まじっく★すぱーく   作:草賀魔裟斗

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大変長らくお待たせしました(T0T)
途中、熱で倒れたり発作(新作作りたい症候群)
が出たりと踏んだり蹴ったりでしたが
なんとか出来上がりました

文字数はまさかの8000文字w
書きたいこと書きまくってたらこんなことに
(´・ω・`)


♠3

東京から少し離れた海の臨めるとある墓地

そこに際立つ洋風な墓が一つ白く輝いていた

対照的に墓には真っ赤なマフラーがかけられていた

その赤い輝きは悲しく儚い印象を受ける

そこに青い少女が白い花をもって現れた

チルノだった

「ごめんね、遅くなっちゃった」

チルノは墓に花束を置くとしゃがみこんだ

「あいつらは来た?…多分来てないな…ごめん、寂しくなかった?」

墓が返事するわけでもなく

ただ海風にマフラーが揺れた

「…君がいなくなって…早くも2年…もう傷はとっくに癒えたと思ってた…でもあそこに行くとやっぱり古傷が痛む…君のせいじゃ無いんだけど…君に聞いてもらったら…楽になると思って…」

チルノが視線を下げた

「そういえば君に似た人がいたんだ…小悪魔って言ってね…今は敵だけど…いざこざがなくなったら君みたいにスカウトしたいと思ってるんだ…分かってるよ、どんなに君に似てても君の代わりになるわけではないし…あたいの傷が癒える訳でもない…だけど…」

チルノが立ち上がった

「今度はいつ来れるかわからないけど…近い内に必ず来るよ…その時は旨いお酒でも持ってくる」

チルノが去ろうとすると海風に煽られてかまたは墓の持ち主の思念か

マフラーが飛んで来た

マフラーはチルノの足に絡まりついた

「いいの?これは君に…」

チルノは墓を驚きの視線で見つめた

しばらくしてからチルノはフッと微笑んだ

「分かった…一緒に行こ」

チルノはマフラーを首に巻かずに墓場を去った

するとすぐに携帯が鳴った

「はい……!?」

チルノの瞳が鋭く鈍い光を放つ

「本当に?…うん…ダイアモンド・クロウスは?…あたい達も動くよ…あたいは直接、敵ん所にいくね」

短く告げるとチルノは電話を切った

「…紅の幽霊…君たちは暴走してる…止めなくちゃ…あたいが…」

チルノは覚悟の眼差しで空を見上げた

 

チルノの元にやってきた情報は

ジョークには聞こえないような内容だった

紅の幽霊が正式にダイアモンド・クロウスに宣戦布告

ダイアモンド・クロウスはリーダー、クラウドの指示を仰がずに宣戦布告を受領

これで本格的に二つの武装組織が日本で衝突するという最悪の事態に陥った

事態を重く見たspadeは独自行動権、所謂ライセンスを施行

紅の幽霊かダイアモンド・クロウスかどちらかを無力化するために行動を開始した

だが両者とも聞く耳を持たず

遂に紅の幽霊の日本に構えた本拠地にダイアモンド・クロウスが攻め混む様に侵入し、抗争は本格化の一途を辿った

その情報をいち早く予見していたとある組織が紅の幽霊の本拠地

地元では幽霊屋敷と呼ばれ、誰も近づかないような廃屋に人知れず侵入していた

 

