ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿2話目になります


第100話

「うぉぉぉぉおおおお!」

 

ゾロの戦いを見届けたルフィが、我慢の限界を超えたのかミホークに飛び掛かって行く

 

だが、ルフィの奇襲はあっさりとミホークに避けられてしまう

 

二度ルフィが飛び掛かろうとするが、ミホークが指で海を指し示すと、

ヨサクとジョニーに抱えられて意識のあるゾロが海面へと浮上してきた

 

「ゾロ!」

 

ゾロが生きていた事を知ったルフィの戦意が薄れる

 

それを確認したミホークが私に視線を送ってきたので、ワームホールを開き

双方の声が届くようにした

 

「聞こえるか、シラカワ」

「えぇ」

「奴の治療をしろ。ここで死なせるには惜しい」

 

私はため息を1つ吐くと、ナミに目線で合図して2人でゾロの近くに転移する

 

「博士!ゾロの兄貴をお願いしやす!」

 

ジョニーの言葉に頷き、ワームホールから道具を取り出して治療を始める

 

既に慣れた作業なので5分程で治療を終える

 

「後は清潔な布を当てて包帯を巻いておいてください」

「へい!了解しやした!」

 

ミホークの剣を向けられては堪らないと思っているのか、クリーク海賊団の者達が大人しい

 

そんな中をナミと一緒に歩いてミホークに近づいて行く

 

酒樽を渡すためだ

 

「ナミ、宝の選定をお願いします」

「わかったわ」

 

私が酒樽を渡し終わると、ナミは臆する事なくミホークの横を通り過ぎてお宝の物色を始める

 

物色している最中の笑顔が素晴らしい

 

「シラカワ、ついでに1つ頼みがある」

 

私はミホークの言葉を受けて顔を向ける

 

「俺と手合わせをしろ、真剣でな」

「…随分と彼を気に入ったようですね」

 

照れ隠しなのかミホークが鼻を1つ鳴らす

 

さて…手合わせの申し出を受けるのは構わないが、どこまでやれる事やら…

 

「シュウ、これを収納しておいて」

 

ナミが満面の笑顔で両手一杯に宝を持ってきた

 

「わかりました。それと、ミホークさんと手合わせをするので

 ベルメールさん達の所まで戻っていてください」

「…大丈夫なの?」

 

ナミが心配そうに問い掛けてくる

 

正直な所、勝つ自信は無い

 

だが、恋人の前で格好を付けたいという思いがある

 

「えぇ、大丈夫ですよ」

 

そう言いながら私はナミの頭を撫でる

 

「うん、信じるわ」

 

ナミが撫でていた手を掴み、私を引き寄せる

 

そして、私の頬に口付けをすると、ナミは悪戯が成功した子供のような笑顔を見せた

 

「いい女が3人も応援するんだから負けたら許さないからね!」

 

私はナミがベルメールさん達の所に走って行くのを呆然と見送る

 

「やれやれ、負けられなくなりましたね」

 

ため息を1つ吐きワームホールから剣を取り出す

 

準備を終えた私を見たミホークが声をあげた

 

「ロロノア!意識あらば刮目せよ!」

 

ミホークの声が周囲に響き渡る

 

「今より剣士の頂!その一端を見せる!それを糧としてこの俺を超えてみせよ!」

 

ミホークの声を聞いたゾロがフラフラと体を起こすと、ヨサクとジョニーに支えられる

 

背中の黒刀を手に取ったミホークが私と対峙する

 

私は息を1つ吐いて力を抜く

 

武装色で身体強化をした私は、剃を使ってミホークへと仕掛けていった

 

 

 

 

「…すごい」

 

ベルメールさん達の所に戻ったわたしは、シュウの戦いを見守っている

 

こうして改めてシュウの戦いを見ると、グランドラインの住人の凄さがよくわかる

 

いえ、凄すぎてその強さを把握出来ないわ

 

「ベルメールさん…2人の戦いはどうなの?」

 

シュウの戦いだというのに、ベルメールさんは相変わらずビール片手に観戦をしているわ

 

「正直な所、凄すぎてわからないわね」

「ベルメールさんも海兵時代はグランドラインにいたんでしょう?」

 

わたしの言葉に、ベルメールさんはビールを一口飲んでから応える

 

「確かにグランドラインにいたけれど、グランドラインの住人の強さもピンキリだから」

 

そう言ってベルメールさんは苦笑いしている

 

「ナミ、よく見ておきなさい。これからシュウと一緒に海を巡るんでしょう?」

 

わたしはベルメールさんの言葉に頷く

 

「恋人に甘えるのは構わないけど、足手まといになるのはいい女とは言えないわ」

 

わたしはシュウと一緒に夢を追いたい

 

シュウの隣を歩いて行きたい

 

「だからよく見て学びなさい。ああいった世界があるという事をね」

 

バラティエの足場では、幾度もシュウが鷹の目と剣を打ち合っている

 

「ナミ、あんたならシュウと歩いて行けるって信じてるわ。私の養娘だからね」

 

わたしは何度もベルメールさんの言葉に頷く

 

「まぁ少しの間はシュウに引っ張ってもらう必要があると思うけど、シュウには

 そのぐらいの甲斐性はあるだろうからそこは素直に甘えておきなさいな」

 

ベルメールさんの言葉に昔を思い出す

 

まだ小さかった頃、シュウと手を繋いで歩いた時の事を

 

あの時のシュウは、わたしの歩く速度に合わせてくれていた

 

これからもシュウは、わたしに合わせてくれるのかもしれない

 

そんなシュウの優しさが嬉しいけれど、悔しくもある

 

いい女になろう、強かでいい女に

 

シュウの恋人だと胸を張って歩けるように

 

今はまだ難しいけれど、必ずなってみせるわ

 

驚愕の力を見せたシュウと鷹の目の手合わせも、遂に終わりの時を迎える

 

2人はお互いの肩口に剣を置いて動きを止めていた

 

わたしの恋人は、世界最強の剣士との手合わせで引き分けを勝ち取ったのだった




次の投稿は11:00の予定です

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