個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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前々からタイトルがおかしかったのでそれっぽく変えました。
というか自分のネーミングセンスェ・・・・・。



第34話 神のみぞ知る

現在の時間は4時近くの放課後

 

ヒーロー科の少年少女達は一週間の職場体験をする事になった。指名の無かった者達は予め教師陣がオファーしておいた受け入れ可能の事務所を選ぶ事になっている。

 

だがこの職場体験は今後の事を考えるとなると慎重に選択しなければならない。

A組の生徒達もどの職場にしようか悩んでいた。ちなみに職場体験先を決めるのは今週末までだ。

今日の日付は水曜日、つまり残り2日で職場体験先を決めなければならないのだ。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ハァ〜〜〜〜〜〜。選ぶ先が結構あるから選ぶの大変だなぁ。つーか上と白黒ついたーー!」

 

指名が多かった為か上鳴電気は大きな溜息をつく。しかしその発言に対して少なからずショックを受ける者が次々と現れる。その中でも耳郎がかなりのショックを受けている。

 

(上鳴《この馬鹿》が271で私が0・・・・・⁉︎)

 

彼女は信じられなかった。と言うよりもバカに負けた事に悔しさを覚えていた。

 

「なぁ耳郎、俺どこ行きゃイイと思う?」

 

「地獄」

 

「何でだよ⁉︎」

 

とりあえず半ば八つ当たり気味に耳郎は返事をした。

何故こんなにも理不尽な現実に直面してしまうのだろうか。これも全て神の仕業だ。フルーツの戦国武将の神に対して「絶対に許さねぇ・・・」と耳郎は呟く。

しかしそんな様子に耐え切れなかったのか緑谷は指名数0の生徒達に対してフォローを入れる。

 

「だ、大丈夫だよ皆!周りが何倍にもすごく見えたって自分が0なら相手も0!0は無敵なんだ!」

 

「・・・いや、意味分かんないから」

 

「だな」

 

「誰だそんな事言ったのは?」

 

しかし緑谷の謎理論は生徒達には通用しなかった。むしろ彼等に精神的なダメージを与えるだけだった。

 

「と言うか0はいくら積んでも0だから永遠に追いつけないって事だろ」

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

尾白の言葉でその場は凍りつく。

彼等の心を抉るようにさらに精神的なダメージを与えてしまったのだ。指名数0の者達はズーンとした暗い雰囲気に包まれる。

すると緑谷はアタフタしながらとある事に気付く。

 

「あ、あれ?天倉くんはどうしたの?」

 

先程から姿を見せていない天倉に気付く緑谷。すると尾白達は教室の隅を指す。

そこには暗い雰囲気を漂わせ、格好は先程まで着ていた学生服ではなく片方の袖が破れた黒の革ジャンを羽織り、ヤンキー座りをしながらカップラーメンを食べている天倉がいた。

 

 

 

「どうしてこうなるまで放っておいたの━━━━━━━━!!?」

 

 

緑谷はやさぐれてしまった天倉を見て思わずツッコミを入れてしまう。するとツッコミにピクリと反応した天倉が緑谷にガンを飛ばす。睨みつけられた緑谷はすぐに目線を合わせないように顔を晒す。

 

「・・・飯の時ぐらい黙ってくれよ・・・・」

 

「す、ススススススミマセンデシタァ!!(怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いィィィィィィ!!?何あれ!!?かっちゃんよりも怖いんだけど!)」

 

緑谷は天倉?に対して恐怖感を抱いてしまう。と言うかあれは本当に天倉なのだろうか?緑谷が知っている天倉はもっとこう・・・ツッコミ役に徹している感じだった筈なのだ。

 

なのに、どうしてああなってしまったのか。それはおそらく体育祭の成績が3位にも関わらず指名数が0と言うとんでもない結果を迎え、ストレスやその他諸々により頭の中のアレがアレしてしまったのだろう。

その結果がアレだ。

 

「なぁ、お前ら・・・俺の弟になれ」

 

「え・・・お、弟・・・?」

 

「ど、どうしたんだ天倉?」

 

不良と言っても過言ではない格好で天倉は尾白と障子に謎の勧誘をしている。いや勧誘なのかは分からないが。

するとそんな様子を見ている八百万はとある事を考えてしまう。

 

「(あんなに活躍している天倉さんが・・・・・なんかすごく親近感・・・・!)心ほど不安定で邪魔な存在ってないですよね!!」

 

「・・・・・・何言ってんだ、アホか?」

 

「!!??」ガーーーン!

