個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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皆様に楽しんでいただけるように頑張りたいです。


第2話 やっぱり神様は俺の事が嫌いなんだろう。

「準備できた?できたなら、試験会場に行って合格してくるんだよ!」

 

「うん!絶対に俺、合格してみせるよ……多分。」

 

 

俺がヒーローとなる目標ができて、7ヶ月が過ぎた。

あの日から色々あった。入試に絶対に合格する為に苦手な勉強を頑張り、実技試験の為にもスポーツジムに通い続け、山籠りを兼ねて師匠に様々な身体の鍛え方を教えてもらった。

 

最初は偏差値が79もあり、倍率300のマンモス校なんて絶対に無理だと思っていた。

と言うか、今になってなんで雄英を目指そうとしたのだろう。と疑問に思ってしまった。

 

そもそも俺はそこまで頭が良いわけではなく、どちらかと言うと平均辺りだったので諦めかけていたが、血が滲む努力の末にここまで来たのだ。

長かった、実に長かった。ここまで来たなら後は悔いが残らないように全力でやるだけだ。

 

「行ってきます!」

 

そう言って俺は、

 

 

ガッ←つまづく

 

ゴッ!←頭を強く打ち付ける

 

ゴロゴロゴロゴロ←その場で痛みに悶え苦しむ

 

「………うん。元気があっていいんじゃないの?」

 

 

このザマだよ。ちくしょう!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ここが、雄英高校の試験会場か……」

 

 

俺は今、試験会場の門前に立っている。今も足がガクガクと震えている。そして俺は、深呼吸して精神を統一している。やっぱり最初の一歩が肝心だ。試験当日に転ぶなんて縁起が悪すぎる。

 

……え?さっき転んだって………ナンノコトデショウカ?

 

「よしっ!」

 

と、言い俺は改めて一歩を踏み込んだ。

 

そして気づかなかった。背後から箒に乗った魔女っ子風の金髪の女子学生が突っ込んでくるのを。

 

 

━━ドゴォッ!

 

 

「あっ!悪い!ちょっと急いでいるんだぜー。」

 

俺は思った。何故箒?何故魔女っ子?何故突っ込んだし?

俺は後頭部を抑えながらそう思った。

しかしそれ以上に神が俺を見放したのを悟ったのだ。

 

痛い、背中がまだ痛む。どうして俺はこんなにも運が無いんだろうか。と思っていると、何やら会話が聞こえてきた。

 

<どけデク‼︎俺の前に立つな‼︎殺すぞ!

 

<か、かっちゃん!

 

知り合い、もしくは友達だろうか?緑色の癖っ毛の男子学生と顔が怖い男子学生が話している。ボッチの俺には無縁な光景だ・・・。

悲しくなってきた。

 

しかし、あの"かっちゃん"と呼ばれた男子学生はかなり嫌な人物だとわかる。あのような知り合いは作りたく無いな。

と呑気に眺めていると、黒髪のボサボサしたなんか小汚い人が出てきた。

 

「ハイハイ、受験生は並んで。適当でいいから早くな、時間の無駄だ」

 

と、黒髪の人が言うと、緑髪の癖っ毛の男子学生が物凄いスピードで並んだ。

 

「前に立つなって言っただろうが‼︎」

 

「はい、お前うるさいぞ帰らせるぞ」

 

「ぐっ………」

 

顔が怖い男子学生が悔しがっていると、緑髪の癖っ毛の男子学生はかなり嫌な顔をしていた。

………こっちも嫌な人物でした。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

受験会場待っていると。そこに、金髪のDJ風な人物が現れた。その人物はボイスヒーロー【プレゼント・マイク】だった。

 

 

『今日は俺の入試(ライブ)へようこそー‼︎エヴィバディセイヘイ‼︎』

 

よし!ここは好印象を持ってもらうために大きな声で返事をしよう!

