クソッ!承太郎め。こけにしやがって、このDIOを前にして……
いや、落ち着くんだ。
このDIOは今まで、油断してジョースター共にやられてきたのではないか。
そうだ、プッチが言うように素数を数えて落ち着くんだ。
「2 3 5 7 11…」
「何をぶつぶついってやがる。」
ふぅ、少しは思考がクリアになった。
このDIOが承太郎に付き合って、攻撃を仕掛ける必要はない。
一撃だ。一撃さえ防げればいいのだ。
承太郎が時を止めたとはいえ、このDIOに及ばないことには変わりない。
1度承太郎から離れることさえできれば、このDIOは圧倒的な有利性を取り戻すことができる。
「承太郎、貴様は一つ勘違いをしているぞ。」
「てめえの話なんぞ聞く気はねえぜ。俺はてめえの足が治ったら、『スタープラチナ』の拳を叩き込むだけだ。」
「そうか。貴様はつまり、唯一生き残ったポルナレフを見捨てるということだな?」
「何ッ!?」
唯一生き残っているポルナレフのことを、全く心配していないわけではあるまい。
油断はせんだろうが、一瞬の動揺は生まれるはずだ。
「フッ、動揺したな?『ザ・ワールド』!!」
「オラアッ!」
「うぐあ」
わたしは承太郎の拳を受けながら、スタンドで後ろへ吹き飛ぶようにバックした。
「やはり、動揺したな。貴様は再びこのDIOとの知恵比べに負けたのだ!」
結構なダメージを負ったが、わたしの肉体はジョースターの血を吸ったことによりかつてのような再生能力を取り戻してきている。
この程度、ほんの少し時間があれば回復する。
そう、『時間』があればな。
わたしは吹き飛んだ先で、時を止め回復を図った。
1秒、2秒、3秒…………10秒経過、時は動き出す。
まだ完全ではないが、かなり回復した。
承太郎、向かってくるかやはり、真っ直ぐに。
わたしの方へ。
奴は厄介だ。
強力なスタンドを持ちながら、冷静な判断力と行動力も持っている。
どう殺すか……。またナイフを投げるか、もしくはじっくりと殺すか。
パワー勝負は駄目だ。『スタープラチナ』は成長している。
認めたくはないが、パワーはすでに『ザ・ワールド』を超えている。
しかし、奴は時を2秒程度しか止められない。
時を止め、やつが動かずにはいられない状況を作るには……。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
承太郎side
俺はDIOに逃げられたあと奴を追った。
奴が逃げるだと。
どこへ向かってやがる。
やがて、追っているとDIOは止まった。
ここは……。
ポルナレフが気絶した場所だ。
まさか…
「てめえ、DIO!」
俺の目の前で、ポルナレフに肉の芽を埋め込みやがった。
肉の芽を植えられたポルナレフは立ち上がり、俺を襲ってきた。
「さあ、承太郎これにはどう対処する?」
ポルナレフは強い。簡単には倒せないだろう。
時を止めれば倒すのは簡単だ。だがその隙をDIOに突かれちまう。
こいつは……ヤバイ状況だぜ。
ポルナレフの剣を避け、ポルナレフに向かってスタープラチナの拳を叩き込もうとした時……
「『ザ・ワールド!』」
時が止まった。
何をするつもりだ?DIOの野郎。
「貴様はこれでも動かずにいられるかな?」
そう言うと奴はポルナレフに向かって、複数のナイフを投げた。
まずい。このナイフを時を止めている間に吹き飛ばさなければ、ポルナレフはナイフが刺さり死んでしまう。
「オラアッ!」
俺はDIOの投げたナイフを出来るだけ殴ると、俺は動けなくなった。
「やはりな、貴様達一族はどんな状況でも仲間を見捨てることはできん。時は動き出す」
まずい、ナイフが来る!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
DIOside
「時は動き出す」
わたしがそう言うと、時は動き出し承太郎は出来るだけ多くのナイフを捌こうと、スタープラチナで拳を繰り出した。
「オラオラオラオラオラオラオラオラ」
「無駄だ。いくら弾こうとな」
承太郎が懸命にナイフを弾こうとしている間、ポルナレフは承太郎に向かって、剣を繰り出していた。
「う……ぐっ………!」
ポルナレフに刺された承太郎の動きは止まり、残っていた複数のナイフは承太郎とポルナレフに刺さった。
「終わりだ」
わたしはそう言った後にポルナレフの後ろから、ポルナレフごと承太郎に拳を突き刺した。
そうすると、承太郎とポルナレフは倒れた。
「今度こそ完全勝利だ。さすがの承太郎も腹に穴の空いた状態では生きてはいまい。」
わたしは、ついに勝利したのだ。ジョースター共に。
宿命を断ち切ったのだ。
「これで、我が『ザ・ワールド』を脅かすものは居なくなった」
さて、まずは館へ戻り『天国』に行くための方法をまとめるとしよう。
焦る必要はない。もうこのDIOに敵になる者など存在しないのだから。