個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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気がついたらビルドの方は幻徳さん仲間になってるし、地球外生命体が完全体になってるし、ブロス兄弟死んだし、万丈覚醒したし、内海さんがぶっ壊れたし、戦兎と葛城がフュージョンライズしてボトルヤローに変身して…………時間が流れるのって速いんだなぁと思いました。



これにてオリジナル編の後半に当たる章は終わりとなります。




第44話 長かったD/別れは唐突に

 

 

何故か古明地さんが襲って来たが事なきを得た。

いやービックリしたよ。

急にハイライトの失った目で淡々と殴りに来たんだから。

 

え?怖く無いのかって?いや、崩壊とか爆破とか色々経験して来た俺にとってそう言うのは今更なんだよね。

 

殴られるのには慣れてますから(白目)

 

 

なんやかんやしていると古明地さんは警察の方と事情聴取する為、これから署の方へ向かうらしい。

すると去り際に古明地さんが「いつでも見守っていますね」と言われた。

…なんだろう。途轍もなく面倒な事に巻き込まれている気がしてならない。(※既に面倒に巻き込まれています)

 

 

 

「……………」

 

 

 

そんな俺ですが困っている事が一つあります。

 

 

 

「……………」

 

 

 

なんかコッチを見ている不審者がいる………。

左腕に不気味な人形を乗せてこちらをジッと見つめているんですけど。

これは警察に連絡した方がいいのだろうか?それともそっとしておいた方がいいのだろうか?

 

あ、ヤバイ。とんでもない緊張感とストレスで吐血しそう……。

 

 

「………驚くべき生命力ですね。あれほどの重症を僅か半日でほぼ完治させるとは」

 

 

キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!??

 

あれ?なんだろう。この凄いデジャヴは……相澤先生の時もやった気がする。

 

 

「異常なまでの再生能力、驚異の身体能力。それに加えてただのトカゲに変身する"個性"と言う訳でもない。そもそもトカゲと言うには考えられないパワーにスピード、そして何より逆境立たされた時の爆発力………"個性"は強力に複雑に深化していき最終的には誰にもコントロールできない。個性特異点と言う終末論の一つです。貴方はどうも思いますか?」

 

 

えっと………どう言う意味だってばよ。

この人、急に話しかけて来たと思ったら難しそうな単語をペラペラと口から出してくるんですけど?

 

 

「貴方の"個性"はその終末の一片に過ぎませんが、とても興味深いものです。暴走の危険があるにも関わらずそれを使いこなしているとは……」

 

 

……うん。ツッコミたいところが山程あるけど、なんでこの人は人形に話かけているんだろうか?

 

 

「すみません、こっちを見て話してくれませんか?」

 

「いえ、このままで結構。ところで会長から贈り物です」

 

 

会長?会長って……誰だっけ?

そう思っていると人形の不審者(仮)はタブレットを取り出しこちらに渡してくる。

 

何だろうと思っていると画面に何かが映し出される。

 

 

『Happy birthday!!Amazon!!』

 

「人違いです」

 

 

そう一言呟くとタブレットの電源を切る。

よし、俺は何も見ていないぞー。なんか見たことのある胡散臭い人が写っていた気がするけど気のせいだったぞー。

 

 

『───酷いじゃないか天倉くん!!人の話は最後まで聞くものだぞ?』

 

「うわっ……」

 

『ハハハハハ!そんな顔をしないでくれたまえ。とりあえず一言だけ言っておこうじゃないか。昨日の活躍見事だった!』

 

「アッハイ」

 

 

やっぱり見た事あると思ったら鴻上ファウンデーションの会長さんじゃないか。

この人凄い胡散臭いから苦手なんだよなぁ。

 

 

「と言うか今日は俺の誕生日じゃないですよ?7月ですよ誕生日は」

 

『成る程7月か!里中くん!記録しておきたまえ!』

 

「しまった!墓穴掘った⁉︎俺の誕生日を何に悪用するつもりですか!」

 

『落ち着きたまえ天倉くん。それに今日はヒーローとしての君の誕生日なのだよ?昨日は本当に良く頑張ってくれた。画面越しで見させてもらったが、ドーパントとの闘い……実に見事だったッ!!!』

 

 

えっ?なんでこの人はそんな事知ってるの⁉︎怖っ⁉︎もしかしてずっと監視されていたってわけ?鴻上ファウンデーションの権力ってすげー!……いや、関心している場合じゃないよね。と言うかそれって盗撮じゃないですかヤダー!

