DIOの勝利した『世界』   作:第四の爆弾

3 / 12
失われし『世界』

わたしはヘリコプターとやらに乗って、大富豪達の住んでいる山へ向かった。

しかし、山の麓に着いた瞬間、突然ヘリコプターは墜落した。

運転手が突然苦しみ初め、そのまま息絶えたのだ

わたしは動揺した。

このDIOがあろうことか、動揺してしまったのだ。

ヘリコプターが墜落した程度では、このDIOはどうにもならぬ。

わたしはそのまま山を登っていった。

山を登ると、建物が見えて来た。

おそらく、そこが例の大富豪達の別荘地帯だろう。

わたしがその建物に近づくと、子供が中から出て来た。そして、わたしに言ったのだ。

 

「遠路はるばるようこそ、おいでくださいました。

ですが、無礼なる者に売る土地はございません。本日はお帰りください」

 

とたしかにわたしに言ったのだ。

その言葉で、わたしは意図的にヘリコプターが墜落させられたと確信を得られた。

わたしは一瞬この子供はスタンド使いなのだと思った。

だが、それは違うとすぐに分かった。

この子供からは精神のエネルギーを感じない。

とても、スタンドを操れるほどの精神力があるとは思えなかった。

それならば、この子供を操るスタンド使いとヘリコプターを墜落させたスタンド使いの2人がいるのだと思った。

事実は違ったのだが、わたしは相手をスタンド使いだと完全に思い込んでしまっていた。

 

「ほう、面白い。このDIO相手にどこまでやれるか試してやろう」

 

わたしはそう言いながら自分のスタンド『ザ・ワールド』を出した。

わたしは時を止めて、子供を無視して中へ入ろうとした。

だが、時を止めることは出来なかった。

まるで、最初から時を止めることなど出来なかったかのように。

わたしは恐怖した。

今度は動揺ではない。

恐怖してしまったのだ。無敵だと思っていた力が、容易く封じられたことに。

だが、それも一瞬のこと。

わたしはもとより、能力に頼り過ぎていた。

ただ相手の能力が、能力を封じるためのものだっただけだ。

わたしの持つ力はそれだけではない。

そう思ったのだ。

いや、そう思い込むようにしたのだ。

 

「小僧、何をした?」

 

わたしは駆け引きなど考えず、単純に聞いてしまった。

まだ、少し動揺していたのだろうか。

今、思えばそれは正解だったのだが。

その質問に対し、子供は少しも考える素振りを見せずに答えた。

 

「この山の土地に入る時、敬意無きマナー違反者は自信の大切なものを失います。マナーに寛容は無し。ひとつ得るか、ひとつ失うかそれだけです。」

 

このDIOはいまさらだが、この時点で敗北していたのだと思う。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。