ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

20 / 162
本日の連続投稿2話目です


第17話

「俺様の勝ちだな!ゼハハハハ!」

 

全力でティーチに挑んだ結果、私は負けた

 

なんとか翻弄して眉間に銃口を突きつけることはできたのだけど、

引き金を引く寸前に脇腹の痛みで身体が硬直してしまった

 

その僅かの隙にティーチが銃口と眉間の間に右腕を差し込んだことで

発砲するものの右腕を傷つけるだけに終わり、トドメを刺すことができなかった…

 

その後も諦めずになんとか戦ったけど、すでに限界に近かった私は

ほとんど抵抗できずにこうして叩き伏せられてしまった

 

「ゼハハハハ!安心しろ、殺しはしねぇ」

 

「だが、俺様が海賊王になるためには名を上げる必要がある…

 だから、海軍に俺様のことを広めるために少しばかり痛い目にあってもらう…ぜ!」

 

その言葉と共にティーチは私の右足を踏み砕いた

 

「う、ああぁぁあああ!!」

「ゼハハハハ!てめぇの動きは厄介だったんでな。まずはそれを封じてからだ!」

 

その後は全身を蹴り尽くされる…それでも、生き残るために急所だけは

まだ動く腕で防御するものの、少しずつ意識が遠退く

 

「ゼハハハハ!しぶてぇしぶてぇ、痛めつけがいがあるぜぇ!」

 

今度は左腕を踏み砕かれたが、歯を食い縛り痛みに耐える

 

意識を失えばそのまま殺される可能性だってあるからだ

 

ティーチは殺さないと言っていたが笑いながら村を焼くような男だ

信用するわけにはいかない

 

それからも執拗に全身を蹴られ痛めつけられていく

 

シュウのことがなければ間違いなく心が折れていた

 

でも…

 

なんで私は海兵をやっているのだろう…

 

「なかなか折れねぇな、目がまだ生きてやがる」

 

マックスはもういないのに…

 

「そうだ、いいことを思いついた。てめぇも女だ、顔を潰されれば堪えるだろう?」

「…はっ、おあいにく様、私ぐらい、いい女なら、顔が、潰れても、

 引く手数多、よ」

 

オハラで無抵抗の一般人を砲撃で吹き飛ばして…

 

「ゼハハハハ!そうか、なら試してみるか。加減を間違えて死ぬかもしれねぇがな!」

 

痛みで朦朧とする意識の中でティーチの足が顔に迫る

 

だが、顔を踏み砕かれる寸前に、赤髪の男がティーチを蹴り飛ばした

 

 

 

 

少し前に、かつてロジャー海賊団の見習いだったころの仲間であるレイリーさんが

俺に手紙を持ってきた

 

手紙の送り主は俺の恋人、アカリだった

 

レイリーさんが言うには海軍の検閲を避けるためにレイリーさんに預けたらしい

 

アカリの手紙に書かれていた内容は自分が死んだこと

そして、息子が産まれていたことだ

 

アカリの病のことはすでに知っていたため、アカリが死んだことは残念だが

なんとか受け入れることができた

 

だが、俺に子供ができていたことは正直なところ吃驚したどころではなかった

 

慌て過ぎた俺は副船長のベックマンに宥められてなんとか落ち着いた

 

そして、アカリが死んだということは、俺の息子《シュウ》が1人に

なってしまったということだ

 

いや、もしかしたらアカリの両親、シュウの祖父母と一緒にいるのかもしれないが

それでも会わなくてはと思った

 

シュウが祖父母と一緒にいることを望むか、俺と来ることを望むかはわからないが

父親として…アカリが残してくれた息子に会いたい

 

俺は頭を下げて、俺の仲間達である赤髪海賊団のみんなに頼んだ

 

そして、俺達はアカリの故郷であるワノ国に向けて船を出したが

その途中で補給のためにとある島に立ち寄った

 

立ち寄った島にある村は燃えていた

 

海軍の兵士達が村人を助けるために奔走していたのを見て

俺は仲間達に手伝うことを指示する

 

俺達は略奪主義ではないが、それでも敵対組織に手を貸すのはと

ベックマンに一言告げられたが俺は譲らない

 

まぁ、ベックマンも念のために確認したという程度だ

 

ここまで5年も付き合いがあるのでそこら辺の呼吸はわかっている

 

そして、海兵達を手伝っていると、海兵の1人が自分たちの隊長が

海賊と戦っていると言ってきた

 

相手は同業の海賊であり、ましてや敵対組織の海兵を助けるのはと

いつもの俺なら思っただろうが、この時の俺はなにか予感めいたものを感じ

その海兵達の隊長の所へ走った

 

視界に入ったのは、今まさに頭を踏み砕かれようとしている女の姿だ

 

俺は反射的に海賊を蹴り飛ばし、女の状態を確認する

 

「大丈夫か?」

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

ティーチ蹴りとばした男が私に話しかけてきた

 

赤髪が特徴的な若い男だ。どことなく顔立ちがシュウに似ているように思う

 

「…あいにくと、大丈夫じゃ、ないわね」

 

右足と左腕を潰されて、身体中ボロボロにされているのだから

 

幸いというわけじゃないけど、それらの痛みのおかげで意識は保てている

 

「そうか、悪いがしばらく我慢してくれ、あいつと話をつけないとならないからな」

 

そう言った赤髪の男が視線を向けた方を見ると、ティーチが起き上がっていた

 

「痛ぇじゃねぇか、てめぇ」

「俺は赤髪海賊団のシャンクスだ。悪いがこの女は俺に預けてくれないか」

 

「赤髪?聞いたことねぇな」

「そうか、これでも最近はグランドラインでそれなりに名前が売れてきたんだが」

 

赤髪のシャンクス…この男がアカリの恋人でシュウの父親…

 

「俺様はマーシャル・D・ティーチ!白ヒゲ海賊団の2番隊の所属だ」

「ほう、白ヒゲか。大物だな」

 

「いいのか?白ヒゲの一味に喧嘩を売って」

「相手が白ヒゲだろうと世界だろうと自由に生きる。それが海賊だろう?」

 

「ゼハハハハ!そのとおりだ!」

「さて、どうするティーチ。この女を預けてくれるのか?」

 

シャンクスのその言葉にティーチは笑みを深めて応える

 

「海賊が獲物を譲るのか?」

「それもそうだな、なら…」

 

シャンクスがサーベルを左手で抜き、ティーチが徒手で構える

 

「「力ずくで押し通す!!」」

 

どうやら戦いは避けられないみたいね…なら一応、私の味方である

シャンクスに一言だけでもティーチの印象を伝えよう

 

「シャンクス、気をつけて…ティーチは、得体が、しれない」

 

その一言で横目に私を見たシャンクスはニカッと歯を見せて笑った

 

多分、アカリはあの笑顔でやられたんでしょうね…

シュウも父親みたいに女誑しになるのかしら?

 

そんな命のやり取りの場に相応しくない事を考えていた私の前で

シャンクスとティーチの戦いが始まった




夕方にもう1話投稿します

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。