりおったか!」

 

ガープさんが豪快に笑っている

 

手合わせ前に言っていた狙い通りということでしょう

 

「シュウ、頼みがあるんじゃが」

「なんでしょうか?」

 

ガープさんが真剣な顔で私に話してくる

 

「情報を貰いに等で海軍本部に来たときに、出来るだけ

 ライトと手合わせをしてやって欲しいんじゃ」

 

命の恩人のガープさんの頼みとあれば吝かではありませんが…

 

私はレイ養祖父さんを見る

 

「好きにしなさい、シュウ」

「よろしいのですか?」

「あぁ、ガープやセンゴクも認める才能を持つ者が相手なんだ

 シュウにも得るところがある筈だ」

 

私はレイ養祖父さんの言葉に頷く

 

「それに、好敵手となれる存在は得難きものだ…私やロジャーも

 ガープやセンゴクと鎬を削り大きくなっていったのだからね」

 

好敵手ですか…

 

「もっとも、ライトの奴にはまだシュウの相手は早いじゃろうがの」

「仕方ないさ。シュウは曲がりなりにも修羅場を生き抜いた経験を持ち

 さらに5年もの時を本気で修行に費やしたのだからな」

 

老人2人が楽しそうに話している

 

さて…どうしましょうか?

 

能力者との手合わせの経験は悪くありませんね…

 

「ガープさん、手合わせの件お受けします」

「そうか、感謝するぞシュウ。ぶわっはっはっは!」

 

ライト少年がどれだけ成長するか、私の好敵手となるのか…楽しみですね

 

「それでは、そろそろ失礼します」

「達者でな、ガープ」

「儂かセンゴクが話を受けると通達をしておくからの。何時でも気軽に来ればいい」

 

挨拶を終えた私達は小舟に乗り込み出航する

 

そして、小舟を少し沖に進めた所で私は能力を使いワームホールを開く

 

私とレイ養祖父さんが転移する時に見たガープさんの顔は驚愕に彩られたものだった




これで本日の投稿は終わりです

また来週お会いしましょう^^

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