個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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ゴールデンウィーク中に小説を進めるだけ進めようと思っている自分。
そしてゴールデンウィーク中に本当に進められるか心配している自分がもう1人。


第5話 かかったなアホが‼︎

 

「なぁ、いい加減に元気出せって。」

 

「そんなところで横になっていても何も変わんないぜ。」

 

どうも皆さん、天倉孫治郎です。くじ引きによってコンビを決めることになったのですが、案の定俺だけ余ってしまい尾白くんと葉隠さんのチームに加わることになりました。

そして俺はボッチのトラウマが蘇り、ショックで倒れ今に至る。

 

「いや、まぁ確かに1人だけハブられた感じは同情するよ。」

 

「でも、よく言うじゃん!"残り物には福がある"って!」

 

尾白くんはともかく葉隠さんはフォローになってないよ。

むしろ残り物と言われて傷に塩を塗られているんだけど。

 

「天倉少年‼︎2人の言う通りだ!ヒーローたるものそれくらいでへこたれてはいけない!常にポジティブにならなきゃいけないぞ‼︎」

 

オールマイトに注意されたので取り敢えず起き上がり、皆がいるモニターの前まで移動する。

第1戦、ヒーローチームは緑谷くんと麗日さん それに対し敵チームは爆豪くんと飯田くんだ。

 

初戦から激しくなりそうな予感がする。

敵チームの飯田くんと爆豪くんは共に強力な個性を持っている。正面から戦うとなると、ヒーローチームの勝ち目は薄いだろう。しかし2人の仲はあまり良くないため連携をとるのは難しいだろう。

対してヒーローチームは制御が完璧ではない緑谷くんに長期戦になればなるほど不利になってしまう個性を持つ麗日さんだ。こちらは敵チームと違い個性を頼る戦い方は難しいが、その分連携をとることが鍵となるだろう。

 

お互いの勝利条件は確保テープを相手に巻きつけることだ。さらにヒーローチームはどこにあるかわからないハリボテの核に触れることができればヒーロー側の勝利となる。

 

相手がどこに現れるか予測する為の【分析】、どう行動するべきか対応する為の【判断】、そしてお互いをカバーしあうための【連携】

この3つが大切だと俺は思う。

 

相変わらず敵チームの2人は何か言い合っているようだが。

 

モニターから向こうのチームの様子を見ることができるが、カメラからは音声は流れず映像だけが流れてくるので何を喋っているのかは理解できない。

 

「何を喋っているんだろう?作戦とか喋っているなら今後の戦い方に生かすことができるんだけどなー。」

 

「そう?表情やポーズで何を喋っているか結構わかるけど。」

 

「え?そうなの、スゲェ!」

 

どうやら耳郎さんは何を喋っているのか理解できるようだ。

すると耳郎さんはアテレコをし始めた。

 

『何よ!じゃあお腹の子はどうするつもり⁉︎』

 

『うるせぇ知ったことか‼︎』

 

『そんなヒドイ‼︎愛してるって言ったじゃない。』

 

・・・・・・うん違うわ。2人はこんな事絶対言わねぇよ‼︎

 

「お前の親父が社長だったからだよ」

「嘘よ!」

 

「おい、変な話当てるなよ。」

 

「取り敢えず爆豪くんだけには絶対言わないようにしておこう。殺されるビジョンしか映らない。」

 

切島くんと俺はツッコミを入れておいた。というか耳郎さんって結構お茶目な部分があったんだな。クールで素っ気ないイメージだったんだけど。

 

モニターに視線を移すと、そこにはすでに戦いを始めていた爆豪くんと緑谷くんが映っていた。爆豪くんの奇襲から始まり、そこで緑谷くんが個性を使わずうまく立ち回っていた。

 

緑谷くんから学ぶことはたくさんある。俺の個性は第三者から見れば【強い個性】なのだろう。しかし俺の個性はあくまで殺傷特化の個性なのだ。本物の敵の勝利条件は相手の殺害、逃走、etc、それに対してヒーローの勝利条件は被害者を出さず敵を捕らえることだ。