 

しかし天倉はそんな八百万の問いに対してマジレスし、八百万はその場で項垂れてしまう。

今の天倉は前の天倉とは性格が全然違う為なのか精神的にキツイ言葉で返されてしまう。

 

「どうした?八百万・・・笑えよ」

 

「笑えませんわ・・・・」

 

この言葉は果たして彼なりの励ましなのか、それとも煽りなのか分からいがとりあえず今の天倉はとにかく面倒くさいという事が分かった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

(グラントリノ・・・一体どんな人なんだろう・・・)

 

緑谷はオールマイトに呼ばれ遅れて指名された事を告げられた。

グラントリノとは雄英高校で1年間だけ教師をしておりオールマイトの師のような存在だった。現在は隠居しているらしくオールマイトはカウントし忘れていたらしい。

 

オールマイトはグラントリノに対してガチ震えしていたが緑谷はその人に会うのが楽しみだった。

指名が来たからではなく、1人のヒーローとして、オールマイトの師としての方と会うのが楽しみなのだ。

緑谷は楽しみでウズウズすると共に緊張しながら廊下を歩く。

 

 

「待ちなァ緑谷ァ。抜け駆けたァごあいさつじゃねぇか」

 

 

しかしそんな彼に阻む者達が現れる。その人物達は緑谷がよく知っている人達、というよりクラスメイト達だった。

 

その場に居たのは峰田、尾白、障子、耳郎の4人だった。しかしいつもと違うのは学校の制服ではなく、改造学ラン、黒スーツ等のヤンキースタイルの格好をしていた。

 

「退会料・・・払ってもらうぜェ・・・・」

 

「た、退会ってなんの?」

 

「指名0の会に決まってんだろ!!」

 

どうしてこんな事になってしまったのだろうか?緑谷は考える。いくら何でもコレは酷い。一体誰の仕業なのだろうかと考えていると峰田が声を上げる。

 

「どうします!兄貴ィ?」

 

「あ、兄貴?」

 

すると峰田達の後ろから1人の男が。

緑谷も知っている人物であるクラスメイトの天倉孫治郎がこちらにやって来た。

 

「えええええええええ!!?天倉くん何やってんの⁉︎」

 

「ウルセェぞ緑谷ァ!!どうします兄貴ィこいつミンチにしちまいましょうか?」

 

「ケッ・・・私達の気持ちなんか分かりっこないんだ。いっその事ボコった方がいいっしょ」

 

「いや、ここは裏に連れ込んでタコ殴りに」

 

「確かに。それじゃあ全員で殴るか」

 

結果的にボコボコにされるようだ。緑谷はこんな身近に不良グループが誕生してしまうとは思わなかった。

しかもクラスの良心でもある天倉がそのグループのリーダーと来た。

緑谷は身構えるが

 

「・・・やめろお前等」

 

するとリーダーである天倉が制止する。緑谷は何故?と思いながら天倉を見る。

すると天井を眺めながら彼は口を開く。

 

「俺たちみたいなロクデナシが少しでも光を掴もうなんて思うと痛いしっぺ返しを食うぞ。

皆・・・・俺達はずっと一緒だ。真っ暗な無限地獄でずっともがき苦しもう」

 

「「「「兄貴ィ!!!」」」」

 

(よ、良かった。表面的にはアレだけど根本的なところは天倉くんのままだ!)

 

何が良かったのだろうか?緑谷の思考が微妙にズレている。

しかし天倉の心の奥底に良心が残っているという事実に気付き緑谷はホッと安心する。

すると背後から何やら笑い声が聞こえて来る。

 

「ハハハハハ。そこにいるのはもしかしてA組かい?

