個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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ある日、僕は考えた。
なんでオリジナル編なんて作ってしまったのか、果たして自分の能力でどこまでいけるのか、見てくれる人なんてどうせいないだろうと。

ちゃんと小説は内容を構成して設定にあまり矛盾が無いように書かなきゃいけないってのに、何故こうなってしまったのだろうか。


そんな事を心の中で思いながら2週間前に兄に相談した。


兄『いや、自分の自由にすればいいじゃん』



……………

……………

……………



やべぇ!そう言えばこの作品(コレ)、僕の自由に書いていいんだっけか!!




と言うわけで、こんなクソ小説を見てくれてる人なんて居ないだろうと思いながら連続投稿。



第39話 罪のB/疾走の赤

「あぁー!なんで居ないんだよ!ここに居るはずだろ!!」

 

 

翔太郎さんの声が響き渡る。

現在、俺達探偵+αは寧々さんの妹さんと会いに寧々さんの自宅に来たのだが、妹さんの姿は見当たらない。

 

 

「ねぇー、フィリップ君〜。寧々音根さんの妹さんの場所調べて〜」

 

「そうなると、彼女についての詳しい情報が必要だ。その為には古明地さとり。君から彼女の詳しい情報を聞くしか━━」

 

 

「娘がどうかしたのかね?」

 

 

俺達の後ろに見知らぬ男性が立っていた。

その男性はパッと見は50代辺りの年齢で顔の左半分にヒビのような傷跡があり、ハッキリ言って凄い威圧感を出している。

 

 

「快青さん!」

 

 

すると、古明地さんがその男性に話しかける。

あれ?もしかすると知り合いですか?

 

 

「さとり君?何故君が……それに学校は?」

 

「そ、それは……その……」

 

 

学校?………あ、そう言えば俺、職場体験ですっかり忘れていたけど、今日は平日で普通なら学校にいる時間帯なんだっけか……。

 

あれ?だとすると古明地さん……まさかのサボり⁉︎

ウチの不良(爆豪くん)でも学校をサボったりしないんだけどなぁ……。

 

 

「とにかく、詳しい話は中でするとしようか」

 

 

そして俺達は快青さんに家の中に連れられ、古明地さんの事情を説明する事となった。

 

 

「成る程…そんな事があったのか……」

 

「はい……そこで探偵さんの力を借りる事となりました」

 

「そうか。……改めて自己紹介をさせていただきます。私の名前は茂加味 快青(しげかみ かいせい)。寧々音根は幼い頃、両親を亡くしてしまい、私が義理の父親となっています」

 

 

快青さんか。寧々音根さんと全く性格違うと思ったら義理の父親なのか……。何処かの父親と違ってしっかししているなぁ…。

 

……あれ?快青さんって何処かで聞いた事があるような……。

 

 

「ふむ、興味深い」

 

 

フィリップさんが呟く。

『すしざ◯まい』ポーズをしているのでおそらく検索したのだろう。

それにしてもとんでもないチート個性だな…。

 

 

「茂加味快青。彼は無個性ながら"個性"の解明を進めている研究者の1人であり同時に科学者でもある。現在は大学の教授として日々研究に没頭している……ほう、ますます興味が湧いてきたよ」

 

「ほう、そこまで知ってるとは……いや、調べたと言うべきか。君の"個性"は実に素晴らしいモノだ」

 

 

そうか。おそらく雄英の授業で聞いた事があるのだろう。通りで名前に聞き覚えがあるはずだ。

 

と言うか、フィリップさんと茂加味さんが意気投合してるんだけど。

なんか面倒臭そうな雰囲気になってきt

 

 

ピタッ

 

 

「失礼、ふむ中々いい体つきをしていr

 

 

「わぁーーーーーーーーッ!!??」

 

 

ドゴォッ!!!

(思い切り腹パンする音)

 

 

「「「快青(さん)ーーーーー⁉︎」」」

 

 

あ、やべ⁉︎いきなりボディタッチして来たから身の危険を感じて反射的に腹パンしてしまった!大丈夫⁉︎内臓潰れていない?

と言うかなんでこの人は身体を触ってきたんだよ!!アレか⁉︎そっちの趣味か⁉︎男色家なのかよ⁉︎

 

 

「ぐふっ…い、いい拳だ。よく鍛錬されている…」

 

 

あ、大丈夫っぽい。

いや、大丈夫じゃないな。確実に大ダメージを食らってるよコレ。

 

 

「流石だよ天倉くん。そして雄英体育祭では実に見事な活躍だった。」

 

 

え?体育祭?

 

見事?

 

活躍?

 

 

…………

 

 

…………

 

 

…………

 

 

 

「ゴポッアッァ━━━━(吐血」

 

 

「「「あ、天倉(さん)ーーーーーーーーーッ⁉︎」」」

 

 

こ、殺してくれぇ………こんなゴミクズを殺してくださいぃ……。

俺みたいな女性に平気で暴力振るう奴なんて生きてる価値なんて無いんです……。

 

 

「だ、大丈夫ですよ天倉さん!ほ、ほら天倉さんにも良い所は……その……や、優しい所とか?」

 

「フォロー下手か!!それ良い所が特に思いつかないヤツの台詞だぞ!」

 

「そ、その、すみませんでした…」

 

「まぁ、天倉くん落ち着きたまえ。そこまで気に病んでも仕方ない事だ。それに私自身、君の"個性"に興味があるんだ」

 

 

コヒュー…コヒュー…き、興味?一体何だろう?

