個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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〜〜いつかこんな仮面ライダーが出てくると良いなーという願望第2弾

今回は複数あります。


「キバさん!」

『行くよキバット!』『キバって行くぜ!』

「オーガさん!」

『俺はオルフェノクとして生きていく!』

「帝王の力、お借りします!!」


個人的に滅茶苦茶好きな組み合わせ



「カブトさん!」

『おばあちゃんが言っていた』

「クロノスさん!」

『審判の時だ』

「時を司る力、お借りします!!」


高速化、時止め、時間逆行
リセットもできるよ!



「王蛇さん!」

『イライラするんだよ・・・』

「カイザさん!」

『俺のことを好きにならない人間は邪魔なんだよ・・・』

「とてもキツイやつ、頼みます!!」


結果、使いたくない。



「ゲンムさん!」

『私こそ・・・・・神だああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

「アマゾンシグマさん!」

『アンタは5手で詰む』

「不死身の力、お借りします!!」


逆に使いこなす自信が無い




番外編 天倉の休日 午後編

PM 0:10

 

 

 

港では色々あったが何とか生き延びる事が出来た天倉。そんな中ランサーだけ死んでしまった。

ランサーが死んだ!このひとでなし!

※生きてます

 

その他の皆もしぶとく生き延びており、ゴンに至ってはしばらくゴンさんモードが続くと言う事でその場は収まった。(収まってない)

 

しかし、腹が減った。

天倉はとにかく腹を空かせていた。彼はとにかく食べたかった。何かを口に入れたかった。何かを空っぽの胃袋に入れたかった。何かを味わいたかった。何かを噛み締め堪能したかった。旨味が凝縮された何かを食べたかった。

と言うわけで時間も時間なので食事をすることにした。

 

天倉はこの近くに行きつけのラーメン屋がある事を思い出し、その店へと足を運ぶ。

時折腹をグゥーと鳴らしながらまだかな?まだかな?とラーメン屋への道のりをルンルンと自転車を漕ぎながら楽しみにする。

そして目的地であるラーメン屋の前に自転車を停め、ロッドケースとクーラーボックスを持ち、ラーメン屋の中へと入る。

入った瞬間、香ばしいスープの香りと香辛料のピリッとした辛味の効いた香りが漂ってくる。

 

そして、店の中には客が一人おり、その客が何やら見覚えのある人物だと言う事に天倉は気付く。

 

 

「・・・・あれ?」

 

「・・・・・あ?」

 

それぞれ、天倉孫治郎と【爆豪勝己】は気が抜けたような声を漏らす。すると爆豪の顔はみるみるうちにいつものように苛ついた表情に変化していき、天倉は冷や汗を掻いていく。

 

「んでテメェがこの店に・・・・!」

 

「あ、いや・・・よく来るからさこの店」

 

天倉はハハハと苦笑いしながら席に着く。

・・・・爆豪の隣の席に。

次第に爆豪の形相は鬼の如く凄い事になっていく。

 

「テメェ!んで俺の隣に座るんだよ!」

 

「え?あ、いや、なんか問題でも!!??」

 

「るせぇっ!!別に仲良くもねぇのに隣になる必要ねぇだろ!!!」

 

 

━━━シャキン

 

 

アタフタと天倉と爆豪が揉め合っていると厨房から刃物を研ぐような音が店の中に響く。

そして中華包丁を片手に死んだ目をしたラーメン屋店主がバンダナ帽子、エプロン、長靴という格好で二人の前に姿を現わす。

勿論、天倉の知り合いと言う事は言うまでも無いだろう。

 

「お客様、店内ではお静かに」

 

とドスの効いた声で注意してくる。するとその言葉に反応した爆豪が身を乗り出すように掌から爆発を起こす。

 

「うっせぇ!!!引っ込んd━━━━━━

 

瞬間、爆豪の頭が何者かに押さえつけられカウンターテーブルに叩きつけられる。

叩きつけた原因である人物は一人しかいない。天倉である。彼は爆豪が店長に暴言を吐こうとした瞬間に押さえつけたのだ。

 

「スッッッミッマセェンでしたァァァァァァァァァアアア!!!!!!」

 

そして大声で天倉も頭を下げ店長に謝罪する。爆豪は「テメェ何を」を呟く。すると天倉は小声で爆豪に言う。

 

(バッッカ⁉︎分かんないの⁉︎アレはヤバイって!絶対に敵対しちゃアカン奴だから!!ラーメン屋の店主が出してよくない殺気を放っているんだよ!

なんか背後に大剣構えた死神っぽいサムシングが「首を出せ」って言っているんだよ!!!なんかゴーンゴーンって鐘の音が聞こえるんだよ!!)

 

と震えた声で必死に爆豪を説得しようとしている。爆豪はその必死さに負けたのか「覚えていやがれ」と一言だけ呟くとムスッとした顔で頬杖をつく。

 

するとカタン・・・と天倉と爆豪の目の前に皿が2つ置かれる。

 

「あぁ?頼んでねぇぞ」

 

「勿論だとも、私が勝手に置いたからな」

 

「あぁ⁉︎」

 

と爆豪は店主の態度に苛立ちを隠せない。天倉はそんな爆豪をどうどうと落ち着かせる。

だが、爆豪は納得できない様子だった。それもそうだろう、客相手にあんな態度は普通、一般人なら納得できないだろう。

 

「取り敢えずさ、此処の店主の言峰綺礼さんはいつもあんな感じだから。これぐらいで怒るとすぐに体力使い切るよ」

 

「ッッ〜〜〜〜〜!」

 

爆豪は渋々と引き下がり(顔が凄い状態で)出されたメニューに視線を移す。

その皿に盛られていたのは真っ赤な餡。そしてその中にある白い四角形の物体。

その名状し難き料理?は麻婆豆腐だった。

 

 

 

━━ドドドドドドドドドドドド!!