僕達よりも優秀な筈なのにそんな格好をしていたから不審者の集まりかと思ったよ」

 

「物間やめなって。そういう態度さ」

 

「君達はえーと・・・物間くんに・・拳藤さん!」

 

そこに居たのはヒーロー科B組の2人。物間寧人と拳藤一佳であった。緑谷は2人をおぼろげな記憶を頼りに思い出す。

すると物間は再び口を開くと皮肉めいた言葉を並べる。

 

「それにしてもさ、職場体験も色々と疲れるもんだよね指名も来たりしてさ。僕達のクラスにも勿論、指名は入っていたよ?

あれれー?もしかして君達の所に指名来てないのぉー?指名数0が許されるのって小学生までだよねーーハハハハハ!」

 

「も、物凄い煽りだ・・・・!!」

 

「ご、ごめん。コイツ心がアレでさ」

 

A組に対する物間の煽りに緑谷はやや引いてしまう。拳藤はやれやれといった感じだ。

すると拳藤はとある事に気付く。

 

「・・・あれ?・・・あのさ。そこにいるリーダー格っぽいのってもしかして・・・・」

 

「うん。天倉くん」

 

「何やってんの!!?」

 

拳藤は今更ながら天倉がリーダーを務めている事に気付き驚愕する。そもそもあの天倉がこんな事になるとは思わないだろう。

 

すると天倉はブツブツと何かを呟き始める。

 

「・・・え・・・ったか」

 

「ん?」

 

物間は何だ?と思いながら天倉の方へと向き直る。

 

「お前、今笑ったか?」

 

「え?」

 

 

瞬間、天倉は物間との距離を詰め、彼は跳躍し脚を振り上げていた。

 

 

「今、弟妹達を笑ったなァァァァァァ!!!!」

 

 

「え?何を言っtがグフォッッ!!??」

 

 

そして物間はドゴォッという擬音と共に飛び蹴りをされ、数メートル程吹っ飛ばされる。

 

「蹴ったー!!??」

 

「物間ーーー!!??」

 

2人はその行動に思わず叫んでしまう。緑谷は後悔した。根本的には変わっていないと思っていたがそんな事はなかった。

一刻も早くこの地獄チームのリーダーをこちら側(マトモな方)へ引き戻さなければ、いずれ雄英はとんでもない事になると確信した緑谷は天倉を元に戻す為に考える。

 

「・・・・ッ!これしかないのか・・・」

 

緑谷は何か打開策を思いついたのか物間に向かって「笑えよ・・笑えよ・・・」と呟いている天倉の方へと向き直り、声をかける。

 

「あ、天倉くん!」

 

「あぁ?」

 

 

「━━━なんか食べ物奢るから元に戻って!!」

 

 

「よし、もう帰るかな」

 

「早ッ!!??」

 

天倉が元に戻った時間僅か1.03秒。食い意地に関して彼の右に出る者はいないだろう。

雄英の中では。

天倉は倒れている物間に近寄り謝罪の言葉を送る。

 

「物間くん、なんかごめんね色々と」

 

「フ・・フフこの程度、拳藤の比べれば大した事無いね」

 

(それにしては、ガッツリ瀕死状態なんだけど・・・)

 

拳藤は物間の襟首をおもむろに掴み、そのまま引きずっていく。見慣れた光景に天倉は何も言えなかった。

すると拳藤は「あ」と何かを思い出したように言葉を漏らす。

 

「今更だけどさ、メルアド交換するか。なんかあんたとは結構仲良くできそうだし」

 

「え?・・・あ、はい。いいですよ」

 

天倉は言われるがままに拳藤のメールアドレスを交換する。

交換し終わると拳藤は「じゃ、またね」と言い物間を引きずって行く。

天倉と緑谷はそんな様子を目を無言で見送る。すると天倉はとある事実に気付く。

 

「じょ、女子とメルアド交換・・・だと・・・⁉︎」

 

「!!」

 

緑谷も遅れて気付く。彼等は同類だ。緑谷と天倉、2人はお互いに気付いたのだ。

『あぁ、この気持ち君も分かってくれるのか・・・』とお互いに目配せすると2人は微笑むとグッと握手を交わす。

 

