ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿7話目です


第48話

特効薬の事を決める為に世界会議が始まったのだが、その内容は

ワポルがひたすらに駄々を捏ねるといったものだった

 

医療大国であることを声高に語り特効薬の効能や服用方法を確認すると話せば

コブラ国王が大人の対応で場を宥めていく光景が続いている

 

他の国々の代表達は公式の場での失点を考えてか発言を控えているのが現状だ

 

時間的にそろそろ休憩でも挟むのではと考えていたところ

ワポルが上から目線で私に命令を下すように話しかけてきた

 

「小僧!俺様の話でわかったはずだ!特効薬を受け取ってやるから

 ありがたく差し出せ!」

 

その体型でどうやってその椅子に座っているのか疑問なワポルを見つつ私は少し考える

 

さて…どうしましょうか?

 

「ワポル殿、シラカワ博士はまだ若い、性急に答えを求めるのは如何なものかな」

「砂しかない国のおっさんは引っ込んでろ!これは俺様と小僧の話だ!」

 

一国の代表としてあるまじき振るまいをするワポルだが

各国の代表は知らん顔をしている

 

医療大国の名の通りに多くの医薬品を扱うドラム王国に輸出を止められれば

自国において病が蔓延しかねないのだ

 

…そろそろ良いでしょう

 

この品性に欠ける愚物に冷水をかけて差し上げるのも一興

 

私は特効薬を完成させてからの1年でやったことを話すことにした

 

 

 

 

「発言、宜しいでしょうか?」

 

シラカワ博士が声を上げた

 

ドラム王国の国王であるワポルが我が儘を言いたい放題にしていた世界会議だった故

私がその調整に奮闘せざるを得なかったのだが、そこでワポルが

直接シラカワ博士に特効薬を要求してしまった

 

世界の多くの医薬品はドラム王国製であることが足を引っ張る

 

自国民のことを考えれば意地を張り続けるのも難しい

 

会議の前ではワポルの要求を断ったシラカワ博士だが…どうなる?

 

「発言を認める」

「ありがとうございます、議長」

 

王族が集まる故に、平民であるシラカワ博士が発言するには許可がいる

 

我らがシラカワ博士に求めた話し合いの場だというのに…嘆かわしいことだ

 

「王たる皆様にお配りした資料に記してあるように、特効薬は病が完治するまで

 服用をし続けなければなりません。つまり、完治を見極めることができる医者の目と

 服用を続けることができる十分な数の薬が必要ということです」

 

シラカワ博士が確認するように会議場を見渡す

 

…子供とは思えない堂々たる振るまいだ

 

「だから、俺様の国が特効薬を貰ってやると言っているんだ!」

 

少しは控えんか!馬鹿者が!

 

ん?シラカワ博士が笑っている

 

「申し出、大変ありがたい事ですが、その必要には及びません」

「どういうことだ、小僧!」

 

シラカワ博士が冷笑するようにワポルを見る

 

「既に、特効薬のサンプルと製法を拡めているからですよ。ワポル国王」

 

シラカワ博士の発言にワポルは目を見開き口を大きく開けて驚愕している

 

表情に出さないようにしているが、各国の王達も同様に驚いているようだ

 

「私の知人に頼み配っていただいた特効薬は、既に民間レベルで

 使用が始まっているでしょう…後は、自国において追証し製造をどうするかで

 国民からの支持を得られるかが決まるでしょうね」

 

シラカワ博士の静かな笑いが会議場に響く

 

子供とは思えぬ凄みが私の身を貫く

 

「ククク、そう言う訳ですので、この会議は特効薬は既に拡まっていると王たる皆様には

 認識していただく形になりました。特効薬が皆様の国の繁栄の一助と

 なることを願っています。以上で私の発言を終わりにさせていただきます」

 

そして、シラカワ博士は着席した

 

その後、ワポルが叫び声をあげながら椅子を破壊し、会議場を出ていったことで

今回の世界会議も終わりとなった

 

本来ならこの後で《革命家ドラゴン》の事を話し合う予定だったのだが

各国の王達も足早に会議場を去っていく

 

シラカワ博士の発言にあった自国民の支持を獲得するために躍起になるのだろう

 

もちろん私とて無視できるものではない

 

いや、砂の国たる我が国では民との共生こそが大事なのだ

 

早く国に帰り、特効薬の扱いを決めねばならないだろう

 

だが、あのワポルに醜態を晒させたこの若き天才に一言礼を言っても遅くはあるまい

 

私は、まだ席に残っているシラカワ博士と話をすることにした

 

 

 

 

「少しいいかな?シラカワ博士」

 

各国のお偉方が足早に会議場を去っていく中でコブラ国王が私に話しかけてきた

 

「お苦しい立場でありながら御助力いただき、感謝します」

「礼を言うのはこちらの方だシラカワ博士。我が国の民、そして世界の民に代わって

 礼を言わせてもらう…ありがとう」

 

そう言ってコブラ国王は私に頭を下げてきた

 

一般人である私に一国の代表たる王が頭を下げた状況に焦りが出る

 

「どうか頭を上げてください、コブラ国王」

「王たる者として当然の事をしているだけだよ…それに、ワポルのあの顔は痛快だったからね」

 

頭を上げたコブラ国王が茶化すように笑う

 

「あの方は、少々品性に欠けていましたからね。頬への一撃の報復といったところです」

「品性に欠けるか…シラカワ博士も中々に手厳しいな」

「おや、あの方と言っただけなのですが…コブラ国王には心当たりがあるようで」

「はっはっは、これは一本取られたな」

 

先程の厳かとも言える雰囲気を霧散させ一転、気さくな様子を見せてくる

 

ワポルとは役者が違いますね…素直にそう思います

 

「さて、こちらから話しかけておいて何だが、そろそろ失礼させて貰おう

 我が国の民に朗報を届けなければならないからね」

「道中の無事をお祈り致します」

 

頭を下げた私にコブラ国王は軽く手を振って去っていった

 

ワポルの印象が強かったですが、ああいう御仁もいるのですね…

 

勉強になりました

 

閑散としている会議場で私は自身の打った一手が成功したことを喜ぶ

 

そして、私はワノ国に行くためにガープさんの所へ向かうのだった




これで本日の投稿は終わりです

また来週お会いしましょう^^

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