 

……うん。考えるのを破棄しよう。

 

 

「………すみません。言っている意味が分からないのですが」

 

『ハッハッハッ……天倉くん!……君には色々と迷惑を掛けたようだね』

 

「はい全くですね。どうしてくれんだこの野r……いえ、なんでもありません」

 

 

まだだ……まだ怒ってはいけない……今怒ると確実に面倒臭い事になる……気がする。

くっそ、画面越しから胡散臭いオーラがプンプンと放たれている所為か、すぐにでもこのタブレットを破壊したい……!

 

あぁ……この職場体験が終わっても、相澤先生に補習確定宣言されてるんだよなぁ……鬱だ死にたい。

 

 

『ハハハ、元気でよろしい!……だが自己犠牲はよろしいとは言えない。レジスターを弄ったらしいが…覚えているかね』

 

 

レジスター……?あぁ!昨日の謎パワーパンチの事か。

俺の左上腕に装着されている腕輪(レジスター)は俺にとって予備充電のようなもので長時間の個性使用を可能としてくれる便利アイテムの認識で良いんだよね?

昨日はほぼ一日中"個性"を使ったけど、いやぁデメリット無しで"個性"を使えるのって本当に素晴らしいね。

 

で、そのレジスターがどうしたんだろう。弄ったと言ってたけど……昨日適当に勘で操作したら凄いパワー発揮したんだよな。

 

その結果が右手がミンチよりも酷い状態というね(白目)

 

 

『レジスターは君にとって予備バッテリーの認識で間違っていない。しかしレジスターを通して君の身体能力や諸々を研究させてもらっているが……君の"個性"はねカロリーを燃料に自身の骨格や肉体を変形させる事も可能だ。つまりッ!!!』

 

「………つまり?」

 

『……一時的なパワーアップ可能と言うだよ』

 

 

ニッコリと微笑みながら言う。

うん、と後回しに言ってるけどつまり"ドーピング"って事ですよね。

ヤバイな。そんな物使ってアレ(右手ミンチ)か……なんだろう、俺って人間だよね?ただの"個性"を持った人間だよね。

 

時々、理性を失って暴走するけど人間に分類されているよね(震え声)

 

 

『職場体験1日目……どうだったかな⁉︎』

 

「それはもう濃い一日でした」

 

 

なんかドーパントと言う怪物と遭遇して、背中怪我してまたドーパントと遭遇して戦って怪我してそんでもってドーパントと戦って怪我して死にかけて………いや、本当に良く死ななかったなぁ。

 

 

『そうかそれは良かった!こちらも頑張った甲斐があるものだよ』

 

「ああ、いえそんな………はい?」

 

 

頑張った甲斐?……なんだろう嫌な予感がするんだけど。

 

 

「聞きたくないんですけど…それってどう言う……?」

 

『いやぁ君には是非、この風都で色々な事を学んでもらいたくてね。ハッキングして君をそちら(風都)に行かせた訳だよ。里中くんには色々と頑張って貰ったよハハハッ!!!』

 

 

……はい?pardon?言っている意味がちょっと理解出来ませんね。どうやら俺の頭では理解する自体、不可能なようだ。

 

つまり?所長さんが実際にこちらに応募したと見せかけて実は鴻上コーポレーションが一枚噛んでいたと?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━ボギンッ!

 

 

俺は無言でタブレットを折るとそのまま窓を開けて天空の彼方へとスパーキングッ!!

 

 

「あんたのせいかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!俺の職場体験どうしてくれるんだよぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 

「何という美しく流れるような一連の作業。見事です」

 

「褒められても嬉しくない!そんでもって何故あなたは人形に目を向けたんだ!コッチを見ろッ!!!」

 

 

どうせアンタもなんだろ!!!アンタも俺を馬鹿にしてんだろこの野郎ーーーーーーッ!!!

