もし革命軍にMAがいたら(仮題)   作:偽ハシュマル

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 主人公の姿と参戦時期がコレなのでアリアンロッド戦まではダイジェスト風味で進みます。ご了承ください。


戦いまでの暇

 オッス、俺MAグザファン!特にやることもなく原作ではもうすぐたわけとケツ顎ことジャスレイの企みによりオルガ及び鉄華団の良き相談相手となり信頼できる大人、名瀬とアミダの死。その悲劇が多分というかほぼ確実に起きようとしている。今回はそれについてだ。

 

 『君たちの戦闘記録を拝見させてもらったが素晴らしいものだった。ただ今回はその件ではなく、一つ気になることがあったのだが言ってもいいだろうか?』

 

 「俺はこう見えて忙しいんだ、話は手短に頼むぜ。」

 

 おお、相変わらず機嫌悪そうだな。そりゃそうかこんな時期に得体のしれない機械に呼ばれればふつうは拒絶するだろう。来てくれたのはひとえに今回のハシュマルの騒動について新しいことを発見したというからだろう。そしてそれが自分たちに関係するとなればなおさらだ。

 

 『一つ忠告しておきたいことがある、君たちがMAと戦った時のことだがそのとき、君たちとマクギリス氏がたてた作戦がことごとく失敗したことは覚えているだろうか?』

 

 「そりゃ当然覚えているさ。ただ失敗したというのは少し心外だな、どっちかというとあれは妨害され…いや結果がともわなくては失敗と変わらないか。」

 

 オルガの顔が少し曇る。三日月に対しては謝らないとは口で言ってはいたものの内心割り切ることができないところがあるのは当然だろう。

 

 『失礼、確かにあれは失敗というよりは妨害された結果だったな。そこで話を戻すがあの妨害を行ったのが誰なのかは知っているかね?』

 

 「そういえばその犯人が捕まったという情報はまだ入っていないな。お前はだれか心当たりがあるのか?」

 

 『ふむ、詳しくは知らないというわけか。あの妨害を行ったのはアリアンロッド内、いやギャラルホルン内でも高い地位を持つセブンスターズの一角、クジャン家現当主イオク・クジャンだ。』

 

 「何!?セブンスターズの一角があの妨害を行っただと?」

 

 ああ、やっぱり驚くか。まぁそれはそうだろう、いくら内部で権力闘争をしているとはいえMAは人類全体の敵だ、それを倒すために自分たちはギャラルホルンと一緒に討伐を行ったのにまさかそのギャラルホルンの中から討伐を邪魔するやつがいたというのだから。

 

 「マクギリスの野郎はなぜこのことを糾弾しないんだ!?あいつも一応は治安維持組織の一員だろうに!?」

 

 『そんなことができたらとっくにマクギリス氏がそうしているさ。このスキャンダルを利用すればアリアンロッドとの権力闘争で一気に優位に立てるはずだからな。だが、それがなされていないということは。』

 

 「アリアンロッドってのは相当規模がでかい派閥ということか…」

 

 多分オルガは依然マクギリスが言っていた自分一人では太刀打ちするのが難しい相手という言葉を思い出しているのだろう。

 

 『気を付けたほうがいい。連中も今回の件で少しはおとなしくなるかもしれないが、いつまた何か仕掛けてくるか分からないぞ。』

 

 「分かった、情報ありがとよ。」

 

 『ああ、それがいい。』

 

 率直に言えば俺はこれについてはほぼ口出しするつもりはない。というかついこの間掘り起こされた見た目殺戮兵器の俺の言葉をオルガが真に受けるとはとても思えない。

 俺のMAの力をフルに活用し戦場に駆けつけでもすればもしかしたら名瀬とアミダを助けるとまではいかなくてもタービンズの被害を減らし、たわけを始末することぐらいは可能かもしれないがその場合、俺の存在がラスタルに知られることとなりアリアンロッドとの戦いの展望が見えなくなる。

 この先の展開を切り抜けるためには、絶対に鉄華団の力は必須だ。俺はそう判断しあえて見逃した。とはいえ今回のように多少は口添えさせてもらう。そうすれば向こうは今度からもっとまじめに俺の話を聞いてくれるだろうからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果だけで言うならばタービンズ壊滅を防ぐことはできなかった。それはそうだ、俺の言葉をある程度オルガが真に受けたとしてもあの無茶苦茶な摘発は誰だって想像できないだろう。悪い意味であのたわけは想定外のことをしでかすからなぁ、いくらジャスレイの入れ知恵があってもあそこまで直接的な行動に出るか普通?しかもその後に直筆の感謝状を贈るって…ジャスレイも呑気にそんなもの受け取らずにこいつヤバいなぐらいの感想を言えばよかったのに。

 

 「なんだ話ってのは?すまねぇが俺らはそんな気分じゃ…」

 

