Roar!   作:渋川 武志

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SCENE-20 ストレス発散方法

PM-19:00 帰宅

 

水嶋「はぁ・・・・・だる」

 

水嶋 才加。28歳 職業:高校教師

 

彩珠東高等学校の3年8組を担任している。

そう!徳河たちのクラスの担任である!

 

水嶋はささっと風呂に入って上がる。

 

水嶋「はぁ・・・・・・」

 

そしてご飯を作って食べて洗う。

 

一人暮らしの生活で家に帰ってからやることなんてこんなもん。

 

会話は当然ない。

 

家に帰ってから家族に愚痴も言えない。

 

そういう時どうするか。

 

 

 

 

この女の場合は”ゲーム”だ。

 

 

 

 

 

水嶋「ふぅ・・・・」

 

 

 

狭いアパートのリビングのソファに座って、いつもの定位置。

 

夜はヘッドホンをつけて、プレイ。基本ボイスチャットはしない。

 

なぜならひたすら撃つ、殺す、撃つ、殺すを繰り返しているからだ。

 

そこに感情はない。ただ、人を撃ち殺す。

 

そして撃たれた側のプレイヤーの様子を想像して満足する。

 

ちょっとよくわからないけどわかる人は

どっかにいるんじゃないかってレベルのストレス解消法。

 

しかし今日はいつもと・・・何かが違った。

 

 

この日は土曜日であった。

 

 

PM-21:00

 

徳河家

 

安央「おーい、七海、風呂入った?」

 

七海「まだ。スイッチ切らないでー」

 

安央「じゃあ、お前上がるときちゃんっと切れよ?」

 

七海「ふーい」

 

 

安央は飲み物や食べ物を持って部屋に戻る。

 

はい、またお泊り会です。

 

安央「戻ったぞー!」

 

辻本「おう」

 

石田「あ、お菓子ありがとうな」

 

安央「いいっていいって!」

 

五十嵐「サンキュー!」

 

※初登場の石田君と五十嵐君の紹介。

 

石田 賢司 

安央と同じクラスのスポーツマン。

運動神経万能の学校内美少年ランキング第3位。

 

 

五十嵐 創

安央と同じクラスのイケメン君。

学校内美少年ランキング第2位。普通のノリのいいやつ。

 

 

安央「今日はマルチじゃなくてオンラインやるか!」

 

石田「ああ、1プレイ交代でいいよな?」

 

五十嵐「いいよそれで。このルームでいいよな?」

 

辻本「初心者部屋とかなんか地雷っぽいルーム名だな・・・。刈られないかね?」

 

 

 

-水嶋の部屋

 

水嶋「今日も刈るぞ・・・・・初心者共よ、私のストレス解消の屍となるがいい

ふふ・・・・くふふふふ・・・ははははは!!」

 

 

 

※まだプレイしてません。

 

 

 

 

-安央の部屋

 

安央「最初は俺でいい?」

 

石田「いいよ」

 

五十嵐「かませ!やっす!!」

 

辻本「負けても泣くなよ。お前FPS下手糞なんだから」

 

安央「泣くわけねーだろ!!17歳だぞ!」

 

 

 

そして戦いが始まった。

 

 

安央「おーし・・・・まずはグレネードと行くかな・・・」

 

五十嵐「お前馬鹿だろ!!」

 

 

 

 

水嶋「さーて、どいつを狙うかな・・・」

 

水嶋「・・なんかいきなりグレネード投げてるやついるな・・

   あいつにするか」

 

 

 

 

石田「おい撃たれてるぞ!」

 

安央「え・・ああ・・・」

 

辻本「ゲームを所有している本人のレベルだとは思えないな」

 

安央「ちくしょおおおみんなああああ、ぶっ殺してやるああああああああああ」

 

 

 

 

 

水嶋「こいつマジか!!避け方も知らないのか!?