 

「「HEY‼︎」」

 

 

と、返事をしたのは俺を含めてたった2名だった。

 

………ああああああああああああああああああああああああ‼︎

すっごい恥ずかしいいいいいいい!なんで返事しないんだよしろよ‼︎やったこっちが馬鹿みたいじゃないか‼︎

 

って言うか俺と同じく返事をしたメガネの人オオオオオオオ!こっち見んな!バレたらどうすんだよ!

 

いや、だがさすがに他の学生達は学習しただろう。こう言った場面では挨拶が大事だと言うことを!

 

次こそ必ず!

 

『実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!アーユーレディ?』

 

「「イエス!アイム!レディ!」」

 

 

…………殺せ!殺してくれ!頼むからそんな目で俺を見ないでくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

 

 

そしてそのまま実技試験の説明を受け、俺は実技試験の会場に移動した。

そして周りの学生達から温かい目をされながら。

やめてくれ、もう俺は満身創痍だ・・・。俺がうなだれていると、

 

『ハイ、スタート!』

 

 

……………え?

 

『どうした⁉︎実戦じゃカウントなんざねぇんだよ‼︎走れ‼︎走れぇ‼︎』

 

……………………………え?

 

『賽は投げられてんぞ‼︎』

 

……………えええええええええええええええ⁉︎マジで⁉︎早くね⁉︎急すぎるんだけどおおおおおおおおおお⁉︎

 

「ああっもうっ!やってやる‼︎お゛お゛お゛お゛ッ!!」

 

と、俺は個性を発動し、ビルの壁によじ登る。そして、ビルの頂上から俺は個性の一つである【ピット器官】を使う。

 

【ピット器官 】

別名赤外線感覚器官とはヘビやトカゲが持つ器官であり、

熱によって獲物を見ることができるサーモグラフィーの様なものである。

 

ピット器官によって敵の位置を確認。そして、そのまま奇襲を仕掛ける。

個性を使った状態の腕力、握力ならば鋼鉄を引き裂くことは容易だ。だか、時間は有限だ。なるべく一撃必殺で敵を仕留め次の敵を探さなければいけない。その為狙うのは装甲の隙間にある関節部分を切り裂き、行動不能とする。これが理想だ。

 

ザシュッ!!

 

敵の関節部分を切り裂くと、機械は動かなくなった。

 

(よし!次の敵は………?)

 

辺りを見渡すと、敵に囲まれている赤髪の男子学生がいた。

どうやらポイントが低い敵らしいがかなり苦戦しているようだ。

ここでは普通、ポイントの低い敵ならばもっと強い敵を探し見捨てるのが妥当だ。

 

しかし、俺は例えこれが試験だとしても見捨てることはできなかった。ヒーローになる者として、それ以上に自分が見捨てるのを許さなかった。

 

俺は敵に近づくと敵の背後からボディの隙間に腕を無理やり入れ、動力源であろう機械を引き千切った。

そして敵の機械はそのままガシャンと音を立てながら動かなくなった。

 

「うおっ!びっくりした。サンキューn━━ってうおっ‼︎なんだコイツ‼︎(ヴィラン)か⁉︎」

 

やめてくれ。その言葉は俺に効く。

そのまま俺は八つ当たり気味にその場にいた敵を殴る、蹴る、裂く、バラバラにした。

 

…………結局、心は変わっても、周りの反応は同じか。

 

「サンキューな!助けてくれたんだろ。男らしいぜ!お前‼︎」

 

この人メッチャいい人だ!絶対に主人公タイプだよこの人‼︎友達になってください。お願いします‼︎

 

え?手の平返し?ハハハーナンノコトカワカラナイナー

 

と、そんなこと言っている暇はない。残念だけど、次の敵を探さなければならない。

 

 

━━ズゥン……

 

━━ズゥン

 

━━ズゥン!

 

━━ズゥン!!

 

 

すると、大きな地響きがした。上を見ると、そこには規格外な大きさをした。敵がいたのだ。コイツが0pの敵だ。

 

 

 

 

…………………………うん。無理だな。

 

 

絶対に倒せないよコイツ!なんだよ!

金の使い方絶対に間違っているだろ!コイツを壊されたら予算会議荒れるぞ!