俺の個性の力に頼らず、今の緑谷くんのように自身の力にも頼らなければいけないのだ。

緑谷くんの冷静な分析力や柔軟な思考は俺にとって凄く勉強になるのだ。

 

もう一方はどうしたんだろうとハリボテの核がある部屋のモニターに視線を移すとそこには飯田くんと見つからないように隠れている麗日さんが映っていた。このまま核に触れることができればヒーローチームの勝利だ。

相変わらず何を喋っているのかはわからない。

 

「見ろォ人がゴミのようだ。」

 

「ブフォ⁉︎」

 

「どこへ行こうというのかね?」

 

びっくりした。飯田くんが一瞬大佐になったと思った。ていうか上鳴くんと耳郎さんはいつまでアテレコをやっているんだよ⁉︎

ていうかなり上手くてビビったわ‼︎

 

「「○ルス」」

 

「「だからお前ら‼︎やめろってば‼︎」」

 

俺と切島くんはツッコミを入れる。頼むからちゃんとモニター見てくれよぉ‼︎

しかし、麗日さんが飯田くんに見つかってしまったのは痛いな。飯田くんの俊足ならば核に触れることは困難だろう。

緑谷くんと爆豪くんが映っているモニターに再び視線を戻すと何やら爆豪くんが籠手を緑谷くんに向けて装着してあるピンのような物を抜こうとしている。

 

何をしようとしているんだろう?まるで手榴弾のピンを抜くようにしているが?

 

 

・・・・・・待てよ、緑谷くんに爆豪の個性について聞かせてもらったが、確か爆豪くんの個性は掌の汗腺からニトログリセリンのような汗を出し、爆発させる個性だった筈だ。

もしも爆豪くんがその爆発の威力を何倍も引き上げるようなコスチュームを要望に出していたら・・・・・‼︎

 

 

「せっ先生‼︎コレって不味いんじゃ‼︎」

 

「爆豪少年ストップだ殺す気か?」

 

オールマイトが俺の言葉を察し爆豪くんを止めようとするが時すでに遅し

 

瞬間、建物内が揺れた。モニタールームは地下にあり、振動がここまで伝わってくるのはその爆発の威力が証明している。

 

「先生!止めた方がいいって爆豪あいつ相当クレイジーだぜ殺しちまうぜ⁉︎」

 

「いや、切島くん。向こうも殺しはしないようにわざと外したみたいだよ。意外と冷静な面もあるらしい、でもさっきのアレ《爆発》を何度もやるとさすがに緑谷くんも御陀仏だけど。」

 

「危険には変わりねぇって事か⁉︎」

 

さすがのオールマイトも爆豪に注意を施す。

しかし状況は一変し爆豪くんの優勢になる。

爆豪くんの性格はヒーローか敵かと問われればきっと大半は敵と答えるだろう。爆豪くんはニトログリセリンのように触れれば爆発するような性格だ。

戦い方もその性格のように相手を徹底的に潰す、ヒーローか敵かと問われれば大半が敵と

 

俺と爆豪くんの荒々しい戦い方は似ているところがある、しかし決定的に違う点がある。

それは恵まれた才能、センスなのだ。

 

「常人なら肩を壊す程の爆破をいとも簡単に扱っている。しかもあんなアクロバティックな動きをするなんて、本当に前まで中学生だったのか⁉︎」

 

「それに目眩しを兼ねた爆破で軌道変更、そして即座にもう一回。考えるタイプには見えねぇが意外と繊細だな。」

 

「慣性を殺しつつ有効打を加えるには左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね。」

 

推薦枠である轟くんと八百万さんも爆豪の動きには驚いているようだ。

爆豪くんの戦闘のセンスは物凄いものだ。おそらく、爆豪くんはこのクラスの中でもNo. 1の戦闘能力の持ち主だ。

俺が爆豪くんと戦って勝てるイメージが湧かない。そもそも戦おうとは思わない。

 

そして一方的なリンチが始まった。

殴る、蹴る、爆破、etc、緑谷くんの体はボロボロだ。

コレはあくまで戦闘訓練である。確保テープで緑谷くんを巻きつければ、捕獲すなわち爆豪くんの勝利だがあの性格から考えるとそんなことは考えてもしようとしないだろう。

緑谷くんは逃げるしかできない状態だ。

 