 

 

 

なんだこの威圧感は。

爆豪の好物は辛いモノだった。しかし、なんだこれは確かに見るからに辛いのだろうが、これは辛いと言う概念を超えているのではないのか?と思うレベルのモノだった。

チラリと天倉の方へと視線を向ける。爆豪の目に入ってきた光景は、名状し難き物体が盛られた皿に対し、悟ったような表情を向けた天倉であった。

天倉は「フ・・・」と笑うと何かを呟く。

 

「やれやれ・・・・また拒絶反応を起こすか・・・・」

 

とハイライトの入っていない目をしながら隣に置いてあったレンゲを取る。

しかし天倉の腕はガクガクと震え、まるで身体そのものが麻婆豆腐を食べる事を拒んでいるかのようだった。

 

 

な ん だ こ れ は

 

 

爆豪は遅れたようにレンゲを取り、麻婆豆腐を掬う。掬っただけでプゥンと麻婆からはかけ離れたような香りが漂ってくる。

その香りを嗅いだだけで爆豪は汗が噴き出る。

もう一度言おう。

 

 

な ん だ こ れ は

 

 

取り敢えず一口だけ麻婆豆腐を口の中に入れる。

 

 

(ッッッ!!??辛ッッッ!!??)

 

 

瞬間、爆豪の頭の中には【辛】と言う単語で埋め尽くされる。

全身の血が逆流するように感じ腕が震え全身の穴という穴から汗が噴き出てくる。

爆豪勝己は辛党だ。しかしその爆豪を唸らせる程の辛さだか美味さだか分からないコレは一体何なのだろうか?まるでラー油と唐辛子を百年間ぐらい煮込んで合体事故の挙句『オレ外道マーボー今後トモヨロシク』みたいな料理だ。

 

しかし、不思議と手が動く。一口一口食べていくごとに体中の水分が奪われていき、脳に危険信号のようなモノが送られる。だが、やめられない。まるでこの麻婆豆腐の中には何かヤバイクスリでも入っているのではないか?と言うぐらいの中毒性だ。そして爆豪と天倉は麻婆豆腐を完食。

どう考えてもヤバイ料理だった。しかし爆豪はもう一皿麻婆豆腐を平らげたかった。だがその前に喉が渇いた。とにかく喉を潤したかった。だがテーブルのどこを見ても水は置いていなかった。

 

「(仕方ねぇ。頼むか・・・)おい、水くれ」

 

「200円になります」

 

「ハァ⁉︎金とんのかよ!!!」

 

「此処では水のセルフサービスはやっておりません」

 

と一言。

すると天倉は「おかわり」と言うと、すぐさま彼の目の前に麻婆豆腐が出てくる。

すると店主言峰は爆豪に向けてとある事を言う。

 

「ちなみに麻婆豆腐一皿 1600円だ」

 

「・・・・・は⁉︎金とんのかよ⁉︎あの流れじゃあサービスじゃねぇのかよ!!つーか何だその値段は!」

 

「誰が無料と言った?それとも・・・・無銭飲食のつもりか?」

 

爆豪は何も言えなかった。ハッキリ言って勝手に置いたのは店主であり、勝手に食べたのは自分の方だ。ぐうの音も出ない正論だった為か半ば投げやりに彼は店主に向かって叫ぶ。

 

「ダアァァァァアッッ!!わったーーーーよっ!!!払えばいいんだろ払えば!!あと!麻婆豆腐おかわり寄越せや!!」

 

「お水もいかがですか?」

 

「水もだ!!水も寄越せ!!!」

 

(隣すげぇ怖ぇ)

 

爆豪がおかわりを言うと、言峰は厨房から既に用意していたのだろうか、麻婆豆腐とコップ一杯の水を爆豪の元へ持っいく。

爆豪が苛立ちながら麻婆豆腐を食べ始めると

 

━━ガララッ

 

と店の引戸を開ける音が響く。

新しい客だろう。その客は茶髪で無表情。爆豪から見た第一印象は"どんなクラスにもいそうな3番目くらいの容姿をした無個性のモブ"であり、人口約8割が個性持ちの超人社会においてすぐ記憶から抜けてしまうような感じだった。

その客は爆豪の隣、丁度その客と天倉が爆豪を挟むような形で席に座ると、

 

 

━━麻婆豆腐下さい。

 

 

と言う。

平然と言ったその言葉に爆豪は何ィ━━━と衝撃が走る。辛党の自分でさえ一口食べていくごとに脳に危険信号が送られ、大食漢の天倉でさえも

 

 

「━━━ふ、フフ。全身が━━━身体がコレを食べるなと━━━拒否反応を起こしている━━━イイだろう━━━━オレノ身体ハ━━━━━━オレダケノモノダ━━━━」

 

と3皿目でどう見てもヤバイ状態だ。

まるで冒涜的な物質でも食べるているような光景であり、一般人が見れば恐怖を抱くような様子だ。

なのにだ、なのにこの客は勝手に出された訳でもなく

 

━━カタン

 

「へいお待ち」

 

脅された訳でも無いというのに何故?

何故、自分から進んで麻婆豆腐を平然と食せるのだ?