 『ああ、そのことについては非常に残念な結果となってしまった。すまない、私はこのような時どのような言葉を言えばいいか選択できない。』

 

 こういう時に相手に言うベストなフレーズが思い浮かばなくても機械である俺は責められることがないというのは数少ないこの体ならではの特権だ。逆に見た目殺戮兵器の俺が気の利いた言葉をかけてきたら反応に困るぐらいだ。

 

 「いや、それは別にかまわねぇ、これは俺たちの…いや、俺のふがいなさの結果だ。で、お前が俺をここに呼んだのはまたろくでもないことが起こる予感がしたからだろう?」

 

 話聞いてくれるのはいいけど俺を疫病神みたいに言うのやめてくれない?そりゃ今の俺は色を黒く塗りなおしてカラスみたいになってるから不吉っぽいといわれても文句は言えないけどさぁ。ま、話を続けよう。

 

 『タービンズは結果的に解体されたが事態はおそらくそれだけでは収まらないだろう。なぜならば本命がまだ残っているからだ。』

 

 「本命?…俺たち鉄華団とマクギリスか。」

 

 『今回の件ははっきり言って強引すぎるやり口だ。先の戦いでは強引に口実を作り自分たちの側から行動を起こしたが、もし、そのことが公になればとてつもないリスクを背負うこととなる。実際今回の件はアリアンロッド内でさえ苦言を呈する者がいるほどだ。だから次は鉄華団側から攻め込ませる必要がある。』

 

 「俺はそんなことをするつもりはねぇ…名瀬の兄貴は家族の安全を一番に考えていた。なのに残された俺たちがそれを破ってちゃ兄貴に申し開きができねぇ。」

 

 『君たちが残された仲間を第一に考えていることは結構なことだが、残念だがそれは相手からすれば付け入る隙があるということでもある。そしてそのために一番手っ取り早い方法がある。』

 

 「それはいったい?」

 

 『暗殺だよ。それも君たち鉄華団本人ではない、君たちが親しくしている者そのものを殺せば…』

 

 「な、何だと!?」

 

 『君たちが仲間あるいは家族と思っている彼女たちでも対外的に見ればタービンズが解体された今、兄弟分ではなくなっているのだ。だから彼女たちがたとえ暗殺されて君たちがジャスレイたちに報復を企てたとしてもそれは世間的には一つの民間軍事会社が一つの会社に武力行使をするというものでしかない。』

 

 元タービンズメンバーと兄弟分じゃなくなったかどうかは完全に俺の勝手な考えだが、別にこの先のことを考えるとどっちでもいいだろう。だってあのケツ顎が今更行動を変えるとは思えないし。

 

 「…俺たちはどうすればいい?これ以上家族がいなくなるってのは御免だ…」

 

 『どうもこうも、事態がここまで来てしまえばもう後に引き返すことは難しい。だが、暗殺事態を未然に防ぐぐらいはもしかしたら可能かもしれない。』

 

 「本当か!?」

 

 オレガの食いつきがすごい、よほど家族という存在が彼の中で大きいのだろうな。少しばかりうらやましい限りだ。俺にはこの世界で守るべきものなどない、最もそのおかげで割と好き勝手にふるまうことができるのでこの環境に不満はないが。

 

 『暗殺というのは確かに防ぐのは難しいがそれでも狙われる対象がある程度絞り込めれば、多少は護衛しやすいというものだ。』

 

 「狙われやすい対象…そうなると特に親しくしているラフタ、アジー、エーコあたりか。分かった肝に銘じておくし他の団員にも伝えておく。」

 

 『ああ、だが気を付けてほしい。暗殺者というのはどこからやってくるか分からないから。私を作った者たちもそうして殺されている。だから油断しないことだ。』

 

 ラフタの時のヒットマンは多分初見ではほぼほぼ見切れないだろう。何せ鉄血最強のヒットマンだからな。多分捕まえても口を割るとは思えないし割ったとしても団員のやることは変わらないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果的にこの忠告は半分失敗半分成功となった。原作通り、ヒットマンに狙われたのはラフタだった。どうやら俺がオルガにした話を他のメンバーにもしたところ特に昭宏は気が気でなかったのかこっそりと護衛していたらしい。変なところで奥手になるやつだ。まぁそのちょっと前に一応の別れをすましたばっかりで一緒に行動するのは気まずかったのかもしれないな。

 ともかくヒットマンに気付いた昭宏は女狙う無粋な輩に鉄拳をかまし尋問することが困難なぐらいに顔を愉快なオブジェにした。だがさすがは鉄血世界でも屈指の実力を持った凄腕ヒットマン、一発目を打つまでは完全に殺気を悟らせず、昭宏が行動できたのはラフタに一発目の銃弾が命中してからになり彼女は死こそぎりぎり免れたものの重傷を負って今も医療用カプセルの中らしい。