そう思いながら俺はその人に組み付く。

 

 

「離しなさい。離しなさい」

 

「うっせぇ!そんな人形持って友達いないアピールかこの野郎!」

 

「離しなさい!離して!あっ、やめろお゛おおおお!駄目だから!これは駄目だからッ!」

 

 

そんなこんなで俺と人形の不審者(仮)が病室内で取っ組み合い争っていると左腕の人形がポーンと空中へ投げ出される。

 

 

「「あっ」」

 

 

そのまま人形は窓の外へ放り出され病院の前にある池に落ち、何故か人形はアイルビーバック的なポーズをしながら沈んでいった。

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ!!?ダメだから!捨てちゃダメだからぁぁッ!!!」

 

 

謎の奇声を発しながら不審者(仮)はそのまま窓の外へ────ファッ⁉︎

 

 

「ちょっと⁉︎何やって────」

 

 

━━バシャンッ!!

 

 

 

ま、窓の外に飛び出してそのまま池にダイブしやがった……何やってるのあの人。と言うか生きてるよね?

 

 

<ナイヨ!ドコニモナイヨ⁉︎…ア、メガネモナイヨ!

 

 

あ、生きてる。

池でバシャバシャと人形探しているみたいだけど……。あれ以上関わりたくないな……。

 

……そっとしておこう。

と言うか、あの人何の為に来ていたんだっけ?

 

 

………まぁ、いっか。

それよりも短時間で色々あった所為か眠くなって来た。ちょっとだけ寝てもいい…よ……ね……zzZZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あ、寝てる…ど、どうしよう?日を改めて来た方が良かったかなぁ?」

 

 

……うん、足音?……女の子の声……誰だ?

 

 

「これ…起こさない方が良いよね……?と言うか死んでる……?」

 

 

いや、死んでないよ。

 

 

「身体中包帯だらけだし……点滴が沢山つけられているし……え、本当に死んでる?」

 

 

いや、だから死んでないって。

……あぁ、眠いから勘弁して欲しいんだけどなぁ。

 

 

「えっと……取り敢えず、手紙だけは残しておいた方が良いのかな──ぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!??」

 

 

パチリと目を開けるとそこには罠にかかった兎の如く片脚が触手に縛られ吊るされた状態のゴスロリの衣装で身を包んだ赤髪の少女が居た。

 

 

「え?何⁉︎何が起こってるの⁉︎と言うかどんな状況⁉︎」

 

「触手に捕まってる」

 

「いや、それは分かるけど!」

 

 

目の前の女の子は色々困惑しているみたいだがそれもそうだろう。俺の背中から触手が生えていればそりゃねぇ…。

ちなみに俺は最近になって"個性"の発動箇所を調節することによって触手のみを生やし操る事も可能となった。

 

……ヒーロー志望なのに徐々に敵みたく見た目が凶悪になって来ているのは気にしないようにしておこう。

 

それにしても……うーん。昨日色々な事を体験したのか、無駄に警戒し過ぎちゃってるな。目の前で吊るされている女の子も別に敵って訳でも無いしなぁ……。

 

 

「……えっと……そろそろ降ろしてくれませんか……?あ、頭に血が………」

 

 

あ、確かに。

赤髪の少女の言う通り触手を操作し丁寧に少女を降ろす。

 

それにしてもゴスロリを着ている女の子なんて初めて見たな。……え?吊るされてるならスカートが捲れてるんじゃないかって?

安心してください。ちゃんと触手でスカートの端を抑えていたのでセーフです。

それにしても昨日色々あった所為か、無意識に警戒しちゃってるなぁ……なんか悪い事しちゃった気がする。

 

 

「で、君は誰?」

 

「え、えっと……」

 

 

あ、あれ?なんか怯えてる?

まぁ、仕方ないよね。初対面の人に触手で捕まったんだからそりゃ警戒もするよね。

………あ、うん。別に気にしてないよ。雄英に入る前は日常茶飯事のようなものだったからネ。

 

あれ?目から何か熱いものが……涙かな?

 

 

「ヒッ……⁉︎め、めめめめ目から血が流れてるんですけど大丈夫ですか⁉︎」

 

 

あーーーー………成る程。

今回は口からではなく目からね、そう言うパターンね。

うんOK把握した。

 

 

「口から血が出るんなら目から血が出てもおかしくないよ。いいね?」

 

「……アッハイ」

 

 

よし、なんか無理矢理な気もするけど後で結膜下出血って誤魔化せばいいか。

……だけどこの娘。誰だ?

