Roar!   作:渋川 武志

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SCENE-5 昼休み① 知らなかったよそんなこと

-教室

 

安央「ふぅ・・・・・」

 

安央「・・・・」

 

おもむろに机の中から本を取り出す。

 

辻本「なに読んでんだ?」

 

安央「ん?トモダチが書いた小説」

 

辻本「へー、どんなの?」

 

安央「暴力組織に支配された街で滅茶苦茶な高校生たちが街を取り戻すため

   暴力組織と戦っていく話」

 

辻本「へー、面白そうじゃん。読み終わったら借りてもいい?」

 

安央「うん、いいよ」

 

安央「・・・・」

 

小説を読むのに秒速で飽きた安央。

 

安央「暇だな・・この時間」

 

叶野「おい、やすひこ。暇そうだな」

 

安央「ひこじゃねーよ、ひろだよ」

 

叶野「どっちでもいいじゃんかよ。さっきからずっと女子の方見てたの黙っておいてやるからさ」

 

安央「この教室のどこ観ても今は女子しかいねーだろ」

 

叶野「なぁ?お前なんでいつも一人でご飯食べてんの?まさかぼっち?」

 

安央「別に一人で飯食っててもいいじゃんかよ。そういうお前だっていつも

   恩田としかごはん食べてねーじゃんかよ。恩田しか友達いねーのかよ」

 

叶野「0のお前よりはましじゃね?」

 

安央「認めたと同時にディスんのやめろ!」

 

叶野「あたしさー、なんつーの?女子高生のノリって苦手なんだよねー。

   なんかさ、どーでもいいことではしゃいで、面食いばっかで、

   金とかそういうとこしか見てなくて

   見栄張ることしか考えてなくて、つまんねー恋バナして、

   すぐに悪口大会開催してさー」

 

安央「おいおいなんだお前・・・、なんか溜まってんのかよ」

 

叶野「お前女子高生の面倒くささ、知らねーだろ?」

 

安央「そりゃあまぁ男だしな」

 

叶野「常に周りの目に気を配ってなきゃすぐに仲間はずれ。空気読めない発言したらすぐに

   陰口の的になるし、一度そうなったらもうおしまい。

   ひたすら自分を良く見せるために

   他の子を見下して、変な噂立てていじめたりしてさ・・・・・」

 

安央「わかった、わかったからもうな!わかった。聞いてて苦しい!

   とりあえず、女子高生がすごくどす黒い生き物だということはわかった」

 

叶野「なら良し。あ、あとね、あいつらは彼氏がいて、股の赤壁突き破ってることが

   ステータスらしいから、変なのに捕まらないように気を付けてね。

   今3年でみんな必死だからさ」

 

安央「赤壁ってお前ら三国志かよ。つかそこんところは男となんら変わんねーだな」

 

叶野「中には男よりたちの悪いやつもいるけどね」

 

安央「?」

 

叶野「トライアングルクリエーター」

 

安央「え、何それ」

 

叶野「これあたしが名付けたの。意図的に三角関係を作って

   自分が悲劇のヒロインになっているというシチュエーションを味わう女」

 

安央「そんなやついるのかよ!?ちょっと理解できねーぞ」

 

叶野「いるんだよ・・・このクラスにも」

 

安央「このクラス!?え!嘘!?マジ!」

 

叶野「お前声でけーよ!!ピュアかお前は。これ結構有名だろ!」

 

叶野「ねえなかじ」

 

中島「ん?」

 

叶野「神崎がトライアングルクリエーターで夜の一騎当千なの知ってるでしょ?」

 

中島「当たり前だろ。みんな知ってるし」

 

安央「ええ!?つかその言葉通じるの!?トライアングルクリエーター通じるの!?

   え!もしかして知らなかったの俺だけ!?」

 

中島「じゃね」

 

叶野「お前ピュアだな」

 

安央「え・・・えぇ・・・。まぁそうだよな。

   俺そういう話するやついないし・・・、なんか・・・」

 

安央「ぼっちでよかった・・・」

 

叶野「それとこれとは関係なくね?」


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