まじっく★すぱーく   作:草賀魔裟斗

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なんやかんやこれを書くの楽しいです
今回で全て私の子供計画とか色々、解ります
それが"真実"だとは断言しませんがね(。-∀-)ニヤリ


♥2

大広間

そこは鎖が飛び交っていた

文字にするとこんなにも不思議な文字列もないだろう

だがそうしか表現ができない空間だった

天井や床は鎖に変化したまま放置され

鎖を作り出した当の二人は命を賭けた鎖のワルツを躍り続けた

「こんな…こんな事して何になるの?、忠誠心の為?…忠誠心は虚しいよ…表では二人でも…心の中ではいつまでも一人なの…ひとりぼっちは寂しいよ…」

霊夢のふいの言葉に一瞬、咲夜の動きは止まる

そしてまじまじと霊夢の瞳を見つめて答えた

「私はそうは思わないわ…」

咲夜は煙を吐いた

「…忠誠のために生きてたらさ…悲しいとか寂しいとか…無くなるのよ」

「…」

霊夢が攻撃の手を止める

「霊夢…?」

「なにしてんだろうなって思ってさ…お姉ちゃんなのに…家族なのに…」

「家族?」

霊夢はうなずいた

「お姉ちゃんだもん…家族だよ…私、クラウドとも喧嘩したことないのよ…なのに家族と殺し合いするなんて…おかしいよ」

咲夜が驚いたように霊夢を見つめた

「貴方って…変わらないわね」

「変わらない人なんていないよ…私だって変わってる…もう立派なレディなんだから」

霊夢の話を聞くと咲夜がクスクスと笑う

「霊夢がレディねぇ…可笑し…こんな話、霊夢とできるとは思わなかったな…嬉しい…」

咲夜が鎖を引っ込めた

「私は…本当に何してるんだろ…霊夢は家族なのに…」

「お姉ちゃん…」

咲夜はタバコを携帯用灰皿に納めた

「…こんな私でも姉と言ってくれる霊夢がいる…こんな私を信頼して仕事を任せてくれるお嬢様がいる…幸せ者ね、私って」

「…そうだね…私も幸せ者だよ、お姉ちゃんがいるし、クラウドもいるし」

霊夢の笑顔が小さな頃の霊夢の笑顔と重なる

「…フフ…ところで霊夢、クラウドくんとはどうなったの?」

「あ…」

霊夢の顔が一気に真っ赤になる

「さっき、喧嘩もしたことないって言ってたけど…まだ、喧嘩もしたことない位仲良しみたいだけどね♪」

「あぅ…それは…えっと…」

咲夜が肘を霊夢にトントンと当てた

「…隅に置けないな…霊夢も」

「ち、違うよ!?そ、そう言うのじゃなくて…私はクラウドの事は…確かに好き…"なのかもしれない"」

咲夜が首を傾げた

「"なのかもしれない"?」

「分からないの…クラウドとは正直、お姉ちゃんよりも付き合いが長いし…誰よりも特別で…誰よりもお互いを理解してる…ただこれが恋愛であるかどうかと聞かれると…分からない…友達のままで居たいような気もするし…その…れ、恋愛対象として…見て欲しいとも思ったりも…したりしなかったり…」

「どっちよ…」

「……」

霊夢は赤面して黙りこんでしまった

咲夜はため息をついた

「あんだけバカップルやられて恋愛対象じゃないと言われてもバカにしてんの?って感じだし、それに恋愛か恋愛じゃないかなんて関係ないじゃない…相手を思い思われる事が大切なんだと思うわよ?」