2人は改めて友情を深めた。1人は同類が近くにいた事に対して喜び、1人は元に戻ってくれた事に喜ぶ。

 

彼等は友達から親友へとLevel UPを果たしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「兄貴・・・・・」」」」

 

 

 

弟妹達をそっちのけで・・・・・・

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「へぇ、やっとコスチュームが修繕されたんだね」

 

「うん。やっぱりコスチュームはヒーローにとって正装だから、職場体験までに直ってて良かったよ」

 

天倉と緑谷は雑談しながら廊下を歩く。天倉は緑谷の言葉に対して口を開く。

 

「・・・じゃあ俺のコスチュームはどうなるのかな?もしかしてコスチューム無しで職場体験に・・・・⁉︎」

 

天倉は次第に顔を真っ青にしていくが、緑谷がそこにフォローを入れる。

 

「だ、大丈夫だと思うよ!!ほ、ほら天倉くんのコスチュームって結構簡素な作りだったし!」

 

「それは緑谷くんのも同じだけど・・・」

 

天倉は全身に冷や汗を掻き、慌てふためく。「やべぇよ・・・・やべぇよ・・・」と呟いていると2人の背後から誰かが声をかけてくる。

 

 

「おいおい、そんな所にいると下校の邪魔になるぜ」

 

その人物は天倉がよく知っている人物であり、金髪で箒にまたがっている女子生徒だ。

彼女は霧雨魔理沙、普通科であり天倉の友人でもある。

 

「確かえーと・・・・そうだ!体育祭で天倉くんと一緒にチームを組んでいた霧雨さん!」

 

「お!よく知ってんな!地味目の・・・・み・・・み・・・そう!緑沼!」

 

「緑谷です!!」

 

天倉の目の前で2人は漫才めいた会話を広げる。すると天倉はとある事に気付く。

 

「・・・あれ?魔理沙さん。その箒なんか前持っていたヤツと変わってない?」

 

「お、気付いたか?さすが私が見込んだヤツだな。見る目が違うぜ」

 

(何故か勝手に見込まれているんだけど・・・・)

 

霧雨魔理沙はその場で箒の説明をする。緑谷はその箒について興味津々の様だ。

天倉はやれやれといった感じに霧雨魔理沙の話を聞く事にした。

 

 

「〜〜〜〜〜とまぁそんな感じで私専用に改良された箒って訳だ」

 

「凄い!!そんな風に改造されていたなんて!!僕のコスチュームもそんな感じに改良してもらうべきか?するとしたならやはり腕だよなぁ僕はいつも腕に負担をかけるからそこら辺をなんとかしないと。いや待てよそれ以上に機動力の要となる脚部もなんとかした方がいいよな。だとすると改良すべき箇所はブーツになるのか?だけど個性を使うとするなら脚全体に使うから膝下も色々と」ブツブツブツブツブツブツ

 

天倉はやっぱり始まったよ・・・と半ば諦めた様子でやれやれと溜息をつく。

すると霧雨魔理沙は再び口を開く。

 

「もし、コスチュームで困っているならサポート科の所へ行ってみればどうだ?私の知り合いもいるし折角だから案内してやるよ」

 

「え!いいの⁉︎」

 

「成る程な・・・・確かに良いかもしれない」

 

緑谷と天倉は霧雨魔理沙の案内を頼むと、とある場所へと連れられて行く。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

校舎1階 開発工房〜〜〜〜

 

 

2人は1人の女子に重厚な扉がある場所に連れられて来た。天倉は「なんじゃこりゃ」と呟く。

それも仕方ないだろう。どう見ても学校にありそうな扉ではないからだ。

 

「此処がサポート科の開発工房だ。うちの知り合いもよくここに入り浸ってな、箒もここで改良してもらったんだ」

 

「へぇ〜〜〜そうなんだ。よし、んじゃ入ってみようか」

 

と天倉は重厚な扉にゴンゴンと鈍い音をノックするとそのまま開けようとする。

 

 

「失礼しま━━━━━━━」

 

 

BONB!!!!!!