「ひゅー」

魔理沙の下手な口笛が小さく響く

「本当に日本でドンパチやるとはな…こりゃめんどくせぇ事になりやがったぜ」

魔理沙は苦笑いを浮かべながら周囲を見渡していた

「アリス…パチェはまだしもお前は着いてこなくても良かったんだぜ?」

アリスは頬を膨らませた

「あら、私は足手まといだとでも?」

「違うんだ…これは紅の幽霊とspadeとDC(ダイアモンド・クロウス)の問題だ、それに準ずる奴が解決しなくちゃなんねぇ…だよな?パチェ」

パチュリーは小さく頷いた

「なら、これはどう?私はー!元spade、霧雨魔理沙のガールフレンドだー!…どう?準ずる奴でしょ?」

「…くす…うふふ…あはは」

パチュリーが小さく笑い始めた

「パチェ?」

「ほんと…アリスはあいつに似てるんだから…魔理沙、無駄よ、この手の人間はこうなったら梃子でも動かないわ」

「…ったく…変なこと頑固だよ…二人とも…」

魔理沙は後頭部を掻きながら苦笑った

「梃子でも動かねぇならしょうがない…行こうか、今回は"某二組織の和平による民衆の平和"って宝を戴くぜ」

魔理沙達がこれより行動を開始した

 

同時刻、最前線

spadeの二人(霊夢と妖夢)が様子を伺っていた

正確にいうと妖夢が様子を伺って

霊夢は携帯端末の釦を必死に押しては耳に当てていた

「やべぇな…本格的にドンパチやるぞ…霊夢、クラウドには連絡ついたか?」

「え…と…なんか変なとこ飛んじゃって…」

役割を交代する事にした

妖夢は携帯端末を受けとると画面はとあるネット通販サイトのホームページだった

「何をどうした?お前」

「白いアイコンを押して一番、始めに文字が出てそれを押したらなんやかんやあって…3000円がどうとかって出て…もう何がなんやら…」

「お前はお前でパニクってんな…ほら、彼氏の声でも聞いて落ち着け」

霊夢は携帯端末を握りしめて話し始めた

「もしもし…クラ?」

(あぁ…霊夢か?今何処だ?)

「件の幽霊屋敷の庭よ…クラは?」

(…今、彼の場所に向かっている…俺のバカどもが済まん…)

クラウドの暗い声に驚き霊夢は一瞬、会話を止めたがすぐに明るい声で言った

「良いって良いって!元気で素敵じゃない!それに彼らの宣戦布告はクラや私達をこれ以上巻き込まないようにするために自分達なりの決着をしようとした結果の物だったらしいわよ…バカどなんてとんでもない、寧ろ上司思いのいい部下じゃない」

(…済まん、嫌味にしか聞こえない…)

「嫌味なんかじゃないわ、私がクラに嫌味なんて言ったことある?」

(それどころかジョークすら聞いたことはないな)

霊夢の眼前に肩を竦めるクラウドが見えた

(今からどう急いでも一時間位は掛かる…済まないがバカどもを頼む)

「分かったわ…大丈夫よ、二組織の和平を手土産に待ってる」

(分かった極力急ごう)

通話は切れた

霊夢は深呼吸すると近くに落ちていた空の弾倉を握りしめる

それは鎖に変化し紅の幽霊、DC関わらず拘束し、無力化していく

「…行くわよ、妖夢」

「…覚悟は決まったのか?」

「えぇ…私とクラの約束は…鋼より硬く…何より最優先よ」

妖夢の前腕から刃が飛び出した

骨が変化したものだろう白く虚ろく光っていた

しかし次の瞬間、件の刃は鋼のような重々しい黒に変わる

「行くぞ」

「えぇ」

短いやり取りを済ませるとニヤリと笑った

「どっちを無力化する?」

「決まってるじゃない、紅の幽霊よ」

「なら幽霊屋敷に乗り込むぞ」

「分かってる」

霊夢たちが行動を開始すると

すぐに紅の幽霊の団員が銃を武器に迫ってきた

「邪魔なやつは切り捨てる!」

妖夢の前腕から生えた刃は団員を切り裂く

「切り裂きジャック再び降臨だ」

霊夢も鎖で拘束する

しかし、流石は訓練されたマフィアの犬

鋼鉄の鎖を引きちぎる

「あらら…んじゃ仕方ないわね」

鎖は団員の体を這い上がり首を締め上げた

流石の戦闘員も昏倒する

「命は奪わないわ…大切になさい、命あっての物種よ」

そして邪魔者を退けながら本拠地であろう幽霊屋敷へ向かった

 

