Roar!   作:渋川 武志

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SCENE-8 放課後① 戦隊ごっこ

-放課後の教室

 

永井は教卓に立っていた。

 

 

永井「てなわけで」

 

篠田「あ、ランランも来たのね」

 

愛川「うん、楽しそうだし、何より男子の誘いを断るのに持ってこいな理由だし」

 

篠田「ランランのそういうところ怖いけど好きだわ」

 

永井「戦隊ごっこしようか」

 

 

 

篠田「・・・・・」

 

愛川「・・・・・」

 

 

永井「え、何どうしたの?」

 

篠田「こっちのセリフなんだけど・・・。えなに?戦隊ごっこ?

   幼稚園児か!それにうちら女子!!」

 

永井「性別なんて関係ない!昼休みに言ったでしょ!

   私たち男子よりもバカになるの!」

 

篠田「だからもうすでにバカだっつの!」

 

愛川「そうだよ。うちらの中間考査の点数全部足しても徳河の合計点数にかなわないんだよ」

 

永井「それは比較対象がおかしいだけだって!頭いい奴と私たちの頭脳を比べるな!」

 

篠田「で、話戻すけど、仮に男子よりバカになるとしても

   男子がするようなことしなくてもいいんじゃない?

   例えば女子らしいバカなこととかすればいいじゃん」

 

すると永井は急に真顔になった。

 

永井「女子ってバカじゃないですよって感じだしてるけど

   実際男子がしてることよりもよっぽどバカなことしかしてないよね」

 

篠田「おい急にマジトーンになるなっつーの」

 

永井「ぶっちゃけさ、今言った戦隊ごっこの方がくだらない恋バナなんかよりもずっと高度な遊びだよね」

 

愛川「具体的にどの辺が?」

 

永井「一種のロールプレイングじゃない?みんなにそれぞれの役割が与えられていてさ、

   みんなその役に適した言動とか行動とかして話を進めていくわけじゃん?

   他人の好きな人とか自分の好きな人とかのことずっと話してるより

   ずっと感受性や想像力を豊かにすると思わない?道徳的な面でも

   役ごとの人物の気持ちとかがよくわかっていいと思うし」

 

篠田「おお・・・語るな・・・語るね。え、どうしたの?」

 

愛川「楓のシリアスモードが起動しちゃったっぽい」

 

 

永井「だからさ・・・やろう?」

 

篠田「う・・うん。もうこれやるしかないな」

 

 

 

 

永井「じゃあわたし戦闘員役ね」

 

篠田「おい待て待て、なんでこの人数でその役チョイスした?」

 

永井「え、だって戦闘員って大事な役じゃない?」

 

篠田「うん、大事よ。戦闘員がボスの指示によって悪事を働くことで

   レンジャーが動きを起こすからね。

   物語の起点だからね。うん、やっぱ大事だわ」 

 

愛川「意外とわかってる恵であった」

 

篠田「えー、じゃあうちどうしよう」

 

愛川「めぐみは腹黒いから悪の総統でいいと思うよ」

 

篠田「天使のような笑みでそんなこと言わないで!!?」

 

永井「うん、私もそれがいいと思うよ」

 

篠田「え。ちょ・・え?そんな風に思われてるの?腹黒い面見せたことあった?」

 

永井「女ってさ・・・そういうの敏感なんだよ」

 

篠田「お前いい加減シリアスモードやめろ!」

 

愛川「まぁ私たち3国同盟的なところあるしね。本当の意味で友達なわけじゃないから

   そういうところ普通に見えちゃうんだよ。恵は性格悪いと思うよ」

 

篠田「もういいよ!!そこまでストレートに言われたらあきらめもつくわ!」

 

愛川「じゃあ私は夜道端を歩いていたら悪の秘密結社に捕まって怪人に改造された

   一般人役ね」

 

篠田「ウェーイト!!ウェイト!!戦隊ごっこでしょコレ!?戦隊役は?!」

 

永井「なんてこった・・・やっちまった・・・戦隊がいないとごっこが成立しない・・?!」

 

愛川「うん、わかってるから。同じこと2回繰り返さなくていいよ」

 

永井「どうしよう・・・人を増やさないと・・」

 

篠田「いや誰かが役を変えればいいでしょ?!」

 

永井・愛川「それは違うお!!」

 

篠田「違うおってなんだ!?つかランランまで・・」

 

愛川「自分に与えられた重要な役割をもっと大切にしようよ、恵!」

 

永井「その役はオンリーワンなんだよ!!」

 

篠田「自分たちで決めた役だよね?!」

 

そうこうしているときに永井たちがいる教室の横を不運な男:中島は通りかかってしまった。

 

 

永井「あ、ちょっと中島君!待って!」

 

中島「うわ、昼休みの2人+αだ・・・つかなんで俺の名前知ってんだよ」

 

永井「ねぇ今暇?」

 

中島「あぁ、暇だけど」

 

愛川「一緒に戦隊ごっこしない?」

 

中島「はぁ?!戦隊ごっこ?」

 

篠田「あー、お願いだから引かないでね、うちは無理やりやらされてるだけだから」

 

中島「君たち本当に面白いな・・やる!」

 

篠田「ええええええええええ!?」

 

続く-

 


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