 

その客は顔色を一つも変えず徐々に麻婆豆腐を平らげていく。爆豪はそんな様子に言葉を失う。

すると隣に座っている天倉が声をかけてくる。

 

「爆豪クン━━あの人ハね、岸波白野って言う名前デ━━━言ってシマウと━━━━オリハルコン製のハートをモッタヤバイヒトダヨ」

 

爆豪はお前が言うなと物凄く言いたかったが、確かにこの光景を見るとそう思えてくる。

と言うよりもこいつは本当に人間なのか?と思えてなるほどのレベルだ。

2人は麻婆豆腐に再び手をつける。逆立った金髪赤目の三白眼の不良を真ん中にし、明らかにモブっぽい見た目をした2人が食事している姿はまるで不良とその取り巻きが食事しに来ていると言う光景そのものだ。

 

(ヤッベェ・・・凄く気不味い)

 

(癖になんな麻婆豆腐)

 

(どうやら同士がいたようで良かった。何故他の皆は麻婆豆腐の良さが分からないのか、そもそも麻婆豆腐とは(ry━━)

 

天倉はこの雰囲気に耐えられなかったのかすぐに3皿目を平らげ勘定をする為席を立ち言峰に代金を渡す。

 

「3皿で4800円でスよね。それデハご馳走様でした━━━━━」

 

彼は未だに麻婆豆腐のえいきょうをうけつつも逃げ出すように店の外にあるマイ自転車へ猛ダッシュで駆けていくのであった。

 

 

 

 

PM 1:30

 

 

 

 

「ただいまー・・・・って鍵かかってる。2人とも出掛けてんのかなぁ?」

 

天倉はアパートに戻るが玄関の鍵がかかってる事に気付き、留守だと言うことが分かった。

合鍵はしっかりと自分用のものを持っている為、ダラダラ過ごすか?と思った。

別に午後は何か予定がある訳でも無いのでこれからどうしようかな?と考えているとガチャリと隣の玄関から誰かが出てくる。

 

「ん?」

 

その人はツルリと何も無い頭が特徴的な隣人であり、天倉に強くなる秘訣を教えてくれた人物だ。

 

「おい、なんか変な事考えなかったか?」

 

「いえ、何も・・・・あ、そうだ。実は魚釣ってきたんですけどサイタマさん何匹か持っていきます?」

 

「え?いいの?マジで!」

 

と、隣人のサイタマはクーラーボックスの中にある沢山のの魚に食いつく。すると扉からサイタマが出てきた玄関から同居人だろうか、金髪黒目で誰がどこから見てもイケメンと分かる程、顔立ちが整っており服の袖から先はロボットのように機械の腕となっている人物だ。一言で表すならイケメンサイボーグだろう。

 

「お前は・・・なんだ天倉か。体育祭が終わった後なのによく元気だな」

 

「まぁ、釣りは趣味みたいなもんですし。ジェノスさんも魚いかがですか?結構釣れたんですよ」

 

と隣人同士、釣りの話で盛り上がっていき、サイタマは手頃な魚を2匹手に取る。

するとジェノスが「自分が持ちます」と言うが、2人の部屋はすぐ目の前だったのでそれくらい自分でやれるとサイタマは魚を玄関からキッチンへと持って行く。

 

「サンキューな天倉。んじゃキングでも呼んで鍋パーティーでもすっか」

 

「先生!!俺も鍋の準備をします!!」

 

どこからどう見てもジェノスが舎弟にしか見えないのは偶然だろうか。

・・・・・いや、確かジェノスはサイタマの弟子だったなと天倉は思い出し考えるのを止める。

 

「あ、せっかくだしあそこにもお裾分けしてこようかな?」

 

 

と、言うと彼はアパートの最上階へと歩を進める。もちろんクーラーボックスを持ってだ。

エレベーターを使うのも良いが階段を使うのに慣れているせいか、わざわざ階段を利用して最上階へ来てしまった。

取り敢えず目的の部屋の前に立ちインターホンを鳴らす。彼の予想が正しければこの時間には彼女がいるはずだ。

 

するとガチャリと言う音と共に玄関の扉が開く。

 

「はーい・・・って天倉さんじゃないですか」

 

扉から出て来たのはなんと今時珍しいメイドの格好をした女性だ。しかし彼女は普通のメイドではなかった。

それは彼女の頭には、まるで鹿の様な立派な角が生えており、さらにスカートからはワニのような緑色の鱗をした大きな尻尾が生えている。

そんな彼女と天倉は勿論、知り合いだ。

 

「午前中に釣りに行って来たんですよ。トールさん、もし良かったら好きな魚選んでください。焼くもよし、煮るもよし、刺身もよし!ですよ」

 

「いやぁ、ありがとうございます。

あ、そうそう!テレビ見ましたよ天倉さん。アレは凄かったですねぇ何処と無くドラゴンに通ずるものがある感じでとても良かったですよー」

 

と2人はまるで主婦同士の会話の如く談笑していく。一区切りついたところで2人は会話を打ち切らせる。

 

「それじゃあトールさん。小林さんに魚料理振舞ってあげてくださいねー」

 

「わかりました!これで小林さんをハートもろともキャッチしてみせますね!」

 

ちなみに小林さんと言うのは女性だ。

つまりトールさんがソッチ系の趣味を持っていることは言うまでも無いだろう。

すると天倉は「あ」と言葉を漏らすと同時に何かを思い出したような顔をする。

 

(そう言えば最近、あそこに顔を出してなかったけど・・・・・様子見て来ようかな?)