その頃、チルノはというと

幽霊屋敷近くの海岸でいた

さざ波の音を聞きながら目を閉じていた

マフラーはつけられておらず手に持っていた

海岸の砂浜を踏む音が聞こえた

チルノはゆっくり目を開ける

「待っていたよ…小生くん」

小悪魔が困惑したように立っていた

「小生に…何用だ?spadeのリーダー殿」

「なぁに…あんたんとこのリーダーとあたいは旧友でね…出てきなよ、レミィさん」

彼女は闇より音もなく飛来した

蝙蝠のような翼が目を引く

ネット用語で言うところの「ロリ」というような容貌であった

「ボス」

小悪魔はさらに困惑を顔に浮かべる

「何故、今、ここに?」

「今、説明する暇はない…すまないねぇコア」

レミリアはその見た目から反してかなり大人びた対応をした

「チルノ…云年ぶりか…相も変わらず大妖精の事を引きずっているみたいだが?」

レミリアがチルノの手に持つマフラーを見た

レミリアの外套が風に揺れる

「…引きずっているのではない…忘れないだけさ…否…忘れれないだけ…か…あんたこそ、外套、脱いでないみたいじゃないか?、忘れれないのはお互い様って事だ」

「私のこれは忘れれないからじゃない忘れないためさ…私は心底忘れっぽくてね」

チルノが氷の刃を精製し斬りかかった

レミリアの周りに黒い粒子が飛び回り氷を受け止める

ぶつかり合いはすぐに異能力波動となり蒼白い振動と光を放つ

その勢いは小悪魔を軽く仰け反らせた

「…!!なん…だ…この波動は…!」

当の二人はまるで立ち話するみたいに話始めた

「年が回ったかい?」

「それはないよ」

黒い粒子は集まり鉄に変化した

その鉄は集まり細剣に変化した

「なら死ぬほどの忘れっぽさだね」

「過去に囚われないと言ってくれたまえ」

チルノが肩を竦めた

「あんたんとこのフルンティングは元気かい?」

「フルンティングとは言うねぇ…確かに物理的にそうかもね…元気だよ、危ういほどにね…」

両者、武装を解く

「…」

小悪魔の頬を汗が伝う

その目は驚愕を光にし具現化する

「-そうか…まぁ姉妹仲良くね」

「仲はいいよ、もともとあの子は純粋なの…喧嘩はしないわ…怒らせると私でも命に関わるし…」

しばらくの沈黙が三人を包んだ

「小生は…何故、呼ばれたのです?」

小悪魔の一言に二人が我に帰る

「説明してなかったね、君は和平の鍵なのさ、平和の白い鳩さん」

チルノが軽快に語る

レミリアが一つ咳き込みチルノを引かせる

「小悪魔、君に頼みがあるんだ…君には新しい世界を見てほしいんだ…マフィアでも元マフィアの亡霊でもない、もっと健全な新しい世界を」

「ボス…申し訳ありません…小生にはその権利はありません…小生は…破壊の権化です…ボス」

「皆までいうな…コアの言い分はわかる…どうしてもというならそこの唐変木と闘ってみろ」

「良いんですか?…確かに彼の人はお強いです…しかし、小生の得意な異能力なのですが…」

普遍な能力であるパイロキネシスと氷結能力、大体は前者は後者より強いというのが定説であり、この世界でも受け継がれている

例え、能力同士は影響しないとはいえ本人の耐久性は異能力に一切を依存するのである

例えば氷の能力者は炎にめっぽう弱く

地面や岩の能力者は雷の能力の攻撃でダメージは受けない

「…よし、ならやってみろ」

小悪魔が身構えた

「いいね、小生ちゃん」

チルノは不敵に笑いながら氷の刃を構えた

レミリアは頭を抱えた

「ったく…こっちとらただの仇討ちなのに…面倒な奴等まで釣り上げちゃったなぁ…日本怖いなぁ…」

 

