ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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やっとプロローグが終わりました…


プロローグ3

「さて、それでは受けると答えを得たので試しの話をしようかの」

 

老人が髭を撫でながら話し出す

 

「試しの内容は、儂達の加護…他の試しを受ける者達が言っていた言葉で言うならば

 転生特典を異なる世界の規則に合わせた形で与えて、

 お主達に異なる世界に転生してもらうだの」

 

俺のオタク趣味の一つである二次創作小説でよくある神様転生に思えるのだが…

何でこれが試しになるんだ?

 

「加護をいただけるのは嬉しいのですが、なぜそれが試しになるのですか?」

「お主達よりも前に加護を与えて異なる世界の一つに転生させた者達がいるのだが、

 その時はその者達が望むままの加護を与えて転生させていたのだ」

「そして、その世界の規則に合わぬ力を用いた結果、

 異なる世界の内に在る並行世界のいくつかが滅びてしまったのだ」

 

…滅びた?本当に?

 

「どういった力を使って滅びたのでしょうか?」

「たしか《王の財宝》とかいうものにある宝具の一つを用いて神話を再現した結果、

 世界が耐えきれずに滅びたはずだの」

 

…どうやら冬木市の耐久力は異常だったようだ。

あれ?召喚でクラスの枠に当て嵌められてるから本来の力を発揮できないとかだったっけ?

 

「他にも滅びた理由はあるのだが、そういうことが幾度も起きた結果、いくつかの世界で

 異なる世界からの魂の受け入れが拒絶されるようになってしまったのだ」

「そうなると世界から切り離された魂の受け入れ先が減ってしまっての…

 その結果、世界の魂の数に偏りができ、今回の試しを受ける者達のように自浄作用により

 天命を全うできぬものが増えてきてしまったのだ」

 

「加護を与えずに異なる世界に転生させることはできないのでしょうか?」

「できぬことはない。だが、そうだのう…問い返す形になるが、お主が冒険の旅に

 出ることになった際に優秀な者と、そうでない者、どちらを仲間にするかの?」

 

ゲームでなら所謂、縛りプレイをやったりしたけど…

 

「そうですね…命懸けになるのならば間違いなく優秀な者でしょうね」

「うむ、ではそうでない者を選ぶならば、見知った者と見知らぬ者、どちらを選ぶ?」

「あまりにも性格が合わない等の理由が無いのならば見知った者を選びますね」

「うむ、世界が魂を受け入れる時も同様での。異なる世界からの魂は特に理由がないならば

 転生は後回しにされてしまうのだ」

 

「儂達や世界にとっては一時の後回しの時間でもお主達にとっては長い時間となることもある」

「そうなるとその魂が転生した際に、そのことが無意識下に残ってしまったりしての…

 性格が捻くれてしまったりと少し問題が起きやすくなってしまうのだ」

「だからこそ異なる世界からの魂を優先して転生させるために加護を与えざるを得ぬのだ」

 

なんというか、世知辛いなぁ…

 

「納得しました。ですが、今回の試しは私達転生者のものというよりは神様達のものと

 思うのですが、いかがでしょうか?」

「うむ、故に儂の試しを受けてと言うたのだ」

 

正直なところ試しと言われて、世界を救ったりするのかと思ったりしたのだが…

 

「世界を救ったりとかの壮大なものではないのですね」

「お主も中々に想像力が豊かだの。此度の試しは輪廻から外れた魂を転生させるという

 儂等の役割を円滑に進めるためのものだの。

 役割に慣れておらぬ若い者達から嘆きの声が上がってきておるからの」

「順番待ちの魂からクレームがきたりとか、休みが欲しいとかですか?」

「うむ、ようわかったの」

 

どこでも似たようなことはあるものなんだな…

 

「どこでも似たようなことはあるものですね。では、話しの続きをお願いします」

「うむ、それでは転生することになる異なる世界について話そう。

 転生先はお主の世界に存在する《ONE PIECE》が元になった世界だの。

 そして、加護はその世界の規則に合わせた形で与えて転生してもらうこととなる」

 