 

と天倉は再び歩を進め、エレベーター・・・では無く階段を利用する。

相変わらずエレベーターは使うつもりが無いらしい。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「えーっと、こっちで合ってるはず・・・っとここ・・・だよな」

 

ここはアパートの一階。最上階から階段を利用し降りて来た天倉。何故エレベーターを使わないのかワカラナイ。そして目的の部屋であろう扉の前に立つ。

 

「いるかなぁ、あの人たち・・・まっ、取り敢えず確認はしておくか」

 

と天倉はインターホンを鳴らし、ピンポーン♪と言う音が響く。すると部屋の中からガタンゴトンと慌ただしい音が聞こえる。

確実に誰かがいる事が分かる。が、もしかしたら空き巣という可能性もある。

彼は"個性"の一部である。ピット器官(サーモグラフィー的なもの)と強化された聴力によって中の様子を探る。

 

すると部屋の中には五人の存在を確認する。そして強化された聴力によって中で話しているだろう会話を聞き取る。

 

 

「だ、誰か来た。よよ、吉田くん。お客さんじゃぞ、早く見てくるんじゃ」

 

「嫌ですよ!なんで僕が行かなきゃなんないですか。大家のババアだったらどうするんですか!総統が行ってくださいよ」

 

 

と二人の人物が何やら言い争っている事に気付く。

天倉はそんな様子にやれやれと溜息をつきながら、いつも通り鍵のかかっていない玄関の扉を開く。

 

 

「取り敢えず、お邪魔しまーす」

 

「うわわわわっ!!?ど、どっから入って来たんだね⁉︎」

 

「いや、普通に玄関からですけど?」

 

「吉田くん!また玄関の鍵を閉め忘れたのか⁉︎」

 

「あ、いっけね。うっかりしてました・・・ってなんだ天倉じゃねぇか」

 

天倉が礼儀正しく?玄関から入るとそこにはちょび髭で帽子を被り、黒いスーツの上から赤いマントを羽織った尖った耳の大体50代あたりの男性と覆面をボサボサの茶髪に赤いシャツ、青いズボンを着た身長が1mに満たない子供?だ。

信じられない事にこの人たちも天倉の知り合いだ。

今更ながら天倉はとんでもない知り合いばかりである。

 

「お久しぶりです。小泉さんにカツヲさん」

 

「あ、天倉くん。ワシらは一応悪の秘密結社なんじゃから本名はちょっと勘弁してくれんかのぅ」

 

「アッハイ、分かりました。総統さんに吉田さん」

 

天倉と総統と呼ばれた男性は普通に会話しているが、先程おかしな単語が出て来た。

【悪の秘密結社】

それは一体どこのコミックの敵組織だ。とツッコミを入れたくなるだろう。こう見えてこの総統という男性は悪の秘密結社鷹の爪団の総統をやっている。

すると吉田と呼ばれた子供?は天倉に向けて口を開く。

 

「って言うか、お前一応ヒーロー志望なんだろ。なんで悪の秘密結社と仲良くしてんだよ。

仮にもヒーロー目指してんだから普通おかしいだろ」

 

ごもっともである。

天倉がいくらお人好しでも悪の秘密結社と仲良くするヒーローなんているはずもないだろう。

・・・・・いるはず・・・無いよな(震え声)

 

 

「いや、でもですね。近所と仲良くなるのは当たり前ですし。それに怪人組織フロシャイムって所は世間から認められるほどのホワイト企業ですし、そこの怪人もヒーローと仲良くしてるのって珍しくもなんとも無いですし、それに鷹の爪団って世間から認められるほどの"放っておいて良い認定"されてますし」

 

「ええええええ!!ワシらって世間からそんな扱い受けてんの⁉︎と言うかソッチ曲がりにも怪人組織なのに、なんでヒーローと仲良くなってんの⁉︎」

 

 

いた。と言うか本当に存在してしまった(絶望)

どうやら自分たちが所属している鷹の爪団が世間からそんな扱いを受けている事にショックを受けたのか総統は酷く落ち込んでしまった。

 

「天倉サーン」

 

「うわァっと!!?・・・ってなんだ。フィリップさんか。

びっくりしたぁ・・って幽霊状態じゃないですか道理で気配もしなかった訳ですよね」

 

と天倉の背後に瓜と書かれた赤いマスクと赤いタンクトップを装着し、両腕には入墨を彫り込みマイクを片手に持ったスキンヘッドの強面の男性がうっすらと立っていた。

と言うか本当にうすかった。

 

すると吉田が「あ、いけね」と呟きリモコンのスイッチを押すとフィリップと呼ばれた男性の姿がハッキリとなる。

おそらくこれも個性によるものだろう。天倉はこれくらい日常茶飯事だなと言う顔で「気をつけてくださいよ」と気に留めていない様子だった。

すると続々と奥から二人?の人間??が現れる。天倉達の目の前に出てきたのは外見がどう見ても白衣を着た熊とブルーベリー色の肌をした子供だ。

 

「あ、どうも。レオナルド博士に菩薩峠くん」

 

「何かと思えばテメェじゃねぇか。何の用だオラッ」

 

「相変わらずですね・・・・っと今日は港で釣りしてきたんですけど大漁だったのでもしよかったらお裾分けしようと」

 

と天倉はクーラーボックスの中から魚を取り出す。

すると総統は沢山の魚を見るとギョッと驚き、慌てふためく。

 

「おお⁉︎いいい、いいのかね⁉︎いやいやいや流石に悪いよぉ〜」

 

「いいじゃないですか総統。ここ最近のご飯は綿ぼこりとコピー用紙だったんですよ」

 

「いや、ソレどう考えても食べちゃ駄目なやつですよね!!?よく生きていたな⁉︎」

 

と天倉は思わずツッコミを入れてしまうが、鷹の爪団はそんな事、御構い無しに手頃そうな魚を何匹かを手に取る。

 

「いやぁ、天倉くん。本当に悪いのぅ」

 

「まぁ、いいですよ。そのくらい助け合いは当たり前ですからね。んじゃDXファイターが来る前に俺行きますね」

 

と天倉は部屋を出て行くと、そのまま階段を登って行く。すると一階から何か聞こえて来る。

何だ?と耳をすましてみると

 

 

━━デラックスボンバーー!