   これはいいかもだな!!はははっ」

 

 

 

安央、誰も殺せない。

 

 

 

安央「くそ・・・・弾が当たらないだと・・!?」

 

五十嵐「お前エイム使わねーからだろ!!」

 

安央「エイムってなんだ!?日本語で話せよ!」

 

石田「自信の表れじゃなくて単に知らなかっただけなのか・・・」

 

辻本「お前このゲーム買ってから何回プレイしたんだ?」

 

安央「これ買ったの俺だけどやってるの一番下の妹だし!!!!」

 

石田「マジかよ」

 

 

 

 

 

 

 

水嶋「面白いくらい簡単に死ぬな・・・。

   イライラしてんだろうなぁ・・・ははっ」

 

 

 

 

 

安央「っち・・・・・」

 

五十嵐「なんかやっすさっきから同じ奴から狙われてね?」

 

安央「ああ・・・こいつさっきっから・・

   んああああああなんで当たらねーんだよ!!!」

 

 

 

 

 

水嶋「どーこ狙ってるのかなー?お嬢ちゃん・・ぶはははっ」

 

 

 

 

 

 

 

安央「くそおおおおおおおおおおおおおおお」

 

 

ゲーム終了。

 

 

安央のスコア 堂々最下位。

 

安央「なんだってんだよおおおおおおおおお」

 

リモコンを叩き付けるも、自分のつま先に直撃する。

 

 

安央「ぎゃああああああああああああああああああああああ」

 

石田「あーあー、物を大切に扱わないからだ」

 

 

 

 

 

 

水嶋「今頃発狂してるんだろうなぁ・・・。いいゲームでしたありがとうございます。

   次もいたら狙お。

   しっかしいまだかつて見たことのないくらい下手だったなこいつ。小学生か?」

 

 

 

 

安央「だって・・・・あああああいてぇ・・ちょっと足冷やしてくる・・・ぐすん」

 

 

辻本「やっぱ泣いてんじゃねーか」

 

石田「ついでに頭と心も冷やして来い」

 

五十嵐「俺に任せておきなさいって!こーゆーのは!!」

 

石田「お前はこのゲーム持ってるんだっけか?」

 

辻本「ちょっと期待できそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

水嶋「あ、またいる。今日はとことんこいつをいじめよう。そうしようふふっ」

 

 

 

 

 

 

五十嵐「おい、またさっきのやついるぜ?」

 

石田「こいつこの部屋のホストだな」

 

辻本「部屋主が初心者刈りなのかよ・・・ストレスでも溜まってんのかこの人」

 

五十嵐「俺はやっすとは違・・・」

 

石田「死んだ」

 

辻本「ヘッドショット・・・・」

 

 

五十嵐「まぁまぁ・・こういうこともあるよね戦場では」

 

石田「次はないけどな現実だと」

 

 

 

 

 

 

 

水嶋「さっきより動きがよくなってるな・・・まだクソだけど。

   プレイヤー変わったなこれ。

   お泊まり会でもして回してるのか?なら徹底的にいじめてやるよ。

   そこにいるやつらみんな私の餌なのさ・・・ふふっ」

 

 

 

 

五十嵐「あーダメだ、こいつ強い!!!」

 

石田「全部ヘッドショットじゃねーか」

 

辻本「しかもめっちゃ煽ってくる!」

 

五十嵐「あーうぜーなコイツ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

水嶋「わかる・・わかるぞ。画面の向こうでイライラしている顔が。

   動きが乱れてる。射撃精度も落ちているし。

   戦場で感情的になったって意味はないのよ」

 

 

 

五十嵐が初めて水嶋を捕らえる。

 

 

 

五十嵐「よっしゃ、当たった!!このまま・・・」

 

 

 

 

しかし、五十嵐の足元には地雷が・・あった・・。

 

 

 

 

 

 

 

水嶋「きゃははははははははは!!!!ざまーーーーーーーーーー!!」

 

 

 

 

※28歳の女性です。

 

 

 

 

 

 

五十嵐「うわっ!!!!!・・・うわぁ・・・・・・」

 

石田「もう声にもなってねーな」

 

辻本「これはうざい!!」

 

 

五十嵐「ぐすん・・・ちょっとトイレ行ってくる」

 

石田「なんでみんな泣くんだよ」

 

辻本「次は石田君か」

 

石田「ああ・・」

 

安央が戻ってきた。

 

