ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第38話

目を覚ました俺は、レイ養祖父さんが作ってくれていた食事を食べ

その後、覇気の資質を調べた

 

レイ養祖父さん曰く、武装色を得意系統として3種類の覇気の資質を有しているらしい

 

この結果にはレイ養祖父さんが驚いていた

 

覇王色の覇気の資質は非常に珍しく、有している者は少ないのだが

それを有する者は覇王色を得意な系統とするのが通常らしい

 

らしいというのは、そもそも覇王色の資質を持つものが少ないので

所謂、サンプルとなる情報がほとんど無いからのようだ

 

だが、アカリママも見聞色を得意な系統としながらも覇王色の資質があったので

おそらくは遺伝なのではとレイ養祖父さんは言っている

 

そんな感じで覇気の資質を知った俺は、レイ養祖父さんの指導で

覇気の扱い方を学びながらも身体を鍛えている

 

他にも航海術やグランドラインの知識を学び、思考力を鍛える為に

チェスをしたりしながら日々を過ごしている

 

この世界にもボードゲームがあることに驚いたが、レイ養祖父さんによると

カードやルーレットなどの賭博も有るらしい

 

俺と会う前はコーティングという仕事で得たお金で、チェスを含めた賭け事をして

何日も家に帰らないといった生活をしていたみたいだ

 

一緒に暮らしているシャッキーさんの事も考えてあげて欲しいものだ

 

気になったのでシャッキーさんとの関係をレイ養祖父さんに聞いてみたのだが

恋人や夫婦と言ったものではないようだ

 

海賊を現役でやっていた時の古い知り合いとのこと

 

…古い知り合いって、シャッキーさんの年齢はいくつなんだ?

 

まぁ、女性の年齢に関することはいつの世も禁則事項なものだ

 

この話題は止めておこう

 

そして、この無人島に来て1ヶ月近く経った頃、俺はいつものように

砂浜を走り足腰を鍛えていたのだが、波打ち際に見慣れぬ物を発見したのだ

 

 

 

 

「あれは、宝箱でしょうか?」

 

この島には危険な野生動物がいないので1人で砂浜を走っていたのだが

その時に、波打ち際に宝箱らしき物が打ち上げられているのを発見した

 

俺は少し速度をあげ宝箱に近付く

 

周りを見渡すが船や人は見当たらない

 

「心踊るものがありますが…取りあえずはレイ養祖父さんのところに

 持っていくことにしましょうか」

 

俺はバスケットボール程の大きさの宝箱を抱えて、拠点に向かい走り出した

 

 

 

 

「おや、面白そうな物を持って帰ってきたね、シュウ」

「ただいま、レイ養祖父さん」

 

レイ養祖父さんが興味深そうに宝箱を見ている

 

「ふむ、どうやら鍵がかかっているようだね。シュウ、教えた通りにやってみなさい」

「勝手に開けてよろしいのですか?」

「誰の物か証明できないのだから、それは拾ったシュウの物だよ」

 

なんとも元海賊らしい言い分である

 

レイ養祖父さんは腕に時計のようにつけている《箱貝(ボックスダイヤル)》から

針金を取りだし俺に渡してきた

 

《箱貝》とは、この世界特有の不思議な貝で、その貝殻の内にその大きさ以上の

物を収納できる物凄く便利な貝(死んだ貝の殻)である

 

前世の薄れた記憶から表現するのなら《魔法の道具袋》に似た貝である

 

レイ養祖父さんは世界一周の旅の時にこの貝を見つけたと言っていた

 

とても希少な貝だが、電伝虫なども含めてこの世界はなんとも

ファンタジーな生物(なまもの)が溢れる世界だと思う

 

さて、それじゃ宝箱を開けるか

 

レイ養祖父さん曰く、解錠技術は海に生きる男のたしなみらしいので

箱貝に入れていた空の宝箱で解錠の練習をさせられたのだ

 

「それでは開けますね」

 

針金を使いカチャカチャと弄っていく

 

この時間が楽しく感じるのはレイ養祖父さんに毒されたのかもしれない

 

カチッ!

