-安央の部屋 PM21:30
安央「なぁ、なにする?」
成明「んー?寝る」
安央「お前グラサンしてるから寝てるか起きてるかわかんねーよ。
つか夜くらい外せよ!」
成明「別にいいじゃないか。
グラサンはもはや俺の体の一部なんだぞ」
安央「吉森は?」
成明「お前そこで無視するか・・・」
吉森「映画でも見る?それとも・・・・」
成明「はしゃいじゃうか?」
安央「お前に聞いてねぇよ!!」
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吉森「はしゃぐって何するんだよ?」
成明「まぁいつもみたく即興劇やったりとか?」
安央「最近はマンネリ感あるけどな」
吉森「ゲームやる?」
安央「今、陸がもってっちゃっててねーんだよ。あいつは泊まりに行ってる」
成明「ならアナログといくのはどうだ?」
吉森「トランプとか?」
安央「トランプは七海がもってっちゃっててねーんだよ。あいつも泊まりに行ってる」
吉森「じゃあUNOは?」
安央「UNOは風花が持ってっちゃててねーんだよ。あいつは今修学旅行に行ってる」
吉森「何にもねーじゃねーかよ!逆に何ならあるんだよ!」
成明「どうりで今日は静かだと思ったよ」
安央「うーん・・あ、すごろくならあったな」
吉森「もうそれでいいよ」
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安央「これ風花が学校で作ったすごろくらしい」
成明「なんかすごろくというより・・人生ゲームっぽいな」
吉森「なんで妹が作ったやつなんだよ!市販のはないの?」
安央「それは元から持ってない。だってやんねーだろすごろくとか」
吉森「確かにそうだけどさ!ああ、もう!!」
成明「まぁいいじゃないか、とりあえずやろう」
安央「俺からだな、ほい」
”3”
安央「3か」
安央「ん?自転車に乗る練習をしている最中にトラックにひかれて死亡。
振り出しに戻どる」
吉森「いきなり!?いきなり死亡!?」
成明「なるほど、転生しろということだな。
また別人として人生をやり直すチャンスがあるみたいだな」
吉森「あるみたいだなってこれすごろくだろ?」
成明「吉森、このマスを見ろ」
吉森「友達に連帯保証人になってもらいそのまま借金1000万を擦り付けた。
借金は消えたが、友達も同時に消えた。気づいたら家族にも勘当されていた。
兄が私名義で金を1億借りていたことが発覚し、ヤ○ザに追われ
逃走中にヤ○ザに捕まって体をばらされて死亡。
ゲームオーバー。もう振出には戻れないよ」
安央「なげーよ!!つかナニコレ!?あいつどんなすごろく作ってんだよ!?
小6だぞ!?まだ小学生なんだぞ!?俺は悲しいよ!
俺よりも世の中悟ってんじゃん!!」
成明「ここでの兄は恐らく安央のことだろう・・・・。つまりそういうことだ」
安央「え、どーいうこと!?あいつには結構優しく接してるつもりだよ!?
つか、あいつからのあたりの方が強いんだけど!?」
吉森「だから、嫌われてんだろ」
安央「へぇえええ!?」
成明「妹その2の中ではお前はかなりの屑として認識されているようだな。
その証拠としてこれを見ろ」
「兄がトモダチと火遊びして家を燃やした。あたしは死んだ。
ふりだしに戻る」
安央「また振り出しかよ!!つかこれお前らも入ってんじゃねーかよ!!」
吉森「いつも騒がしい俺らのことも嫌いだったんだな・・・」
成明「あたしは死んだと書いてるあたり俺たちに罪悪感を感じさせようとしているな・・・。
かなりねじ曲がった性格をしていると見える」
安央「なんかごめん。ごめんな風花、お兄ちゃんが悪かったよ・・・。
こんなバカな兄貴を許してくれ」
成明「・・?おい、2人共これを見ろ!」
吉森「これゴールじゃないか」
「ゴール。悔いなくいい人生を歩むことができた。
私は私として生まれることができてよかった。」
成明「ちなみにこのすごろく、ゴールまでたどり着くには決まった数字のさいころを
決まった升目で出さなければゴールにはたどり着けない仕組みになっている。
つまり、ゴールまでの道は一つしか存在しない」
吉森「本当だ。それ以外全部振り出しに戻る出しな」
成明「その道を見てみろ」
「兄が宿題を手伝ってくれた。
おかげで夏休みの宿題を1日で終わらせることができた。4マスススム」
「姉が結婚した。兄2人と私とでサプライズプレゼントをした。
姉はすごく喜んだ。6マスススム」
「兄が借金を肩代わりしてくれた。
大学に行くお金を全部払ってくれた。5マスススム」
安央「風花・・・・」
成明「このすごろく、あの子なりに考えた人生そのものなんだろう。
多くの失敗が待ち受けている人生の中で
幸せな道だけを享受して生きていける確率は極僅か。
多くの人間は本来あるべき幸せをほとんど知らずに死んでいく。
そしてまた別の人生が始まる、それを未来永劫繰り返していく。
それが人生なんだと」
吉森「・・・何回転生したら小6でこんなすごろく作れるんだろうな・・・」
安央「・・なんか別の意味で心配になってきた」
結局朝までやったが誰もゴールできずに終わった。