《ONE PIECE》!!好きな漫画の一つだ!でも…

 

「元になった世界…ですか?」

「うむ、創造者が産み出したものではなく、それを認識した人々の思いが

 昇華し生まれた世界だの」

「違いは何でしょうか?」

「一言で言うなれば、《もしも》が認められる世界かどうかだの。

 前の世界では認められず、後の世界では認められる世界だの。

 故にお主達が転生することができる」

 

《もしも》が認められる世界…何度も思い描いた妄想、もとい想像が認められる世界…

 

「続きを話してもよいかの?」

「あ、はい、お願いします」

 

「加護を与えるのだが、神秘…特異な力は《悪魔の実》の形をとり与えることとなる

 その他に試しを受ける報酬として才能や資質をお主が3つ選び、それを与えることとする」

「才能や資質ですか?」

「うむ、身体能力等の才能、覇気の資質といったところかの」

 

…覇気?

 

「覇気とは何でしょうか?」

 

そう聞いた俺に老人が首を捻りながら問い返す

 

「む?知らぬのか?」

「《ONE PIECE》はある程度知っているのですが…その、私は漫画に関しては

 原作が完結してから単行本を大人買いして一気に読むのが好きでして、あまり詳しくは…」

「ふむ、何処までなら見知っておるかの?」

 

何処までか…随分前に週刊誌で見て大人買いリストにチェックしただけだからな…

正直なところ、ほとんど覚えていないな…

 

「私が見たのは確か…砂漠の王国の…アラハバキ?でしたか?」

「アラバスタだの」

「それです。私が見たのはそこまでですね」

 

「ならば、自然系(ロギア系)能力を覚えておるかの?」

「ええと…確か、砂とかでしたか?」

「うむ、自然系能力者には弱点をつかなければ攻撃を当てることができぬのは知っておるか?」

 

確か主人公のルフィが水で手を濡らして攻撃していたはずだ

そして、自分の血で手を濡らして攻撃した場面では痺れた記憶がある

 

「砂を固めるのに水や血を使ってましたね」

「うむ、本来ならば弱点をつく必要があるのだが、3つある覇気の内の1つを使えば

 弱点をつかずとも自然系能力者に攻撃を当てることができるようになるのだ」

 

そんな便利なものが特異な能力ではなく資質としてあるのか…

 

「凄い有用な資質ですね」

「うむ、その覇気は《武装色の覇気》と呼ばれておる。他には《見聞色の覇気》と

 《覇王色の覇気》と呼ばれるものがあっての…」

 

老人が説明するのを自分なりに要約するとこうなる

 

《武装色の覇気》

・体の一部等をこれで覆うことでその部位を強化することができる

・体だけでなく手にした武器等も同様に強化できる

・《武装色の覇気》で強化することで自然系能力者に攻撃を当てられるようになる

 

《見聞色の覇気》

・覇気の範囲内の者の敵意等を感知できる

・《見聞色の覇気》に優れた者ならば範囲内の相手の行動や心の声も感知できる

 

《覇王色の覇気》

・特に稀な資質で持つ者は非常に少ない

・範囲内の相手を威圧し気絶させることができる

・強者は威圧に耐えて気絶しないこともある

・資質を持つがその資質が低い、まだ力が弱い等の時には威圧ではなくカリスマ等の

 他者を惹き付ける魅力として発現することがある

 

これから転生する先では覇気はこういった感じだそうだ

このことを聞いて思ったのは、武装色は必須で残りはあれば便利といったところかな

 

武装色は自然系能力者に対する要となり、更に自身を強化することにも繋がる

 

見聞色は喧嘩1つまともにしたことない俺が実戦でそんなに情報が増えて

対処できるのかが問題で、他の願いで確実なリターンを得たほうがいいと感じている

 

覇王色は…これ、その時代の英雄なんかが持っている類いのものじゃないか?

