ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第49話

ガープさんの船に揺られワノ国にたどり着いた私は

レイ養祖父さんと他2人の男女に迎えられた

 

「船旅お疲れ様だね、シュウ。世界会議はどうだったかな?」

「中々に面白かったですよ、見物する側としてはですが」

 

少なくとも政治家等としてああいった場に参加したいとは思いません

 

「レイリー殿、早く拙者達を紹介して欲しいのだ」

「えぇ、私も早くシュウちゃんとお話しをしたいわ」

 

その言葉で2人に顔を向ける

 

1人は黒髪に髷をして腰に直剣を帯びた壮年の男性

 

もう1人はアカリママと同じ紫の髪の三十路程に見える着物を着たお姉さんだ

 

「シュウ、この2人は君の実祖父母で、ブンタ殿とシオリさんだ」

 

私はレイ養祖父さんの言葉に驚く

 

男性がブンタ御祖父さんであるのは納得だがこのお姉さんがシオリ御祖母さん?

 

「初めましてなのだ、シュウ。拙者はシラカワ・ブンタなのだ」

「初めましてシュウちゃん。私はシラカワ・シオリよ」

 

2人が優しい表情で挨拶をしてくる

 

レイ養祖父さんの言うことに間違いはないようだ

 

「初めまして、ブンタ御祖父さん、シオリ御祖母さん。私はアカリママの息子で

 シラカワ・シュウです」

「あら、アカリったら、私のことをママって中々呼ばなかったのに

 シュウちゃんにはママって呼ばせていたのね」

 

シオリ御祖母さんがクスクスと上品に笑っている

 

「さて、3人共初めて会えた感動はあるだろうが、まずはブンタ殿の家に向かおうか」

「レイ養祖父さんはどうするのですか?」

「私はガープに礼でも言ってくるさ」

 

レイ養祖父さんの言葉を皮切りに、私は祖父母に伴われアカリママの生家に向かった

 

 

 

 

「やれやれ、ブンタの奴はだらしない顔をしとるのぉ」

「そう言うなガープ、血の繋がりの無い私でもシュウと会えた時は感動したものだ

 なれば、ブンタ殿やシオリさんの感動は一層のものだろう」

 

茶化すように言っているガープだが、僅かに目に涙が伺える

相変わらず情に脆い奴だ

 

「まぁ、儂も休暇で孫に会えた時は似たようなものじゃからな、ぶわっはっはっは!」

 

ガープは家族への思いが非常に強い男だ

 

もっとも、ガープの息子はその思いとは別の道へ進んでしまったが…

 

「さて、そろそろ行くわい」

「あぁ、世話になったな、ガープ」

 

互いの拳を軽くぶつけ、別れの挨拶とする

 

かつての好敵手とこういった時を過ごせるとは…人生わからないものだ

 

そして、ガープの船を見送った私は、ブンタ殿の家に向かった

 

 

 

 

祖父母の家でレイ養祖父さんを交えて食事を済ませた私は

祖父母の家にある道場で今の俺の力を祖父母に見せていた

 

「あらあら、凄いわねシュウちゃん。まだ12歳なんでしょう?」

「既にここまで覇気を使えるとは見事なのだ」

 

祖父母の称賛がむず痒い

 

「シュウ、レイリー殿から伺っているが、得物は直剣でよいのだな?」

「えぇ、お願いします。ブンタ御祖父さん、シオリ御祖母さん」

 

ブンタ御祖父さんが道場の壁に立て掛けてある木剣を手に取る

 

「拙者の剣の腕は海で揉まれたレイリー殿には及ばないのだ

 だが、剣を扱う技なればその限りじゃないのだ」

 

そう言ったブンタ御祖父さんは木剣を振っていく

 

踏み込んで振るう、踏み込んで振るう

 

それを繰り返していく姿はどこか芸術を思わせるものだった

 

「刀を扱う流派の多くは『後の先』を旨として守りを重視した脚捌きとなるのだ」

「守りですか?」

「うむ、打たせずに打つ、斬らせずに斬る。得物をぶつけ合うことを避け

 相手を斬る…これが刀を扱う流派の主な特徴なのだ」

 

ブンタ御祖父さんの言葉に違和感があるがおそらくは虚憶による

先入観のせいでしょう

 

「対して、シラカワ流は攻めの流派なのだ。武器破壊も視野に入れ

 相手の得物と打ち合っていくのだ。攻めのための防御なのだ」

 

話ながらも剣を振り続けていくブンタ御祖父さんだが息に乱れは無い

 

「負けない為の剣ではなく、勝つための剣…それがシラカワ流なのだ!」

 

ボッ!

 

一際鋭い音を立てて剣が振るわれブンタ御祖父さんの演武は終わりになった

 

「剣の上達に一段飛ばしの成長はあれども、近道は無し…覚悟はいいのだ?」

「はい、お願いします」

 

ドヤ顔を決めるブンタ御祖父さんに私は頭を下げて教えを乞う

 

「うむ、では後は頼むのだシオリ」

「はい、任されたわ」

 

おや?ブンタ御祖父さんが教えてくれるのではないのでしょうか?

 

そう思ってブンタ御祖父さんを見ていると、ブンタ御祖父さんは顔を逸らした

 

「…シオリがシラカワ流の師範で拙者よりも指導は上手いのだ」

「あら、剣の腕でも負けた覚えはありませんよ、ブンタさん?」

「少しは孫の前で格好をつけさせて欲しいのだ…」

 

項垂れるブンタ御祖父さんに、楽しそうに笑うシオリ御祖母さん

 

尻に敷かれるとはこういう関係を言うのだろう

 

「ふふふ、今まで会えなかった分、シュウちゃんには一杯甘えて欲しいのだけど

 剣の事では一切容赦しませんからね♪」

 

何故か恐怖を感じるシオリ御祖母さんの笑顔

 

そのシオリ御祖母さんの笑顔を見たレイ養祖父さんとブンタ御祖父さんが

私の事を暖かい目で見てきたのだった




今回は8話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

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