ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第136話

「ゼハハハハ!やるじゃねぇか!」

 

シュウの剣と黒ひげの拳がぶつかり合う度に、大きな音が甲板に響き渡る

 

ナミは戦いの邪魔にならぬように既に離れている

 

「貴方もその体型の割りには随分と機敏ですね」

「ゼハハハハ!言うじゃねぇか!」

 

何度も何度も剣と拳がぶつかり合う

 

一見、戦いは互角に見えるが…

 

「ゼハハハハ!」

 

黒ひげが剣ごとシュウを殴り飛ばす

 

シュウは直撃を受けぬものの、後一歩踏み込む事が出来ない

 

「なるほど…確かにやりにくいですね」

「なんだ、赤髪に俺様の事を聞いていたのか?ゼハハハハ!」

 

シュウは戦いの主導権を渡さぬ様に自ら踏み込んでいく

 

だが、黒ひげは体格差を活かしてシュウの間合いにまで踏み込ませない

 

さらに黒ひげは前足を度々入れ替えて左右の間合いを変化させていく

 

互角に見える戦いだが、黒ひげが優位に進めていた

 

「諦めて俺様の野望の糧になれば命は助けてやるぜ?ゼハハハハ!」

「お断りしますよ、黒ひげ!」

 

シュウは《剃》や転移を駆使して黒ひげに仕掛けていく

 

「おう?」

 

それまでと戦いのリズムが変わった事でシュウが先手を取っていく

 

「生意気な野郎だぜ、ゼハハハハ!」

 

だが、黒ひげの余裕の態度は崩れない

 

ここに至って、戦いを見守っていたナミも黒ひげの異様を感じていく

 

(あいつは…なんかヤバイ!)

 

ナミはそんな異様な相手と戦う恋人を見守る事しか出来ない自分に歯噛みする

 

「頑張って…シュウ!」

 

ナミの声援が届いたのか、黒ひげの腕に薄い斬り傷が出来る

 

「ゼハハハハ!若ぇのに大したもんだ!」

 

戦いが始まってから傷が初めて出来たのに黒ひげは揺らがない

 

「さっきから、ちょこちょこと消えてるのはテメェの能力だろ?」

「さて、どうでしょうかね?」

「ゼハハハハ!連れねぇ野郎だな!」

 

黒ひげは笑いながら右手に黒いナニカを作り出す

 

「…あれは何?」

 

戦いを見守るナミはその得体の知れない何かに悪寒を感じる

 

「俺様の能力も見せてやらぁ!」

 

そう言って黒ひげがナニカを前に突き出すと、シュウの身体がグンッと

黒ひげの方に引き寄せられた

 

引き寄せられたシュウの左腕を黒ひげが右手で掴む

 

ニィと黒ひげが笑う

 

「捕まえたぜ」

 

黒ひげが空いている左手で拳を作り、シュウを殴り飛ばす

 

「能力を使えねぇだろ?これが俺様の《ヤミヤミの実》の能力だ!」

 

黒ひげは何度も左手でシュウを殴っていく

 

体格差故かシュウの身体が殴られる度に飛ぶが、黒ひげが掴んでいる右手で

シュウを引き寄せる

 

「ゼハハハハ!」

 

黒ひげの笑い声が甲板に響き渡る

 

「なるほど、色々試しましたが確かに能力は使えないようですね」

 

黒ひげの笑い声を遮る様にシュウの言葉が甲板に響く

 

「ですが…特に問題になりませんね」

 

シュウが腰を回し剣を横に振るう

 

シュウが振るった剣は黒ひげの腹を斬り裂く

 

「ぐっ…がぁぁぁぁぁああああ!」

 

腹を斬られた黒ひげは、シュウを掴んでいた右手を離す

 

そして、両手で傷を抑えると痛みに振り回される様に甲板を転げ回った

 

「おや?体勢が不十分だったのでそれほど深く斬る事が出来なかったのですが…」

 

殴られた事で傷を負ったシュウが、右のコメカミ辺りと口から血を流しながら

黒ひげの様子を観察していく

 

「私を引き寄せた事、能力が使えなかった事、そしてその痛がり様…」

 

シュウが1つ1つの事象を確認する様に言葉を紡いでいく

 

「黒ひげ、貴方の能力は悪魔の実の力を封じるのではなく、

 《悪魔の実の能力をも引き寄せる》事が出来るのですね?」

 

シュウは黒ひげに問い掛ける様に言葉を発するが、黒ひげは傷を押さえて転げ回っている

 

「つまり、悪魔の実の能力という《概念》をも引き寄せる事が出来る…

 その反面として《痛み》という概念をも引き寄せてしまうのではないですか?」

 

痛みが落ち着いたのか、黒ひげは傷を押さえながらもゆっくりと立ち上がる

 

「ゼハハハハ!よく頭が回るもんだなぁ!」

 

黒ひげは武装色を使い傷口をを締めると、右手に黒いナニカを作り出す

 

「確かに俺様はこの能力で余計に痛みを感じちまう」

 

黒ひげは傷がまるで問題無いように笑みを浮かべる

 

「だが、テメェを随分と殴ったからな。ダメージはテメェの方が上だろう?」

「さて、それはどうでしょうか?」

 

黒ひげの笑みにシュウは不敵に笑って応える

 

「ゼハハハハ!試してやろうじゃねぇか!」

 

黒ひげは黒いナニカを使ってシュウを引き寄せる

 

シュウと黒ひげの互いの意地を張った足を止めての近距離戦が始まるのだった




次の投稿は13:00の予定です

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