ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

114 / 162
本日投稿3話目です


第111話

大きなため息を吐くスモーカー大佐と頭に見事なタンコブが出来たライトとたしぎの

船出を見送って早七日、私とナミはウォーターセブンにある

造船会社『ガレーラカンパニー』を訪ねていた

 

「ンマー、いらっしゃい。待ってたよ」

 

特徴的な口癖のあるアイスバーグ氏に招かれて応接室に通されると早速話が始まった

 

「こっちのメインマストが無い珍しい型の船、個人的には造ってみたいと思うが

 電動機の故障時のリスクを考えるとオススメ出来ない」

 

トントンと応接室の机の上に置いた設計図を指で指し示しながらアイスバーグ氏が話す

 

「というわけで、我が社で造船をオススメするのはキャラベル型だ」

「わかりました。では、改めてキャラベル型の造船依頼を出しましょう」

 

私の言葉を聞いたアイスバーグ氏が驚きの表情を浮かべる

 

「見積りを聞かなくていいのかな?」

「えぇ、内装や部屋割りの事は私の恋人と相談していただきますが、竜骨の素材以外は

 指定しませんのでそちらの裁量で自由にやってください」

 

私が応接室で出されたお茶を飲みながら話すとアイスバーグ氏は二度驚きの表情を浮かべる

 

「ンマー、流石は世に名を知られる《天才》シラカワ博士と言った所かな」

 

前回訪れた時はアイスバーグ氏は私の事を知らなかったと思いましたが…

 

「ンマー、うちの社員にシラカワ博士を知っていた奴がいてね。電動機という新しい発明を

 ポンと渡してくるなんて、特効薬の製法を秘匿しなかった博士らしいって話していたんだ」

 

隣に座っているナミは私が評価された事で嬉しそうな表情を浮かべる

 

「さて、博士の恋人さん。細部の詰めにご協力願いますよっと」

「わたしはシュウみたいに甘くないわよ。内装や部屋割りはわたしの支払いだから

 キッチリと値切らせてもらうわ」

「ンマー、これはまた手強そうな客人だ」

 

そう言ってアイスバーグ氏は笑った後、ナミと話を進めていく

 

「シャワー室と海図を描くための製図室は絶対に欲しいわ」

「ンマー、じゃあこういう具合でどうかな?」

 

そう言ってアイスバーグ氏はフリーハンドでスラスラと内装や部屋割りの設計図を描く

 

「悪くないけど、それだと高くつくんじゃない?」

「海上での揺れを考えるとこれが無難だと思うけどねぇ」

 

「こっち側に作れない?」

「海水の濾過装置とかの配置を考えると船全体のバランスがねぇ…」

 

「内装に使う素材だけど、もっと安いのに…」

「ンマー、博士が指定した竜骨の素材を考えると素材の格の違いで船の美観が…」

 

「それじゃあ、この値段で…」

「ンマー、うちの大損になるから値段は…」

 

アイスバーグ氏ナミの話し合いは続いていく

 

私はゆっくりとお茶を飲んで2人の話し合いに決着がつくのを待つのだった

 

 

 

 

ガレーラカンパニーに造船依頼を出して数日過ぎた頃、ココヤシ村にいる私の元に

レイ養祖父さんからの手紙が送られてきた

 

「シュウ、手紙にはなんて書かれているの?」

 

朝の畑仕事を終えてお茶を飲んで一服しながら手紙を読んでいると、その内容が

気になったのかナミが私に聞いてきた

 

「新聞でココヤシ村が解放された事を知って、そのお祝いの手紙といった所ですね」

 

少し前に東の海の海軍支部がアーロンを捕らえて支配下にあった村々を解放したと

新聞に載ったのだが、どうやら手紙を見るにレイ養祖父さんは真相に気づいているようだ

 

「手紙を見て思い出しましたが、無事に事を成せたと報告するのを忘れていましたね…」

 

ナミとの恋人生活を楽しんでいてすっかり忘れてましたね

 

「色々と慌ただしい事もあったし、仕方ないんじゃない?」

「確かにそうですが、思い出した以上は報告に向かおうかと…」

 

ココヤシ村の解放に少なからず関わったガープさんを除いて報告に行こう

 

「わたしも行くから少し待っててね」

 

そう言ってナミは立ち上がり出掛ける準備をし始めた

 

「お土産ヨロシクね~」

「私は孫の顔がお土産でもいいわよ」

 

ノジコとベルメールさんは私とナミが一緒に出掛けるのを当たり前のように見送る

 

ベルメールさんの希望にはいつかは応えるがもう少しの間は2人の時間を楽しみたい

 

その後、準備を終えたナミと共に私はかつて世話になった人々へ報告を

兼ねた挨拶廻りに向かうのだった




次の投稿は13:00の予定です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。