そう考えると所謂、格下相手を無力化できるメリットはあるものの、その希少な資質故に

至極、厄介事を招く種になるんじゃないかと思うのだ…そう考えると資質があっても

扱いに困るというか…正直なところいらないなと感じている

 

「さて、覇気については理解できたかの?」

「ええ、ありがとうございます」

「うむ、ならば悪魔の実を選ぶ際の規則について話そうかの」

「その前に、一服させていただいてもよろしいでしょうか?」

「ほっほっほ!中々に厚かましいの。他の者を待たせているが今更だしの。

 ゆるりとしようかの」

 

他の者がなぜ待つ必要があるのかと思うが本当に今更なので気にしないことにする

協調性なんて抑制と共にどこかにいってしまったのだろう。

自分の意思で自由に決めていこう…誰にも縛られずに自由に…

 

 

 

 

「さて、悪魔の実の規則は理解したかの?」

 

一服を終えた俺は老人から悪魔の実を選ぶ際の規則を聞いていた。

そして、選ぶ際の規則はこういったものだった

 

・いかなる能力者でも海、海楼石に触れたならば身体の力は抜けてしまう

・同一の実は存在できない

・一部例外を除いて2つの能力を有することはできない

・既に強い因果が生まれている実(原作に登場した実)は選ぶことができない場合がある

・自然、動物系の能力は海、海楼石に触れたら能力を封じられる

・超人系の一部(体質そのものが変化する等)は例外的に能力を使用できる

・転生先に無いモノ(物質、現象、神秘、幻想等)を能力に選ぶことはできない

 

この説明の内の同一の実は存在できないというのが他の者達を待たせた理由になるらしい

要するに後から選ぶことになった者は不利になるのでということだ

 

他にも、同時期に世界に魂を送った際に与えた加護の違いが転生する時代や場所に

どういった影響を与えるのかを観測したりする必要があるらしい

 

しかし、老人が言うにはこれらの理由はある意味で建前で本当のところは違うようだ

 

現在、輪廻から外れて転生を待っている魂は大渋滞を起こしているらしい…

そして、人間の時間に換算すると向こう百年は休みなく役割に奔走しなけらばならないようだ。

だが、今回の試しで担当した者を観測している間は役割を免除されて休むことができるとのこと。

なので、今回の試しの担当者達にとっては待たせされている者達の文句、暴言、愚痴等は

可愛いもので、むしろ時間をかけるのは大歓迎のようだ。

 

「欲する加護の系統、能力等をお主に決めてもらうのだが、考えは纏まったかの?」

「すいません、同一の実は存在できないとのことですが、

 他の転生者の方と被った場合はどうなるのでしょうか?」

「欲する加護を答えるのは同時にしてもらうが、被った場合は儂等、

 神々の話し合いで決めさせてもらう。二度目以降の欲する加護の答えにて

 先に答えた加護に被った場合は既に決まっていることを伝え、

 違う加護を選んでもらうことになる」

 

そうなると、第2候補とかも考えておいたほうがいいか…

でも、待てよ?

 

「あの、被って選べなかった場合、少なくとも誰かがその能力を選んだことを知ることに

 なるのですが…そうなると先に決まった者は転生した後に対策を練られたりする

 可能性があるので不利になりませんか?」

「ふむ、確かにその懸念はあるの…ちと相談してみるかの。

 お主は一服しながら選ぶ加護のことでも考えてゆるりとしていてくれ」

 

そういった老人は俺に煙草を銜えさせて火をつけると何処かに消えてしまった。

いきなり消えたことに驚いたが老人が言ったように加護のことを考えることにする

 

さて、どんな能力がいいかな?系統は?こういうことを考えるのは本当に楽しい

 

煙を吐き出し、紫煙の行き先を目で追いつつ思いついたのは、

この場所に来る前にやっていたゲームのことだ

 

いけるか?どういうことができる?戦闘以外の汎用性は?

