ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です


第43話

あれから3日、私はレイ養祖父さんとチェスに明け暮れた

 

結果としては私の負けだ

 

1勝も得る事が出来なかったが幾度も引き分け、あと一歩までいけたのは

大きな経験となったと思う

 

しかし、レイ養祖父さんが途中で賭け金の吊り上げを申し込んできた

 

内容としては私が勝てば2勝分の勝ちを献上、代わりに負ければ

私が寝ている間に学んだことを話すというものだった

 

元々、幾つかは話すつもりだったがそれを言う前に察してしまわれたことに

私は少なからず動揺してしまった

 

レイ養祖父さんの洞察力はとんでもないですね

 

結果として、この世界にもある医学や科学のことを学んだと話すことになった

 

レイ養祖父さんはココヤシ村にいたころに学んだのではないかと疑ったが

博士号を得た学者などでない限り知り得ないような知識を持っていることで

私が寝ている間に学んだと納得したようだった

 

そして、この3日で最後の勝負を終えた盤面の前で検討をしていたのだった

 

 

 

 

「ステールメイトですね」

「驚いたね、まさか寝ている間にここまで腕を上げているとは想像もしなかったよ」

 

まだ余裕を残した様子のレイ養祖父さんが私を称賛してくる

 

「何が足りなかったのでしょうか?」

 

私は盤面を見つつ思考を巡らせていく

 

検討を重ねレイ養祖父さんの手筋を読み、戦術を修正していったのだが

この3日間で勝ちを得る事は出来なかった

 

漠然とだが何かが足りないとは感じているのですがそれが何かがわかりません…

 

「私の私見になるがいいかな?」

「お願いします」

 

レイ養祖父さんが頷き話しを続けていく

 

「シュウに足りないもの…それは、勝負勘だね」

「…勝負勘、ですか?」

 

言われて考えてみる

 

どこか攻めきれないところがあったり良いところで抑えられたりした場面が何度もあった

 

「チェスに限らず、戦いには勝負所が幾重にも存在する。それを掴めるかが

 勝ち負けを左右するといっても過言ではない」

 

勝負の流れというやつでしょうか?

 

「時にそれは、力や技術といったものを覆すほどの重要なものとなる…

 シュウにはそれがまだ足りなかったね」

「…それは鍛えることが出来るのでしょうか?」

 

レイ養祖父さんは微笑み私を見てくる

 

「生まれながらにその勝負強さを持つ者もいるが、経験でそれを

 鍛えていくことも出来るね…私がその例だ」

「ちなみに、生まれ持っていた者は…」

「私が知るところでは、ロジャーやガープがいい例だね」

 

これはまたとんでもない大物の名前が出てきました

 

「正直なところ、若い時にはあの2人の戦いにはついていけないところがあった…

 だが、グランドラインで揉まれていく内に、私も負けないようになったのだよ」

 

当事者から聞くと説得力がありますね

 

「だから、慌てず、諦めず、前に進みなさい。人の意思の力は

 可能性に満ちているのだからね…」

 

私はレイ養祖父さんの言葉に感銘を受けながら素直に頷く

 

すると、レイ養祖父さんは外に目を向けた

 

「どうやら待ち人が来たようだ。それでは、席を外すよシュウ」

 

賭けの通りに父さんを殴りにいくようだ

 

私は父さんの無事を祈ることにした

 

 

 

 

レイリーさんを訪ねてシャボンディ諸島にやって来た俺達だが、

レイリーさんがいるという酒場の前に来たらレイリーさんが中から出てきた

 

どうやらレイリーさんに予想されていたみたいだな

 

「さて、先ずは久しぶりというべきかな、シャンクス」

「はい、久しぶりです、レイリーさん」

 

挨拶をしながらレイリーさんが俺に向かって歩いてくる

 

「歯を食い縛りなさい」

 

その言葉と同時に俺はレイリーさんに殴り飛ばされる

 

一緒に来ていたベックマンが構えるが、俺は手でベックマンを制する

 

「何故殴られたのかは、言わなくてもいいだろう?」

「…はい」

 

その通りだ、今更ノコノコと顔を出したのだからな…

 

「用件は察しているが…聞いておこうか、シャンクス」

「…息子の居場所を知りたい」

 

レイリーさんが覇王色の覇気で威圧してくる

 

「知ってどうする?」

「…色々と謝りたいのもあるが、それ以上に会いたい」

 

レイリーさんは1つため息を吐くと、酒場の方に顔を向けた

 

「出てきなさい、シュウ」

 

レイリーさんの言葉に俺は酒場の入り口に目を向ける

 

出てきた人物は、アカリと同じ波打つ紫の髪の少年だった

 

 

 

 

レイ養祖父さんの言葉で外に出てみるとそこには頬を腫らした赤髪の男がいた

 

初めて会うのに私は直感した…この人が私の父親だと

 

「初めましてですね、シラカワ・シュウです」

 

私が名乗ると父さんは土下座をした

 

「…すまない、シュウ」

「…顔を上げてください、父さん」

 

顔を上げた父さんは目を見開いて私を見てくる

 

「…俺を、父と呼んでくれるのか?」

「それ以外になんとお呼びすればいいのですか?まさか、アカリママのように

 パパと呼べとは言わないでしょう?」

 

父さんは少し困ったように頭を掻いている

 

「パパなんてのは柄じゃないな…しかし、アカリはママと呼ばせていたのか」

「えぇ、母さんと呼ぶと頬を膨らませて拗ねるので困ったものでした」

「アカリらしいな」

 

顔を見合わせた私と父さんはどちらともなく笑いだす

 

「さて、お互いに積もる話もあるのですから、まずは食事でもしましょうか

 お連れの方も遠慮せずにどうぞ」

 

そう言ってシャッキーさんの店に誘う

 

立ち上がった父さんが私の頭に左手を載せてきた

 

父さんの手はとても暖かいものだった




次の投稿は11:00の予定です

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