倒せる奴が居たらの話だけど‼︎

※後に壊した奴とクラスメイトになる

 

こんなのを目の前にしたらどんな人間でも行動は正直になるぞ!

 

 

「無課金の帝王とか自称してたけど、隠れて課金してました‼︎」

 

「みつるくんのこと蹴ったりつねったりしてたのはホントは好きだからです‼︎」

 

「父さんのスマホでよくエロサイト見てます‼︎」

 

「隣の娘のイスの匂いを嗅ぎました‼︎」

 

違う‼︎そうじゃない‼︎いや、確かに正直になるって言ったけど、そうじゃないからね!

 

「うわあぁぁぁぁぁぁぁあ助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

「まだ死にたくねえええええええええええええええ‼︎」

 

「ママーーーーーーーーーーーー‼︎」

 

何人もの助けを求める声が聞こえる。たくさんの受験生が0p敵が壊した建物の瓦礫によって動けなくなっていたのだ。

 

「なっ⁉︎逃げ遅れた人が⁉︎あのままじゃまずい‼︎死ぬなんてシャレになってないぞ‼︎」

 

俺は一刻も早く逃げ遅れた受験生たちを助ける為に走り出した。俺が近づくにつれて受験生たちはパニックになっていく。

 

シャアアァァァァァァァァァァァッ(今助けるぞおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ)!!!」

 

「うわああああああくるなああぁぁぁぉぁぁぁあ!」

 

「助けてお願いしますなんでもしますからあぁぁぁぁぁぁあ‼︎」

 

「ガクガクガクガクガクガクガクガクブルブルブルブルブル」

 

「おばあちゃん今すぐにそっちへ行きますね……」

 

くそっ!ここまで怯えているなんて、将来、ヒーローになるのならもっと落ちついた行動をしないといけないだろうに。

とりあえず受験生たちを挟んでいる瓦礫などを持ち上げる、切り裂くなどをして撤去しよう。

 

「よっ………と、これで大丈b」

 

「うわあああああああにげろおおおおおおおおお‼︎」

 

「ごめんなさいいいいいいいぃぃぃぃぃ‼︎」

 

…………え?もしかしてこの人たち、0p敵に怯えていたんじゃなくて、俺に怯えていたの?

………………ガチで泣いていいですか?

あ!いや、泣いている場合じゃない!早く一つでもポイントを!

 

『試験終了〜〜!』

 

ああクソ!終了か!でも、ある程度の敵は倒せたはず………あれ?俺、敵10体も倒せていない?

 

い、いやまだだ、まだ慌てるような時間じゃあない。

倒した敵が全員3pならば、まだ希望が………あれ?確か赤髪の男子学生を助けたとき、ほとんどの敵が1pだった気が……。

 

…………あれ?ダメじゃねコレ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜一週間後〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「まだうなだれているの?大丈夫だって!孫治郎なら大丈夫だって。」

 

「いや、流石に無理だよ。………あぁ、もうダメだ、おしまいだ。」

 

「大丈夫大丈夫。絶対に合格してるって」

 

「根拠は?」

 

「ん?ないよ、そんなもん」

 

 

ですよね、ちくしょうめ‼︎ああ、せっかくヒーロー目指して努力したって言うのに、こんな結果って…………。

あぁ、鬱だ、死にたい。よし、死のう。

 

「あ、そうそう、孫治郎に伝えたかったことがあるんだけど。」

 

「なに………?これから俺、練炭用意しなきゃならないんだけど」

 

「雄英から封筒きてるよ」

 

 

「へぇ………………」

 

 

 

………………

 

 

………………

 

 

………………

 

 

………………

 

 

………………

 

 

 

「いや、それ先に言ってええええぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!??」

 

マジで⁉︎い、いやおおおおお落ち着けと、とりあえずもちつけ、ま、まままずはぐ、偶数を数えるるるんだ。あれ?素数じゃなかったか?