幽霊屋敷

警察が到着し銃撃戦を開始

戦況はかなり泥沼であった

幽霊屋敷の二階の長い廊下にはハート怪盗団の姿があった

「…静かね」

幽霊屋敷は本当に幽霊でも出そうなくらい暗く静かであった

「…」

魔理沙は何やら真剣そうな見幕で進む

「魔理沙?」

「!!」

魔理沙が光剣を構えた

「おや…貴方でしたか…緑の彼女かと思ったのですが…」

美鈴がそこに立っていた

孤児院に姿を見せたときよりも鋭い殺気を振り撒く

「早苗は残念ながら居ないぜ…あいつは時間にはルーズなのさ」

「そうですか…三対一でも構いませんよ?…それでウォーミングアップでしょうがね」

美鈴の両手が黒い鋼に変化する

それを見た魔理沙の頬を冷や汗が伝う

「いってくれるじゃない、唐変木」

アリスが魔理沙の前にたつ

「アリス!下がれ!こいつの体術は本物だ!…早苗に手負いを負わせる位には強い!」

「魔理沙、行きなさい」

「さっきの話聞いてなかったのかよ!いいから下がれ!私が早苗が来るまでの時間稼ぎをするから!」

「大富豪において…最も強いカードは最後まで取っておく物よ…私とパチェと魔理沙、誰が切り札かよーく考えなさい?、そしてこいつに割くべき人員も…」

アリスが身構えた

両手に旧式のリボルバーを握る

かなり年季が入っている骨董品だ

「さぁ!行きなさい!」

渋る魔理沙をパチュリーが首根っこを強引に掴む

「パチェ!」

「アリス…あんた、誤解してるよ…私らん中でもこいつらん中でも二人はジョーカーよ…これじゃ大富豪は成り立たないわ」

「ジョーカー二枚の大富豪もあるのよ、それに私はせいぜいハートの3くらいがお似合いよ」

パチュリーがニヤリと笑う

「死なないでよ」

「それだけは勘弁ね…死に場所なら魔理沙の腕の中って決めてるから」

パチュリーが魔理沙を連れていく

「パチェ!離せ!アリスが!」

「あいつは死なないわよ…もしもの事があっても相手は美鈴よ…あいつは何があっても人は殺さない…不殺ノ誓なのよ」

二人を見届けると美鈴が構えた

「私の能力は見ての通り体の変質です…貴方の能力をお聞きしても良いですか?」

「あー、何て言えばいいのかな…ルイス・キャロルって知ってる?」

美鈴が首を傾げた

「不思議の国のアリスなら知ってるでしょう、あれを書いた人よ」

美鈴が納得したようにうなずく

「私の異能力は、ルイス・キャロルが書いたアリスが関わる3作品に…ん?三作品かな?…ま、これ以上の説明はややこしくするだけね、それに関する能力を使える能力なのよ…つまり、全く異なる能力を3つ保有する能力ね、ややこしいんだけど」

「3つも!?」

「そう…その能力についてはすぐ解るわよ…痛いほど刻み付けてやるからね」

「怖いですね…」

美鈴とアリスが互いに床を蹴った

 