 

 

「"個性"とは先天性の超常能力。そして君の"個性"は三系統の内、「変異型」該当されるだろう」

 

 

快青さんの言う通り"個性"は大きく分けて「発動型」「変形型」「異形型」の三系統に分けらている。

 

爆豪くんと上鳴くんの"個性"は数多くある“個性”の中で一番スタンダードな系統の「発動型」。

多種多様で自身の意思で能力を発動させる。またその種類の多さから、発動する“個性”によって「増強系」や「拘束系」などに細分化されている。

この「増強系」は緑谷くんに該当される。

 

次に「変形型」

通常の人間の体から、自身の意思で肉体を変化させる"個性"。

コレは切島くんの"硬化"が当てはまる。一応、俺の"個性"にも該当される。

 

そして生まれた時から常時“個性”が発現している系統である「異形型」。

コレは蛙吹さんと障子くんが当てはまる。

元から人間離れしている容姿だから一目瞭然だ。

 

だがコレらの系統を二つ以上の特徴を持つ「複合型」の個性が存在する。

コレには轟くんが該当される。

 

 

だが、それらの系統に属さない「突然変異《ミューテーション》」が存在するらしい。

それは両親のどちらの家系にも全く類似しない“個性”が発現する現象。事例はほとんど存在しない模様だが、ごく稀にこの現象が起こることがあるという。

 

 

おっと、話が逸れてしまった。快青さんの話をしっかり聞いておかないと。

 

 

「確かに僕の"個性"は変形型だと思いますけど…」

 

「あぁ、そして体育祭での出来事は覚えているだろうか?」

 

「体育祭での出来g━━━━……ハイ。大丈夫です覚えています」

 

 

危ない危ない。うっかり吐血する所だった……。

体育祭での出来事と言っても何の事だろう、一応覚えていますって言っちゃったけど。

 

 

「私は君がトーナメントで見せた2つの形態について不思議に思うんだ」

 

2つの形態って………あの、【燃費が良いモード】と【ギザギザモード】の事かな?

 

 

「最初の方で君が見せた禍々しい形態。アレを"超越形態《エクシードフォーム》"と称しよう、アレは君への多大なストレスが【個性因子】に何らかの作用を及ぼしたと考えられる」

 

 

エクシードフォームか……なんかカッコイイな。よし採用。

でもストレスか……確かにあのブーイングの嵐は辛かったなぁ。

 

 

「まぁ、でもそのエクシードフォームがどうかしたんですか?」

 

「うむ、君の個性だが、もしかすると「複合型」かもしれない」

 

 

え?複合型?

……………マジで⁉︎

 

 

「無意識かもしれんが君はエクシードフォームの状態で、身体から電撃を放った。「変形型」の"個性"が「発動型」の"個性"を使えるとは思えない。トーナメントで使えるようになったのか、最初から使えたのかは分からないが……」

 

 

遺伝か……確か轟くんは父の炎と母の氷の"個性"を引き継いでいるんだっけか……。

 

だとすると僕は誰の"個性"を継いd━━━━

 

あ、待てよ?確か母さんの"個性"って『エネルギーを別のエネルギーへと変換させる』ものだった筈だよな。

つまり、俺は母さんの『エネルギー変換』を継いでるって事なのか⁉︎

 

うわぁ、だとするとタダでさえ燃費が悪い"個性"に、エネルギーを消費させる"個性"が合わさって、結果的に燃費が悪いって事じゃないですかやだー!!

 

 

「うわぁ……マジか……マイナスとマイナスがかけ合わさって更にマイナスになってるよ……」

 

「いや、話はここからだ天倉くん。私は"個性"についての研究をしている事は既に知っている筈だ。長年の研究で"個性"はソレを使う人物の心的要因によって作用する事が分かった」

 

「ほう、心的要因……」

 

 

フィリップさんが興味津々に聞いている。古明地さんも真剣に話を聞いている感じだ。

あ、だけど亜樹子さんと翔太郎さん眠そうにしている…。

 

それにしても心的要因か……。

 

「つまり、心の強さって事ですか?」

 

「簡単に言えばそうなるだろう。君が体育祭で発現させた二つの形態のエクシードフォームともう片方の形態。君が発現した力だが全く違うフォルムとなっている。この二つはその時の君がどのような状態なのかをうまく表現できている」

 

あ、確かに。

【エクシードフォーム】は多大なストレスによって発現させたのに対して、【燃費が良いモード】は爆豪くんとの試合の直前に気持ちが整った時に発現したんだよな……でも、それがどうかしたのかな?

 

「エクシードフォームだが…私の推測通りなら()()()()()()

 

「不完全……ですか?」

 

古明地さんが首を傾げる。俺もさっぱり分からん。

 

「つまり……エクシードフォームは何らかの心的要因によって完全な形態になれていない。と言う事でしょうか?」

 

「あぁ、察しが良くて助かるよフィリップ君」

 

あぁ、成る程。何らかの心的要因ね………。

 

 

……え?ちょっと待って。エクシードフォームってまだ強くなるの⁉︎

あの背中から触手が生えたクリーチャーが進化して更に凶暴なクリーチャーに変貌するって事⁉︎

 

それってどんなbow⁉︎

 

「すみません…それはちょっと勘弁してください。いや、本当に」

 

「………うわぁ……」

 

古明地さん心を読むのやめてくれないかな。

お願いだからそんな可哀想なものを見るような目はやめて!!

 

 

「ふむ、それは残念だ。とまぁ、長い話は置いておいて君達が探している娘なら今、風花第一中学校に居るはずだ。今日は確か午前授業だったからすぐに会う事が出来ると思う」

 

「協力感謝します。茂加味さん………って翔太郎さん!亜樹子さん!いつまで寝てるんですか!」

 

「っと⁉︎わ、悪りぃすげぇ難しい話だったもんでつい……」

 

「ご、ごめんね……と、とにかく……何処に行くんだっけ?」

 

……あぁ、どうしよう。凄く頼り無くなって来た…。

本当に大丈夫なのだろうか。

いや、職場体験を間違えてアルバイトの採用とした時点でダメだけどさ……。

 

「とにかく、風花第一中学校ですね。分かりました!それじゃあ行きますよ!」

 

「だだだッ⁉︎襟を引っ張るんじゃねぇ!」

 

こうでもしないと茂加味さんに迷惑がかかる気がするので翔太郎さん達には悪いが今すぐに中学へ向かうとしよう。

 

