こうなったのも仮面ライダービルドって奴の所為なんだ!
2話から物凄く飛ばしてきやがって!これじゃあこの先の展開が楽しみじゃないか!
僕のヒーローアカデミア3期希望です。
━━・・・きろ・・・・
声が聞こえてくる。
遠くから、ずっと遠くから聞こえてくる。
聞いたことのある声だ。
・・・・・・だけど、眠い。意識が次第に遠のいていく。
━━・・・・様・・・加減に・・・・・ろ・・・・
何か言っているようだが、聞き取れない。
まぁ、良いか。
もう眠いんだ・・・・・・もう・・・・・・
おやすみ・・・・・パトr・・・・・
━━━貴様!!!良い加減に起きろと言っている!!!
「ウェッ!!??(0w0)ダリナンダアンダイッタイ!!!」
急に声が鮮明に聞こえてきた。
思わず俺は驚いてしまい、滑舌もおかしくなっている。
だが、聞き覚えのある声だった。
体育祭の時、いつも夢に出てくる謎の人物の声。
姿は見せずいつも声しか聞こえない・・・・・?
・・・・・・・いや、最終的に誰!!??
「イガダナンダヨナァ?ヲレト、イッショニタタカッチクレルンデェ
「いつまで寝ぼけている!!!」ウェッ⁉︎」
怒られた⁉︎
なんかいつもと比べてかなり怖いんですけど⁉︎コレだったらいつものミステリアスな雰囲気を漂わせている方がマシなんですけど!
そもそもなんでこんなに怒ってんの?この人(?)いや声だけしか聞こえないけど・・・・・。
「と言うか、なんで今更になって俺の夢に出てくるんですか?なんと言うか自分の力に関してはある程度吹っ切れましたし・・・・・・・・」
━━━甘ったれるなぁッッ!!!!!!
ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑっ!!??
また怒られた⁉︎ナンデ!!??
俺、なんか間違った事を言ったっけ⁉︎
アレか?この声の事を厨二病って言った事なのか?常闇くんが食いつきそうな話題って言った事なのか⁉︎
━━━あの体育祭の結果はなんだ!!力を物にしたのに敗北するとは!貴様!!!本当に強くなる気はあるのか!!!
あ、そっちなんですね。
「いや、そう言われてましてもその時ってかなり消耗してましたし、体力も限界に近づいていましたし、何より爆豪くんがメッチャ強かったですし」
て言うか強くなるも何もヒーローとしての実力がつけば、別に強くなったりするつもりh
━━━口答えするなッッ!!!!
えええええええええええええええええええ!!??
また怒られた!!?(2回目)
━━━良いだろう!!ならばこの俺が直々に貴様を鍛え直してくれる!!!
すると急に目の前が光り出し、あまりの眩しさに腕で顔を隠してしまう。なんの光ィ!!?
と言うか、何だこの急展開は!!?
次第に光は弱まり、やっと目を開けられる程に落ち着く。そして先程まで謎の光に満ちていた場所に目を向ける。
━━━貴様に真の強さと言うものを教えてやる・・・!!
すると、そこには片手に白と黄色を基準とした槍を持ち、身体は赤を基準とし、鎖帷子を着込んだような姿をしている。
そして、何より目立つのが頭部であり、三日月の如く湾曲し、熱帯域で大規模に栽培されている黄色の果実をモチーフにしたような大きな被り物をしていた。
・・・・即ち頭がバナナだった。
・・・・・・え?・・・バナナ・・・・・?
「え!?・・・・バナナ!?バナ・・・バナナ!?」
━━━バロンだッ!!!
知 ら ね ぇ よ
と言うか、なんでジリジリ寄ってくんの?怖いわ!!頭にバナナを被ってジリジリ寄ってくんな!!!
て言うか、なんで槍を構えてんの?え?ちょっと洒落にならないんですけど!ちょ、おま、ヤメロォ!!!と言うか何なんだよ!この展開!どうすれば良いんだよ!え、ちょっと、マジで勘弁して下さい!やめて、怖い怖い怖い怖い怖い!威圧感がヤバイ!頭がバナナだから尚更怖い!
お、オレのそばに近寄るなぁあああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!
<バナナスカッシュッ!!!
