ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第102話

「ギン…さん…?」

「寝てろパール、後は俺がやる」

 

ゼフを人質にとり、何度もサンジに降伏を促していたギンだが折れないサンジの姿を見て

せめて恩人は自らの手で倒すと仲間であるパールをトンファーの様な

武器を使い一撃で気絶させた

 

パールによって満身創痍にされたサンジだが気丈にも立ち上がり、上着の胸ポケットから

煙草を取り出して火をつける

 

「サンジさん…!」

 

サンジが紫煙を1つ吐き出したのを機にギンがサンジへと仕掛ける

 

既に満身創痍のサンジは動きに精細を欠き、ギンに圧倒されていく

 

そして、遂にサンジはヒレの足場へと叩き伏せられる

 

サンジへと止めを刺すべくギンがサンジに馬乗りする

 

だが、トンファーの様な武器を振り上げた態勢でギンの動きが止まった

 

「俺には出来ません!ドン・クリーク!」

 

ギンが号泣しながら独白していく

 

略奪主義の海賊として活動し、鬼人の異名を得た男が初めて受けた優しさ

 

サンジが振る舞った一皿がギンの心に届いていたのだ

 

だが、クリークはそんなギンの姿に額に青筋を浮かべている

 

「ギン…マスクを捨てろ…!」

 

クリークは話しながら身に付けていたマントの中から武器を取り出す

 

大型の銃器の様な武器を見たクリーク海賊団の者達が目を見開き大声を上げた

 

「「「毒ガスだ―――!」」」

 

そう叫んだクリーク海賊団の者達は次々と海に飛び込んだりマスクを身に付けたりする

 

私は家族を抱えて空へと飛びバラティエを離れる

 

「MH5!」

 

その直後、クリークが放った毒ガス弾から毒ガスがヒレの足場を中心に散布された

 

「さすがは《ダマし討ちのクリーク》なんて異名を付けられるだけあってえげつないわね」

 

右腕で抱えているベルメールさんがそう言葉を溢す

 

「シュウとナミの知り合いの海賊は大丈夫かしら?」

「見聞色で感じる気配では大丈夫のようですね」

 

私は左腕で抱えているノジコにそう答える

 

「シュウ、これってクリークはわたし達に手を出した事になるのかしら?」

 

正面から私の首に手を回し抱き着く様な態勢のナミがそう話す

 

「よく見ると、さっきまで私達がいた所までは毒ガスは届いてない様だからセーフかしら」

 

ベルメールさんの言葉通りにヒレの足場にはまだ毒ガスが蔓延しているが

ゼフがいる場所は無事のようだ

 

「シュウを敵に回す程クリークはバカじゃなかったって事ね」

 

ナミがそう話すとベルメールさんとノジコが意味深な笑みを浮かべる

 

「それにしても随分と情熱的な態勢ね、ナミ」

「本当、見せつけてくれちゃって♪」

 

ベルメールさんとノジコの言葉にナミが慌てる

 

「し、仕方ないじゃない!」

「え~、背中側でもよかったと思うんだけど?」

 

ナミの反論にノジコが畳み掛ける様に言葉を続ける

 

こんな情況でもいつも通りの我が家の女性達が頼もしい限りだ

 

「毒ガスが晴れてきたので戻りますよ。喋っていると舌を噛むので静かにしてください」

 

私の言葉に皆静かになるがナミは顔を赤くしながらノジコを睨んでいる

 

可愛い

 

毒ガスが晴れてヒレの足場の情況が明らかになってくるとギンがマスクを

サンジに押しつけている姿が現れる

 

そして、毒ガスを吸ったのかギンが吐血して倒れた

 

「おい、ギン!しっかりしろ!」

 

倒れたギンにサンジが声を掛ける

 

「お前、マスクありがとな!それと大丈夫か?」

 

倒れたギンの元にルフィも駆けつける

 

能力者であるルフィは海に潜って毒ガスを回避する事が出来ないため

マスクが必要だったのだがルフィの分をギンが提供したようだ

 

「ボケナス共、そいつを空気が新鮮な所に移動させろ。それと、マスクを当てておけ

 少しだろうが解毒作用があるかもしれねぇからな」

 

ゼフの指示を聞いたサンジとルフィが動き出す

 

その光景を見ていたクリークの高笑いが響き渡った

 

「おっさん…あいつぶっ飛ばしたら借金チャラにしてくれねぇか?」

 

ギンをゼフの近くまで運んでマスクを当てる等の処置をしていたルフィがゼフに申し出る

 

「…好きにしろ」

 

ゼフの言葉を聞いたルフィは麦わら帽子を深く被るとニッと笑う

 

だが、直ぐに顔を引き締めるとヒレの足場へと跳び下りる

 

「お前、仲間をなんだと思ってるんだ!!」

 

ルフィの一喝が響くとクリークが不敵に笑って答える

 

「俺の駒だ」

 

クリークの言葉を受けたルフィは『ゴムゴムの銃(ピストル)』をクリークの腹に叩き込む

 

だが、ルフィの一撃を受けたクリークは何事も無かったように仁王立ちをしている

 

そして、クリークは高笑いすると上着を脱いで纏っていた鎧を顕にした

 

ルフィをゴムの能力者と知ったクリークは銃器に似た武器を1つ取り出す

 

クリークが引き金を引くと武器から杭が発射された

 

また毒ガスかと一瞬思ったのかルフィは反応が遅れて太股に杭を受けてしまう

 

後手に回ったルフィに畳み掛ける様にクリークは次々と杭を発射していく

 

ルフィは転がりながら杭を避けていく

 

そして、太股に刺さった杭を抜いたルフィはクリークへと一直線に駆けていく

 

「ゴムゴムのぉ―――!」

 

その身に杭を受けても怯まずにルフィは腕を伸ばしながらクリークへと走り寄る

 

ルフィが近付くとクリークは棘を満遍なく帯びたマントを被るようにして身を守る

 

「これでてめぇは殴れねぇだろ!」

 

そう言い放ちクリークが自信満々に笑う

 

「銃弾(ブレット)!!」

 

だが、ルフィは棘の上からクリークを全力で殴り飛ばしたのだった




次の投稿は15:00の予定です

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