 

とりあえず俺のファン……は絶対に無いな。体育祭で黒歴史を晒した上にスカウト数0のヒーロー(限りなく敵の様相に近い)を好む奴なんているだろうか?

否、いる筈もない。そんな事あったら天変地異、オールマイトが体力の限界を迎えヒーローを引退すると同じくらいだ。

 

 

「で、本当にどちら様ですか?俺が知ってる限り君みたいな知り合いはいないんだけど……」

 

「え、………その……」

 

 

むぅ……これは困ったぞ。何というかこの娘は引っ込み思案なのかな?

……よし、ここはこちら側から積極的に声を掛けてみよう。オールマイトのようにジョークを交えてトークをしていけば自ずと心を開いてくれる筈だ───多分ッ!!!

 

 

「は──HAHAHA!何のようかなお嬢さん?見ての通り分かると思うが俺は怪我をしてしまってね。今、ものすごく腹が減っているところなんだ」

 

「え……?あ、ハイ……」

 

 

よし、掴みはOKだ。

ここでオールマイトのようにジョークを交え警戒心を無くさせる!

 

 

「それにしてもお嬢さん。とても美味そうな体をしてるじゃないか……ちょっとだけ……ちょっとだけでいいから左腕を食べさせてもらっても───」

 

 

「──────」

 ↑

ガタガタと体を震わせ血の気が引いていくお嬢さん

 

 

 

あ、あれ?おかしいな。ちゃんと(ブラック)ジョークを交えてトークをしたのに更に警戒されているような気がする。

 ↑

ジョークの意味を履き違えているアホの図

 

 

「……う」

 

「う?」

 

「……うぅ……あ、うふぇ……ぇぇぇぇええ…うぅ、ぐすっ……ご、ごべんばざい……ばだじのぜいでずぅぅぅぅ……」

 

 

な、なにィィィィィィィィイイイッ!!?

泣いただとぉぉおおおおッ!!?

 

俺にどこか落ち度があったと言うのかッ⁉︎馬鹿な!ちゃんとジョークを交えてトークした筈なのに!何故………!

 

 

「あ、あのー?」

 

「ぴぃっ⁉︎た、食べないでください!」

 

「食べないよ⁉︎」

 

 

酷くね?俺、大食漢と言うのは自覚してるけど、人肉なんか食べるわけ無いでしょ⁉︎俺は人肉嗜好なんて性癖はありません。

むしろ勘弁して欲しいところです。

 

 

「ほら、落ち着いて」

 

「いやぁぁぁぁぁあああっ!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 

「いや、ほんと落ち着いて⁉︎なんかコッチが悪いように見え……いや、悪いけどさ!本当にもう落ち着いてくださいお願いします!」

 

 

俺は何とか落ち着いて貰うためにジャンピング土下座ならぬジャンピング五体投地を行う。

しかし目の前の女の子は怯えてばかりで全く事態は変わらない。

 

お願いですから落ち着いてください。おおブッタよ、寝ているのですか?

 

 

と言うかこんな状況を誰かに見られたら色々と誤解されそうな────

 

 

「天倉起きてるk──────」

 

「あっ」

 

「あっ」

 

 

そこには扉を開けこちらを見たまま硬直している照井さんの姿があった。

 

……よし、神様。

あんた絶対俺の事を見放すどころかm9(^Д^)って感じに楽しんでるだろチクショウ。

 

 

「照井さ「俺に質問するな」……え?」

 

「俺はお前に質問しない。だからお前も俺に質問するな。分かったら一緒に署に来て貰おうか」

 

「すみません、本当に誤解なんです。だから逮捕だけは勘弁して下さい」

 

 

本日2度目のジャンピング五体投地。

 

相澤先生。貴方のクラスに犯罪者が出る事をどうか許して下さい。

……あ、ダメだ。頭の中で何度もシュミレーションしても許されるイメージが湧いて来ない。

 

 

「……何か勘違いしてないか?俺はあくまで君から事件について詳しい事を聞きたいだけだ」

 

「………え……本当に?」

 

「本当だ」

 

「マジですか?」

 

「マジだ」

 

「れありぃ?」

 

「警察をなんだと思ってるんだ」

 

 

よ、よかったぁぁぁぁぁぁああああああああッ!

