♦はダイヤモンド・クロウスのリーダーこと
クラウドを中心に描きます
彼の霊夢への熟愛具合は病気の域ですw
早苗がRed ghostの異能力者と接触したとの情報を得て霊夢とクラウドはクローバー孤児院を訪れていた
早苗はベッドの上で安静にしていた
「心配をおかけしました…もう大丈夫ですよ」
「よかった…しかし体術だけで早苗に深手を負わせるなんて…余程の使い手だったのね」
「そうですね…異能力は体の変質でした…どれも物質だったので生物には変形できなさそうです」
クラウドが早苗に近づいた
「…あいつらは確かに交戦状態と言ったのか?」
「えぇ」
クラウドは俯いた
「…宣戦布告も受けてないが…もしかしたらこれが宣戦布告…spadeまで巻き込んでなにがしたい…」
クラウドが歯を食い縛る
「クラ?」
霊夢が心配そうにクラウドを覗き込んだ
「いや…大丈夫だ…相手が分かった…元マフィアだ…日本の主に横浜を縄張りとしているマフィアから切り捨てられた者達が集まり紅の幽霊を名乗り活動していたらしい…が…三年前、紅の幽霊がそのマフィアを潰したと聞いた…おそらく復讐だろう…そのあとは活発になり今は…元々マフィアが統治していた場所を統治する集団になっている…」
「そんな集団に喧嘩売られるなんてクラも大概、ヤンチャよねぇ」
霊夢がニコニコと笑った
「なにが可笑しいんだ…俺はお前らを…元spadeの面々を襲いだした時点で絶賛後悔中だ…」
クラウドは苦笑いを浮かべた
「気にしないでクラのせいじゃないよ…私はクラと会えたし嬉しいよ?それに、今更、マフィアごときに絡まれた位で死ぬほど柔な人生送ってないわよ?」
霊夢がにこりと笑った
「…それもそうだな…」
クラウドが霊夢の頭を撫でた
霊夢はなついた猫の様に砕けた笑顔をクラウドに向ける
「そうですよ、霊夢さんがそうそうに危ない目に遭うことなんてないですよ、私じゃないんですから」
霊夢が困惑を顔に浮かべる
「早苗も大概よ?だって骨折を寝て直すなんて…もうほぼ異能力みたいなものだね…どんな骨の構造になっているの…?」
「それは昔から疑問だった…どんだけ大きな怪我してもお前は翌日には直っている…何なんだ?お前の骨は」
「そんな事、私に聞かれてもですね…生まれつきといいますか…正直、異能力なんじゃないのかなって自分でも思うんですけどね」
早苗が苦笑いを浮かべた
「一度、然るべき施設で然るべき検査を受けるべきだな」
「それには私も賛成するわ…何か凄い成分が含まれてそうだもの」
「止めてくださいよ~病院は嫌いなんです…白って怖いじゃないですか」
三人を沈黙が包む
「あなたって…まぁいいや…」
クラウドが孤児院を出て行こうとした
「クラ!どこにいくの?」
「…野暮用だ…すぐ戻る」
クラウドは郊外の倉庫にいた
「小悪魔…出てこい」
闇からコツコツとハイヒールの音が響く
「小生に…ごほ…何か用か?敵軍の大将殿」
「大有りだ…がそれはお前だけではねぇだろ…spadeを狙うのは止めろ…どちらにしてもてめえの差し金だろ?」
小悪魔は蔑むような視線をクラウドに送る
「いかにも…小生がお嬢様にspadeを狙うように提案しました…それは本当に情報入手が目的でした…でもお嬢様はお考えを変えられました…spadeは危険だ…我々の目的の邪魔になる…故に我々、紅の幽霊が潰します…ダイヤモンド・クロウスを潰した後でね」
小悪魔の周囲空気が蠢きだした
高温になったことにより陽炎ができている
「小生の異能力はパイロキネシス…単純明快、対象を燃やす異能力也…しかし単純ながら強力だ」
小悪魔は手をつきだす
するとクラウドは物理的に燃えだした
「さぁ貴様の異能力を見せてみろ!」
クラウドの包んでいた炎は彼の一振りで消された
彼は身の丈程の大剣を握っていた
「良いだろう…見せてやる…これが俺の異能力だ」
クラウドは倉庫の壁に剣を突き立てる
するとその壁は何もなかったかのように消えた
「!?」
小悪魔が恐怖を感じバックステップで距離を取る
「俺の異能力は生き物以外の物がこの剣に触れると無条件で分解する能力だ」
「貴様…やはり貴様の異能力は脅威だ…小生が刈り取る…そうすればパチュリーさんも認めてくれる…小生は彼の人を越えられる」
「彼の人…?誰だ?」
「貴様に語る義理はない…ここで死ね」
小悪魔は一気に距離を詰めクラウドの剣を蹴り飛ばす
クラウドは手を押さえ距離を置く
