ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿6話目です


第47話

ガープさんの案内で世界会議が行われる場所にやってきた

 

さすがに王族等が来る場所と言うべきか凄く広い場所だ

 

私を送り届けたガープさんはそのまま警護の任につくらしい

 

《英雄》ガープの警護とは贅沢なものですね

 

ガープさんの副官であるボガードさんに待機場所に案内して貰っていると

水色の髪の少女が走り回っている光景を目にした

 

少女の髪の色がココヤシ村のノジコを思い出させてくれて

心に暖かいものが溢れてくる

 

私はその暖かいものに改めてアーロンへの報復を誓った

 

子供故の不注意か、その少女がふくよか過ぎる体型の男とぶつかってしまう

 

レイ養祖父さんから注意されていたので見聞色の覇気を使っていたのだが

見聞色で感じ取った男の感情は稚気と怒気だった

 

男の感情から良からぬ行動を予測した私は能力を使い少女の近くへ転移した

 

 

 

 

「無礼な小娘が―――!」

 

初めてアラバスタ王国の外に出た私は浮かれてはしゃぎ回っていた

 

そのせいで、王族の人達がいっぱいくるこの場所で誰かにぶつかってしまい

その人の怒りを買ってしまった

 

手を振り上げる男の人の姿が怖くて目を瞑ってしまった

 

バシッ!

 

大きな音がしたけど痛みがこない…

 

私は不思議に思って顔をあげた

 

「失礼しました。物珍しさのあまり、目を周囲に奪われていました

 不注意と無礼をお詫び致します」

 

私の目の前に片方の頬を赤くした紫の髪の男の子がいる

 

私は何が起きたのか知りたくてお父様とイガラムを探した

 

「まっはっはっは!無礼な小娘の代わりに不注意で殴られるとか、カバじゃなーい!」

 

大きな男の人が大笑いしながらそう言った

 

この男の子が私の代わりに殴られた?

 

「おい小僧、お前はどこの国の奴だ」

「私は王族でなければ貴族でもありません。今日の世界会議に呼ばれた只の科学者ですよ」

 

科学者?この人が?

 

白衣のような白いコートを着ている男の子を見る

 

この人が三大死病の特効薬を造った人…

 

「ほほぅ…おい小僧、無礼を働いた詫びとして特効薬を寄越せ!」

 

三大死病には世界中の人々が苦しんでいる

 

特効薬が出来たことは間違いなく吉報だけど、それにより人々に混乱が起きる

可能性もあるってお父様が言っていた

 

今回の世界会議はその混乱が起きないように皆で話し合うためのものなのに

この大きな男の人はそれを独占しようとするなんて…

 

「お断りします」

 

男の子が微笑みながら断った

 

…大人が怖くないの?

 

「小僧!このドラム王国の国王であるワポル様に逆らうのか!」

「特効薬の事を話し合うのが今回の世界会議の主題であったと思いますが

 貴国の独断で利を独占するかのような発言…他国との戦争をお望みですか?」

 

ワポル国王が怒りで顔を真っ赤にしている

 

ワポル国王がまた手を振り上げようとしたその時、お父様が2人の間に割って入った

 

「ワポル殿、ここは私の顔に免じて引いてくれないか」

「あん?おっさん、誰だ?」

「私はアラバスタ王国の国王、ネフェルタリ・コブラだ」

 

お父様が名乗ると男の子が頭を下げた

 

子供とは思えない対応力に私は驚く

 

「おっさん、お前には関係ない。引っ込んでろ!」

「世界の民の行く末を左右しかねない問題だ。引くわけにはいかぬ」

 

お父様とワポルの間に険悪な雰囲気が流れた時、侍女の様な人が

ワポルのお付きの人になにかを話しかけた

 

「ワポル様、お食事の準備が整ったようです!」

「おぉ!そうか!行くぞ、チェス、クロマーリモ!」

 

そう言ったワポルはドスドスと大きな足音を立てながら走っていってしまった

 

「ご助力、ありがとうございます。コブラ国王」

「公人として当然のことをしたまでのこと。感謝には及ばない」

 

男の子が頭を下げながらお父様に感謝をしている

 

「それで、自己紹介をして貰えるかな?博士」

 

お父様の言葉に私は男の子を見る

 

「申し遅れました。私はシラカワ・シュウです。以後、お見知りおきを」

 

微笑みながら名乗るシュウさんに私は見惚れてしまう

 

これが私、ネフェルタリ・ビビとシュウさんとの初めての出会いだった

 

 

 

 

水色の髪の少女にノジコの姿を見たことで放っておけなくてかばったのだが

どうにかなって正直ほっとしました

 

しかし、ドラム王国の国王ワポル…あそこで直球に特効薬を要求してくるとは…

 

レイ養祖父さんがとんだドラ息子が国王になったと評していたけど

正にその通りの人物だった

 

ああいった人物が王となっても国としての体を為しているのだから

政治というのはわからないものですね

 

あまり関わりたいと思いません

 

対してというのも失礼だがアラバスタ王国の国王であるコブラ国王は出来た人だ

 

世界でも類を見ない長い歴史を持つ大国を統べる人物なだけはあると思う

 

そのコブラ国王の娘、ネフェルタリ・ビビ王女は呆然としていた

 

まぁ、自身の軽挙で国際問題になりかけたのですから無理もないでしょう

 

コブラ国王、ビビ王女、そして2人のお付きのイガラムさんとの挨拶もそこそこに

私はボガードさんの案内で待機場所に向かった

 

「あまり無理をなさらないでください、シラカワ博士」

 

待機場所に向かう道すがらボガードさんが話しかけてきた

 

「申し訳ありません。ですが、無理はガープさんで慣れているのではありませんか?」

「その通りですが、だからといって歓迎するものではありませんな」

 

ボガードさんの物言いに思わず笑いが溢れてしまう

 

「少しは反省していただきたいですね、シラカワ博士」

「ククク…していますよ。ですが、後悔はしていませんので」

 

ボガードさんが呆れたようにため息を吐いた

 

その後、待機場所についた私は紅茶を楽しみつつ会議が始まるのを待つのだった




次の投稿は19:00を予定です

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