……あれ?古明地さんどうしたんだろう。

 

「あ、あの……茂加味さん………」

 

「うん、どうした?さとり君」

 

「い、妹は……どんな具合でしょうか……」

 

「ん、あぁ。問題無い。もうすぐで完治する」

 

その言葉に古明地さんがホッとしたような表情を見せる。

 

……妹?へぇ、古明地さんって姉なんだ。どっちか言うと妹って感じがしたけど……。

て言うか、これ以上に小さなロリータなんているのか?それとも妹の方が姉よりも体型が優れているとk━━

 

 

「天倉さん聞こえてますよ(殺しますよ)

 

 

━━すみませんでした。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

風花第一中学校 校門前

 

時刻13:00

 

探偵達は今、張り込みをしていた━━━

 

 

「さて、古明地。寧々音根さんの妹って言うのはどんな感じの奴か分かるか?」

 

「そうですね。と言っても『絶対中学生じゃねぇだろ』って感じの容姿なんですぐに分かると思います」

 

「どう言う事だ?……まぁでも、人間離れした容姿の奴なんかそこら辺にいるからな」

 

 

翔太郎がそう言うと、校門から出てくる生徒達の中に首が長い者、肌が変色している者、三つ目の者、顔のみが獅子の者。

 

 

「………人の事言えないけど改めて見るとすっごいシュールな気がする。てか、中学生じゃない容姿って一体どう言う事なんd……」

 

「ん、天倉どうしt………」

 

「どうしたんだい?2人共、固まっt……」

 

 

天倉と翔太郎、フィリップの3人は1人の女子生徒を見て固まった。

いや固まらざるを得なかった。

 

その女子生徒は緑色のリボンを付け、背中から巨大な黒い翼を生やしていた。

他の生徒と比べて確かに人間離れしている容姿だが、天倉達が注目したのはソコではなかった。

 

 

━━ボイン

 

 

そのバストは豊満であった。彼等が見ている生徒は確か、女子中学生であった筈だ。

その筈なのだが、彼女のスタイルは中学生離れしていた。

 

そして男3人の心の中は

 

(((コイツ絶対中学生じゃねぇだろ⁉︎)))

 

シンクロしたのだった。

 

━━パァン‼︎×3

 

 

「何、鼻の下伸ばしてんのよ!!」

 

「っでぇ‼︎亜樹子……!」

 

「す、すまないアキちゃん。信じられない……女子中学生の身体があそこまで発達しているなんて……ゾクゾクするねぇ」

 

「あのフィリップさん、アウトな発言なのでしばらく黙っててください」

 

「馬鹿な……中学生なのにあの身体……八百万さんと同等……いや、将来性を考えればそれ以上……だと………⁉︎」

 

━━パァン!(無言のスリッパ)

 

 

駄目な男共にツッコミを入れるマトモな女性達。

そんな漫才を繰り広げていると、その女子生徒がこちらへ走って来る。

 

 

「さーとーりー様ーー!!」

 

「いや…だけど……峰田くんが言っていた……おっぱいは宇宙であり、真理であるt━━━タコスッ⁉︎」

 

━━ドゴッ!!

 

 

天倉が吹っ飛ばされたがその女子生徒は古明地さとりに抱き着く。

 

 

「ちょ、ちょっと…(うつほ)…苦しいから…」

 

「えぇー」

 

「さ、様だぁ?」

 

「もしかして彼女が……?」

 

 

翔太郎達は急にやって来た彼女に戸惑う中、彼女に吹っ飛ばされた天倉が目を覚ます。

 

 

「………ヴェッ⁉︎ダリナンダアンタイッタイ!!」

 

「ま、待ってください天倉さん。彼女に悪気は無いんです」

 

 

復活(コンテニュー)を果たした天倉はその女子生徒に疑問を投げかけるがさとりは彼女と天倉の間に割って入る。

 

 

「うにゅ?どちら様?」

 

「はぁ……えっと、こちらが皆さんの探していた寧々寝根さんの妹。霊烏路空《れいうじ うつほ》です」

 

「コイツがか⁉︎てか苗字……」

 

「おそらく、彼女も茂加味快青の義理の娘なのだろう。更に、寧々音根見値子の親族でも無い……まさか全員が血の繋がっていない家族とは……」

 

 

複雑な家族構成にその場に微妙な空気が流れる。

探偵達がそんな事を考えているのを知らず空は翔太郎に話しかける。

 

 

「ねーねー、そこの変な帽子の人って誰?」

 

「変なッ⁉︎」

 

「プッ!」

 

 

変な帽子と呼ばれた翔太郎は驚き、すぐ隣にいた亜樹子は思わず吹き出してしまう。

 

 

「そこの本を持っているのは……」

 

「霊烏路空。君の事は既に検索し終えた。君は━━━」

 

「分かった!オタクでしょ!知ってるよ!オタクって言うんでしょ!」

 

「ブフッ!」

 

「お、オタク…って……プッ……フィリップくんがオタク…ププッ!」

 

「オタク……ほう………」

 

 

フィリップ=オタクと認識され、翔太郎と亜樹子は笑いを必死に抑えている様子だ。

そう言うフィリップは満更でもない様子だった。

続いて空はジッと天倉の顔を見つめる。

 

 

「………」

 

「………」

 

 

しばらくの静寂。

そして

 

 

「ごめん、知らない」

 

「それはそれで傷付くッ!!!」

 

 

謎の精神的なダメージによりその場で膝から崩れ落ちる天倉。

orz と言う感じに四つん這いの状態となる。

 

 

(何なのこの子……おかしいな、俺の知っているカラスって頭のおかしい奴等ばかりなの⁉︎)

 

 

『新聞……新聞……』

 

『混沌……晦冥……』

 

『うにゅ……うにゅ……』

 

 

天倉の頭の中に頭のおかしいカラス達が湧き出て来る。

 

 

「(0M0;)ウワァァァァァァァァァァッ!!」

 