「ぎゃぁあああああああああああ!!?」
謎の音声と共に巨大なバナナが自身の腹部を貫くとそのまま意識が暗くなっていく。
なんでバナナ・・・・・・・?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カーテンの隙間から陽の光が差し込んでくる。眼が覚めると、そこは見知った自分の部屋だった。
「・・・・・酷い夢だった」
天倉がそう言うのも無理は無い。
謎の声の人物が正体を現したかと思えば、その姿がバナナを被った謎の人物であり、そのまま自身に巨大なバナナを突き刺してきたと言う始末だ。
酷いを通り越して呆れる位だった。
そして、天倉は二度とこんな夢を見たく無いと思いながら、自身の部屋のカーテンを全開にする。
すると、暖かな太陽の光が天倉を包み込み身体中がポカポカしてくる。
天倉は先程の夢をさっさと忘れる為に気分を切り替えようとする。
「あ」
すると天倉は何かを思い出したかのように、ふと声を漏らす。そして自分の部屋の隅に視線を向ける。
そこには巨大な大砲のような、男を象徴するような形をしたオブジェがどっしりと置かれていた。
「・・・・・・・・・どうしようコレ」
天倉孫治郎は悩んだ。
雄英体育祭が終わり生徒はたった2日間だが、代休日で疲れを癒す事になっていた。
しかし、天倉は自分の部屋にあるソレを見て困っていた。
「マジでどうしよう。この【ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲】すっげぇいらないんだけど」
そう天倉は目の前にある卑猥な形をした大砲【ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲】の扱いに困っていた。
※18話参照
元々借り物競争のお題に何故か混ざっていたもので八百万に創造してもらったモノなのだ。凄くいらない。
色々な人は何故かコレを見るたび「完成度たけーなオイ」と言ってしまうのだ。
天倉はコレをどのように処分、もとい活用すれば良いか考えていた。
すると、天倉の部屋の扉を開けてくる者がいた。
「孫治郎〜〜〜〜朝飯だっt「フンッ!!!」タコスッ!!??」
が、天倉は声を聞いた瞬間ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を掴み、その人物に叩きつけた。
意外と武器として使える。
天倉はその人物をまるで豚を見るかの様な目で見下す。
「おい、なんでお前が此処にいる。今朝から変な夢を見た所為なのか、今の俺は物凄く機嫌が悪い。
さっきは鈍器で済んだが、事と場合によってはアトミックバスターを喰らわすぞ。
それともアレか?キン肉三大奥義でも喰らうか?」
「ねぇ、酷くね?ウチの息子酷くね?
炎司《エンデヴァー》のところの息子よりもヤバイんだけど」
息子からの先制攻撃を喰らった親父、もとい天倉大河はよっこらせと立ち上がると天倉に改めて向き合う。
「やれやれ・・・・・ただいま孫治郎」
「全く・・・・・・・おかえり父さん」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
AM 9:00
「で?(動物学者の)仕事の都合でしばらく家に居るって事で良いの?」
「そうそう。いやぁ、理解が早くて嬉しいねぇ」
天倉と、父親、母親が食卓を囲む。親である2人は久々に家族全員で食事をしているからなのか、幸せそうにしている。
それに対し天倉は少々気怠そうにしている。
「と言うか、母さんも知っているなら話して教えてくれないかなぁ」
「ん〜?いや、だってねぇ。聞かれなかったから」
「あぁ・・・・・畜生。どうしてウチの親はこう・・・・・」
天倉は両親の性格に頭を悩ませる。
いつもながら、どうしてこの2人から自分が生まれたのだろう?なんらかの化学反応でも起こったのだろうか?と疑問に思ってしまう。
『次のニュースです。
最近話題となっている、謎のUSBメモリを使用し無個性の人物を中心に怪人へと変貌を遂げる事件ですが、謎のヒーローが怪人を退治すると言う出来事が起きています。
これについて取材陣は風都警察署・超常犯罪捜査課のトップである照井警視にインタビューすると「俺に質問するな」と一点張り。
謎のヒーローに関しての情報は未だ掴めておりません。
続いて、今日の天気でs━━━━』
(最近、こんなニュースばっかりだな・・・・)
天倉は気晴らしにテレビを見たが、一般人が怪人に変貌を遂げると言った事件を天倉は何回もニュースで見た事がある。
天倉はいい加減うんざりしてきたなぁと思い、チャンネルを変える為に手元にあるリモコンを弄ろうとする。
ピロン♪
すると天倉のズボンのポケットから、正確には天倉のスマートフォンからメッセージが着信してきた時に鳴るメロディが流れてきたのだ。
天倉は自身のスマホを手に取り、届いたであろうメッセージを確認する。
『差出人 通りすがりの清く正しい新聞記者
件名:あなただけに特別な
あややや、どうもおはようございます。いつもニコニコあなたの隣に清く正しい射命丸文ですよ。
体育祭ではお疲れ様でした。しかし、とても良い活躍でしたねぇ。
やはり私の目に狂いは無かったようですね!新聞の見出しはズバリ!『雄英高校ヒーロー科に潜む影⁉︎』に決まりです!