「…でも」

「一回、腹割って話してみなさいな…きっとクラウドもおんなじようなこと考えていると思うからさ」

咲夜の子供を諭すような笑顔に霊夢はまた、赤面する

「…私、何年経ってもお姉ちゃんに勝てる気がしないよ」

「そう?うふふ」

その時、屋敷の扉が砕け散った

二人は同時に鎖を扉に向ける

「霊夢!」

「クラウド!?」

クラウドと早苗が屋敷内に侵入した

クラウドと早苗は合図を送り合い

早苗は階段を駆け上がっていった

「どうして」

「飛ばしてきたんだ…急にお前の顔が見たくなってな…馬鹿野郎共の説教も済ませて来た」

クラウドが霊夢の頭を撫でる

昔からこの行為は彼を落ち着かせる

焦りで染まった頭脳が正常に動き出す

霊夢は無事だったのだ

「…嬉しいこと言ってくれるわね…」

霊夢の赤面を見て彼の頭脳は笑顔を見れるほど落ち着く

「クラウドくん、随分、焦ってたみたいだけど?」

「そうだ、咲夜、お前の主から伝言だ、妹が逃げた…だそうだ」

咲夜の表情が凍る

「…お姉ちゃん?」

「いつ…その話を?」

「数分前だ」

咲夜は霊夢の肩を持った

「霊夢…」

「その妹さんが恐ろしいのよね?…手伝うよ」

「巻き込む訳にはいけない…と言っても無駄よね…殺されないでよ」

「お姉ちゃんこそ」

霊夢と咲夜は階段を駆け降りた

クラウドも後を追う

 

地下図書館

「くっ!」

魔理沙は飛んで来る鋭利なリボンを避けつつ逆襲の算段を立てていた

「ねぇ…逃げてばっかでつまんないーもっと攻撃してきてよ」

フランはつまらなさそうに本棚の上に座り足をぶらぶらさせる

(こっちとしては…パチェ待ちなんだがな…あれさえ…見つかれば…)

当の本人であるパチュリーは本を探していた

本屋をゆっくりと吟味するようにでは無く、まるで何かから逃げるようにとも見えるくらい焦りを見せていた

「…遊びたいのか?ならお望み通り!」

魔理沙は懐中電灯を自分に押し当てた

「マスター…スパーク!!」

巨大な光球はフランに直撃した

砂煙と瓦礫が落ちるパラパラとした不安を煽る音が図書館を支配する

「終わったか…?」

「何が?」

魔理沙の表情が凍り付く

「私はここにいるよ」

フランは微動だにせず元の本棚の上に座っていた

「んな…全力のマスパだったんだぜ?どうやって…」

「フフッ…私のリボンは何でも切っちゃうのよ…それが光みたいに実態が無いものでもさ」

フランの背後からレースのリボンが魔理沙に襲いかかる

魔理沙は咄嗟に光剣を展開し、身を守ろうとした

しかしリボンは光剣を切り裂き魔理沙の肩を貫いた

激痛に視界が染まる

「お前も…能力干渉型…霊夢と同じか…」

「そういうこと…さぁ続けようか」

再度、レースのリボンは魔理沙に襲いかかる

「!!」

魔理沙は今度は回避行動に成功

レースのリボンは床に突き刺さった「おぉー、避けれた避けれた!すごいー、じゃ、次は首!」

リボンは魔理沙の首を狙い進行した

魔理沙はリボンに貫かれた

首が飛び鮮血が飛び散った

パチュリーの悲痛な叫び声が響く

「魔理沙!」

フランはそんなパチュリーを他所に首を傾げる

「ん…変だな…高揚感が無いと言うか…手応えが全く無い…まるで」

「光を切ったみたい…か?」

魔理沙はフランの背後に立っていた

光剣を横に振り抜きフランを吹き飛ばす

「ライト・マリオネット…お前が切ったのは私の姿をした、光人形ってこった、あのリボンは避けれそうに無かったんでな、一瞬だが、自身を光にした…お陰で服が焦げちまった、どう責任取ってくれるんだよ、一張羅なんだぞ?これ」