 

どうやら鍵が開いたようだ

 

宝箱を開けると中にはパイナップルのような形をした物が入っていた

 

だが、その色は青と黒で彩られており禍々しさすら感じさせる

 

俺は、この宝箱に入っていた物に運命的な何かを感じた

 

これは…俺が望んだ物だ

 

「おそらくは悪魔の実だろうね…さて、どうするのかな、シュウ?」

 

レイ養祖父さんが俺に問いかけてくる

 

「悪魔の実を食べれば常人には無い異質な力を手にすることができる…

 だが、その代償として海に嫌われ泳ぐことができなくなる」

 

泳げない…海で生きるには致命的な事だ

 

だが…

 

「食べます」

「ほう…だが、どのような力を手にするかはわからないよ?」

「焦っているつもりはありませんが、これには何か運命のようなものを感じています」

 

レイ養祖父さんが興味深そうに俺を見てくる

 

「悪魔の実はその力を宿すものを己で選ぶ…という話をどこかで聞いたことがあるが

 もしかしたら、この悪魔の実はシュウを選んだのかもしれないね」

 

レイ養祖父さんの言葉を受け、悪魔の実を手に取る

 

そして、俺は悪魔の実に思いきり齧りついた

 

 

 

 

シュウがいなくなってから1ヶ月以上経った

 

あれからナミはずっと部屋で塞ぎこんでいる

 

私とノジコも立ち直ったというわけではないけど、ナミに比べればマシね

 

ナミはあの時、自分の恋心に気づいたのにシュウと離れることになってしまったのだから…

 

「おはよう、ベルメールさん」

「おはよう、ノジコ…ナミの様子は?」

 

私の言葉にノジコは首を横に振る

 

…まだダメみたいね

 

私達もあの時の事は今でも鮮明に思い出せてしまう

 

シュウがアーロンに海に投げられた時の事が頭に浮かぶ

 

『…いってきます!』

 

腹を撃たれていたのに笑顔でそう言いきった

 

…シュウが、あの状況で?

 

この1ヶ月で多少は心を整理出来たからなのか、そう思い立つ

 

シュウなら…

 

これまでシュウと暮らしてきた記憶が甦る

 

生後6ヶ月で立ち上がったこと

わずか2歳で大人顔負けの知識を披露したこと

5歳で一介の海の男と変わらない泳ぎを見せて素潜り漁をしたこと

10歳でアーロン相手に堂々と交渉して見せたこと

 

どれもシュウがやった常識はずれな出来事だ

 

他にも、あの土壇場で見せた運の良さ

赤ん坊のころから無意識に纏うほどの武装色の覇気の才能

 

そして…かつて私の傷を癒したアカリが残してくれた能力…

 

希望的観測かもしれない…でも、私は確信に近い思いを抱いた

 

ガチャ!

 

私がそう思い至った時、ナミが部屋から出てきた

 

「…おはよう、ベルメールさん、ノジコ」

 

目の周りが赤い…また、泣いていたみたいね

 

「おはよう、ナミ。顔を洗ってきなさい、可愛い顔が台無しよ」

「…別にいいわ」

 

私は先程、思い至ったことをナミに話すことにした

 

「そんな顔じゃシュウが心配するわよ」

「でも…シュウは…!」

 

シュウの名前が出たことで、ナミがまた泣きそうになっている

 

「あの時、シュウは最後になんて言っていたかしら?」

「え?」

 

私の言葉にナミだけでなく、ノジコまで私を見てくる

 

「ノジコはわかるかしら?」

「え…と?」

「シュウは『…いってきます!』って言ったわ」

 

私は2人に目線を合わせる為に屈んで話を続ける

 

「あのシュウが、自分に出来ないことを言うかしら?」

「でも…!」

「いってきますって言ったのだから、帰ってくるでしょ?」

 

ナミとノジコは困惑したように、でも少し表情が明るくなりながらお互いを見ている

 

「どうやって帰ってくるのかまではわからないわ。でも、シュウなら帰ってくる…

 2人もシュウの事を信じられるでしょう?」

「「うん!」」

 

2人に以前までの…いつも通りの笑顔が戻った

 

「よし!それじゃご飯を食べたら畑に行くわよ!私達でシュウの帰ってくる家を

 守らないといけないんだからね!」

「「うん!」」

 

ナミが元気に顔を洗いに行き、ノジコはパンを取りに台所に向かった

 

言葉にしてみて改めて思った…シュウは帰ってくる、シュウを信じようと

 

「頑張りなさいよ、シュウ…私達も、頑張るからね」

 

この日、ようやくわが家に笑顔が戻った

 

私達は信じて待つ…いつの日か、また家族全員が揃うことを…




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