 ともかくこれで鉄華団の俺に対する好感度はかなり上がり、最初のほうこそ怪訝な顔で俺を見ていたメンバーたちも今では名前呼びで接してくれるようになった。

 あ、ケツ顎は死にました。そこは全く変わらなかった、仲間の命が脅かされ特に昭宏の怒りは頂点に達し、メンバー全員でカチコミをかけたところ余裕で殲滅した。ガンダムフレーム三機に勝てるわけないだろ。

 当然俺は参加していない、原作通りでも余裕なところに俺の出る幕はない。そもそもあれで負けるならば手を組まん。

 

 「お前には礼をまだ言ってなかったな、ありがとうグザファン…」

 

 『いや、実際に暗殺を未然に防いだのは君達の、特に昭宏の努力だ。私がどうこうは関係ない。』

 

 「それでもだ、おかげでラフタは一命をとりとめた。何か俺にできることがあったら言ってくれ。」

 

 『まぁ、強いて言うならここの狭さくらいなものだ。』

 

 「急増で作ったから居心地は悪いか?残念だがそれは俺にはどうすることもできねぇ。連携のほうだが、努力してみるさ。とはいってもお前ほど強ければ早々敵に遅れはとらないだろうから俺の出る幕もねぇだろうがな。」

 

 『油断は命取りだ、戦場には私よりも強い者がいるかもしれない。』

 

 そんなこんなで昭宏君が現在俺のところにお礼参り(いい意味で)中だ。この時間軸だと革命にそろそろ参加するはずだが、俺は今どこにいるのかといいますとイサリビに急遽作られた格納庫だ。なぜこんなところにいるかって?

ぶっちゃけギャラルホルン革命軍と同行するのは嫌だ。一部を除き練度が低く、しかもダインスレイブが大量に飛んできて船ごとぶっ壊れるような連中と一緒にはいてられるか。だからと言ってサイコ・ガンダムみたいに船の外にいたら俺の存在がばれてしまう。お、俺はまだ安全な鉄華団の船の中にいさせてもらうんだ!というわけでマクギリスとオルガに無茶を言って急遽、イサリビに新しい格納庫を即席で作ってもらった。

 

 いやーマッキーの説得には骨が折れた。最初はかなり渋られたが、『バエルを継ぎし者のちょっといいとこ見てみたーい!』的なノリで話を進め、『伝説のガンダムタイプを三体保持した若き革命の徒と共闘するかつての災厄て感じで活躍すれば人は否が応でも時代は変わったと思うんじゃね?』とかそんな話をしていくと、『バエルの相棒になれなかった救済者が今度は新しい時代の者たちと一緒に古い体制を変えるか…それも一興か。』といった感じで許可してくれた。むろん戦いの後は俺をバエルとマッキーの相棒としてまつりあげることとなり手柄を山分けすることになったが、俺にとってはむしろ好都合だ。いつまでも殺戮兵器と同一視されるのは困るからな。

 

 そして、この格納庫にはなんと先輩が同室している。そうみんな大好き、君をぶち殺すガンダムことバルバトスルプスレクス先輩だ。オルガいわくもしもの時に俺を止めれる可能性があるのは三日月とバルバトスだけとなり同室することとなったがオルガは苦笑交じりで『お前のこと胡散臭いやつだと思ってからこうしたけど結局必要なかったな。』と言われたのは記憶に新しい。

 ともあれこれからよろしくお願いします、バルバトスルプスレクス先輩!俺、あんたがダインスレイブに打たれて最終的に首級を上げられたガンダムって運命を防いで見せますから!え、ただただ自分の安全のためだろって?なにぃ聞こえんなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後…

 マモレナカッタ…俺は自分の無力さに打ちひしがれていた。

 この格納庫には現在二人の人間がいる。そしてその二人、特に女性…少女といってもいいくらいの年齢の子は何かをやり遂げたといった感じで、実にイイ顔をしていた。

 基本的に俺は某鎧の弟と同じように睡眠を必要としない(向こうは厳密には少し違うが)ため寝落ちして先輩に起こったことを止められなかったわけではないのだが、もし最中に注意しようものならば後が怖かったので何もできなかった。

 この野郎!三日月もうすぐ戦いだってのにナニしてんだ!?しかもこんなところで無駄に必中スキル使いやがって!!原作のその後の戦いで必中スキル使ってジュリアもっと早く倒してたら多分スーパーギャラクシーキャノン当てれてたぞ!

 などと心の中で思っていても怖いので言わないけど…

 

 ああ、ごめんなさい先輩…俺はあなたのバルバトスルプスレクスホ〇ルという二つ名や、コクピッ〇スに使われたガンダムという風評を覆すことはできませんでした。

 

 次!次こそは俺頑張りますから許してください!!何でもしますから!




 格納庫云々は完全に筆者の妄想です。あの世界、MSの修理(オーバーホール)は早いけど船って改造にどれくらいかかるんだろう

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