ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です


第29話

ベルメールさんとアーロンという名の海賊が戦っている

 

俺は戦いは素人なので詳しくはわからないが、一見したところ

速さのベルメールさんに、力のアーロンの勝負といったところだ

 

ベルメールさんはライフルの銃身を握り、打撃武器として使ってアーロンと戦っている

 

ライフルを見たところ、マガジン…だったかな?弾を集めておく部分が見当たらないので

火縄銃のように単発式の銃なのかもしれない

 

前世でミリタリー系の知識も勉強しておけばよかったと思うが後の祭りだ

 

対してアーロンは、素手で戦っている

 

戦闘スタイル…とでも言えばいいのだろうか?アーロンの戦い方は喧嘩のように見える

 

一撃が豪快なのだ

 

その一撃を振るうごとに、畑に隠れている俺達のところまで風の音が聞こえるのだから

アーロンの拳の威力はどれほどなのか恐ろしいものがある

 

現状を見る限り、ベルメールさんが優勢に見えるが決定打に欠ける

 

最初の押し倒した時に引き金を引いていればと思うが…

 

…もしかして、俺達がいるからか?血を見せたくなかった?

 

ベルメールさんを見る…少しずつだが動きが鈍ってきている気がする

 

当たり前だ、8年もブランクがあるんだ

 

持久力なんかが落ちていても不思議じゃない

 

「頑張れ、ベルメールさん!」

 

隠れているのでばれないように小声で応援しているナミを見る

 

思考を巡らせる

 

税はいくらと言っていた?ベルメールさんを助けるには?

これからのナミ、ノジコに必要なのは?

 

俺の中で1つの結論が出た…だが、決断ができない

 

ドガッ!

 

大きな音に顔を上げる

 

ベルメールさんが吹き飛ばされている光景が目に入った

 

ナミとノジコは悲鳴をあげないように両手で口を抑えている

 

俺は深呼吸を1つ入れて小声で2人に告げた

 

「2人共、このまま隠れていてください。私は少し席をはずします」

「シュウ、どこに行くの?」

 

先程の光景に涙目となっている2人に優しく言葉を返す

 

「ベルメールさんを助けます。だから、安心してください」

 

2人の頭を軽く撫で、俺は畑の奥に向かった

 

 

 

 

「ぐっ!」

 

アーロンの一撃をなんとかライフルで受けたのだけど、吹き飛ばされてしまった

 

空中で体勢を立て直し、しっかりと着地するがアーロンは抜け目なく距離を詰めてきている

 

アーロンは確かに強いけど、それ以上に戦い慣れている

 

そして、想像以上に私の体力が衰えているのが厳しい

 

アーロンがまた、その剛腕を振ってくる

 

私は《剃》を使って距離をとった

 

「その動き、見覚えがあるな。たしか海軍の奴らが使う《六式》だったか?」

「えぇ、そうよ」

「なるほど、女、てめぇは海軍の人間だったか」

「元、だけどね」

 

息を整えるのにアーロンとの会話を続けていく

 

でも、アーロンがそれを知っているってことは…

 

「アーロン、あんた、グランドラインにいたの?」

「先月まではグランドラインにいた現役の海賊だ」

 

…なるほど、通りでキツいわけね

 

「しくじったな、女。俺を押し倒した時に引き金を引いていれば、てめぇの勝ちだった」

 

アーロンは文字通りに私を見下ろして言葉を続ける

 

「ガキが3人いるって言っていたな?血を見せたくなかったのか?…ぬるいな」

 

確かに、昔だったら直ぐに引き金を引いていたわね…

 

でも、後悔はしていない!

 

「確かに、現役のあんたから見たらぬるいでしょうね。でも、勝てばいいでしょう?」

「はっ、下等な人間風情がよく吠える」

 

その言葉を皮切りに、私とアーロンの戦いは再開する

 

少し休めた事と、戦いの勘を取り戻し始めた事で優位に戦いを進めることができた

 

でも、アーロンは非常に頑丈でなかなか勝ちには繋がらない

 

私の武装色の覇気も、昔に比べれば衰えているのも原因でしょうね

 

「ちっ、埒があかねぇな…チュウ!」

 

アーロンの言葉に唇が突き出ている魚人が、手に持っていた酒瓶をアーロンに放った

 

「あら、喉でも乾いたのかしら?」

「…ふんっ!」

 

私の挑発を無視したアーロンは、瓶を握り割った

 

握り割った手を開き、瓶の中にあった液体を手の平に

 

そして、体を捻ったアーロンを目にした私は首筋に寒気を感じ、その場を飛び退いた

 

「…あっ、ぐぅ!」

 

アーロンが手を振るい、飛ばしてきた液体の礫が、まるで散弾のように

私の体を打ちつけた

 

「手の平に一掬いの少量の水、それだけあれば俺達、魚人には武器になる

 下等な人間には真似できないだろうがな。シャハハハハ!」

 

飛び退いた事で直撃は避けられたけど、散弾のように撒かれた液体に数発当たってしまった

 

右の脇腹の痛みに8年前の記憶が甦る

 

ティーチに痛めつけられたあの時の記憶が…

 

「シャハハハハ!」

 

歯を食い縛り立ち上がる

 

それを見たアーロンがこちらに走って向かってくる

 

「シャーク・on・ダーツ!」

 

体を真っ直ぐに伸ばし、ギザギザの鼻を突き立てるように飛び込んできた

 

「くっ!」

 

私は鼻を避けるが、飛び込んできたアーロンの肩に当たり吹き飛ばされる

 

痛い

 

体の痛みに動きが止まり、吹き飛ばされたままにうつ伏せに倒れてしまう

 

そして、ライフルを握っていた手を踏みつけられた

 

「女、勝負あったな」

 

アーロンが踏みつけていた足に力を込められ、ライフルを手放してしまう

 

「せめてもの情けだ、てめぇの武器で殺してやる。シャハハハハ!」

 

アーロンは拾い上げたライフルを私に向ける

 

ノジコ、ナミ、シュウ…ごめんね

 

「待って下さい!」

 

私が諦めたその時、シュウが袋を持ってこの場に出てきた




次は12:00に投稿予定です

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