 

 

瞬間、天倉が謎の爆発に飲まれた。

 

 

「「天倉(くん)ーーーーーーー!!??」」

 

その光景に思わず2人は叫ぶ。

次第に黒煙は晴れていき天倉の姿が露わになる。そこには謎のクレーターの中心で無残な姿で横たわっている天倉がいた。

 

俗に言う"ヤ無茶しやがって・・・"状態だ。

 

 

「「天倉(くん)ーーーーーーー!!??」」

 

2度目の叫びがその場で響き渡る。すると工房から生徒が現れる。緑谷はその生徒に見覚えがあった。

 

「何だ?一体・・・って緑谷か?」

 

「と、轟くん!!?」

 

彼は轟焦凍。緑谷、天倉のクラスメイトというのは言うまでもないだろう。

そんな彼が何故こんな所にいるのかはどうでも良い。

問題なのは

 

「一体何が・・・・天倉ーーーーーー!!??」

 

 

瀕死の彼《天倉》をどうにしなければいけないと言う事だ。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「いやぁ、突然の爆発失礼しました!私【発目 明《はつめ めい》】と申します」

 

「いやいや、大丈夫ですよ。あれ以上のヤツ《爆発》受けた事あるから、っと俺の名前は【天倉 孫治郎《あまくら そんじろう》】です。よろしくお願いします」

 

天倉は無事復活しサポート科の発目と向き合う。彼女の事は体育祭で知っており凄いインパクトを残した為か今でもしっかりと覚えている。

後ろでは掘削ヒーロー【パワーローダー】が轟と緑谷の2人と会話している。

 

「ほら、これが緑谷くんのコスチュームだ。前のと比べて色々と変わっているから気を付けて」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「それと、轟くん。君のコスチュームは丸々取り替えで申請やらで色々あるけど職場体験までには間に合うから安心して欲しいんだよ」

 

「はい。助かります」

 

 

「はぁー・・・俺のコスチュームも色々改良してみた方がいいのかなぁ?」

 

天倉がふと言葉を漏らすと発目明が目をキラキラと光らせこちらにズイッと近寄ってくる

 

「コスチューム改良ですか⁉︎興味あります!」

 

「発目・・・さっきの爆発忘れた訳じゃないだろうなぁ・・・」

 

「ご心配なく!!ではこちらに来てください!!」

 

「え、あの、ちょ、え?えぇー」

 

天倉は言われるがまま発目に連れられる。轟、緑谷、霧雨、パワーローダーはその様子を呆れたように見守る。

そして、天倉は謎のゴテゴテした白いアーマーを装着させられた。

 

「どうですか!!とっておきのベイビー!"パワードスーツ"!!筋肉の収縮を感知して動きを補助するハイテクっ子です!」

 

「おお⁉︎よく分かんないけど、何かカッコイイ!!まるで機動戦士だ!」

 

装着させられた天倉は意外とノリノリだった。そんな様子に呆れながらも霧雨は辺りを見渡す。

 

「ありゃ?今日アイツはいないのか?」

 

「ん?さっきまで工房に居たんだけどなぁ?」

 

パワーローダーも辺りを見渡す。が、自分達以外誰も見当たらない。そんな中、天倉は口を開く。

 

「ん?もしかして、魔理沙さんが言っているアイツって・・・・って痛だだだだだ⁉︎腰が!止まんないんだけど!!?いだだだだだだ⁉︎

あぁっもうッ!!!このポンコツベイビー!!!!!」

 

天倉の上半身がパワードスーツによってねじ切られそうになる。すると天倉は「フンッ!!」と力を込め無理矢理、元の姿勢に戻した。

 

しかしパワードスーツの腰部分がバギャッ!!!と嫌な音を立てる。その音を聞き発目は急いでパワードスーツの腰部分を見ると驚愕の表情を露わにする。

 

「ベイビィィィィイイイイイイイイイ!!!??可動域と耐久性に問題がぁ⁉︎耐久性は特に自信があったのに!」

 

「イタタ・・・ところでさっきからそこでコッチを見ている君は誰?」

 

と天倉は何も無い場所へと声をかける。全員(発目を除いた)は何を言っているんだコイツ?と言った表情だったが天倉が声をかけた場所から「ひゅいっ⁉︎」と怯えるような声が聞こえた。