安央「なんか五十嵐君泣いてトイレ入っていったけどなんか言ったのお前ら」

 

石田「お前と同じだよ」

 

安央「マジ!?あいつも負けたの?またあいつ!?」

 

辻本「その通り」

 

安央「あいつまだいんのかよ!!」

 

石田「つかこの部屋のホストだ」

 

安央「くそ・・・・」

 

辻本「もうこの部屋出れば?」

 

石田「いや、ここまで仲間が無残にやられているんだ。仇は俺がとる」

 

安央「おお!!頼んだぞ石田!!」

 

 

 

 

 

 

 

水嶋「次はどんなやつが動かしてくるかな・・・・。

   しかしさっきの地雷は最高だったわー。

   ビール5杯分くらいあったねマジで」

 

 

石田「俺はさっきまで奴の動きを見ている。

   癖をある程度把握したからな、行けるぜ」

 

安央「期末テスト9教科200点台のやつの言うセリフだとは思えねぇぜ・・・」

 

石田「戦場では生きていることこそが勝利だ」

 

 

水嶋「・・・ん?こいつはさっきまでわたしのプレイを見てんだな。

   それなりに私のパターン把握してる動きだな・・・。

   でもそれ、意味ないよーーーー!!!はははっははは!」

 

 

 

石田「よし、行ける!!」

 

 

 

水嶋「ふん」

 

 

石田「なっ!?消えた!?」

 

 

 

 

水嶋「まだまだプレイしたりてないんじゃないか?」

 

 

 

辻本「隠しルートだ!!!」

 

石田「はっ!」

 

石田はナイフキルされた。

 

石田「くそ!!!!」

 

安央「お前結構熱くなってんな・・・」

 

石田「チクショウ・・・仲間の屍を背負ってるんだ俺はああああああああ」

 

辻本「真面目か!」

 

石田「あれ?あいつどこ行った・・・?」

 

安央「・・・・・嫌な予感が」

 

 

 

 

すると突如上空から空爆された。

 

 

 

 

 

石田「うわあああああああああああああああああああああああ」

 

 

 

 

 

 

水嶋「はははははははははははははははははは!!!」

 

 

 

 

安央「ぜってーあいつじゃん!!あいつだよ今の爆撃機!!!」

 

辻本「ここまで画面越しから性格の悪さがにじみ出てる人っていないと思うわ。

   絶対画面越しに笑ってる」

 

 

 

 

水嶋「ふふ・・はhっはsgbd」

※笑い転げてます。

 

 

 

 

石田「くそ・・・・俺は・・・すまん!!!」

 

安央「いや、まぁ謝らなくていいよ」

 

石田「俺は仲間の仇も打てない情けない男だ・・・・。

   ちょっと今日はかえって反省しなければ・・」

 

安央「いや、真面目か?!これゲームだからそこまでマジにならんでいいよ!!?」

 

石田「くそおおおおおおお、俺はなんて無力なんだ!!!」

 

五十嵐「はぁ・・・終わった?」

 

辻本「またあいつにやられた」

 

五十嵐「マジあいつ性格悪くね?プレイにそれがにじみ出てるし・・・。

    そのくせ強いとかマジたち悪い・・・・」

 

安央「このまま負けたままじゃ後味悪いしな・・・俺はもう一回行くぜ」

 

辻本「安央・・・お前・・・また泣いても知らないぜ?」

 

安央「ナミダの先には・・・勝利が待ってるさ」

 

五十嵐「行こうぜ賢司、やっす、辻本」

 

石田「ああ、まだ俺は戦える・・」

 

 

 

 

 

安央「うおおおおおおおお」

 

負。

 

 

五十嵐「うああああああ」

 

負。

 

 

石田「はあああああああ」

 

 

負。

 

 

 

 

そんなことを1時間繰り返した。

 

 

 

安央「はぁはぁ・・・」

 

五十嵐「勝てねぇ・・・」

 

石田「もう・・・手はないのか・・・・」

 

辻本「・・・いや待て・・・あるぞ」

 

安央「なんだよ?」

 

辻本「お前の妹、一番下の」

 

安央「・・・・・あぁ!!!その手があったか!!!」

 

五十嵐「どういう意味?」

 

安央「俺の一番下の妹はまぁFPSめちゃちゃくちゃ強いんだよ!!

