Roar!   作:渋川 武志

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SCENE-11 放課後④ 純粋な汚さ

教室にて

 

吉森「なぁ・・彰今日放課後暇?」

 

彰「え?いや圭司たちとゲーセン行くんだけど」

 

吉森「そうか・・・いやならいいんだ」

 

彰「ん?なんだよ、なんかあったの?」

 

吉森「ああ・・・やっぱ十文字のことが気になってしょうがないからさ・・・

   ちょっと誘ってみよっかなって思ってさ」

 

彰「お前マジか」

 

吉森「ああ、マジだ」

 

彰「昼にも言っただろ。あいつ雑食なんだぞ?100人の告白OKして

  現在進行形で全員とやってるとか正気の沙汰じゃないぜ。

  そんなやつと・・・・まさかお前やりたいのか!?」

 

吉森「いや、そういうんじゃない、純粋に・・・・・・

   ごめん嘘、やりたい」

 

彰「否定するの速すぎだろ・・かっこ悪いぞ」

 

彰「まぁだったら簡単だ。あいつのいる教室に行って告白して正直にヤリたいっていえばいい」

 

吉森「なぁそんなストレートに言って大丈夫か?」

 

彰「ああ、なんせ学校一ブサイクと有名な無州君もこの手法であいつとやった」

 

吉森「マジかよ・・ちょっと待て、無州とホールブラザーになるのは嫌だな・・・」

 

彰「あぁ、俺もそれはちょっと思う」

 

吉森「まぁ関係ないか。あいつは死んだことにしとこう」

 

彰「お前ってたまに心失った発言するよな」

 

吉森「よし、行くぞ!!」

 

彰「あそこまで欲を前面に出したイケメンって世の中にあんまりいないだろうな。

あいつが付き合っても長続きしない理由がわかった気がする」

 

 

 

十文字は駐輪所に居た。

 

 

吉森「十文字?」

 

十文字「ん?誰・・・?はっ!?」

 

吉森「(え!?何何!?びっくりしたー)」

 

十文字「吉森・・君・・であってるよね?」

 

吉森「うん・・そうだよ。俺吉森」

 

十文字「あ・・・私に何か・・用?」

 

吉森「(なんかおかしいぞ・・・。昼と様子が全く違うんだが。

   なんで?え?あれ昼限定の人格とか?そういうやつなのか?)」

 

吉森「あの、さ・・今暇?」

 

十文字「うん」

 

吉森「じゃあさ・・・」

 

吉森「(し・・しまったぁ・・・・、どこに行くのか考えてなかったぁ!!!

    どーしよ・・・。どっか・・デート・・・どっか・・・・

    あぁ彰助けてくれぇぇぇ・・あ・・彰?彰!!)」

 

吉森「一緒にゲーセン行かない!?」

 

吉森「(あ・・・・言っちゃった。デートでゲーセンはねーだろ俺。

    マジでやっちまった!!死ねよ彰)」

 

十文字「いいよ!!!イこ!!」

 

吉森「え!?あ、うん!行こう!!」

 

吉森「(もうわかんね!女ってわかんね!!)」

 

 

 

ゲーセンに行く途中、自転車を転がしながら―

 

 

 

吉森「ねぇ十文字さんってさ・・・」

 

十文字「ん?」

 

吉森「(聞いてしまっていいのだろうか・・・いいよな?別にみんな知ってることだしね?

    事実確認みたいなもんだしね?)」

 

吉森「やり○んって本当?」

 

吉森「(しまったあああああ!100人と付き合ってるって本当って聞きたかったのにぃぃぃ!!

    うっかり本音が出てしまったあああああ)」

 

十文字「・・・・・・」

 

吉森「(まぁそりゃ黙りこむよな・・)」

 

十文字「まぁ有名だしね・・みんな知ってるんだよね・・・・。

    本当だよ。吉森君はそんな女・・・嫌い?」

 

 

吉森「(え・・・なんだこの質問返し!?)」

 

吉森「・・・嫌い・・かな」

 

十文字「やっぱりそうだよね・・・。普通はそうだよね・・・」

 

吉森「・・・」

 

重い空気のままゲーセンに入っていく。

 

 

十文字「本当はこんな風になりたかったわけじゃ・・ないの」

 

吉森「それって、どういう意味?」

 

十文字「うちってね、親が仲悪くてさ・・・。昔からずっと親に相手にされてこなくって・・。

    それで・・・・寂しくて・・一人でいるのが嫌で・・・。

    だから・・・愛がほしかっただけなの・・。

    ただ本当にそれだけ!噂では100人と今でも付き合ってるって言われてるけど

    全部一回やったッきりの関係なの!!だから・・私のこと嫌いにならないで・・・」

 

 

吉森「・・・・嘘だよ」

 

十文字「え?」

 

音ゲーの台の前で、吉森が・・口を開く。

 

吉森「さっきの・・嘘だよ。本当は気になってるんだ、だから誘ったんだ。

   昼に君が俺の背中を飛び越えた時、見えたパンツは今でも忘れられない。

   あの少ししみた薄いピンク色の御パンツ。

   あれが朝の電車の中で君が小汚いサラリーマンの爺に愛撫されて汚したシミなんだなとか

   想像するだけで興奮する・・。

   それにヒョウタンのようなボンキュッボンッなスタイル。日本人とは思えない抜群な尻。脚。

   そしてパイ・・・。君は性のシンボルのようだ・・・そんな子のこと・・・

   気にならないわけがないじゃないか!!」

 

 

 

 

十文字「・・・・・・・・」

吉森「・・・・・・」

 

 

 

 

吉森「(あ・・・・・・)」

 

 

十文字「この・・・・・・変態があああああああああ」

 

強烈なビンタを喰らう吉森。

 

吉森「ひでぶっ!!!」

 

十文字「お前・・さすがにキモ過ぎるぞ・・・。学校一ブサイクな無州ですらそこまでキモくはなかったぞ・・・

    お前どんな性癖してんだ!!!」

 

吉森「ごめん!!ちょい待って!さすがに今のは言い過ぎたっつか言い間違えた!!」

 

十文字「ついてくんな!!変態!!」

 

吉森「へぶあん!」

 

成明がそっと近寄る。

 

吉森「成明・・・・」

 

成明「吉森・・・いくらイケメンだからってそれは許されん」

 

吉森「・・・・違うんだよ。心の中の言葉と逆の言葉が出ちゃっただけなんだ・・・・」

 

成明「なんか今日はお前に救われた気がする」


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