 

 

「姿は見えないけどさ、匂いと"個性"のピット器官で丸わかりだよ」

 

「ぐぐぐ・・・まさか私の光学迷彩スーツが破られるとは・・・!」

 

するとその場にウェーブのかかった外ハネが特徴的な青髪を、赤い珠がいくつも付いた数珠のようなアクセサリーでツーサイドアップにして緑色のキャスケットを被り、上下青の服で身を包んだ女の子が現れた。

 

「んだよ、にとり。いるなら返事くらいしてくれよ」

 

「悪いね魔理沙。こんな大勢で来るとは思わなくて、それに・・・天倉だっけ・・・そいつ何か怖いし・・・」

 

と、にとりと呼ばれた少女は天倉を警戒するように見据える。魔理沙はやれやれと呆れながら溜息をつく。

 

「全く・・・心配すんな確かに体育祭じゃあアレだったが天倉は━━━━」

 

「青髪・・・・女・・・ウッ頭が・・・」

 

「・・・・まぁ、悪い奴じゃないから安心してくれ」

 

と魔理沙はやや汗を掻きながらにとりに言う。彼女が怯えているのは恐らく体育祭で相手に対して容赦の無い勝ち方をして来たからだろう。普通は怯えるのが当たり前だ。

彼女の反応は当たり前なのだ。

 

「ま、まぁいいか。魔理沙がそんな事言うんだし。それに私自身ソイツ《天倉》に興味があるし」

 

「俺?」

 

「そうさ、発目のパワードスーツを軽々と壊したんだ。それに魔理沙の友人だから丁度良い実験d・・・テストプレイヤーが欲しかったんだよ」

 

「つまり実験台になれと」

 

にとりはまぁまぁと言いながらガサゴソとガラクタ(発明品)の山からとある物を取り出す。

 

「ふふふ、君の試合を見て来たけど近接戦闘メインで戦っている事は分かっている。ならば、遠距離の攻撃手段も必要だろう!」

 

と謎の物体を取り出す。それはブルーメタリック色の瓢箪のような形をしており、先には銀色に輝くマズルブレーキが眩しく光る。それを見た天倉は目を大きく見開くとそれに食いつく。

 

「そ、それは!!最強の宇宙海賊の左手に装備されている魂で撃つ的なガン━━━━━!!!!」

 

「ヒューー!!分かってるじゃないか!盟友!!早速着けてみるかい?」

 

「おぉーーーーっと!それなら私のベイビーも試してはいかがでしょう!!」

 

3人はワイワイと盛り上がっていく。

そして残された緑谷、轟、霧雨、パワーローダーの4人は1度工房から出る事にした。

自分達がとてもアウェーな感じだった為居づらかったのだ。

 

 

「天倉くんって結構ああいうの好きなんだね」

 

「男って全員あんな感じなのか?全く話についていけなかったんだぜ」

 

「俺もだ。ま、楽しそうだったから良かったんじゃねぇのか?」

 

とこちらも楽しそうに談笑しあう。霧雨自身も彼女に新しい友達が出来たのか嬉しそうだ。

するとパワーローダーがとある事を思い出す。

 

「そう言えば天倉くん宛にコスチュームとその事務所の親会社からメッセージが届いているんだった」

 

 

「親会社から?一体どうして?」

 

「よく分かんないけど丁度良いじゃんか天倉もいるんだしこのまま渡しちまおうぜ」

 

と霧雨は言う。全員は肯定すると工房の扉を開く。

 

 

するとそこには両肩にキャノン砲、両腕はガトリング砲、下半身は戦車のようなキャタピラを装着した戦車に人を乗っけたようなロボットが存在した。

と言うよりそれはまさしく

 

 

「「「ガ◯タンク!!??」」」

 

 

そうガ◯タンクだった。何故、こんなところにガ◯タンクがあるのかは分からない。

しかしよく見てみるとその場には発目とにとりがワイワイと盛り上がり、天倉の姿が見えない。

となると導き出される答えは1つしかなかった。

 

「お、お前・・・・天倉なのか・・・?」

 

霧雨魔理沙は人間サイズのガ◯タンクにそう問いただした。するとガ◯タンクから声が聞こえてくる。

 