 

欲しい能力に思い至った俺は更に考えを進めていく

 

これはできるか?能力以外で合わせるべき才能や資質は?これは貰えるのか?

 

考え、悩み、また考える。時間を忘れて没頭した楽しい時間はあっという間に過ぎていった

 

 

 

 

「待たせたの」

「いえ、それほど待っていませんよ」

 

こういった会話は可愛い女の子とだったらよかったのになと思いつつ老人の言葉を待つ

…次世では必ず彼女を作ってやる!

 

「お主の懸念は同じ時代に生まれるとは限らぬので不利とは認めぬと結論がでた」

「確かにその通りですね」

「だがの、そうなった者には担当者個人の裁量で3つの願いを1つ増やすことで合意した」

 

ん?どういう事だ?

 

「担当者個人の裁量ですか?」

「うむ、此度の話し合いの内容は他の転生者達は知らぬ」

「転生者はお主を含めて7人いるのだが、他の転生者の中には担当者に対して

 罵倒、暴言を吐いたりした者がおるのだ」

「如何に役割をサボ…休むためとはいえ気持ちのいいことではないのでな、

 優遇するかは個人の裁量でということになったのだ」

 

なんというか…礼節って大事だよね

 

「お主は話し合いの内容を知っているでの、もし誰かがお主の選んだ加護があると

 知ったならば願いを1つ増やすことにしようかの」

「ありがとうございます」

「なに、誰かが知ったならばのこと。まだ礼はいらぬよ」

 

それでもこの確約のアドバンテージはでかいと思う。俺の願う加護が決まったとは限らないが…

 

「あぁ、それとお主の加護の願いを他の転生者達よりも優先すると決めてきたからの。

 安心して加護を選ぶがよい」

 

…えっ?

 

「あ~、いや、その、ありがとうございます」

「ほっほっほ!よいよい。実はの、お主は夜更かしをしておったせいか目覚めるのが

 1番遅くての、 お主が目覚めた時には他の者は皆、試しを受けると決めておったのだ」

「暇ができた他の担当者達は、担当の転生者の相手をしつつも

 儂とお主の話し合いを覗いておったのだ。そして、存外にもお主のことを気にいったらしいの」

 

…覗いてた?もしかして、あの大泣きもこの老人以外に一部始終見られていた?

顔を赤くして俯き、片手で顔を覆う俺を見て老人が楽しそうに笑う

 

「ほっほっほ!照れるでない!お主が在るがままに在ったおかげで、お主を優遇することが

 できたのだからの…ほーーーっほっほっほ!」

 

老人が楽しそうに笑う。優遇してもらえるのは凄くありがたいのだが、

代わりに他の神々にも醜態を晒してしまいもの凄く恥ずかしい思いをする羽目になったのだった

 

 

 

 

「それでは、どのような加護を…悪魔の実を望むかの?」

 

笑いが治まった老人が改めて問いかけてくる。俺は考えていた系統、能力を老人に伝えた

 

「超人系(パラミシア系)で重力を操作する能力が欲しいですね」

「ふむ…その能力は既に存在しておるの…」

 

うえ…そうなると選ぶことができないのか…これは本気で残念だな

 

「だが、上位種、又は下位種としてならば求めることができるの」

「本当ですか!!」

「うむ、同一は存在できぬがの。それで上位、下位を定めるのにお主がその実で成せると

 考えていることを教えてもらう必要があるの」

 

その実で成せることか…どこまでならできるのか疑問もあるがとりあえず老人に答えるか

 

「そうですね…私が考える重力操作能力で出来ることはこんな感じですね」

 

老人に伝えた内容を要約するとこうなる

 

・ワームホールを開き転移することができる

・ワームホールを倉庫として利用できる

・重力を操作し、空を飛ぶことができる

・重力を操作し、空間を湾曲させてバリアを張ることができる

・重力操作能力を球状にして相手にぶつけることで対象に掛かる重力を増減することができる

・自身に掛かる重力を増減することができる

・バリアを応用することで範囲内の空気を濃くし休息時の回復力を高めることができる

 