「…ふふ…あはは…」

不気味にも思える笑い声が響いた

「…あれで死んだとは思わなかったけどな…いくらなんでも元気過ぎねぇか?」

「そう?…私としてはまだ、ウォーミングアップも終わってないよ?」

刹那、パチュリーの声が響いた

「見つけた!」

「でかしたぜ!パチェ!…フランだっけか…残念ながら遊びの時間は終わりだ」

魔理沙とパチュリーの全身が光出す

フランは目をふさいだ

「アリスを迎えにいかないと…怒るからな」

そう言い残しパチュリーと魔理沙は消えた

その代わりに霊夢達が入ってきた

「発作が出てるわね…」

「発作?」

咲夜がタバコの煙を吐く

「彼女の異能力の波動は強すぎるの…しかも破壊の能力だから、能力自体の破壊衝動に飲まれてしまわれるのよ…結果、暴走してしまう」

「暴走…懐かしいわね」

霊夢が床を鎖に変化させる

咲夜も同様の事をする

「妹様は能力干渉型よ…鎖は全て斬られるわ」

「能力干渉と能力干渉がぶつかったらどうなるかしらね」

咲夜と霊夢がニヤリと笑った

「試してみる?」

「楽しそうね」

鎖とリボンが火花を散らす

霊夢のとは違い、咲夜の鎖はナイフでしか生成されない

しかし刃の部分は鎖にならず残るため霊夢の鎖よりも殺傷力は高い

そんな鎖をフランのリボンはことごく貫き切り裂き撃ち落とす

やがてフランの周りに鎖が集まっていた

その霊夢と咲夜の鎖がフランを拘束する

「咲夜…これはなに?」

フランが殺意を持った視線を咲夜に向ける

「妹様…申し訳ありません」

「妹様…だっけ?もう落ち着きなよ闘いは終わったよ?、これじゃ抗争とは言えないだろうけどね」

フランのリボンが鎖を切り裂く

リボンはそのまま、二人に向かう

「っ!」

「妹様!」

咲夜と霊夢にリボンが突き刺さる

霊夢は右腕を咲夜は左足を貫かれた

向こう側が見えそうな位、大きな怪我だ

「五月蝿い奴等は嫌いだよ…ピーチクパーチク喋るなら…その口、削ぎ落としてやる」

フランのリボンが二人に進行する

霊夢が床に手を置く、すると大量の鎖が二人を包み壁となる

その壁は絶えず左へ動きゆっくりと回っている

「ふん!そんな鎖、バラバラにしてやるもん」

レースのリボンは鎖を貫き霊夢と咲夜に手負いを負わせる

鎖に阻まれてはいるが鎖を突破した時点でフランは勝利を確信し、微笑した

「…遅かったわね妖夢」

勝利を運ぶはずだったリボンは撃ち落とされていた

「なっ!」

鎖の中から日本刀らしきものを握った人影が現れる

「悪かった…迷ってね、この屋敷広いからさ」

妖夢の持っていた剣が黒く変色する

やがてそれは消えてなくなった

「異能力で私のリボンを撃ち落とした…?あんた一体…」

妖夢はフランを見つめた

暫くすると語りだした

「spadeには…異能力者のなかでも異端児が集まる…その傾向が強いのが今の代だ…方や六賢者の一人、方やなんやら計画の産物…そして私は"異能力者斬りのジャック"<ジャックザリッパー>だ、私はあらゆる異能力を納める事ができる、あくまで納めるだ、無効化はできん…がリボンの勢いを殺す事くらいはできる」

「反異能力者…」

妖夢はジリジリとフランに近づく

「私は異能力の働きだけを抑制するだけだ…波動自体を止めることはできん」

フランはリボンを妖夢に飛ばす

が軌道がずれたり落とされたりして全て無効化される

「くっ…なんで!なんで!なんでなんでなんで!!」

フランは半ば自棄になりながらひたすらにリボンを飛ばす

「彼の人の体は鉄で出来ていた、骨は鎖、心は氷…血液はきっと刃で出来ていた…」

妖夢がぼそぼそと喋り出す

フランのリボンは次々と斬られ落ちていく

「こ、こないで!」

「彼の人は死を名乗った…愛でも幸運でもはたまた金でもない…」

フランは初めて恐怖した

異能力が通用しない相手…未知の相手であった

「彼の人は死を望んだ…だから死を名乗った…」

「やだ…こないで…い…やだ」

妖夢はフランの頭を撫でる

するとフランを包んでいた波動が消え

フランは気を失い倒れた

「彼の人は我が師…我が全て」

妖夢は倒れたフランを抱えて咲夜に渡した

「良いとこ取りみたいになって悪かったな…抗争は終わった…フランの戦闘不能でな」

「…抗争と呼べるかしらね…一時的な衝突でしょ…これくらいだったら」

「そうかもな…と、私よりも遅刻した奴がご到着だぞ、」

クラウドが地下図書館のドアを開けた

そして霊夢の腕をみて頭が真っ白になる

「霊夢!大丈夫か!?」

「大丈夫よ…これくらいだったら」

「…本当にか!?すまない…本当は…巻き込みたくなかったんだが…フランは?」

霊夢が指差す先には咲夜がフランを抱えていた

「おわったのか…全部」

「一時はどうなるかと思ったけど…結果オーライね…さっ帰ろっか」

霊夢と咲夜が地下図書館を出る

「大丈夫なわけねぇだろ」

クラウドがボソリと呟いた

「…?」

「俺には分かる…霊夢がどれだけ無茶してるか…元来、あいつは痛みには弱いんだ…目を見れば全部お見通しさ…今の霊夢の腕は限界だろうな…腕にチェーンソー差し込まれたような物だぞ」