spadeの面々はやっと幽霊屋敷の大広間に侵入した

シャンデリアが朽ちて落下している

「妖夢、ごめん」

「…銃撃戦の最中、携帯落として取りに行くバカがこの世に何人いるか…明日、数えてきてやろうか、きっと一人だろうから…」

「だからごめんってぇ…これ、クラウドからの借り物だからさ…無くしたくなくてぇー」

霊夢がシャンデリアの上を見上げた

「誰?」

「鋭いですね」

タバコの煙が上がっている

「流石は”霊夢”名には恥じない実力と見える」

霊夢が目を鋭く、鈍く光らせる

「あんた…何者?」

「私めは十六夜咲夜…

彼のAll my child plansの産物である化け物」

咲夜はお辞儀した

「お客様方を丁重にもてなすようにとのご命令を戴いておりますので…スカーレット家のメイドたるおもてなしをいたしましょう」

霊夢が妖夢の前に出る

「なら、タバコを吸うの止めたら?不快に思う人もいるわよ?お姉さま」

咲夜は手に持った銀食器を鎖に変える

霊夢は飛んできた鎖を握り床を鎖にする

「覚えているとは流石ですね」

「All my child plans…全て私の子供計画…その産物なのでしょ?」

妖夢の頭に電撃が走る如く霊夢の声が響く

(…もしその計画で、そのドッペルゲンガーが産まれたのだとしたら…その時、話すよ)

「霊夢、終わったら説明してくれよ?全部」

「…私は約束だけは守るわ」

妖夢は頷くと走って階段をかけ上がった

「おや?おかしいですね」

「何が?」

「テンプレートなら、先に行け!って台詞があるものでしょう…それが無かったので」

「そんだけお互い信頼してるのよ」

咲夜が大人げを含んで微笑んだ

「そう…」

咲夜が攻撃を止めた

「…私は…貴方に姉と呼ばれる権利はないと思ってた…会う権利も…」

「そんな事ないよ、私にとって貴方は…たった一人の姉よ…それが普通の姉妹の形ではなくても血の繋がった姉妹なのよ」

霊夢の言うことを聞いて咲夜が一言

「このような形で無ければな…」

「…お姉ちゃんは…私と戦うの?」

「致し方ないでしょ…」

咲夜が床を蹴った

 

二階、廊下

アリスが膝を付く

「また…ですか…」

美鈴の頬を汗が伝う

「あーあ…まさか…私の苦手なタイプだとは思いませんでしたよ」

「そう?誉めてもなにもでないわよ」

美鈴が鋼鉄の拳をアリスにぶつける

がアリスはまるで水面のようにアリスの存在が揺れる

「第一の能力、私や私の触れた人間の存在のスクリーン化…”鏡の国の能力”…しようとすれば存在を相手から隠蔽することもできる」

「…そういうタイプ苦手です…正々堂々タイマンしませんか?」

アリスが現れた

「そういう能力もあるのよ?ただ、タイマンではあんたには勝てない…そう思っただけよ」

「ですが…」

アリスがため息をついた

「私の場合、死ななきゃどっちでも良いのよ、銃撃戦もしてるし怪我の覚悟は出来てるし…殺さないと約束してくれるなら」

「してくれるんですか!?タイマン!…私は人は殺しませんよ、あくまで決闘にしか興味はありませんし」

アリスが明後日の方向に視線をやった

「良いでしょう…見せてあげしょう二つ目の能力…ジャバウォックの詩」

アリスの腕が巨大な獣のように変化する

「ジャバウォック…伝説上の獣ですね…うふふ…楽しみです」

鋭く巨大な爪が鈍く黒い光る

「行くわよ、もう、姑息な手は無しよ!」

「血がたぎります…ね!」

また、互いに床を蹴り爪と拳が火花を散らす

 

