ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です


第53話

「適当に座ってくれ。今、茶を持ってこさせるわい」

 

私がガープさんに助けられた時以来の部屋の風景に懐かしさが込み上げてくる

 

ガープさんは2、3言葉を電伝虫に話すとこちらにやってきた

 

「待たせたの。で、話はなんじゃ?」

「略奪主義の海賊の情報が欲しい」

 

レイ養祖父さんが簡潔に用件をガープさんに伝えた

 

「どういうことじゃ?」

「シュウに実戦経験を積ませる為に賞金稼ぎをさせる」

 

レイ養祖父さんの言葉にガープさんが腕を組んで考え始めた

 

「儂の一存では難しいの」

「ダメか?」

「いや、海軍にも利はあるからの。センゴクに話してみるわい」

 

そう言ったガープさんはまた電伝虫で話し始めた

 

「レイ養祖父さん、センゴクさんとは誰でしょうか?」

「センゴク元帥…海軍のトップの者だね」

 

レイ養祖父さんの言葉に驚きガープさんを見るが電伝虫で

いつも通りに話しているように見える…相手は元帥ですよね?

 

「センゴクはガープの新人時代からの同期の海兵でね。若い頃は2人のコンビに

 私とロジャーも手を焼かされたものさ」

 

レイ養祖父さんが昔を懐かしむように語る

 

「手を焼かされたのはこっちの方じゃ、レイリー」

 

気がつけばガープさんが話しを終えてこちらに来ていた

 

「それで、どうだったガープ?」

「話し合いには応じるそうじゃ。というわけで、今からセンゴクの所に行くぞ」

 

ガープさんに連れられ私とレイ養祖父さんはセンゴク元帥の執務室に向かった

 

 

 

 

「ダメだ」

 

センゴク元帥の執務室に到着した私達はさっそく話し合いを始めたのだが

ガープさんが事の経緯をセンゴク元帥に伝えたところ断られてしまった

 

「儂等にも利はあるじゃろうが、ケチケチするなセンゴク」

「はぁ~…ガープ、他の賞金稼ぎはどうやって情報を得ている?彼等だけを

 特別扱いにするわけにはいかん」

 

至極真っ当なセンゴク元帥の言葉だがレイ養祖父さんが絡んでいった

 

「センゴク、賞金稼ぎの中には海兵に金を掴ませて情報を得ている者もいる筈だが?」

「それは否定しない。だがなレイリー、海軍本部で扱う情報は機密のものも多いのだ。

 下手にそれを漏らせば戦争に発展しかねん。認める訳にはいかん」

 

自由奔放と言えるガープさんのイメージがあり海軍もそういった気風なのかと思ったが

センゴク元帥のように規律を重んじる人もいる…まぁ、当然ですね

 

「センゴク、現実問題として海兵の手は足りとらんのじゃ。略奪主義の連中を

 間引いてくれるのなら大助かりじゃろうが」

「ガープ、シラカワ君はまだ15歳なのだろう?成人していない子供を

 海軍が率先して修羅場に送っていると噂が立ったらどうする?それこそ世間の

 非難は避けられないものとなる…リスクが高過ぎるな」

 

保守的と言えるがセンゴク元帥の言うことは組織を率いる長として当たり前の事だ

 

「海賊も海軍も、見習いを修羅場に連れて行き経験を積ませているのは当然の事だろう?」

「レイリー、現実的にはそうだが建前というのがあるんだ」

 

センゴク元帥がため息を吐きながら頭を掻く

 

世知辛い大人の事情ですね

 

さて、そうなると私が賞金稼ぎをしても問題ないと証明するか

建前に目を瞑るメリットを提示しないといけないでしょう…どうする?

 

力を示すのが手っ取り早いか…よし

 

「よろしいでしょうか、センゴク元帥」

「何かな、シラカワ君」

「私が賞金稼ぎをしても問題無いと証明出来れば、世間の非難も

 少なくなるのではないでしょうか?」

 

センゴク元帥が腕を組みながら私を見てくる

 

「確かにその通りだが…どう証明するのかな?シラカワ君」

「《英雄ガープ》と《仏のセンゴク》…お二方の前で力を示すのは証明になりませんか?」

 

私の言葉にガープさんが大笑いをする

 

「ぶわっはっはっは!儂等のお墨付きなら問題無いのう、センゴク!」

「簡単に言うな、ガープ」

 

非難するようにセンゴク元帥はガープさんを睨むが

ガープさんはどこ吹く風と笑い飛ばす

 

「それで、証明の方法どうするのかな?シラカワ君」

「何方かと手合わせ…という形では如何でしょうか」

 

私の言葉にセンゴク元帥が目を瞑る

 

相手を考えているのでしょうか?

 

すると、何かを思い付いたのかガープさんが話し出した

 

「相手はライトがいいじゃろう。今頃は演習場でサボっとるじゃろうから丁度いいわい」

「ガープ、ライトは見習いだが能力者だぞ。危険ではないか?」

「センゴクはそう言っとるが…どうじゃ、レイリー?」

 

ガープさんの言葉を受けてレイ養祖父さんが不敵に笑う

 

「ライト少年が、ブンタ殿の剣を前にして動けるのならば危ないかもな」

「ほう、とするとシュウは」

「あぁ、見事に正面から踏み込んで見せたよ、ガープ」

「ぶわっはっはっは!これは面白くなってきたわい!」

 

当事者である私をそっちのけて盛り上がる不良老人が2人

 

センゴク元帥も呆れるようにため息を吐いた

 

「よし!そうと決まれば演習場に行くぞ!」

「待てガープ。処理をしなければならない書類が残っている

 手合わせは昼飯を食べてからでいいだろう」

「なんじゃ、そんなもの後にせい」

 

ガープさんの言葉にセンゴク元帥が眉を釣り上げた

 

「ガープ、お前も今日中に提出する報告書があるはずだが?」

 

センゴク元帥の言葉にガープさんは鼻をほじりながら顔を反らす

 

「さっさと提出せんかバカ者が!出さんと立ち会わせんからな!」

 

もの凄く嫌そうな顔をしながらガープさんは執務室を出ていった

 

「レイリーとシラカワ君は食堂で昼飯を食べていてくれ。部下に案内させよう

 会計の時には私の名を出してツケておいてくれ」

 

そう言うとセンゴク元帥は書類の処理を始めた

 

私とレイ養祖父さんはセンゴク元帥の部下の人の案内で食堂に向かい

タダ飯を楽しむのだった




次の投稿は17:00の予定です

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