 

 

と言う声とともに轟音が響き、緑色の淡い光が先程まで自分がいた一階にある一室を照らす。

天倉はしばらく無言でその場にとどまっていると

 

「>そっとしておこう」

 

そう呟き、再び階段を駆け上がって行った。

 

 

 

 

PM 4:10

 

 

 

 

家でテレビを見たりトレーニングに励んだり新技開発に力を入れたりなど天倉はかなり暇そうにしている。

 

「ふむ、取り敢えず必殺技の名前とか考えておかないとな。

ふぅん例えば・・・ヒレカッター・・チョップ? マグナム・・・思い切りパンチ? 灼熱爆発連続放火アタックの型?いや、なんかイマイチ来ないんだよなぁ・・・・・ん?」

 

と天倉は自身のスマホにメッセージが届いている事に気付く。また新聞記者か?と殺意を放ちながら見てみると、それは母から買い物をして欲しいという内容だった。

丁寧に何を買ってくればいいのかも書いてある。天倉はやれやれと呟くと、エコバッグを持ち玄関から外へと向かう。お人好しの彼は基本的に誰のお願いも断らない。

そんな自分の性格に自覚しつつ彼は「フゥ・・」と溜息をつく。

 

そんな彼は自転車にまたがりスーパーへと漕ぎ出す。

 

 

 

 

PM 4:40

 

 

 

 

彼はスーパーの駐車場に自転車を止めるとエコバックを持ち、店内へと入って行き、入口に積まれているカゴを手に取ると、スマホを取り出し改めて買う物の内容を確認する。

 

「えーーーーーーっと、ネギに人参、かぼちゃ・・・っとコレだな。あ、こっちの方がいいな」

 

と天倉は品定めをしていきながら買い物カゴに色々と入れていく。そして記憶を頼りに買う物を思い出す。

 

 

「えぇーーーっと、今日安いもの安いものは━━━「お餅」あ、そうそう。おm・・・ん?」

 

ふと背後からから声をかけられ「何だろう?」と振り向くとそこには見覚えのある顔をしたクラスメイトが立っていた。

彼女の名前は【麗日お茶子】体育祭にて力をぶつけ合った友達だ。

天倉はギョッと驚いたのか、まるで獣の如くその場からバックステップする。

 

「麗ららららららら、ららら日サン!!?アイエエエエエエエエ⁉︎麗日サン!ナンデ!!?」

 

「ただ声をかけただけなのに、そこまで驚く⁉︎」

 

と麗日は天倉の慌てふためく姿に逆に驚いてしまう。

何故彼がここまで驚いてしまうのか、それは体育祭にて彼女を痛めつけてしまったからだ。

男性ならともかく女性である麗日を必要以上に痛めつけ、彼は負い目を感じていたのだった。

 

「えっと・・・怒ってない・・・訳ないよね。体育祭の事」

 

と天倉は麗日に顔色を伺うように尋ねる。彼自身、自覚する程の脆い心の持ち主だ。もしもここで怒ってるなどと言われれば確実にぶっ倒れるだろう。

麗日は「うーん」としばらく悩んだ後、口を開く。

 

「特に・・・・そうは思ってないかな?逆にこれからどうすれば良いか方針決まったからね。お礼言いたいぐらいだよ」

 

(・・・・天使・・・?いや、女神か)

 

天倉は彼女から放たれる慈愛に満ちたオーラによって傷付いていた心に何か暖かいものを感じた。

すると彼はいつの間にか彼女に対し頭を下げていた。

 

「貴女こそ女神だ」

 

「急にどうしたん!!?」

 

麗日お茶子は天倉の中で神格化された。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「へぇ〜〜〜〜、天倉くん師匠的な人いたんだ」

 

「うん。響鬼さんって言ってさ。滅茶苦茶いい人なんだよ」

 

と天倉と麗日は雑談に盛り上がりながら買い物をしていく。時折、麗日のカゴの中にある大量の餅が気になってしょうがないが、天倉は敢えてつっこまない事にした。

ちなみにこれはデートではない。

 

もう一度言う。

 

デ ー ト で は な い。

 

 

「ん?」

 

すると麗日の足が止まる。天倉はどうしたのだろう?と麗日に呼びかけるが麗日は微動だにせず止まったままだ。

しかし麗日がとあるコーナーを凝視していることが分かった。

 

(と、ところてんコーナー?)

 

天倉は麗日がところてんが売ってあるコーナーを凝視したまま動かない事に不思議に思う。

まぁ、確かにところてんは美味いだろうが足を止める程でもないだろう。

 

しかし違和感を覚える。ところてんコーナーのどこかに何か不自然さを感じる。

一体これは何なのだろうか?と再びところてんコーナーを注意して観察すると

 

 

「・・・・・・・」

 

━━プルン・・・プルン・・・

 

 

ところてんコーナーの上に水色のボディをわずかに揺らしながら体育座りをして『天の助 20円』と書かれたボードを首から下げた謎の物体がそこに存在した。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

(なんかいるーーーーーーーーーーー!!??)

 

 

何なのだろうかコレはこのところてんコーナーにどっさりと置かれたゼリー体は果たして何者?いやそもそも人なのだろうか?