「…そうか…なぁクラウド、全て私の子供計画ってなんだ?」

クラウドは口をへの字に曲げた

「…隠してたってしょうがないだろ…お前はリリーホワイトは知ってるか?」

「あぁ…世界最強の異能力者だっけか…」

クラウドは天井を見上げた

「あぁ…そうだ、そのリリーホワイトの遺伝子を埋め込まれた人造なる異能力者…それがThe strongest gene…

TSGと呼ばれる人造人間…それが霊夢達なんだ」

「霊夢は人造人間なのか?」

「いや…それは語弊があったな…改造人間の方があってる…異能力者では無かった霊夢達に最強の遺伝子を埋め込み、無理矢理、異能力者にする…それが全て私の子供計画なんだ…皮肉な事に成功例は全て、死んで霊夢と咲夜…失敗作として蔑まれ、拘束された二人だけが生き残った…」

妖夢は黙り込んでしまった

「この話は霊夢には俺から話したとは言わないでくれ…あと、」

クラウドは白いハンカチを出した

「涙は拭いとけ」

妖夢の目には涙が溜まっていた

「な…嘘だろ…」

「…ありがとう…あいつの為に泣いてくれて…」

妖夢の頭にクラウドがポンと手を置いてそのままの形で霊夢を追いかけた

「…霊夢がなんでお前に惚れたのか…解ったよ…ったく、眩しいったらありゃしない」

 

クラウドは霊夢に追い付いた

霊夢は壁に凭れかかり患部である腕を押さえて呻いていた

「クラ…」

「嘘が下手なのに強がるな…バレバレだった」

霊夢は苦笑いして見せた

「駄目だったか…今回は自信あったのにな…」

「…」

クラウドは霊夢をそっと抱き寄せた

「…霊夢…」

「私を…心配するのは…慣れたんじゃないの?」

「掌返しのようで済まないが…やっぱり慣れない…何時になっても何歳になってもお前が笑顔でないと…俺は安眠すらできない」

クラウドが霊夢に顔を近づけた

霊夢の顔が一気に赤くなる

「なっ!ク、クラ!何を…」

「悪いな…今日は22:00~6:00までしっかり安眠する予定なんだ」

クラウドと霊夢の影が重なる

暫くするとクラウドから影は離れていった

「なっなななななななな!!?」

「痛み、和らいだか?」

霊夢は今、痛み所の騒ぎでは無かった

羞恥心と疑問符と歓喜が心で円を描き

グルグル回っていた

これ以上無い混乱だった

「くぁwせdrftgyふじこlp!」

絞り出した声だった

「どうしたんだよ…動揺し過ぎだろ、昔はなんか、お前から良くしてきたじゃないか」

「ど、動揺もするわよ!…3歳の子のき、キス…と、とは!…は、話が違うと…いうか…と、年相応になったからさ?…私もその…レディ…だからさ…そ、そういうのは…心の準備がいるというか…不意にやられると…その…」

配慮が足りなかったな…と後悔中のクラウドと

喜びと羞恥心が頭で廻り続け呂律が回っていない霊夢

「…まぁいこうか」

「そ、そうね…うん」

霊夢は白昼夢でも見ているかのように頭がふわふわと浮いていた

(クラがキスしてくれた!クラがキスしてくれた!いつもは頭を撫でるだけなのに…!、これってあれかな!?進展ありかな!?脈ありかな!?)

(やっぱり配慮が足りなかったか…まぁその分良いものが見れたから結果オーライか…動揺する霊夢も可愛かったし)

クラウドは霊夢の頭を撫でる

霊夢もずっと蕩けた笑顔でえへへと笑い続けている

やっぱりこれが一番、落ち着く

「帰ろうか」

「うん!」

 

霊夢や妖夢の読み通りダイヤモンド・クロウスと紅の幽霊の抗争は

異能力同士の戦争になる前に終息した

表向きには裏組織の一時的な衝突で

警察の迅速かつ適切な処置によって本格的な抗争になる前に終息したと発表された

実際、警察の活躍はというと

永遠、あわふたしてただひたすらに殉職者を増やしただけであった

spadeやハート怪盗団の活躍は表沙汰になることはない

が、裏社会では語り継がれるのだろう

"フランと遊んで生きて帰った団体"として…




これで紅の幽霊との抗争も一段落ですね
…あれ?何か忘れているような…
…あ、(-_-;)

冗談はさておき美鈴とアリスは次の番外編に関係してくるので今は気にしないで置いてくださいね

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