ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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連続投稿3話目です


第18話

俺はサーベルに、ティーチは拳に武装色の覇気を纏って戦っているが

いい勝負になっている

 

先程、海兵の女がティーチを得体がしれないと言ったが

確かにそう感じている俺がいる

 

この違和感のようなものはなんだ?

 

「ちっ!痛ぇじゃねぇか!」

 

軽く撫でるように、前に突き出ていた左腕の前腕部分を斬る

 

ティーチは3メートル以上のデカイ身体に樽のような体型をしているが

見た目以上に俊敏な動きで避けて皮一枚を斬るだけに終わる

 

見た目に合わない俊敏さ…違和感はこれか?

 

徒手で左腕を前にしているということは右利きなのだろう

 

なら、右の一撃に気をつけよう

 

相手の身体の大きさも考え間合いを調整していくが、

先程から感じている違和感は消えないままだ

 

「おうっ!」

 

ティーチが気合いを込めて右での一撃を振ってくるが余裕を持って避ける

 

俺の得意な覇気はレイリーさん曰く、覇王色の覇気だ

 

だが、見習い時代とここまでの冒険で武装色、見聞色の覇気も身につけている

 

見聞色はアカリに比べれば拙いが、殺意や戦意といったものを感じとり

相手の攻撃の瞬間を察することができるので役に立っている

 

そして…

 

「ぐっ!痛ぇ!」

 

どうやら俺の武装色の覇気はティーチのそれを上回っているらしい

 

俺のサーベルと打ち合っているティーチの拳が少しずつ傷ついているのだ

 

これならば無理をせずに勝てるだろう

 

白ヒゲの仲間思いは有名だ…ティーチとはどこか適当な所で決着としよう

 

俺は戦いながらも頭の中で勝ち筋を思い描いていく

 

だが、その間も違和感が消え去ることはなかった…

 

 

 

 

強い

 

それがシャンクスの戦いを見た私の印象だ

 

私の武装色の覇気ではティーチのそれを上回ることは出来なかったけど

シャンクスは着実にダメージを与えている

 

アカリがまだ生きていた頃、惚気ながらシャンクスは天才だと

言っていたけど…その言葉に嘘はなさそうね

 

彼はまだ20歳になってなかったはず…その若さであそこまで

やれるだなんて…一体、どんな経験を積んできたのかしら

 

一見すると、シャンクスが圧倒的に優位だけど…

私の勘ではまだ勝負はついていない

 

ティーチの異常性をなんとか伝えたいのだけど…

私自身が理解できていないし、正直なところ、見届けるために

体を起こしているのも辛い状態だ

 

シャンクスに勝ってもらいたい…ココヤシ村に生きて帰るために

 

 

 

 

「そろそろ終わりにしないか?」

 

武装色を纏った腕だけでなく、体にも幾つもの傷を負い

満身創痍と言える状態になったティーチにそう告げた

 

「おう?なんだ、負けを認めるのか?」

「こちらが降参をすすめているんだけどな」

 

「ゼハハハハ!ようやく体が暖まってきたとこだぜ!まだまだこれからだ!」

「そうか…」

 

虚勢とも見えるが、奴から感じる違和感は消えていない…

油断はしないほうがいいな

 

「なら、もう少し戦おうか」

「その余裕顔が気に入らねぇな…一泡吹かせてやるぜ!」

 

その言葉と共にティーチから仕掛けてくる

今までは俺から仕掛け、ティーチが受ける形だったが…

なにか策があるのか?

 

俺は集中を深めて対処していく

 

だが、一発逆転でも狙っているのか、ティーチの攻撃は

やや大振りが目立つ気がする

 

俺はサーベルでそれらの攻撃を弾いたり、体を後ろに反らして

避けたりして少しずつティーチにダメージを重ねていく

 

奴の動きにも慣れてきた…そろそろ頃合いだろう

 

ティーチが右腕を弓を引くように振りかぶった

 

よし、これを体を後ろに反らして避け、腹に一太刀入れて終わりだ!

 

俺は体を後ろに反らしてティーチの一撃を避ける体勢になる

 

その時、総身に寒気が走る

 

なんだ!なにが来る!?

 

余裕を持って避けたはずのティーチの右腕が伸びてくる

その右手の指を立てて…

 

「目ん玉もらったぁ!…いぎっ!?」

 

ザリッ!

 

左目に焼けるような痛みが走る

 

やられたという思いで開いている右目でティーチを見る

 

ティーチの構えは、いつの間にか《右足》が前になっていた

 

そうか…構えが逆になっていた分だけ右の一撃が伸びてきたのか…

 

「ゼハハハハ!惜しい惜しい!右腕の痛みで体が固まんなきゃ、てめぇの

 左目を潰すことができたんだがなぁ!」

 

その言葉でティーチの右腕を見ると、弾痕のような丸い傷が見える

 

「そこの女に感謝しな!もっとも、片目で俺様に勝てたらな、ゼハハハハ!」

 

横目でチラリと海兵の女を見ると、近くにライフルが転がっていた

 

…どうやら助けに来たのに、借りが出来たようだ

 

「なぁに、お前の状態を考えれば、片目はちょうどいいハンデだろう?」

「ゼハハハハ!言うじゃねぇか!」

 

距離感を奪われたのは痛いが、ティーチの消耗も大きい

勝ち目は十分ある

 

「シャンクス!!」

 

遠くから俺の名を呼ぶ声が聞こえた…この声はベックマンか

 

「…ちっ、これはさすがに俺様でも分が悪りぃな」

 

そう言うと、ティーチは踵を返して走りだす

 

「勝負は預けるぜ!あばよ、赤髪!ゼハハハハ!」

 

あれだけ負傷していながら、あの逃げ足か…タフな男だ

 

俺はこの日、俺の左目に傷をつけた男、マーシャル・D・ティーチの名を

心に刻み付けた。大きな警戒心と共に…




これで連続投稿は終わりになります
次回投稿はまた来週の日曜日を予定です

原作w〇kiを見ていると、シャンクスの目の傷のことがあったので
私なりに妄想して今回のような形とさせていただきました

頭の中にある戦闘シーンを文字として搾りだす作業に
毎日四苦八苦しています…

少しでも楽しんで頂けたのならば幸いです^^

それでは、また日曜日にお会いしましょう

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