おや?おやおやおやおやおやおやおやおや?どうしてでしょうか?天倉さんが何を言いたいのかが頭に浮かんできますよ?
いや、言わなくても分かりますよ!!ん?どうして分かるのかだって?なんででしょうか?おお、怖い怖い。
ズバリ!あなたは私が書いた新聞に興味を、いや是非とも読んでみたいと思っているのでしょう!
いやぁ、まさかそこまで興味を持ってもらえるとは思いませんでしたよ!見たいのでしょう!読みたいのでしょう!!え?今すぐに読みたい?
仕方ありませんね。特別に出来立ての新聞を届けてあげましょう!
あ、できればベランダの窓を開けてもらってもよろしいでしょうか?』
「」
「お?何だ?彼女か?彼女なのか?」
「えぇー?彼女?マジで⁉︎赤飯用意した方が良い?」
天倉はどんな顔をすれば良いか分からなかった。携帯の画面にはこれでもかと言った具合に文字が並べられ最終的に新聞という結果になり、親子は呑気に騒ぎ、色々な意味で収拾がつかない状態となっている。
(というか、俺あの人にアドレス教えてないんだけど、どうやって知ったんだ?)
天倉は彼女の情報網にやや恐怖を覚えながらベランダの窓を恐る恐る開けてみる。
━━ヒュン!!
すると天倉のすぐ横に何かが通り過ぎた。その正体を見て見ると、そこには新聞紙が落ちており、ご丁寧にビニール袋に包まれている。
新聞紙が飛んできた方向に視線を移すと、そこには黒い翼を広げ、こちらに手を振っている見知った少女が飛んでいた。
「後で感想聞かせてくださいねー」
と自称清く正しい、射命丸文は目にも留まらぬ速さで何処かへと飛んで行ってしまった。
天倉は新聞紙をビニール袋から取り出しざっと読んで見るとそこには『まさに鬼畜の所業』『敵よりも敵らしい』『なぜ暗黒進化したのだろうか』『主食は人肉』等が書かれていた。そして遂に
━━ビリィッ!!!
「コロス」
天倉はキレた。新聞を一瞬で破いた彼はこの世のモノとは思えない程の恐ろしい形相をしており、ドス黒いオーラを撒き散らしながら射命丸を追いかけようとベランダから飛び降りようとしている。
しかし流石に不味いと判断したのか父親である大河は天倉を止めようとする。
「どいて父さん、あの女殺せない」
「おい、やめろ!流石にヤバイ!よく分からんが殺意の波動に目覚めてんぞお前⁉︎」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
殺意の波動に目覚めた天倉とその父親である大河が対峙する。2人はそれぞれ自身の"個性"を発動する。
すると、お互いの身体から蒸気が発生し、身体が変化していく。そしてその場には赤と緑の、トカゲのような戦士が立っていた。
緑の戦士はまるで、ヒョウやネコのように四足歩行をイメージとした構えをし、赤の戦士は空から獲物を狙うかのような猛禽類のような構えだ。
2人はジリジリと距離を図りながら互いを睨みつける。
そして2人は満を持して飛びかk━━━━━
「2人共ーーーー、ご飯よーーー」
「はーーい」
↑一瞬で元の姿に戻る天倉
大丈夫だった。
やはりいつの時代も母は強しという事だろう。そして、飯の事になるとすっかり機嫌を良くする息子であった。
「(飯の事になると物凄くチョロいなウチの息子)ところで、さっきの嬢ちゃんは彼女か?」
「━━━あ?(殺意)」
「さ、さてと美味そうな飯だなー、朝食はちゃんと食べないとダメだよな!」
身の危険を感じ取った父親を他所に息子本人は先程までの暴走っぷりが嘘のように淡々と朝食にがっついていた。
そんな一連の出来事を見て母親は「いやー、平和ダナー♪」とお前の目は節穴か?と問いたいような能天気さを見せていた。
━━ピロン♪
が、再び天倉のスマホに着信音が鳴ると同時に天倉の全身からも再びドス黒いオーラが噴き出てくる。
母親は「おー、ドラゴ◯ボールみたいね」と相変わらずの能天気さを見せ、一方の父親は「もう知らね」と既に匙を投げた状態であった。
天倉はまるで般若のような顔をしながらメッセージを確認するとすぐにいつも通りの普通の顔に戻る。
「あれ?コレって・・・・・」
と様子が変わった息子が気になったのか、親子はすぐさま天倉のスマホの画面を見る。
「あーーーー、成る程。行ってみたらどうだ?」
「そうね!なんかコミックの展開みたいだし」
息子本人を他所に親子は2人は勝手にそのような雰囲気を作っていく。
天倉はそんな2人の行動に呆れつつ、スマホをポケットの中に仕舞うと再び遅めの朝食に手を出す。
(一体、なんの用事だろ?)