海岸

「…嘘だろ」

小悪魔は押されぎみであった

「これが…世界…」

レミリアがにたにたと笑う

「気持ち悪いな…自分の部下の敗北がそんなに嬉しいか?」

「違う…あの頃の自分みたいだなと思って…」

レミリアが膝をついた小悪魔に近づいた

「小悪魔、新しい世界を…見てこい」

「…チルノ殿…頼みます、私を…spadeにいれてください!」

チルノはしばらく小悪魔の瞳を見つめた

吟味するように瞳に宿る覚悟を探るように

そして目を閉じて一言

「良いでしょう…」

「ハナからそのつもりだったくせに…素直じゃないねぇ…」

レミリアが急に口調を変えた

「小悪魔にもしもの事があれば殺す」

「分かってるよ…任せなさいな」

チルノがレミリアの肩をトンと叩く

その時、レミリアの携帯が鳴った

「もしもし、私だ…何?…何してんのよ!見張りは?!このままじゃ…血の海になる!」

レミリアが携帯をしまう

「何が?」

「フランが逃げた…大分、イライラしてたし…このままじゃ」

「!!」

チルノが携帯を開く

「…くそっ!出ない…もし、あいつらがもう本拠地に侵入してたら…」

「最悪だ…今から向かっても…」

夕日が傾きつつあった

「全て託してみるか…霊夢のやつみたいに」

チルノは携帯を再度取り出す

「もしもし、クラウドか?…今何処だ?…真っ先に霊夢の元へ迎え、そこで奴等のボスの妹を迎撃しろ、殺すなよ…じゃ武運を」

チルノが電話を切った

「誰に連絡したんだ?」

「なぁに…ただの偏愛者だ、いい男だが…ただあいつは霊夢を溺愛しすぎている、それに外国人の異能力者だ」

 

幽霊屋敷、地下図書館

「パチェ…ここは?」

パチュリーと魔理沙の姿があった

「地下図書館よ…紅の幽霊の頭脳であり、私の家」

「やっぱりパチュリーは…」

パチュリーが儚しげに微笑んだ

「そう、私は元マフィア…今、やってることは…」

「皆までいうな…私だっておんなじ経験があるんだよ…」

魔理沙の目の前に景色がフラッシュバックする

自分の持った拳銃と仲間の無残な死体

そしてどこかからこだます悲鳴

そこまで見たあとで魔理沙は振り払うように頭を振った

「魔理沙?」

「んでもねぇよ…でさっさと終わらせよう」

「あら?パチェじゃない久しぶり」

巨大な本棚の上に小さな影があった

小さな宝石のようなカラフルな装飾がカラカラと透明な音を立てる

「フラン!?なんで!」

「みんな外に行っちゃったからさ、暇でさぁ…ねぇ遊んでくれる?」

フランは無邪気な笑顔を見せる

「良いぜ、遊んでやろう」

「魔理沙!フランは…」

「良いじゃねぇか…悪いやつでなければなんとかなる」

魔理沙が光剣を展開した

「貴方は壊れない人?」

「おいおい、誰に聞いてんだ?まさか天下に名高いこの大怪盗、霧雨魔理沙様…にいってんじゃねぇよな?」

「怪盗?泥棒さん?…いいや、遊んでくれるのなら」

フランはレースのリボンを取り出した

「リボン?」

「魔理沙!離れて!」

床にレースのリボンが突き刺さる

床のタイルは砕け宙に舞う

「え…」

魔理沙は呆然としていた

「フランの能力はレースのリボンを刃物のようにして物を切る事ができる異能力よ!その鋭さは1mのリボンでこの屋敷を簡単に真っ二つにできるわ!それどころか三枚に下して刺身にできるわよ!」

「幽霊屋敷の刺身か、不味そうだ」

魔理沙が苦笑した

「ジョークを言ってる場合じゃないわ!逃げるわよ!」

「誰が逃げるといったよ?約束は守る…遊んでやるさ」

魔理沙は光剣を構える

「おいおい、もう遊びは終わりか?」

「ううん。寧ろ、これから!」

レースのリボンが宙を舞い魔理沙に襲いかかる

 

その頃、幽霊屋敷に男女が入り込んだ

「バカ共が…ったく…誰が巻き込まないっだ、誰に似た…?」

「十中八九、クラウドでしょうね」

「…霊夢を探すぞ 」

「分かりました!」

二人は銃撃戦の中を進んでいった




流石に全部、終わらせるのは気が引けたのでここで切りました
文字が多いだけ密度は高いとは思います
すっからかんではない…と信じたいですね(;・ω・)

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