 

しかし、何故だろうか俺はこの状況に違和感を感じている。

緑谷くんは爆豪くんから逃げるしかない状況だというのにだ。

 

「・・・・いや、違う。何かおかしいんだよな。」

 

「それは追い詰めている筈の爆豪さんが焦っているからですか?」

 

尋ねてきたのは八百万さんだ。確かに優勢な筈の爆豪くんが余裕がなさそうにしているのは全員が見ても明らかである。

 

だが違う。

 

「確かにそうだけど、それだけじゃない。ただ逃げるだけなら僕たちでもできる。だけどヒーローは逃げるだけじゃない。俺たちだって逃げるだけじゃなくて個性を使って何かをできる。ヒーローを目指している緑谷くんが逃げるだけで終わる筈がない。」

 

「!」

 

何よりも緑谷くんの目はまだ諦めていない。

俺たちは緑谷くんと爆豪くんの戦いを見届けたのだ。

 

 

 

 

 

え?ナニコレ?

 

 

 

 

 

 

緑谷くんと爆豪くんがクロスカウンターの要領でお互いを殴る展開だと全員、オールマイトも思っていた。

そう思っていたんですけど、気づいたら緑谷くんがアッパーを繰り出した後、ビルが吹き抜け状態になったんですよ。

 

あれですね、仲の良い同級生が実はゴンさんでしたっていうぐらいの衝撃でしたね。

爆豪くんが"ボ"されていなくてよかったと思いました。

 

ちなみに訓練はヒーローチームの勝利となりました。

勝利となったが、今回のベストは飯田くんでした。

理由は爆豪くんは私怨丸出しの戦い、そして屋内での大規模攻撃。

緑谷くんも同様の理由だ。

麗日さんは中盤の気の緩み、最後の攻撃が乱暴すぎたことがダメだったらしい。

あ、飯田くんが嬉しそうな顔をしている。よっぽど褒められたのが嬉しかったんだろうか?

 

まぁ、今そんなこと思い出しても意味ないですよね。

 

「おーい、大丈夫?意識どっかに行っているよー?」

 

「あ・・・・・・そうだった。もう出番だったんだっけ。」

 

葉隠さんに言われて俺は意識を戻す。そう、2回戦は俺たちの番なのだ。

俺と尾白くんと葉隠さんは敵チームなのだが、ヒーローチームが体格がでかく複数の腕を持つ障子くん、そして推薦枠の轟くんだ。

 

「うん。勝てる気しないな。」

 

「いきなり勝てない宣言⁉︎初戦を見ていたときはあんなカッコいいこと言っていたのに⁉︎」

 

「そう思っただけで腹が空いてきた。飲料ゼリー食べよっ。」

 

「いやいや、さっき昼飯食べただろ?っていうかどっから出したんだソレ⁉︎」

 

やばい、本当に勝てる気しないよ。葉隠さんと尾白くんが色々言っているけど、食べなきゃやってらんないよ。

なんて言うか一瞬で負けそうなイメージしか湧かないし。

と後ろ向きに考えていると葉隠さんが脱ぎ始めた。

※葉隠さんは既に裸です。

 

「むー・・しょうがない!2人とも、私ちょっと本気だすわ手袋とブーツも脱ぐわ。」

 

「あー・・・・・どうしよう尾白くん。これって葉隠さんに言った方が良いのかな?」

 

「確かに透明人間としては正しいことなんだけど、女の子としてはな・・・・・・・。」

 

「いや、それもあるけど、そうじゃなくて。」

 

「?」

 

いやまあ確かに女の子として倫理的にアウトだけど、違うんだよなぁ。えーとコレって言った方がいいのかな?