天倉はそう疑問に思いながら盛った白米を掃除機のように口の中へと入れていく。
先程のメッセージの内容は
『差出人 轟焦凍
件名:今すぐ来れるか?
雄英に近いから場所は分かると思うが
一時間後に○○公園に来れるか?相談に乗ってくれ。』
常にクールな彼《轟》からは予想できない事だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
AM 10:00
ギコッ・・・ギッ・・・・キーコ・・・・
天倉が乗るブランコから金属のきしむ音が鳴り響く。
子供サイズに作られたブランコに天倉のような高校生が乗っている光景は浮いており、「ママ何あれー?」「見ちゃダメよ」と言われても反論できないだろう。
しかし、この日は代休の為子供の数も少なく今なら乗っても大丈夫だろうと判断したのだ。
(懐かしいな・・・・子供の頃良く1人でブランコに乗って・・・・・・1人で・・・・・1人で・・・・)
天倉は彼自身の思い出に浸りながらブランコを漕ぐが、漕げば漕ぐ程友達が全くいなかったと言う事実を改めて思い知らされ自身の傷を抉っていく。
次第に彼は暗い雰囲気に包まれていく。
「・・・・!待たせたな天k━━━━」
丁度轟が約束の為に公園に到着し、天倉を発見すると声を掛けようと近づくが、その天倉本人が物凄く近寄り難い雰囲気を放ち、話しかけたくても出来ない状態になっている。
すると到着した轟に気付くと暗い雰囲気を漂わせたまま声を掛ける。
「あぁ、来たんだね・・・・で相談って何?」
「あぁ(・・・ヤベェ色々と言いにくい感じだ)」
轟は天倉の隣に空いているブランコに座るとそのまま俯く。
天倉は轟が何かを言い出すのを待つ。だが轟は黙ったままだ。
・・・・・・・・
黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る待つ黙る
(何か言い出せよおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!相談したいって言ったのそっちだろぉ!!!こっちは朝から変な夢見て変な新聞記者の所為で精神的に削られてるんだよおおォォォォォォォ!!!頼むから黙ったままはやめて!怖いから!!!)
(ヤベェ・・・・天倉のヤツ物凄い形相になってやがる・・・・・何か気に障る事でもやったか・・・・?)