「天倉ーーーーーッ⁉︎」

 

「そろそろ天倉くんを休ませてあげた方が良いかもしれないわね」

 

(いや、そう言う問題じゃ無いと思うんですが…)

 

 

「……で、さとり様。どうしたの?学校は休み?」

 

「えっと……その……」

 

「まぁ、まぁ、待て待て。ちょっとお前さんに聞きたい事があるんだ」

 

 

複雑な表情を見せるさとりを庇うようにカッコつけた翔太郎がさとりの前へと出る。

 

 

「俺達は探偵でな、ちょっと聞きたい事があるんだが良いか?」

 

「うにゅ?」

 

「実は、さとりのすぐ近くで火が発生したって言うんだが……お前さん、何か知ってるか?」

 

「うん。知ってるよ!」

 

 

翔太郎の問いに空は明るく返事をする。手がかりを見つけた事に対して亜樹子はガッツポーズを決める。

 

 

「んじゃ、何でもいい。教えてくれて」

 

「うん!あのね。さとり様の目の前で火が出たんだよ!」

 

「それは本当か⁉︎」

 

「……うにゅ?なんか変な事言った?」

 

「……いや、何でもねぇ。他には何か知ってるか?」

 

「うーんと……分かんない」

 

「そっか……ありがとな」

 

 

そう言うと翔太郎は帽子を深く被り直す。

 

結果としてはあまり良い情報を引き出せなかったら。

いや、逆に悪い情報かもしれない。

 

先程の証言は念の為、フィリップに記録してもらったが彼女の発言は「火がさとりの目の前に出て来た」だ。

翔太郎自身、さとりに対して不利益な証言を引き出してしまったので申し訳ない気持ちで一杯だろう。

彼は帽子を深く被ることによってその表情を隠しているのだ。

 

 

「そう言えばお空。寧々音根さんに聞いたんだけど、今日は家にいるんじゃなかったの?」

 

「うにゅ?あぁ、それの事?なんか朝から気分が悪くて休もうと思ったんだけどね。なんかスッキリしたから途中から学校に来ちゃった」

 

「そうなの?でも、寧々音根さんにちゃんと言わなきゃ駄目よ」

 

「はーい…」

 

 

さとりに注意された空はションボリと落ち込む。どう見ても小学生くらいの身長しかない子が大きな子に注意している光景はどう見ても違和感バリバリだった。

 

 

(……本来は逆の立場なんだろうなぁ)

 

「天倉さん(聞こえてますからね)」

 

「あ、ごめんなさい……(直接脳内に……⁉︎)」

 

「もう……ところでお空、その怪我はどうしたの?」

 

 

さとりはお空の背中から生えている翼の片方を指摘する。空の翼の片方にはグルグルと包帯が巻かれてあるのが分かり、怪我をしている事が一目瞭然だった。

 

 

「うーん……分かんない!気付いたら怪我してた!」

 

「……なぁ、コイツ頭がおかしいんじゃないのか?」

 

「翔太郎さん、事実ですけどハッキリ言うのは失礼ですよ」

 

「天倉くーん、君も失礼な事言ってるからね」

(スリッパを構えながら)

 

 

そんな漫才を繰り広げるが、ここは中学校の校門前。

周りの生徒達から変な目で見られている事に気が付いた翔太郎達は咳払いをした後

 

 

「と、とにかくサンキューな。もう大丈夫だぜ」

 

「お空。寄り道せずにちゃんと家に帰ってね」

 

「えー、お燐も居ないから退屈なのにー……分かりました」

 

 

空はそう言うとトボトボと帰路を歩いて行く。

 

 

「……有益な情報は手に入らなかったなぁ」

 

「無実を証明するどころかますます…」

 

「き、気にしないでください」

 

 

亜樹子と天倉はションボリと落ち込んでしまうが、古明地はそんな2人を懸命に慰めようとしている。

 

 

「くそ、どうすんだよ……仕方ねぇ、照井の所に行って何か聞いてみるしかないか」

 

「あっ、はーい!はーい!私も!私も竜くんの所に行きたーい!」

 

「ふふふ、皆さん。途端に元気になりましたね」

 

「うん。いつまでも落ち込んでいるんじゃなくて、地道にでも依頼者の為に前向きにか……」

 

 

天倉は翔太郎、亜樹子、フィリップの探偵の仕事を見てヒーローに関わるものを感じた。

ヒーローとしての仕事は探偵のように個人だけを助けるのでは無く、全てを助ける仕事だ。

 

端的に言えばそれぞれは全く異なるものだが、こうして見ると自分達が1人の少女を助ける為に頑張るヒーロー達に見えてくるのだ。

 

 

「探偵か………あ、そう言えば古明地さん。聞きたい事があるんだけど良いかな?」

 

「はい?何でしょうか」

 

「大した事じゃないんだけど、古明地さんと快青さんが言っていた妹って言うのh━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、お前等。何、そんな所で喋ってんだよ」

 

 

すると、天倉の言葉を遮るように後ろから声を掛けられる。

そこには学生服を着崩し髪を逆立て赤のバンダナを巻いた威勢の良さそうな男、青のベレー帽を被り老けた顔をした男、ニット帽を被った無邪気そうな少年の3人組がそこに居た。

 

 

「あん?お前等誰だ」

 

 

翔太郎がそう尋ねると真ん中の赤いバンダナを巻いた男が名乗り出る。

 

 

「おっ?俺達か?俺達は【風都 三羽烏(ふうと さんばがらす)】だ‼︎言っとくがそう簡単に正体は明かさねぇ!」

 

「っておーい!もう明かしちゃってるし!」

 

「……何これ漫才?」

 

 

【風都三羽烏】と名乗った3人組のやり取りに困惑する亜樹子。

すると翔太郎はポンと手を叩く。

 

 

「あ、お前等さては……馬鹿だな!!」

 

「初対面の相手に失礼じゃないですか!翔太郎さん!」

 

 

あまりにもストレートな発言に天倉は声を上げる。

 

