ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日7話目の投稿です


第34話

「ご馳走さまでした。おかげで一心地つきました」

 

不覚にも涙を流した食事も終わり、食後のお茶をしながら話の続きをすることになった

 

そういえば、この世界にも緑茶ってあるんだな…

 

出されているお茶で喉を潤しながら、ふと、そう思う

 

確か、紅茶とは発酵させるかどうかの違いだけだったかな?

 

珈琲もあるのかなど、そんなことを思いながら話の続きは始まった

 

「まずは、シュウが寝ていた間にココヤシ村がどうなったか知っておいたほうが

 いいだろう…ガープ、それは報告書だろう?シュウに教えてあげてくれ」

「そう急かすなレイリー、まずココヤシ村はまだ支配されたままじゃ…」

 

レイリーさんが促し、ガープさんが教えてくれるのだが…いいのか?

 

「報告書と言われましたが、軍事機密にあたると思うのですが…宜しいのですか?」

「シュウは当事者じゃからな、構わんじゃろう。それに、なにかあったら

 儂が責任をとるから気にせんでいいわい」

 

なんとも男前な物言いだ

 

上司に持つのならこういった人物がいいと思う

 

「続きを話すぞ?アーロンはココヤシ村の近隣の村も支配下にしたようじゃ

 東の海の海軍支部が軍を派遣したものの、船を沈められて返り討ちあっとる

 じゃが、人的損失はないようじゃな」

 

船を沈められて人的損失がない?

 

「アーロンは相当に本部を警戒しているようだな、ガープ」

「そうじゃのう…支部が泣きついてくれば儂等も動けるんじゃが…

 支部の連中の顔を潰してヘソを曲げられると面倒じゃからのぅ」

 

なんとも世知辛い大人の世界の会話だな

 

「そう言うわけでの、ココヤシ村の解放に本部は動けんのじゃ、すまんのう」

「いえ、お気になさらずに…」

 

ナミ、ベルメールさん、ノジコ、ゲンさんやココヤシ村のみんなが無事ならそれでいい

 

「それで、海軍支部はこの後、どのような方針で動くのですか?」

「…これ以上支配領域を拡げられないように交渉するようじゃのう」

「交渉…ですか?」

 

正義を標榜している海軍が海賊相手に交渉?

 

「人的損失は無いとはいえ、多くの軍船を失っとるからのぅ…

 戦力の回復等の長期戦を見据えての準備といったところだのう」

「ココヤシ村を始めとした人々は必要な犠牲か?海軍は相変わらずだな、ガープ」

「…返す言葉もないわい」

 

ガープさんが大きなため息を吐いている

 

「納得いかんじゃろうが…理解してほしい、すまんな、シュウ」

「いえ、ある意味で好都合だと思っていますので大丈夫ですよ」

「どういうことかな?シュウ」

 

俺の言葉にレイリーさんが問い質してくる

 

「アーロン達には、私自身の手で報復したいと思っています」

 

ガープさんがまた、ため息を吐く

 

「海兵としての立場上、止めるべきなんじゃろうがな…」

「自身の手でケジメをつけるか…流石だね、シュウ」

 

レイリーさんが微笑ましそうに俺を見てくる

 

「それで、シュウはこの後、どうしたいのかな?」

「どうしたい…ですか?」

 

俺は顎に手をあて、少し考える

 

「強くなりたいです」

「そうか、ならば私から提案するのは2つだ」

 

レイリーさんが指折りながら言葉を続けていく

 

「1つ目は、ガープの世話になることだね。ただし、これは海軍に入ることと同じで

 君の目的を果たすには少し面倒なことになるだろう」

 

《英雄》ガープの指導か…自由は失うが、魅力的な提案と言えるだろう

 

「2つ目は、私と共に来ることだ。メリットは、私は既に隠居した身の上だからね

 ガープ以上に指導の時間を作ることができる。デメリットとしては、海軍と違い

 安定した収入を得ることができない…といったところだろうね」

 

強くなれるのならば収入は大きな問題じゃない

 

後は…

 

「少し、考えさせていただけますか?」

「あぁ、ゆっくり考えなさい」

 

レイリーさんの言葉を受け、俺は思考に没頭した

 

 

 

 

賢い

 

シュウと会い、感じた印象だ

 

アカリも年齢以上に聡明なところがあったが、シュウはそれ以上だろう

 

アカリがシュウを産んでから亡くなるまで2年程…

どんな教育をすればこうなるのか、興味深いものだ

 

私の提案に対する手応えは悪くなかった

 

だが、アーロンの一件で海賊に悪感情を持っていても不思議では無い

 

願わくば、私と共に来てもらいたいものだ

 

ロジャー海賊団が解散し隠居をしてから世界を見守ってきたが

老け込むにはまだ早いだろう…

 

シュウを育てるのは良い刺激になる

 

私は、久方ぶりに昂る己の心に喜びを感じていた

 

 

 

 

「お待たせしました。お答えする前に質問してもよろしいですか?」

「構わんぞ」

「私も、もちろん構わない」

 

俺は考えたことを質問していく

 

「私の2人目の母であるベルメールさんが使っていた技術、《六式》の

 《剃》や《月歩》の指導は出来ますか?」

「出来るぞ」

「私も可能だね」

 

「では、覇気の方は如何でしょうか?」

「儂は武装色と見聞色ならいけるのう」

「私は3種類可能だね」

 

これで腹は決まった

 

「ガープさん、命を助けていただきありがとうございました。この御恩は忘れません

 ですが、私はレイリーさんと一緒に行こうと思います」

「そうか…残念じゃのう」

 

ガープさんが肩を落とした

 

申し訳ないと思うが、ココヤシ村に帰ることが出来ないのなら意味がない

 

「そう言うわけだガープ、シュウは私が引き取らせてもらうぞ」

「仕方ないのう」

 

ガープさんが頭を掻いている。レイリーさんはどこか嬉しそうだ

 

「シュウ、まずは私が身を寄せているシャボンディ諸島に向かおうか

 ガープ、送っていってもらうぞ。私がここにいることを快く思わない輩が

 暴走しないとも限らないからな」

「わかっとるわい」

 

こうして俺は、アカリママが養父と呼んだレイリーさんの世話になることになった

 

ココヤシ村を、家族を救う為に、そしてアーロンに報復する為に

必ず強くなることを決意した




これで本日の投稿は終わりになります

また来週お会いしましょう^^

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