天倉はそんな謎の存在Xに対して冷や汗を掻いてしまう。

とにかく早くこの場から立ち去ろうと思ったが、麗日が口端から涎をわずかに垂らしながら謎の存在Xに近づこうとしていた。

瞬間、天倉は麗日を止めに入る。

 

 

「ヤメロォ!!何やってんだよ!何しようとしてんだよ!」

 

「ただ、私はところてんを買おうとしているだけで・・・ジュル」

 

「嘘つけェ!!!アレはところてんじゃねぇよ!!!ところてん だとしても ところてん の形をしたサムシングだよ!!!」

 

と2人が揉み合っていると、天倉と麗日の背中に何かポンと叩かれる。何だろうと背後を振り向くと

 

「お二人さん、ここは公共の場。そしてところてんには罪はありません」

 

と謎の存在Xがそこにいた。

天倉はつい言葉を失ってしまう。その顔はまるで絶対に倒せない敵を過去へタイムスリップして倒そうとしたら逆に敵が増えたと言う謎の現象を目の当たりにした様な顔だ。

と言うより原因である謎の存在Xに正論を言われ、どう言えばいいか分からなかった。

 

「ところで・・天の助 20円・・安いよ・・・」

 

(買えってか⁉︎俺たちに謎の存在X(お前)を買えって言うのかコイツは!!??)

 

「今なら・・・ぬのハンカチもついてくるよ」

 

(いらねぇ!!!"ぬ"の文字で敷き詰められたハンカチなんていらねぇ!!!)

 

天倉はグイグイと自身を買えアピールしてくる謎の存在Xにわずかながら恐怖を覚えてくる。

と言うかそんな事をしているから売れないのでは?と思ってしまう。

 

「20円・・・ぬのハンカチ・・・・」

 

「麗日さぁぁぁぁぁあああああああんんんんんん!!??」

 

しかしそんなアピールに食いついた麗日に対し天倉は驚愕の表情をする。天倉は何度もヤメロォ!!と言うが麗日は止まらない。

 

「まぁまぁ、そう言わさんな・・・取り敢えず一口味見してはいかが?」

 

と何処から出したかわからない巨大な皿の上で横になりいつの間にか置いてあったポン酢を自身の頭の上からかける存在X。

そして天倉と麗日の2人に割り箸を渡すと「召し上がれ」と言う。

ここまで来ると逆に呆れて物も言えなくなり仕方なく一口だけ食べる事にした。

 

口の中に入れた瞬間、ポン酢の香りが広がりところてん特有の食感がさらに味を引き立てる。

さらに隠し味なのか、フルーティな味?だろうかライチの香りがスッと現れさらにコクを引き立てる。

・・・・天倉は思った。

 

(・・・普通にうめぇ・・・・・)

 

しかし、そんな美味しさもこの存在の所為ですべて台無しにされると思うと少々不憫に思えてしまう。

 

「あ、そんなに美味しくないや」

 

「えぇーーーーーー!!??」

 

しかしそんな雰囲気をぶち壊す様に麗日がダメ出しをする。先程まで涎を垂らしながら買おうとしていた人物の言葉じゃなかった。しかし麗日の追撃は終わらない。

 

「これ、なんかドロドロしてるし風味もおかしいし、なんかフルーツの味までしてくるし、ポン酢よりは醤油の方が合ってるし・・・・・・って言うかこれ多分賞味期限切れだよね」

 

「!!??」

 

ガーーーーーーン!!

 

と存在Xのハートはもうボドボド・・・ではなくボロボロだった。容赦の無い言葉によって存在Xは地に伏せてしまった。

天倉は「うわぁ」とわずかながら同情してしまった。

 

「う、麗日さん。流石に酷くね?」

 

「ご、ごめん。なんか本気でそこまで美味しくなかったし」

 

(・・・・え?じゃあ俺の方がおかしいの?)

 

と天倉が思っていると背後から先程地に伏せた筈の存在Xが襲いかかってきた。

・・・・大根を片手に侍の格好をして。

 

「よくも言ってくれたなァァァァァァ!!魔剣大根ブレードのサビにしてくれるわぁーーーーっ!!」

 

「フンッ!!!」 ズバァッ!!

 

「ぎゃぁあああああああああああッ!!??」

 

「・・・・・・あ」

 

と天倉は謎の存在Xの上半身と下半身を真っ二つにしてしまう。天倉は思わずその存在Xに駆け寄ってしまう。

 

「ちょ・・・⁉︎すいません!つい思い切り⁉︎」

 

「ゴフッ・・・い、いいさ。このところ天の助様の魔剣大根ブレードごと俺の因果を断ち切ってくれたんだからな・・・・」

 

天倉は物凄くつっこみたかった。しかしグッと我慢する。何故だろうか此処でツッコミを入れたら確実に負けな気がしたからだ。

 

「さ、最期に・・・・誰かに・・・美味しいって言われたかっ・・・た・・・・ガクッ」

 

「え、まぁ・・・・確かに美味しかったですけど・・・・」

 

と天倉が美味しかったと言った瞬間、真っ二つに分かれた筈の上半身と下半身がまるで機動戦士の如く合体。

わずか3秒足らずで復活&再生を果たした。

 

「じゃあ!!ところてん買ってくれるよなぁ!!テメェ!今日から主食ところてんだ!!!もちろん主菜も副菜も汁物も全部ところてんだ!!分かったな!!コノヤr」

 

 

 

 

━━━グシャッッ!!!!!

