ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿7話目になります


第41話

シラカワ博士の講義が始まったが、まず最初にやったのは俺の学力の確認だ

 

まぁ、俺自身が正直なところお察しレベルだと思っていたのだが

博士に思いっきりため息を吐かれてしまった

 

…申し訳ありません

 

「最低でも、国立大学卒業程度の学力は身に付けていただきます

 …そうでもなければ到底理解出来ませんよ?」

 

そして始まったのが俺の基礎学力の向上だ

 

小学生レベルから勉強を始めた時は、流石にバカにし過ぎだと思ったが

出来ることと理解していることは違うとのことだ

 

テストで点をとるための知識ではなく、日常的に利用できる知恵となって

初めて理解したと言えるものらしい

 

そうして講義を進めていけば、もう赤面ものの事態が何度も出てくる訳で…

 

勉強ができる者とそうでない者、頭の良い者とそうでない者の差が

骨身に染みて理解出来る時間が過ぎていった

 

だが、老人に貰った《神速のインパルス》のおかげか、一度教えて貰った事は

忘れることがなかった…もっとも、理解出来るとは限らなかったが…

 

そんな感じで博士の講義を受けて1年程が経った頃、高等学校レベルの学力は

ようやく博士から合格のお達しを頂くことができた

 

「先ずは一区切りと言ったところでしょうか。ですが、ここからが本番ですよ我が半身…

 知識だけでなく、思考力も鍛えて差し上げましょう」

 

泣き言など許されないスパルタ講義を頭に叩き込んでいく中で

レイ養祖父さんと同じようにチェスをして思考力も鍛えていく

 

だが、レイ養祖父さんは手加減していてくれたんだなとわかるほどに

チェスでフルボッコにされていく…

 

心が折れそうだ…

 

大学レベルの講義も進んでいくがその内容は科学だけではない

 

数学、英語やドイツ語等の語学を始めとして、医学や物理学等も学んでいく

 

それらは必要なのかと思うが、博士は

 

『我が半身ならばこの程度修めてみせなさい』

 

との言葉を残し、一切容赦をしてくれない…

 

俺は魂の状態なので食事をする必要はないのだが、代わりに気分転換と

なるものが博士とのチェスぐらいしかないのが玉に瑕だ

 

まぁチェスは毎度フルボッコにされるので気分転換どころではないのだが

博士に一泡吹かせてやろうとチェスの内容を検討していくのはとても楽しい

 

そして、大学レベルの講義が始まり2年、博士にレポートで及第点を

貰うことが出来るようになった

 

素直に嬉しい

 

チェスに関しては漸く敗着の原因となった一手がわかるようになり

成長を実感していると、博士に暖かい目で見られた

 

…絶対に一泡吹かせてやる!

 

それからは大学院レベルの講義となり内容も一層難しくなっていった

 

大学レベルまで3年でいけたことからどこか軽く考えていたが

博士の講義のおかげなのだと改めて思い知ることが出来た

 

そして、博士から及第点が貰えるまで2年かかり、いよいよ重力に関して

講義をして貰えることになった

 

だが、驚いたことに重力以外に博士の世界の魔術や

人型機動兵器についても教えて貰えたのだ

 

ゲシュペンストに始まり、果てには博士の愛機であるグランゾンまで…

 

何故教えて貰えるのか聞いたのだが、知識に無駄なものはなく、それだけで武器になる

そして、武器ならば使えない事と、使わない事には大きな違いがあると…

 

故に使わない事、もしくは使えないふりを選択出来るようになりなさいと

これまでに無い優しい表情で言われた

 

博士には感謝してもしたりないな…

 

重力や魔術、グランゾン等の事を学び始めて2年、この場所で7年程経った頃

 

俺は博士による全ての講義で合格を貰う事が出来た

 

そして、俺は博士との最後のチェスの勝負を始めた

 

 

 

 

「…ステールメイトですね」

「ククク、お見事ですよ我が半身」

 

博士はお見事と言ってくれたが、私は全力で挑んだのに対して

博士は余裕を持ってこの結果なのだ…

 

「今日までの数多の勝負で、貴方は全て敗北していました…ですが、今日貴方は

 私から初めて引き分けを得る事が出来たのです…自身の成長を誇りなさい、我が半身」

 

博士にそう言われて気持ちが晴れてきた…我ながら現金だと思う

 

「貴方は私の予想を超えて、7年で学び終えることが出来ました

 もっと自信を持っても良いのですよ?」

 

私は凡人だ…この結果は博士のおかげなのだから…

 

「やれやれ、謙虚なのは美徳ですが、卑屈なのはいただけませんね…」

 

…私自身成長の自覚はあるが、心にしこりのようなものが残っている

 

「どうやら貴方が自信を得るには、貴方自身の手で成し遂げなければ

 ならない事があるようですね」

 

…アーロン!

 

私の脳裏に色褪せることのないあの日の光景が甦る

 

「我が半身、私から1つ、最後に教えて差し上げましょう」

 

私は博士の言葉の続きを待つ

 

「貴方が生きている世界に近くて遠い世界で起きた事象なのですが

 10年後にアーロンと呼ばれている魚人が何者かに倒されます」

 

10年後…

 

「ですので、貴方が自身の手で報復を成し遂げ、自由を取り戻すつもりならば

 その事を覚えておきなさい」

「…教えていただき、ありがとうございます」

 

私は最大限の感謝を込めて博士に頭を下げる

 

「では、行きなさい我が半身。貴方の生き様を見守らせていただきますよ」

「はい!本当にお世話になりました!」

 

私はもう一度頭を下げる

 

この場所での7年が頭を過り涙が出てくる

 

「さぁ、目を閉じなさい。次に目覚めた時には、貴方の世界に戻っていますよ」

 

博士の言葉に応じて目を閉じる

 

目を閉じる前に見えた博士の表情は、とても暖かいものだった




これで本日の投稿は終わりになります

今回の話でシュウは博士と同等の知識を得ることができました

これは博士の教育力と因子、特典のおかげですね

ですが、己に自信がなく、知識を活用した経験もないため
知識以外では博士には遠く及ばない未熟者です

それと、戦闘に関することは博士に教えてもらっていません

理由としては、覇気や六式といったものが博士の知る戦闘と異なるので
博士の戦闘の教えが戦いの常識となっていたら、主人公の成長の妨げとなることを
博士が考慮したからです

駆け足で博士の知識を得る過程を書かせていただきましたが
少しでも楽しんでいただけたのならば幸いです

また来週お会いしましょう^^

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