こういった内容を老人に伝えた

 

「う~む…これは上位種となるかの?同一の存在とはならぬので創造することはできるがの…」

 

老人が髭を撫でながら首を捻り考え始める。だが、望んだ能力を手に入れられそうで一安心だ

 

「すまぬがこの実を創造する際に、お主が想定したものと多少差異が生じるかもしれぬ

 そのことを頭に入れておいて欲しい」

 

なんですと?

 

「差異ですか?」

「うむ、重力操作能力そのものは与えることができるが、あくまでもその世界が許容できる範囲で

 となるのでな。もしかしたら想定よりもできることが減ることになるかもの」

「そうですか…仕方ないでしょうね。また世界が滅んだりしたら試しの意味が無くなりますから」

「うむ、理解してもらえたようで何よりだの」

 

しかし、ワームホールだけはぜひとも欲しいな。海を旅する際に非常に便利だし戦闘でも同様だ。

 

「さて、今度はお主が待つ番じゃの。他の者が能力を決めるまでゆるりとしているが良い」

 

そう言うと老人は煙管から煙を吹かし始めた

 

「なら、もらえる加護が決まったのでそれを前提として3つの願いを考えることにします」

 

老人に続いて俺も煙草を銜える。火をつけてもらった煙草から煙を吸い込み上を見上げる

 

さて、何を願ったらいいかな?と考えながら煙を吐き出す

あれ?戦闘を前提として考えていたけど…と、ふと思ってしまう

海兵、海賊、賞金稼ぎ、商人のどれになってもワームホールが使えるなら便利なんだが…

差異がでるかもしれないと言われたので、それが無いことも想定しておいたほうがいいかな?

 

白い空間に煙が立ち昇っていく。また楽しい時間がきたと感じながら

俺は思考という名の妄想に没頭していくのだった

 

 

 

 

「待たせたの。ようやく他の者が望む加護が決まったようでの」

「いえいえ。散々待たせましたからね。私が言うことでは無いかも

 知れないですがお互い様ですよ」

「うむ、では才能や資質で求めるものを3つ選んでもらおうかの。 

 それと、覇気の資質の内1つはその願いと関係なく与えることができるでの」

 

3つか…誰とも加護が被らなかったようだ。残念

だが、覇気の資質を1つもらえるのは凄く助かる

 

「確認なのですが、知識などを望んでも大丈夫でしょうか?」

「転生先の未来、つまり原作知識などは与えることはできぬの。それ以外ならば問題ない」

 

今更ながら随時単行本を買って読んでおけばよかったかなと少し後悔する

 

「わかりました、ありがとうございます。では私が望む願いの1つは

 《神速のインパルス》及びそれを十全に使える健康で丈夫な体ですね」

「ふむ、《神速のインパルス》とな…成程の、人の身で可能な反応速度の極致かの」

「ええ、それと神経は身体だけでなく頭にもありますので必然的に記憶力もよくなるかと」

「確かにの。ふむ、中々良いものを望んだの。して、望んだ理由は何かの?」

「一言で言うならば、天才というやつになってみたかったから…ですかね」

 

前世では赤点ギリギリで高校を卒業した凡人だったからな

勉強も運動も優れているとは言えなかった…

 

学生時代に出来る奴に聞いたことがあるのだが、大体は努力したからだと言われた

 

俺から言わせれば努力が実るだけの才能があるからだと思う

少なくとも前世の俺には出来なかったことだ…まぁ、オタク趣味のゲーム以外に

努力する意欲なんてなかったけど…

 

「まあ、記憶力が良くなってもあくまでも思考するのは私なので

 所謂、頭のいいバカになりかねないのですがね」

「中々に辛辣な言い方をするの」

「無いものねだりをする訳ですからね。扱いきれるとは限りませんから」

 

