Roar!   作:渋川 武志

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SCENE-15 すれ違った人

休み時間

 

永井「もぞもぞ」

 

篠田「おい、どうした楓。今日はやけに静かじゃん」

 

永井「恵・・・私、恋しちゃったみたい」

 

篠田「ぶふっ」

 

篠田は吹いた。

 

永井「え!?ひどい!?そんな!?」

 

篠田「あ、え?あ、ごめんね。ちょっと今の面白かったから」

 

永井「もう!だから恵は性格悪いんだよ!!

   魚の骨がのどに刺さって苦しめ!!」

 

そういって永井は教室を出てった。(次は移動教室)

 

 

篠田「あいつ暴言かわいいいな」

 

 

 

永井「ああもう・・・胸がチクチクする・・・。これってマジだったんだ・・・」

 

永井「うわ!」

 

永井は廊下の曲がり角で誰かにぶつかった。

 

永井「ごめんなさい!!」

 

安央「え、ああ。大丈夫?」

 

永井「あ・・・・・・」

 

永井は安央の顔をじーっと見つめる。

 

安央「・・・?」

 

永井「徳河君だよね?」

 

安央「うん・・・そうだけど。何?」

 

※永井と徳河は一回クラスが同じだったけどあんまし話すことはなかった。

  だから面識は一応ある。

 

永井「ちょっと相談があるの!!昼休み屋上に来て!!」

 

そういって永井は行ってしまった。

 

安央「屋上って、入れねぇだろ・・・・・」

 

 

 

昼休み

 

 

 

安央「あ、来た」

 

永井「ああ、来てくれたんだ」

 

安央「で、相談って何?」

 

永井「その、昨日私見ちゃったのよ・・・、街中で徳河君のこと」

 

安央「昨日?・・・ああ、もしかしてスーパーバーガーの近くにいたの?」

 

永井「いや、店の中にいたの」

 

安央「マジ!?」

 

永井「まぁ奥の方の席にいたからね・・・。

   あ、それでねぇ・・・・」

 

安央「ん?」

 

永井「店に銃を持って入ってきた人・・・いたでしょ?

   あの警察呼ばれてた人」

 

安央「ああ、吉森?」

 

永井「吉森君っていうの?」

 

安央「あいつがどうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

永井「私・・・一目ぼれしちゃったの」

 

 

 

 

 

 

 

安央「えええええええええええええええええええええええええ」

 

 

今世紀最大の衝撃が安央を襲った。

 

と同時に吉森に嫉妬した。

 

 

安央「え?え?マジで?」

 

永井「マジだってば・・」

 

安央「うわー・・・」

 

永井「だからね・・その、会わせてほしいの」

 

安央「ええ!?」

 

永井「お願い!!!!」

 

安央「それ言われると・・・でもなぁ・・・・」

 

安央「(どっちにするのがこの子にとって助けになるか・・・。

    あんな性欲全開ド変態野郎にこの子を壊されたくないしな・・・・。

    でも俺にこの子の純愛を邪魔することが許されるのだろうか・・・。

    いや、あいつが絡んだ時点でどんなに澄んだものも汚れるんだ・・・。

    よし、止めよう)」

 

安央「なぁ、やめておいた方がいいぜ?」

 

永井「え!?まさか彼女がいるとか?」

 

安央「いや、まぁ・・・いないけど今は」

 

永井「ええ、じゃあなんで?」

 

安央「というのもさ、ちょっと人格に問題があるっつーか・・・

   色々とやばい奴なんだよ・・」

 

永井「・・・・・・」

 

永井が目を細めて安央を見つめる。

 

安央「え・・・?どうしたの?」

 

永井「まさか・・・徳河君ってさ、私のこと好きなの?」

 

 

永井、シリアスモード起動。

 

 

安央「はい!?」

 

永井「だから吉森君に取られたくないから会わせてくれないんじゃないの?」

 

妙に静かで強い口調で話し始めた。

 

安央「なんでそうなるの?!違う違う!!あ、別に嫌いじゃないけど!!

   そういうことじゃなくて、これマジで!!マジなの!!!

   あいつちょっとおかしいんだってば!!」

 

永井「ねぇ、嘘つかないで本当のこと言ってよ」

 

安央「なんで誘導尋問みたくなってんんだ!?」

 

永井「その気がないならそんなこと言わないでしょ?」

 

安央「あああ・・・もう!!わかった!

   今日の放課後、学校の裏のファミレスに来てくれ!」

 

永井「吉森君紹介してくれるの?」

 

安央「ああ」

 

永井「ありがとうね!!」

 

安央「・・・」

 

 

永井は笑顔で帰っていった。

 

 

安央「あの子やばいな・・・・・・」

 

安央の意思は決まっていた。

 


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