 

「とりあえずさ、後は自分を信じるだけだよ?」

 

「!…………うん。」

 

そうだ、ここまで来たなら、後は腹をくくるだけだ。

母さんは、俺の為に料理や家事をやってくれた。

そして、今はいないが父さんは帰ってきた時に、格闘技を教えてくれた。なぜ父さんが格闘技の心得を得ているのかはわからない。

 

俺は両親の為、何より自分のためにヒーローになりたいのだ。

 

とりあえず封筒の中身を出した。普通、封筒の中には合格に関する通知が入っている筈なのだが、

 

「………何だこれ?」

 

入っていたのは変な機械らしきものだった。

………いや、ホント何だこれ?雄英が間違って送ってきたのか?

と、思っているとその機械から急に映像が流れた。

 

『わたしが投影されたぁ!』

 

「⁉︎‼︎⁉︎⁇⁈⁉︎」

 

ズコォーン!←ひっくり返った。

 

「オ、オオオオールマイトォ⁉︎」

 

『ハーッハッハッハ‼︎驚いたかい?天倉少年‼︎』

 

そりゃあ驚くよ!まさか、一人一人に映像で合否を発表しているのか?

 

『そう!その通り!わたしが一人一人にこうやって合否を発表しているんだ。』

 

こ、心の中読んできやがった………。

 

説明すると、実技試験中、人助け、正しいことをした人間を排斥するのはヒーロー科にあってたまるか、と言うことらしく隠しポイントとして【レスキューポイント】があり、その分のポイントが加算されると言うのだ。

 

そして、俺のポイントは

 

 

天倉 孫治郎

 

ヴィラン 9ポイント

レスキュー 49ポイント

合計 58ポイント 9位

 

 

 

 

 

俺はヒーローへの一歩を踏み出せたのだ。

 

 

「やったじゃん。」

 

「!………母さん!」

 

母さんはいつもの様に軽い感じだったが、気のせいだろうか母さんが泣いている様な気がする。

………泣きたいのはこっちだって言うのに………。

 

「それじゃ、雄英に行く準備をしないとね」

 

「!………うん」

 

ありがとう、母さん、父さん、そして、ここまで僕を導いてきてくれた神様、ありがとう。

 

僕は早速コスチュームを学校に要望するため、デザインを考えることにした。俺はもう、雄英高校の生徒、否 ヒーローの卵なのだから。

とりあえず俺はノートを取り出し、

 

 

ガッ←つまづく

 

ドサッ!←すっ転ぶ

 

バサバサバサ←本棚から本やノートなどが落ちる

 

ドゴォッ‼︎←本棚自体が倒れる

 

 

 

訂正。やっぱり神様は俺の事が嫌いなんだろう。

 




ここで天倉の両親の紹介をしておきます。


天倉 大河 (あまくら たいが)
年齢 45歳
個性 【鋸刺鮭変身(ピラニアメタモルフォーゼ)
人間型のピラニアに変身、もしくは身体の一部を変身することができる。孫治郎の個性と似ている。変身した時の姿は全身が赤く、所々に緑色の傷があり、緑色の大きい垂れ目をしている。

動物学者であり、よく海外出張しており家に居ることが稀な父親。
かなり野生的な性格をしており、料理や家事洗濯が苦手で、食材を生のままで食べることを好む。
20代の頃はヒーローをやっており、ワイルドヒーロー【フィッシュタイガー】を名乗っていた。しかし、とある事故によってヒーロー稼業を引退した、と言っている。
後輩のヒーローに【ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ】を持ってる。





天倉 絵音(あまくら えね)
年齢42歳
個性【エネルギー変換】
運動した分のエネルギーを火、電気、風などに変換することができる。かなり万能な個性。孫治郎は個性はこっちの方が良かったと、いつも言っている。

性格はかなりノリがよく、夫の大河とは知り合ってから意気投合し、そのまま結婚という形になった。料理、家事全般をよくこなし、息子の孫治郎に一人でも生きていける様に料理や家事をよく教えている。

個性に対してコンプレックスを持っていた孫治郎を心配していたが、ヒーローになる目標を志した孫治郎に対して、「よかったよかったそれじゃガンバ。」という具合にノリが軽い返事をしたが、心の奥底から孫治郎の目標を信じる様になった。


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