 

「初対面の相手に失礼じゃねぇかよ!」

 

「つーか、そこにいるのは古明地の先輩じゃねぇかよ」

 

「ッ!」

 

 

すると、古明地は天倉の後ろに隠れるように移動する。天倉はいきなりの事に「え?え?」と声を漏らすしか無かった。

 

 

「こんな所でサボりとはなぁ……流石は優秀な【個性】持ちだなオイ!」

 

「ま、まぁまぁ落ち着いて落ち着いて。ステイステイ」

 

「だとよ、赤羽」

 

「ワン!……って俺は犬じゃねぇよ青羽!」

 

「また始まってるし……」

 

 

再び漫才を始める3人組に亜樹子は呆れ、天倉は心の中で「帰りたい」と呟いていた。

しかし、天倉は先程の赤羽と言う男がさとりに嫌悪感を示している事を理解する。だがその矛先は天倉にも向く。

 

 

「あ、ねぇねぇ赤ちゃん!青ちゃん!コイツ雄英体育祭の三位だよ!」

 

「マジかよ黄羽!」

 

「言われてみりゃあ……!」

 

「……ども、三位の天倉ですハイ」

 

「ヘッ!雄英高校の優秀な【個性】持ちがわざわざこんな所までご苦労なこった」

 

「あ、ハイ……なんかすみません」

 

「天倉くん本当にごめんね」

 

 

嫌味を言われた天倉はとりあえず謝る事にした。

そして連れられて亜樹子も天倉に申し訳ない気持ちで一杯になった。

だが、三羽烏の口調は更に荒くなっていく。

 

 

「なぁ先輩よぉ、お前も無個性のヤツなんか馬鹿にしてんだろ?あん?」

 

「え?何が?よく分からないけど、別に馬鹿にした事は無いよ。寧ろ羨ましいと思ってるし……」

 

 

この言葉は天倉の本心だが、その言葉を悪いように受け止めたのか赤羽は眉間にシワを寄せ血相を変え怒りをぶちまけて来た。

 

 

「馬鹿にすんのも…いい加減にしろよテメェッ!!!」

 

「天倉さん⁉︎」

 

 

突如として赤羽は拳を振り上げ天倉に対して殴りかかって来たのだ。

急な事にその場のほぼ全員は反応できず、その中で古明地だけは叫ぶ事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危なっ」

 

 

━━ガッ!バッ!ギュゥゥ

 

 

「がああああぁぁぁぁ!!??」

 

「赤羽ーーーーーーッ⁉︎」

 

「それ以上いけない!」

 

 

だが、幾多もの修羅場(USJ、体育祭、etc)を潜り抜けてきた天倉は咄嗟に殴りかかって来た赤羽に反射的にアームロックを掛けた。いや、掛けてしまったのだ。

 

 

「あ、ごめん。いきなり殴りかかって来たから……で、古明地さんどうしたの?」

 

パッ(アームロック解除)

 

「………いえ、何でもありません」

 

「ッ〜〜〜〜〜!よくもやりやがったなぁ!」

 

「いや、先に仕掛けて来たのソッチだけど」

 

「うるせぇ!!……こういう奴はな、体で教えてやらねぇとな」

 

 

赤羽がそう呟くとズボンのポケットから手の平サイズの長方形の物体を取り出す。

それを見た翔太郎達は目を見開き驚愕を露わにする。

 

 

「なっ⁉︎【ガイアメモリ】!!」

 

「どうして中学生が…!!」

 

 

翔太郎達の言葉を無視するかのように赤羽をガイアメモリのスイッチを押し、自身の腕に挿入する。

 

Castle(キャッスル)

 

そして赤羽の姿はみるみる内に赤い2つの盾を兼ね備えた重厚な姿へと変貌を遂げた。

 

 

「そんなに珍しいか?ガイアメモリがよッ!!」

 

「ッ!不味い皆!避けるんだ!」

 

 

━━バシュウウウウウウッ!!

 

 

フィリップがそう叫んだ瞬間、赤羽もとい《キャッスル・ドーパント》の額から緑色の閃光が放たれる。

天倉はさとりを、翔太郎は亜樹子を庇う形でそれぞれ回避行動をする。

 

すると先程まで天倉達が立っていた場所が焦げており、まるでレーザーによって焼かれたような跡が残っていた。

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ば、化け物だ!」

 

「助けてぇぇぇぇぇぇッ!」

 

「逃げろ!みんな早く逃げろ!!!」

 

 

その光景に周囲にいた生徒を含めた街の住人が逃げ惑う。

 

 

『ハッハッハッーーー!!どうだこの力!』

 

「チッ、フィリップ!半分力を貸せ!」

 

「わかった!」

 

 

翔太郎がそう言うとフィリップが応じるように2人はダブルドライバーを下腹部に装着し、ガイアメモリを取り出す。

 

 

Cyclone(サイクロン)

 

Joker(ジョーカー)

 

「「変身ッ!!」」

 

 

Cyclone Joker(サイクロン ジョーカー)!!』

 

「おっと、フィリップくんセーフ!」

 

「サンキュー、亜樹子」

 

『「さぁ、お前の罪を数えろ‼︎」』

 

『よりによって仮面ライダーかよ。こいつは都合がいい!』

 

 

仮面ライダーWへ変身を終えた翔太郎とフィリップは走り出し、キャッスル・ドーパントにパンチ、キックと言った攻撃を加えて行く。

その間、天倉はフィリップを背負い亜樹子、さとりと共に避難しようとする。

 

だが、そんな3人の前に青羽、黄羽が立ち塞がる。

 

 

「っと、行かせないよ!」

 

Owl(オウル)

 

「メモリを渡して貰おうか!」

 

Stag(スタッグ)

 

 

青羽と黄羽もそれぞれガイアメモリを自身の腕に挿入し青羽は青い2つのツノを持った《スタッグ・ドーパント》、黄羽は黄色いズングリムックリとした《オウル・ドーパント》へと変貌を遂げた。