 

 

 

 

刹那、謎の存在Xもとい天の助は木っ端微塵になり辺りに水色の物体が飛び散る。

天倉は何故か近くにあったモップとチリトリを使い飛び散った水色の物体を集め、ゴミ箱の中に突っ込む。

 

「んじゃ、買い物の続きしないと」

 

(さっき何が起きたの⁉︎)

 

麗日は先程天倉が何をしたのか分からなかった。いや、正しくは天倉が何をしたのか見えなかったのだ。

よく分からないが、とりあえず天倉は怒らせてはいけない人種なのだと理解した麗日だった。

すると再び後ろから声が聞こえる。

 

 

「あれ?もしかして雄英の人・・・っぽい?」

 

声をかけてきた人物は金髪あるいは亜麻色のストレートヘアを背中まで長く伸ばしており、前髪は斜めに軽く揃えてカットしている変わったヘアスタイルをし、瞳は美しい緑色をしたお嬢様っぽい女の子だ。

おそらくこの子も体育祭を見たのだろうと思い、天倉は

 

「人違いだよー」

 

「天倉くん⁉︎」

 

と早歩きでその場からすぐさま離れる。麗日が何か言いたげな反応をしていたが、そんなのお構い無しに彼はトラブルを回避しようと逃げる。

 

「なんで逃げるのー!待つっぽーい!」

 

しかし女の子はすぐに追いかけてくる。天倉はそんな彼女を無視するかのように肉、魚など買い物カゴに食材を淡々と入れていく。

 

「待って!っぽい」

 

だが彼女は何処までもついていく。

何故、天倉はここまで彼女を無視するのか?それはあまり店内で騒ぎを起こしたくないからだ。

 

タダでさえ謎の存在X(天の助)で注目されているというのにこれ以上騒ぎを起こしてしまえば確実に店から追い出されるだろう。

とにかくこれ以上荒事を立てたくない為、女の子には悪いが彼は買い物を済ませすぐさま店の外へと出る事にする。

 

「ふぅー。これでいいかな?」

 

買い物を終え外に出て一息つく。

 

 

 

 

 

 

 

━━ジャキッ

 

 

「動くんじゃねぇ」

 

 

すると天倉の背後に誰かが冷んやりした固いナニカを首元に当ててくる。

天倉はゴクリ・・と唾を飲み込む。買い物袋を地面とソッと置き両手を上げる。自分には戦闘意欲が無いことを見えない相手に伝える為の体勢だ。

 

 

「フフフ・・・随分と素直じゃねぇか。どうだ、怖いか?」

 

(くっ・・・誰なんだ一体。

まさか!敵連合⁉︎だとしたらマズイ・・・一般人に被害が・・・!)

 

「あれ?天倉くんどうしたの?」

 

「ぽい〜〜〜〜?」

 

するとスーパーから見知った2人、麗日と先程まで自分を追いかけていた女の子が出てきた。

天倉は「しまった」と焦ってしまう。おそらくコイツの狙いは自分だ。もしコイツが敵連合に関係しているとするならあの2人が巻き込まれる可能性も捨てられない。

隙さえできれば、隙さえ見つけられればこの場を乗り切ることができる。

 

「・・・ぽい?何やっているっぽい?」

 

「あ?・・・ってなんだ、夕d「隙を見せたな」━━ってうおおぉぉお⁉︎」

 

背後にいた人物が隙が生じた瞬間、天倉は足払いで相手の体勢を崩した後、背後に回り、腕を抑える。

持ち前の腕力で天倉は無理矢理ねじ伏せる事が出来た。

 

「どうだ!誰だか分からないが、参ったか!」

 

「ちょ、痛たたたたたたた!!?ギブギブ!ちょっとした冗談だだだ⁉︎」

 

「何がちょっと冗d・・・ってあれ?」

 

と天倉がよーく観察するとねじ伏せていた相手は女性であり、その女性は龍の角のような装飾品を頭に付け、左目には眼帯を取り付けた常闇が喜びそうな《中ニ病チック》ファッションをした女性だ。

ちなみにスタイルもボンキュボンであり、峰田が物凄く食いつきそうな程の凄まじさだ。

そんな彼女を見た天倉は驚愕を露わにする。

 

「て、天龍さん?」

 

「そーだよ。つーかさっさとコレ解いてくれ!めっちゃ痛いんだよ」

 

「「?」」

 

どうやら彼女も天倉の知り合いらしく、その場にいた麗日とぽいが口癖の女の子は何が何だか分からない様子だった。

 

「え、えーーーと。それじゃあ私帰るからーーーー!」

 

「ちょ、なんか誤解していないーーーー⁉︎」

 

麗日お茶子はそのまま逃げ出すかのように帰路へと駆けていった。天倉の声を振り切って、ただ、ただ走っていた。

 

 

 

 

PM 5:10

 

 

 

 

「にしても、お前が雄英なんてな。未来ってのはどうなるかわかんないもんだな」

 

簡単に纏めると天倉と天龍は同じ小学校の同級生だったらしく、いたずらっ気のある彼女は脅かそうとあんな事をしていたらしい。

 

「で?天龍さん、その子は一体誰なの?」

 

「ん?あぁ、まだ名前も知らないんだっけか。こいつの名前は夕立って言ってな。まぁ俺が中学ん時の後輩だ」

 

「よろしくっぽい!」

 

と夕立は元気に挨拶をする。天倉もよろしくと夕立に対し返事をする。すると打って変わって急に頬を膨らませ、不機嫌そうにする。

 

「さっきは無視するなんて酷いっぽい!」

 

「あぁ、ごめん。ちょっと慌ただしいのは苦手で・・・」

 

「むぅ〜〜〜〜そう言えばさっきの人なんだけど」

 