   あいつならこのくそ野郎に勝てるかもしれない!!!」

 

石田「正直もう誰でもいいからあいつを倒してくれ。それで俺は満足だ」

 

 

辻本「そうだな」

 

 

 

安央「みんなで頭下げよう!!」

 

 

 

 

 

風花の部屋に行く4人。

 

 

 

 

 

安央「風花‼起きてるか?」

 

風花「何?」

 

安央たち4人は土下座した。

 

4人「お願いします!!あのくそ野郎を倒してください!!!」

 

 

 

高校生4人が小6に土下座をしている。

 

 

 

 

風花「・・なんだ、そういうことか。初心者刈りね。

   そういうやつわたし嫌いだから任せて。

   二度とそんなことできないようにしてあげる」

 

 

五十嵐「お、おう。たくましいけど将来が心配だな」

 

安央「それなんだよなぁ・・・」

 

石田「しかし本当にFPSできるのか?この子」

 

風花「見た目で判断しないで」

 

石田「すみません・・・・・」

 

 

 

 

 

水嶋「まだいんのかコイツ。ドMか!!まぁやられたいんならやってあげるわ」

 

 

風花「・・・」

 

 

ゲーム開始

 

 

 

 

 

水嶋「・・・?!なんだ?動きが・・」

 

 

 

 

五十嵐「うわ!すげぇ上手いじゃん!」

 

 

 

水嶋「なっ・・え!?」

 

 

 

 

 

石田「やったぞ!!ワンキルしたぞ!!あいつを殺した!!」

 

安央「よくやったぞ風花!!!」

 

辻本「なんだろうこの達成感!俺最初から一回もプレイしてないのに!」

 

 

 

 

水嶋「っち・・・あいつらの中に一人だけ上手いやつがいたんだな・・・・。

   くそ・・煽る暇がない・・。私を本気にさせたな・・・」

 

 

 

風花「その手は食わん」

 

水嶋「トラップにも引っかかんねー!!!

   ああああああああああああああああああ」

 

 

風花「どこ見てんの?」

 

 

水嶋「どっから撃ってきた!?今!?」

 

 

 

風花「あー、遅い遅い」

 

 

 

水嶋「うぐあああああああああああああああああああ」

 

 

 

辻本「なんか、あいつさっきの俺らみたいになってんな」

 

 

石田「食物連鎖ってこういうことなのかな」

 

風花「初心者を煽ってるレベルで満足しているような兵士は戦場で生き残れやしない」

 

 

五十嵐「この子人生何回目?」

 

安央「たぶん7週目くらいか?」

 

水嶋「あああ・・・あああああああああああああああああああああ

   弾が当たらねぇー!!!!」

 

 

水嶋「最後に空爆してやる・・・うううううう」

 

 

しかし、爆撃機のそばには・・地雷があった。

 

 

 

 

 

ボン。

 

 

 

 

 

 

風花「因果応報」

 

 

 

 

 

水嶋「ぐあああああああああああああああああああああ

   ああああああああああああああああああああああ

   ああああああああああああああああああああああ

   ああああああああああああああああああああああ」

 

 

 

 

安央「やったああああああああああああああああ!!!」

 

石田「勝ったぞ!!!!!」

 

五十嵐「やったぜ!!!すごいぜ風花ちゃん!!!」

 

風花「これくらい余裕よ」

 

辻本「しかも寝起きでこれだからな・・・その実力は計り知れん」

 

 

 

すると部屋のドアが開いた共に何かだ飛んできた。

 

 

 

 

 

七海「うるせぇんだよ!!!」

 

七海の飛び蹴り。

 

安央「ぐへぁっ!!」

 

こうかはばつぐんのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水嶋「あああああああああああああああ・・・ああああああああ」

水嶋「なんでこうなるんあだああああああああああああああああ」

 

 

 

大家「うるさいよ!!!!」

 

 

水嶋「ぐあああああっ!!!」

 

水嶋も大家に飛び蹴りされてた。

 

 

 


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