 

 

「ふふふ、2人もーーーーッ⁉︎」

 

「そんな……」

 

「最悪だ……!」

 

 

そう言うと天倉達は2人から逃げ出そうとするが、相手は身体能力が強化されているドーパント、すぐに回り込まれてしまう。

 

 

『んじゃ、お楽しみタイムと行くか』

 

『行っくよーーー!』

 

「うわわっ!!」

 

「くっ!(フィリップさんを抱えているから……上手く動けないッ!)」

 

「しまった!」

 

『余所見したんじゃねぇよ!!』

 

 

残り2人が天倉達を狙っている事に気付く仮面ライダーWだが、防御力の高いキャッスル・ドーパントに有効打を与えられず苦戦を強いられていた。

 

 

『翔太郎!あの重厚な盾に肉弾戦は不利だ』

 

「くそっ!ならカチ割ってやる!!」

 

Metal(メタル)

 

Cyclone Metal(サイクロン メタル)‼︎』

 

 

ドライバーのメモリを入れ替えるとWは緑と銀の姿へと変化し、背中に出現した棒状の武器『メタルシャフト』を手に攻撃を仕掛ける。

 

「オラオラッ!!」

 

━━キィン!キィン!カンッ!!

 

『あぁ?んだよそのチンケな攻撃は!!』

 

「ぐっ!何だこいつ!硬すぎんだろ!」

 

『ダメだ翔太郎!サイクロンメタルではパワー不足だ!』

 

「んじゃ、ヒートメモリに……!」

 

 

全くダメージを与える事が出来ず、メモリチェンジを試みる翔太郎。

 

 

『よっと!残念でしたーー!』

 

「あっ!俺のメモリ!!」

 

 

だが、飛行を可能とするオウル・ドーパントが翔太郎の手元にあったヒートメモリを奪う。

 

 

『オラオラオラオラッ!!!』

 

━━ギィン!ギィン!ギィィン!!

 

「ぐぁぁぁあああああッ!!」

 

 

そこへスタッグ・ドーパントが双剣を手に連撃をWに喰らわせる。

 

 

『更に、もう一丁!』

 

━━ドゴオッ!!

 

「グッ⁉︎」

 

 

Wがスタッグ・ドーパント連続攻撃を喰らいよろめいた所をキャッスル・ドーパントがシールドバッシュによる追撃を加える。

 

 

『それーーーッ!!』

 

━━ガアンッ!!!

 

「うおぁぁぁぁッ!!!」

 

 

吹っ飛んだWをオウル・ドーパントが空中から地面へと叩きつける。三羽烏のコンビネーション攻撃により大ダメージを与えたのだった。

 

 

『イェーイ!俺の勝ちだーーー!』

 

『何言ってんだ。お・れ・た・ちだろうが!』

 

『でも、僕だってメモリ奪ったんだよ?』

 

「クソッ……馬鹿の癖に……強えぇ……』

 

『何と言うコンビネーションだ。僕等1人で勝つのは至難の業だ!』

 

 

その場で地に伏せるW。翔太郎が油断してしたとは言え三羽烏の実力が普通のドーパントよりも高い事が分かる。

 

 

『……って、オイ違えよ黄羽。俺達の探しているメモリはそれじゃねぇよ』

 

『えぇーー!火のメモリだから合っていたと思ったんだけどなぁ……』

 

『まぁ、いいか。オイ、古明地の先輩。さっさとメモリを渡して貰おうか。それとも……』

 

「……ッ」

 

 

さとりが亜樹子にしがみ付く。

彼女が恐怖を感じている事が目に見えてわかる。無理もないだろう、まだ10代の少女がこんな化け物に狙われて耐えられる筈が無いだろう。

 

しかも頼りにしていたヒーローもボロボロにされ窮地に陥ってしまった。

最早、彼女を守れるのは【自称:ナニワの美少女】しか居ないだろう。

 

 

 

「………」

 

『あ?んだよ邪魔すんな』

 

 

(天倉 孫治郎)を除いての話だが。

 

 

「あ、天倉さん⁉︎」

 

「ちょっと!危ないよ天倉くん!」

 

『やる気かよお前……生意気だな』

 

『それじゃあ痛めつけちゃおっか!』

 

「何やってんだ!逃げろ!」

 

『その通りだ!いくら君の"個性"が強力なものだとしても勝つ事は不可能に近い!』

 

 

天倉は彼等の言葉を聞き流し、とある事を思い浮かべる。

 

 

『"個性"はソレを使う人物の心的要因によって作用する事が分かった』

 

(快青さんが言っていた事が本当なら俺の"個性"も心の強さによって呼応する筈だ)

 

 

天倉は左手を左腰に当て右腕を右肩へと引き寄せる。

 

 

(なら、今俺がすべき事は一つ……たった一つの単純《シンプル》な事だ……)

 

「ハァ──────ッ」

 

 

息を吐きながら右手をゆっくりと前方へ伸ばす。

 

 

(俺は……彼女(古明地さん)を守るッ!)

 

 

両手を腰に当て、天倉は叫ぶ。

 

 

「変身ッ!!!」

 

『Ω━━evolution』

 

 

━━ゴオッ!!!

 

 

瞬間、天倉の左腕に装着されているレジスターが発光したと同時に天倉を中心に翠色の熱波が放たれる。

 

 

『ぐぁっ⁉︎』

 

『うぉぉお⁉︎』

 

『わぁぁッ⁉︎』

 

「熱ッ⁉︎」

 

「ッ──!」

 

 

ドーパント達は熱波により吹き飛ばされ、翔太郎はあまりの熱さに声を漏らす。

そして亜樹子とさとりの2人は顔を覆い隠した後、目を開けるとそこには今までの天倉が変身していたトカゲの様な姿ではなく、無機質な甲冑を連想させる緑色の戦士が立っていた。

 

 

「天倉、お前まさか……」

 

『仮面…ライダー……なのかい?』

 

「仮面ライダー……成る程……仮面ライダーか……」

 

 

天倉はブツブツと呟くとドーパント達の方へと向き直り喋り始める。

 

 

「俺の名前はアマゾン……【仮面ライダーアマゾン】だッ!!」

 

『何がアマゾンだ、調子に乗ってんじゃねぇぞ!』

 

 

『うおおおおおおおッ!!』と叫びながら三羽烏のドーパント達は天倉に襲いかかる。

対する天倉も叫びながら走り出す。

 

 

「ハアッ!!ウラァッ!!セイヤァッ!!」

 

 

━━ドンッ!ガッ!ドゴッ!!