「貴様の異能力は確認した…その剣が無ければ赤子当然」
言い切る前にクラウドの鋭い蹴りが小悪魔の顔面に突き刺さる
数メートル吹き飛ぶとクラウドに威嚇するように唸る
「俺が女の顔を蹴れない程の優男に見えたか?」
「クラウド・ストライフ!」
小悪魔は沸き上がる咳を圧し殺しクラウドに火をつける
「そんな柔な炎で俺が焼けるか!」
続いてクラウドの拳が小悪魔に突き刺さる
堪えきれず小悪魔は激しく噎せる
「今度はどこがいい?」
「…」
「異能力だけで俺が元spadeを名乗っていると思っているのか?ならその目は節穴だ」
「なんだ…!、ごほ!ごほ!」
クラウドは剣を拾ってきた
「…殺せ」
「わかっている…死ね」
クラウドの剣は何かに止められる
鎖だ、鎖に変形した倉庫の壁がクラウドの剣を止めた
クラウドの異能力によって分解されることのない鎖は剣の勢いを殺すには十分過ぎた
「クラ!」
霊夢の甲高い声が倉庫に響く
「…命拾いしたな
Fille de l'asthme<喘息のお嬢さん>」
「ふざけるな…殺せ!その剣を小生の喉に突き立てろ!それが貴様の…」
クラウドは腕をプラプラさせた
「悪いな、俺は霊夢の前で人は殺さない…どこかで…今度はコジャレたバーで会えたら嬉しいな、あんたみたいな人、嫌いじゃない」
クラウドと霊夢は倉庫を出ていった
「くっ…ふざけるなぁ!」
小悪魔は霊夢にパイロキネシスをかけた
霊夢の体に火がつく
「…小生の…小生は…!」
火が鎖状に変形していく
「なに…異能力干渉の異能力だと…」
異能力者は別の異能力者が作った物には通常は干渉できない
例えば氷を作る異能力と熱を生み出す異能力がぶつかっても前者の氷は溶けない
パイロキネシスと氷を作る異能力がぶつかると燃える氷ができるだけで
氷事態は無くならない
そういう異能力は非干渉の異能力という
だが特例で異能力で完成した物に干渉できる異能力者がいる
例えば今回のそれである
クラウドは霊夢の作った鎖は分解できないが
霊夢は小悪魔のパイロキネシスで作られた炎を鎖状に変形できる
霊夢はこの際、異能力干渉型の異能力という分類に入る
その分類に入るのは一握りくらいだ
そう考えると霊夢という異能力者がどれだけの希少種かが解る
「…どこまで…似ているんだ」
小悪魔が歯を食い縛る
霊夢はどこか蔑むような目で小悪魔を見下ろした
「小生は…貴様らの…」
「哀れね…Chien de fantôme<亡霊の飼い犬>…所詮は飼い犬ってこと…」
小悪魔が表情を歪めた
「小生を愚弄する気か!」
「忠誠心より虚しくなにも残らないものはないよ…忠誠は表では二人でも心のなかでは一人なの…一人ぼっちは淋しいよ…」
「知った口を聞く…しかし性格は似ていないな…やつは忠誠心の塊だからな」
小悪魔が立ち上がった
「いつかここで小生を殺さなかった事を後悔させてやる…」
小悪魔は咳を響かせながら去っていった
「クラ…あいつの事を殺そうとしたの?」
クラウドは頷いた
「敵に情けを掛けられ生き残るのがどんだけ不名誉で…苦しい事か…解るか?…俺は解る…傭兵時代によく見かけた、死ぬより辛い…」
「そうなんだ…傭兵って辛いんだね…マフィアも…きっと」
クラウドか間髪いれずに言った
「傭兵とマフィアは違う…が…同類の悲しみを背負っている事は…確かだな…」
小悪魔の声が響いた
「彼の人…あいつをあそこまで執着させる者…誰だというんだ…それにパチュリーさん…パチュリー…」
「ん?パチュリーがどうかしたの?」
霊夢が反応した
「霊夢、知り合いか?」
「魔理沙んとこの怪盗団の一人よ、静かで博識なの…自身の体を毒に変化させる異能力だったはずよ」
「まさかな…」
「どうしたの?」
クラウドが鋭く空を睨む
「…考えすぎ…か…」
「変だよ?クラウド…」
クラウドが微笑して霊夢の頭を撫でた
「何でもないよ…心配させて悪いな」
「…うん…」
霊夢の砕けた笑顔を見ているとクラウドは落ち着いて思考できなくなる
だから
(まっいいか)と内心で決着を着けた
がクラウドの懸念が真実になるときも近い
彼の懸念はいつ、真実になるのか
そして本格的になり始めたダイヤモンド・クロウスと紅の幽霊の抗争
そして巻き込まれる形になるハート怪盗団とspade
東京の町を巻き込んだ抗争は大きく肥大化していく
そして霊夢に似た彼の人とは…?
作者もこれどうなるんだろって思ってたりします(´・ω・`)