「うん。・・・・イケる!!」

 

 

「「「何が!!??」」」

 

天倉の謎の自信に3人は混乱する。まさかコイツはガ◯タンクで職場体験するつもりなのか?と思ってしまう。いや、流石にそれは無いだろう。天倉に限ってそんな

 

「職場でもイケる!!」

 

駄目だった。

今日の天倉は色々と駄目だった。取り敢えず3人はガ◯タンクから天倉を取り出す作業に移る。しかしサポート科の2人が必死に抵抗しドッタンバッタン大騒ぎ。

するとパワーローダーが「ハァ・・・」と溜息をつきガ◯タンク(天倉)に声をかける。

 

「取り敢えず天倉君。君のコスチュームが届いているんだよ」

 

「え?マジですか!」

 

「そ、しかもそのコスチュームの作っている親会社からメッセージも届いているんだよ」

 

とパワーローダーは天倉に告げる。天倉は何故会社からメッセージが届いたのだろう?と疑問に思い首を傾げる。

とりあえず天倉はガ◯タンクスーツを脱いでからコスチュームを受け取る事にした。

 

「そう言えばその会社ってどんなとこ何ですか?」

 

天倉は興味本位でパワーローダーに問う。するとふぅーむとパワーローダーがしばらく唸る。

 

「まぁいいか。いずれ分かる事なんだから」

 

と吹っ切れたようにパワーローダーは言い、口を開く。

 

 

「まぁ、会社というよりは大企業なんだよ。

『鴻上ファウンデーション』

名前くらいは聞いたことはあるだろう?」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

某所とある高級そうな一室

此処に2人の人間が居た━━━━━━

 

 

「会長ー。コスチューム会社の一部の仕事を下請けするのって本当ですか?」

 

1人は女性だ。

その女性は無愛想で高級そうな派手な服を見に纏い、ケーキを淡々と食べている。

ホールサイズのケーキを丸々1個食べ終わったかと思うと、そばに置いてあったホールケーキに手を付ける。

 

そしてその女性と向かい合うのは強面の男性。強面の男性は無愛想な女性に対し満面な笑みを浮かべている。

さらにはエプロンを装着し片手にボウル、もう一方には泡立て器といった外見に似合わない格好をしていた。

 

「里中くん!!この超人社会は今もなお飽和し伸び悩んでいる!!

そして!今ではヒーローを志す若者も欲望を抑圧されてしまっているが!!その中でも彼は!!私に純粋な欲望を見せてくれた!!あの時彼はただ強くなりたい!新たな力が欲しい!そんな欲望を持つ者はそうはいない!!!」

 

強面の男はさらに大きく叫ぶ。

 

 

「欲望は世界を救う!!!」

 

 

この男は一陣の風を巻き起こす。

その風は果たして追い風が逆風か神のみぞ知る。

 





"要約" この男はトラブルを引き起こします。

ヒロアカ3期早く始まって欲しいなぁ・・・・。それまでに出来るだけ小説も進めておかないと・・・。



とりあえずまた次回予告っぽいヤツ

緑谷「次回予告!!いよいよ職場体験に向けて準備も大詰め!頑張ろうね!天倉くん!麗日さん!」

天倉「今回もこれやるんだね。てか麗日さんもなんだ」

麗日「うん!これの方がキャラ同士を絡めやすいって言ってたし!」

天倉「うん。その発言は危ないからやめようか」

麗日「大丈夫だってー。後書きなんだからさ」

天倉「だからヤメロォ!!!」

緑谷「えぇっと・・・・次回からなんか特別編に入る感じだよ?サブタイトルもいつもと違うし」

天倉「え?そうなの⁉︎てか俺聞いてない!!」

緑谷「と、とりあえず次回!『Aの体験/風が吹く街』!!」

麗日「天倉くんが色々あって悶絶するよ!」

天倉「悶絶⁉︎」

緑谷「更に向こうへ!」

緑&麗「「Puls Ultra !!!」」

天倉「・・・・えぇー」

アドバイス、感想等がありましたら下さると助かります。
評価の方もよろしくお願いします。

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