 

 

『ぐっ……コイツ!』

 

『どこ見てんだよ!』

 

 

キャッスル・ドーパントの装甲に何度も何度も殴りつけ、その衝撃よりキャッスル・ドーパントはフラつく。

そこに背後から斬りかかるスタッグ・ドーパント。

 

 

━━ガギィン‼︎

 

 

『何ッ⁉︎』

 

 

だが、スタッグ・ドーパントの2本の刀『ラプチャーシザース』は天倉の『アームカッター』によって防がれる。

 

 

「おらぁッ!!」

 

 

━━ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ドゴォッ!!

 

『ぐぁっ⁉︎』

 

 

そして天倉はスタッグ・ドーパントの頭部に何度も何度も頭突きをした後、トドメにチョップを喰らわせ地に伏せさせる。

 

 

『お前ーーーーッ!!』

 

 

するとオウル・ドーパントが飛行しながら突進を仕掛けてくる。

 

 

「はぁッ!!!」

 

『がっ!!?』

 

 

しかし、天倉の蹴り上げにより難無くオウル・ドーパントは吹き飛ばされてしまう。

 

『馬鹿な……天倉孫治郎が押している?しかもあの強さ、《ファングジョーカー》にも匹敵するかもしれない!』

 

「それは言い過ぎだろ……ぐっ」

 

「翔太郎くん!フィリップくん!」

 

 

天倉の実力に驚きを隠せないWは何とか立とうとするが先程のダメージの影響で動けずにいた。

 

 

『テメェッ!!』

 

━━バシュウウウウウウッ!!

 

「ぐううううううううぅぅぅぅぅッ!!!」

 

 

そこにキャッスル・ドーパントが額からレーザーを放ち天倉は両腕をクロスさせ防ぐ。

 

 

『ハッハッハーーーッ!!!どこまで防げるかな!』

 

「ううううぅぅぅぅぅ………アアアァァァァァァッ!!!」

 

 

しかし、天倉は両腕をクロスさせたレーザーを防いでいるのにも関わらずキャッスル・ドーパントへと突進して行く。

その行動にキャッスル・ドーパントも驚きを隠せなかった。

 

 

『何ッ!!??』

 

「ガァァッ!!!」

 

━━ガッ

 

 

そして天倉はキャッスル・ドーパントの正面に辿り着くと顔面をおもむろに掴むと手に力を入れる。

 

 

━━ギリギリ…ミシ…メキ……

 

『ぐっ……あぁ……あッ…ああ……!』

 

「ハァッ!!!」

 

━━ドゴォッ!!!

 

『グオッ!!』

 

 

そしてドーパントをそのまま地面へと投げつけ、馬乗りした状態で拳を振り下ろす。

 

 

「ハァァッ━━━⁉︎」

 

『それ以上……させるか!』

 

『捕まえた!今だよ、赤ちゃん!』

 

『ぐっ…サンキュー!青羽!黄羽!』

 

「ッガッロォォォッ!!!」

 

 

天倉がキャッスル・ドーパントに夢中になっている間にオウル・ドーパントとスタッグ・ドーパントに拘束されてしまう。

 

 

『さっきのお返しだ!!』

 

━━ガッ!ガッ!ドゴッ!

 

 

すると先程と打って変わって天倉は手も足も出ずキャッスル・ドーパントに殴られ、蹴られのやられ放題となってしまっている。

 

 

「クソッ…天倉……ッ!ぐっ……」

 

『ダメだ翔太郎!今の君はダメージを受け過ぎている!今の君では逆に足手纏いになってしまう!』

 

「でもよ……クソッタレ!」

 

 

翔太郎は自身の不甲斐無さに拳を握り締める。

 

 

『オラァッ!オラァッ!さっきまでの威勢の良さはどうしたぁ!?優秀な個性持ちの勝ち組さんよぉ!なんか言ってみろよぉ!オイ!』

 

「……ろ…」

 

『あぁ?聞こえねぇなぁ』

 

『どうした?くたばっちまったのか?』

 

『もう一回言ってみなよ』

 

 

━━シュルルルルル

 

 

『『『ッ⁉︎』』』

 

 

すると、スタッグ、オウルドーパントの身体に赤い触手状の鞭が巻き付き、2体を投げ飛ばす。

 

 

「逃げルォ!!古明地さん!」

 

「!」

 

『テメェッ!』

 

「おおおおおおッ!!」

 

 

━━ガッ!ドゴッ!ガンッ!ゴッ‼︎

 

 

キャッスル・ドーパントと天倉は互いに殴り合う。だが、天倉にとってこの戦いはあくまでも時間稼ぎ。

さとりが逃げる時間を作れれば問題無いのだ。

 

 

「……さとりちゃん、早く!」

 

「亜樹子さん……ごめんなさい天倉さん」

 

『ッ!青羽!黄羽!』

 

『逃すかッ!』

 

『メモリを寄越せッ!』

 

逃げ出す2人にドーパントが襲いかかる。後、数十センチで届く距離に達した瞬間

 

 

 

Luna Trigger(ルナ トリガー)

 

Trigger MAXIMUMDRIVE(トリガー マキシマムドライブ)‼︎』

 

『「トリガーフルバースト‼︎」』

 

 

━━ドドドドドドドッ!!!