 

「あー・・・・俺の個性の一部でさ、サーモグラフィーみたいな温度を探知する能力があって・・・・。」

 

「「?」」

 

「えーと、俺から見ると葉隠さんはある意味丸見えっていうか、なんと言うか・・・・・。」

 

「‼︎」

 

「あっ、あー・・・・。なるほど・・・・・。」

 

うん。尾白くんは理解してくれたようだ。どうしよう。結構、辺りが気まずい雰囲気になったような・・・・・。

 

「・・・・!こっ、こっち見ちゃダメだよ!天倉くんのエッチ!」

 

「い、いやまだ見ていないよ!」

 

「ま、まだ見ていないってことは・・・!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎だーーーかーーーらーーー違うから!極力そういうのは避けるから‼︎」

 

「(・・・・・なんというか天倉も結構苦労しているんだなぁ。なんか苦労人って顔しているし・・・。)と、とりあえずお互い、頑張ろうな・・・・・。」

 

「いや、なんなの⁉︎その可哀想な人を見るような目は⁉︎」

 

やめてぇ‼︎お願いだから!このままじゃあ中学の二の舞になるぅ‼︎

俺のライフはもうゼロよ‼︎

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「とりあえず確認するけど尾白くんは純粋な身体能力はかなり高い!その身体能力を生かして5階で核を守るように!葉隠さんは敵に気づかれないように1階で確保テープを使って捕まえるようにね!俺はヒーローが4階に来たと同時に奇襲を仕掛ける!それじゃあ!作戦開始!」

 

俺はしっかりと聞こえるように何度も確認してから作戦を開始した。

ちゃんと作戦通りに上手くいけばいいんだけど・・・。

 

ちなみに今俺は、いつでも対応できるように個性をフルで使用し、変身している状態だ。なので俺は身体能力と五感が強化されている。

腕力は車を持ち上げることができ、視力も暗い場所もよく見え、

聴力も底上げされており全階もはっきり聞こえるようになっている。2人をフォローできるようにいつでも準備をしておく。

 

(しかし、今になって物凄く緊張してきた。とりあえず、○ロリーメイト2箱を食べて万全な状態に・・・ん?)

 

俺は気付いた。ピット器官によって、いや野生的な直感によって気付いたのだ。すぐ目の前に氷が迫っていることを。

 

「⁉︎」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「さて、さっさと済ませるか・・・。」

 

轟は自身の個性【半冷半熱】を使用しビルそのものを凍らせ、相手全員を行動不能とし、核の安全を確保する。

後は核に触れればいいだけだ。

 

轟は階段を登ると同時に外へ避難させた障子の言葉を思い出していた。

 

『先ほど天倉が2人に対して作戦を伝えているのが聞こえた。1階には透明になる個性を持つ葉隠が、4階で天倉が待ち伏せをし、5階で尾白が核を守っている。足音を確認したが、1、4、5階に1人ずつちゃんといるのを確認した。』

 

「(1階で気づかれないように透明な葉隠が尾行、捕獲そして天倉の身体能力の強化の個性によってすぐ駆けつけられるようにフォロー、そして1対1でも戦えるように尾白が待ち構える。悪くない作戦だが、俺には関係ねぇ。)」

 

轟はこの訓練は自分にとって些細なことと感じていた。

そして天倉孫治郎は第一回戦の訓練のとき、全員とは違った着眼点、そしてまるでどちらが勝つか知っていたような顔をしていた。

 

が、それだけだ。まるで子供のようにすぐうろたえヒーローにはなれそうにない性格をしている。天倉の第1印象は精神的にはヒーローとは言えないヤツ、そう轟は認識していた。

 

「(ま、わざわざ大声で作戦の内容を言っちまうようじゃまだまだってところか。)」

 

轟が3階に達した直後、通路の角から何かが飛び出し轟の腕に何かが巻きつこうとした。

その正体は、

 

「ッ!確保テープッ⁉︎」

 

轟が腕に巻きつこうとするものが確保テープだと認識するとテープを凍らせ巻きつくのを防ぐ。そして確保テープが出てきた場所を凍らせる。すると、そこから黒い影が飛び出てくる。

 

「ふぅ、あぶないあぶない。油断はダメだよね。そうでしょ轟くん。」

 

「・・・天倉。」

 

轟の目の前には天倉が立っていた。

 

そして天倉は轟に対して心の中で叫ぶ。

 

 

 

 

かかったなアホが‼︎

 

 

 





透明人間の葉隠ちゃんが裸を見られるとこんな反応するかなーって思いました。

評価をしてくれた方が増えました。ありがとうございます!
これからも感想、評価をお願いします。

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