何がよかったかはさて置いてマジでビックリした。本当にもう社会的に死ぬかと思った。

 

 

「………彼女は……?」

 

「え?あぁ、なんか寝ている間に忍び込んで来た……そういえば誰なんだこの娘」

 

 

そういえば何も聞けなかったんだっけ。寝る前にも不審者(仮)もいたけどあの人どうしたのかな?人形が池ポチャしたのは俺の所為だけど本気で関わりたくないんだよなぁ。

 

 

「………! 火焔猫燐⁉︎」

 

「え?火焔猫燐って………」

 

 

確か、古明地さんが探していた子じゃないか。でもなんで俺の所に来てるんだ?

すると照井さんはしばらく何かを考えたような動きを見せると俺に声をかけて来た。

 

 

「………天倉、すまないが古明地について聞きたい事がある」

 

「え?」

 

 

聞きたい事って……何故に今?

もしかしてまだ古明地さんの事を疑っているのか?

 

 

「……君の言いたい事は分かる。だが頼む。些細な事でも良いんだ古明地さとりについて何か違和感を感じた事はないか?」

 

 

違和感……?

いや、違和感って言われてもそんな簡単に……いや、あるな。

 

 

「なんか俺に付きっ切りで看病するとかいつでも見守っているとか言い出してました」

 

「いや、彼女のソレについてはコチラも充分に把握している……その、色々と災難だな」

 

 

照井さんは俺の肩にポンと手を乗せる。

………え、何?

何故に、やれやれって感じの顔をしてるの?何故にお前も苦労してるんだなって顔してるのこの人?

 

 

「……っと話が逸れた。精神的な方ではなく身体的な方がで何か違和感はあったか?」

 

 

身体的かぁ………と言われても、古明地さんの身体的な違和感なんてありまくりだと思う。

 

小学生くらいの容姿で色々と悟ったような発言に霊烏路空さんに様づけされる。

それに加えて俺が天に召されかける程の女の子が出しちゃいけないパワー……………あれ?

 

 

「どうした天倉?」

 

「あ、あぁ、いえ……古明地さんって腕力強めでしたっけ?」

 

「どう言う事だ?」

 

「いやですね、あんな小学生に満たないような容姿と言う事は筋肉量も然程多くはない事になりますよね?フィリップさん達と一緒に猫を探してた時に俺、古明地さんに引きずられたんですよね」

 

 

確か古明地さんの"個性"は心を読むものであり、決して増強系の個性では無かった筈だ。

それなのに怪我をした俺をものすごい力で締め上げたり、俺を引きずる形で運んだりする事は可能なのだろうか……?

 

と言うか何故、照井さんはそんな事を今になって聞いて来たんだ?

 

 

………ええい、まどろっこしい!

 

 

「照井さん教えてください!古明地さんに何があったんですか!俺だって事件に関わったんです。そんな遠回しにじゃなくて、ハッキリと言ってくれなきゃ分かりません!」

 

「………そうか、すまない……君もヒーローを目指す1人だったな…」

 

 

照井さんは目を伏せながらそう言うとコチラの目に見てハッキリと答えた。

照井さんのその一言は───

 

 

 

「先程、古明地さとりを取り調べしていた警官2名が重度の火傷を負い、古明地さとり本人が行方をくらました」

 

 

 

俺にショックを与えるには充分だった。

 

そしてブツブツと呟く火焔猫さんの謝罪の言葉は

 

 

 

「ごめんなさい…ごめんなさい……ごめんなさい…」

 

 

何かに酷く怯えているように思えた。

 

 

 







後半はコレにて終わりになります。





















────まだ終編が残ってるがなぁッ!!



まだまだ主人公を苦しめたい!

まだまだ主人公をいじめ足りない!

まだまだ主人公を絶望に落としたい!

そして絶望にまみれた逆境を血塗れになって乗り越えさせたい!


主人公虐メルノ楽シイ!楽シイ!楽シイ!
ボロボロニナッテル主人公ハ、カワイソウ!カワイソウ!カワイソウ!
血マミレノ主人公ハ滑稽デ面白イ!面白イ!面白イ!

アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ











……やべぇ、絶対アマゾンズの救いの無いストーリーに感化されてるわ……。

そして一瞬だけ別の何かが乗り移った気がする。




ちなみにギャグ成分が足りてねーじゃねぇかカス!と思った読者は同時に投稿した番外編をどうぞ。


次回も頑張って投稿したいと思います。


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