お互いはとても気不味い雰囲気の中、相手が何かを言うまで何も言わないつもりらしい。
そしてその状況はしばらく続き・・・・
PM11:00
((最終的に1時間も経過してしまった━━━━))
お互い何も言い出せずに時間が経過してしまい、高校生2人がただ無言でブランコを漕ぎ続けると言うシュールな絵が完成してしまったのだ。すると2人は意を決したかのように口を開く。
やっとか、このヘタレ共め・・・・。
「「ちょっとい・・・・・」」
「「・・・・・・」」
すると偶然なのかお互いの言葉が同タイミングでハモり、更に気不味い雰囲気になってしまった。
その光景は告白間近のカップルのソレであり、誰得なのだろうか。
「・・・・轟くんからで良いよ」
「あ、あぁ・・・・なんか悪いな呼び出しちまって。こう言う事相談できるのってお前位しか思い付かなかったから・・・・」
「・・・俺しか?」
轟は「あぁ」と頷き間を開けた後、再び口を開く。
今の轟はどうしても必要だったのだ。
彼自身の理解者が、彼と向き合ってくれる良き友がどうしても。
「これから━━━お母さんに会いに行くんだ」
「へぇ〜それはそれは。会いに行くって事は・・・・病院?入院中って事?」
「!・・・・お前って時々エスパーじゃねぇのかって思う位鋭いな」
「そうかなぁ?」
轟は天倉の予想が大体当たっており少々戸惑いはしたが、すぐに冷静さを取り戻し、話を続ける。
「けどさ、元々お母さんが入院したのって俺の所為でもあるんだ。
今更お前に話すのはおかしいけどな。
・・・・・もしお前だったらどうする?もしもお前だったらお袋とどう接するんだ?」
その光景はまるで子供が教師に分からない物事を質問するような、はたまたヒーローを待つ一般市民のようなだが、天倉はすぐに分かった。
━━自分と似ている。
自分がどうすれば良いか分からず誰かに助けを求めたくても1人で抱え込もうとしている。
天倉はそんな前までの自分と目の前の轟をいつの間にか重ねていたのだ。
「・・・・・さぁ、俺の母さんは元気の塊みたいなものだから。俺には分からないよ」
「・・・・・そうか。
悪いなこんな事に付き合わせちまって・・・・それじゃあ俺はそろそろ」
「だけどさ」
轟が公園を後にしようとブランコを降りようとした時、天倉が止めるかのように口を開く。
「俺が答えて簡単に解決するもんじゃ無いでしょ。そんな簡単に答えが出たら悩む事じゃ無い」
「・・・・・天倉」
彼は笑う。その笑顔は友の為に、友の手助けの為に向ける。
「何年掛かったっていいんだよ。皆悩んで大きくなるんだから。君の場所は無くならないんだし。君が生きている限りずっと、その時いるそこが轟くんの場所だと思う。
・・・・・その場所でさ、自分が本当に好きだと思える自分を目指せばいいんじゃない」
ニコリと天倉孫治郎は笑う。
笑顔それは誰にでも出来る、人を幸せにする力。
"個性"では無いその力は"個性"には無い力を持っている。
「どうして・・・・どうしてそんな事が・・・・言えるんだ?」
轟の声が僅かに震える。彼の言葉は心に響くが不安が募る。
確証も無いのにどうしてそのような事が言えるのか分からない。
━━どうして
━━どうしてお前は
「だってさ
轟くんを信じているから。轟くんなら絶対に!」
「・・・・・は・・・はは・・」
轟は心の奥から熱いモノを感じた。
まるで冷え切った氷がメラメラと燃え盛る炎によって溶かされていくような、そんな感覚だった。
「・・・畜生・・・・どうして緑谷やお前は・・・・人の積んできたもんをぶち壊して・・・・」
「と、轟くん?」
次第に轟の眼から熱いモノが溢れてくる。それを隠すかのように轟は片腕で目元を覆い隠す。
天倉は急な事にアタフタと慌てている。
「なんでもねぇ、気に・・・スンナ。俺、そろそろ行くから。」
「う、うん・・・・お母さんと仲良くね!」
轟はその場から立ち去るように足を進める。
一歩、二歩、三歩と歩いたと思ったら急に止まってしまう。
そして、振り向く。
「天倉!!!」
「?」
「━━━━ありがとな!」
「・・・・・うん!」
天倉は轟に対して片腕を突き出しグッと親指を立て、サムズアップをする。
「・・・・フッ」
轟は再び歩みながら返すようにサムズアップをする。
天倉は轟を見送ると空を見上げる。
目の前にはまるで2人を祝うような一面に広がる青空だった。
そして無意識なのか独り言を呟き始める。
「あの人にお礼を言わないとな・・・・・・・」
そう呟くとポケットから一枚の名刺を取り出す。
そこに記してあるのは大きく書かれた名前と紹介文だった。
『 夢を追う男
【五代雄介】
2000の技を持つ男 』
ありがとう。
━━俺にとっての最高のヒーロー
何気に天倉と轟のサムズアップの場面、実は五代さんと一条さんのサムズアップシーンを思わせるようにやってみました。
あと、轟と天倉の場面を書いていると、もう天倉がヒロインで良くね?と薄々思ったり・・・・・。
そして、お待ちかね仮面ライダーのアンケートですが今回で締切とさせていただきました。
結果は・・・・・1番の"仮面ライダーを出しても構わない"に決定しました!!!
と言うか2番が無い事に読者様方の仮面ライダー愛が伝わりました。
ありがとうございます!
しばらくは番外編でも投稿しようかなと思っております。