「ふむ、1つ目の願いは叶えよう。では、2つ目の願いは何かの?」

「そうですね…運を良くしてもらいたいと思っています」

「運とな?」

「はい、私は自浄作用で死にましたが、一体どのくらいの確率で選ばれたのでしょうか?」

 

並行世界がいくつあるのか知らないが、それらの中から無作為で選ばれるのに

少なくとも億を超える確率を引き当ててしまったのだと思う…

どう考えても運が悪すぎるだろう

 

「今回、試しを受けることができるのは運が良かったと思いますが、その前が余りにも

 運が悪かったと思うので…次世では運が良いといいなと」

「成程の、与えることは可能だが…どれほどの運を望む?」

「そうですね…豪運とか天運と呼ばれるぐらいには」

「ふむ、ならば儂の方でその領域に適当に調整するが良いかの?」

「お願いします」

 

「では、3つ目の願いは何かの?」

「知識がもらえるということでしたので《シュウ・シラカワ博士》の重力に対する知識を」

「《シュウ・シラカワ》とな?…しばし、待ってもらうぞ」

 

今まで好々爺とでも呼べる表情をしていた老人が急に真面目な顔になり目を瞑った

…何か問題でもあったのだろうか?あったからあんな顔をしたのだろうが、

一体何が問題だったのだろうか?

 

「待たせたの。お主の3つ目の願い、叶えることはできるが…

 代わりに加護を制限させてもらうことになる」

「制限?なんででしょうか?」

「一言でいうと、その知識を得て重力崩壊などを起こされると世界が滅ぶからだ」

 

あ~…そうだった。ゲームでは何度も当たり前のように使っていたけど

縮退砲とかを使えば普通に星や宇宙が滅びるんだよな

 

「う~ん…どの程度、制限されますか?」

「少なくともブラックホールを作り出すことはできぬようにさせてもらう…

 その代わりといってはなんだが3つの願いを儂にできる範囲で優遇しよう」

「どういった形での優遇になりますか?」

「ほっほっほ!なに、悪いようにはせぬよ。楽しみにして転生するが良い」

 

どう変わるのか判らないと不安なのだが…

 

「う~ん…解りました。では楽しみにさせていただきます」

「うむ、では最後に望む覇気の資質はなにかの?」

「その前に、選ばなかった覇気の資質はどうなりますか?」

「それは運次第かの。お主の両親となる者の才によるところとなる」

 

運か…ならば、確実に欲しいものを選ぶのがいいな

 

「では、《武装色の覇気》の資質をお願いします」

「叶えよう。では同時に転生させる必要があるのでしばし待つがよい」

「あの、両親と言われましたがつまり赤ん坊になるのですよね?」

「うむ、お主の自我は離乳を終えた辺りに目覚めることになるの。

 加護を与えた魂と身体が馴染むのにそのぐらいの時間が必要になるでな。

 乳児の間は微睡みの中で過ごすことになる」

 

「悪魔の実はどのように手に入るのでしょうか?」

「強き因果を結ぶので生きていれば自然と手に入ることになるの。手にすれば

 感覚的にそれが望んだものだと判る。

 まあ、出会う前に死んでしまうこともあるがそれはお主次第よ」

 

不吉なことを言わないで欲しい

 

そんな感じで加護が決まった俺は暇つぶしに老人と話しながら

転生の時を待つのだった

 

 

 

 

「では、転生させるとするかの」

「お願いします、神様もどうかお達者で」

「ほっほっほ!嬉しいことを言ってくれるの。では、楽しんでくるが良い」

 

老人の言葉と共に意識が薄れていく

 

ああ、老人の言葉通りに楽しむとしよう

自分らしく、自由に…そして彼女を!

 

そして意識が途絶えた俺は《ONE PIECE》の世界に転生するのだった




これからは週一で投稿できたらいいなと思っています
今後ともよろしくお願いします

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