 

 

『うわあっ!?』

 

『グオッ‼︎』

 

 

複数の黄色と青色に輝く光弾が2体のドーパントに命中する。

光弾が放たれた所には膝をつきながらも青色の銃『トリガーマグナム』を構えていた。

 

 

「行かせねぇよ」

 

『やろぉ……これでどうだッ!!』

 

するとキャッスル・ドーパントの額に緑色の輝きを帯び始め、亜樹子とさとりが走っている方向へと向く。

 

 

「ッ⁉︎やめろッ!!」

 

『もう遅ぇよ!!オラァッ!!』

 

 

━━バシュウウウウウウッ!!

 

 

「古明地さッ━━━」

 

 

天倉の声は虚しくも届かず緑色の閃光は2人を包み込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Electric(エレクトリック)

 

 

━━バチバチバチバチッッ!!!

 

 

『何ッ⁉︎』

 

 

 

包み込む筈だった。2人に命中すると思った瞬間、謎の音声と共にレーザーが掻き消される。

緑色の光が消えた後、2人の前に赤い服装で身を包んだ男が剣を構え立っていた。

 

 

「俺の妻に手を出すな」

 

「竜くん!!!」

 

「照井さん⁉︎」

 

 

そう、この男こそ超常犯罪捜査課のトップであり警視でもあり鳴海亜樹子の夫でもある【照井竜(てるい りゅう)】。

彼はバイクのハンドルを模したドライバーを腰に巻き付け、赤のガイアメモリを取り出す。

 

 

『テメェ!何もんだ!』

 

「俺に質問するな」

 

Accel(アクセル)

 

 

「変ッ……身ッ!!!」

 

 

━━ブォォォンッッ!!!

 

 

Accel(アクセル)

 

 

青の複眼状のモノアイを持つAの形をした角を持つメタリックレッドの戦士がその姿を現わす。

 

この街(風都)には仮面ライダー(ヒーロー)が存在する。

 

だが、この街の仮面ライダーは決して1人では無い。

剣を携え2人で1人の仮面ライダーと共に戦う、熱き魂を持つもう1人の仮面ライダー。

 

 

「待たせたな、左」

 

「遅ぇんだよ照井」

 

 

この男、刑事で仮面ライダー!!

 

 

「さぁ……振り切るぜ!!!」

 

 

今、仮面ライダーアクセル(赤の戦士)が風の吹く街を疾走する━━━!!

 




〜〜久しぶりの後書き〜〜

《キャラ紹介》

【茂加味 快青《しげかみ かいせい》】
年齢 53歳

顔の左半分にヒビのような傷跡を持つ男性。
現在、大学の教授として"個性"に関する研究をしており、科学者でもある男。

見値子と空とは義理の父親に当たる。知的な仲間同士、フィリップとは気が合う感じ。
天倉に変身のキッカケを与える為にこういった人物が必要かなー?と思い登場させた。

発目と鉢合わせたらヤバい事になりそう……。



【霊烏路 空《れいうじ うつほ》】
年齢 15歳

でかぁぁぁぁい!とにかく身体の部分的にでかい。
多分ヤオモモと同等……もしくはそれ以上。しかし鳥頭であり、ガチで物忘れが激しい頭のおかしいアホの子。
……と言っても単に物忘れが激しいだけであり学力に関しては良い部類。
古明地さとりを様する理由は………多分後々に説明すると思う。

"個性"は【鴉《からす》】
カラスっぽい事が出来る……と言っても翼が生えたいる位で低空飛行しかできない。

元ネタは『東方project』から霊烏路空。

キャラに困った時は大体、東方で乗り切る。
だけど、圧倒的に女キャラが多い……。


赤城 勝(せきじょう まさる)
年齢 15歳

周りから赤羽と呼ばれており、不良グループの風都三羽烏の自称リーダー。
"個性"持ちを敵視しており、特に有名なヒーロー(オールマイト等)や体育祭で目立っている人物が嫌い。

多分、馬鹿の原因はコイツの所為。
キャッスルメモリを腕に挿入する事によって『キャッスル・ドーパント』へ変身を行う。
赤いバンダナがトレードマーク。

久々の天倉のアームロックの餌食となる。



青鋏 修也(あおばさみ しゅうや)
年齢 15歳

周りから青羽と呼ばれ、赤羽とは良くぶつかり合う仲。仲が良いのか悪いのか……。
老け顔なのは多分、本編忠実。髭は生えてない。
分かりやすく色分け出来るように青いベレー帽を被らせている。

スタッグメモリを腕に挿入する事により『スタッグ・ドーパント』へ変身を行う。

本編ではガタガタゴットンズッタンズタンされウンメイノー(時戻し不可)された。

この小説では生き残る………と良いなぁ。



黄梟 聖吉(ききょう しょうきち)
年齢 15歳

周りから黄羽と呼ばれており、ホースオルフェノクでも無ければファンガイアの王でも無い。
黄色のニットキャップを被っており赤羽、青羽の事はそれぞれ『赤ちゃん』『青ちゃん』と呼んでいる。

腕にオウルメモリを挿入する事によって『オウル・ドーパント』へ変身を行う。



彼等のモチーフは勿論、『仮面ライダービルド』から北都三羽烏の赤羽、青羽、黄羽の3人組。本編では亡き者となってしまったが個人的に小説では出来れば幸せになって欲しい所。

彼等のドーパントとしての強さは通常のドーパントと比べて少し強い程度。
しかしコンビネーション力は凄まじく、油断していたとは言えWを追い詰める程の実力。




天倉の変身について補足。

天倉は変身動作を行う事によって集中力を高め、アマゾンオメガへと変身を行う。

しかし、この小説では決して変身中に攻撃してはいけないと言うお約束は無いので変身中は無防備となる為、天倉の最大の欠点とも言える。

その為、平成ライダー恒例の走りながら変身はまだ不可能。
徐々に変身動作を短くして行き、最終的に「アマゾンッ!」だけで済ませる予定。
でももしかしたら最後まで変身と言わせる可能性も……。



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