と彼女は急に話を変えてくる。おそらく何を言っても無駄なんだろうと思ったのだろうか夕立は天倉に対してとある疑問をこちらにぶつけてくる。

おそらくさっきの人と言うのは先程帰ってしまったばかりのお茶子の事だろうと天倉は分かった。

 

 

「何?」

 

「さっきの人も雄英なんでしょ」

 

「ん?あぁ。そうだよ」

 

「へぇー、さっきのもねぇ。なーんか、やや呆れて帰ったようにも見えたけどな」

 

「うん。でさ、あの人と付き合っているっぽい?」

 

「!!??」

 

「いや、付き合ってないよ」

 

と天倉は淡々と答えると「つまんないっぽい〜」とブーブーと文句を言う。天倉はそんな彼女の反応に対し、えぇと言った困惑した表情になる。

しかし天龍は何故か固まったままだ。天倉はそんな彼女を心配し声をかけるとすぐに我に返る

 

「・・・な、なぁちょっt━━「だーれだ?」

 

と天龍が天倉に声をかけようとしたその時、天龍の両目を隠す存在が彼女の背後に現れる。

突然の事に天龍はパニックに陥る。

 

「わ、わ、わ、わ⁉︎だ、誰だ⁉︎姿見せやがれ・・ってこんな事すんのお前だけだろ!!龍田!!」

 

「ふふふ、せいかーい」

 

そこには紫がかった黒のセミロングヘアーと同色の瞳を持ち左頬に泣き黒子を持った女性がいた。そして、頭の上にフワフワと天使の輪のような謎の物体が浮かんでいる。

 

「あれ、龍田さんじゃないですか。久しぶりですね」

 

「久しぶりね〜。天倉くん」

 

彼女の名は龍田。天龍の妹であり、姉妹の怖くて可愛い方を担当している。天龍とは真逆のお嬢様風な外見と喋り方をしている為、本当に姉妹なのかと疑ってしまう。

 

「天龍ちゃん遅いから心配したのよ〜、夕立ちゃんもあまり道草食っちゃダメよ」

 

「ぽい〜〜〜〜〜〜〜」

 

まるで子供の扱いが慣れている先生の如くそれぞれ2人に注意していく。彼女からは母性が溢れるオーラを感じてしまう。

 

「天龍ちゃんがごめんなさいね〜〜。迷惑かけてない?」

 

「龍田お前な!俺のお袋じゃあないんだからやめろ!」

 

(相変わらず仲良いなこの2人・・・羨ましいな)

 

とまるで親子のようなやり取りに天倉は苦笑いを浮かべると同時にそんな親友のような存在を羨ましく思ってしまう。

・・・つまり自分には親友と呼べる人が少ないという意味でもある。

 

「そうそう、コレ天龍ちゃんのメルアドなんだけど、天龍ちゃん寂しがっているから偶には連絡してあげてね〜〜」

 

「あぁぁああああぁぁああああああっ!!!龍田ァ!いい加減にしろヨォ!何度も言ってるがお袋かお前は⁉︎」

 

「フフフ〜〜♪天龍ちゃんったら天倉くんの事狙ってるのに何を言っt「あぁぁああああああああああああああああああッッッ!!!」

と彼女らが何やら言い合っているが、そんな事天倉にはどうでもいい事だった。先程の会話で気になった言葉が出てきた。

「狙ってる」この言葉が何度も何度も天倉の頭の中で響いていた。そして彼は確信してしまった。

 

(え・・・・・狙ってる?・・・・・(タマ)狙ってる⁉︎)

 

「あれ?なんか顔色悪いっぽい?」

 

彼はまるでフラグをゴルドスマッシュでぶち壊すかのようにとんでもない発想をしてしまった。

夕立に心配されるほど青い顔をしながらガクガクと震えているのが分かる。

と言うか、彼には彼女が好意を抱いているという発想は浮かばなかったのだろうか?

 

「それじゃあ、天龍ちゃんに報告 お ね が い ね 」

 

「アッハイ」

 

さらに追い討ちの極みをかけるが如く怖くて可愛い方に釘を打たれてしまった。彼は「救いは無いんですね」と退路が存在しない事を確信し総てを受け入れる事にした。

 

「ったく・・・・・体育祭見させてもらったけどよ、随分と立派になったな」

 

すると天龍は呟き始める。

 

「こりゃ、とんでもないライバルが登場したみたいだな」

 

「え?それって・・・天龍さんもヒーローに・・・?」

 

すると彼女はプイッとそっぽを向きそのまま「それぐらい察しろ」と彼に告げる。

 

「そんじゃ帰るぞ龍田。夕立も寄り道すんなよ」

 

「分かったっぽい!またお兄さんに会いたいっぽい!」

 

と天龍はそのまま早歩きで帰ろうとする。先程の言葉は彼女なりの自身への宣戦布告なのだろうと思った。すると天倉の顔は自然と笑みが浮かぶ。

天倉は龍田に向き合うと

 

「それじゃあ、天龍さんの事よろしくお願いしますね」

 

「フフフ、分かったわ。天倉くんも天龍ちゃんに負けずヒーロー頑張ってね」

 

そして彼女は姉の後を追いかけるように走っていく。

その様子を見ながら彼はスマホの画面に映されている時間を確認する。

すると苦笑しながら空を見上げる。

 

「もうこんな時間か・・・・・負けてられないな」

 

彼の顔つきは先程までとは全然違う。

彼はこの一日で様々な人達と出会った。その人達は自分よりも強い人、おかしな人、楽しそうな人ばかりだった。

ヒーローになるという事はその人達を守る立場になるという意味になる。しかしヒーローを目指すのは自分だけでは無い。ヒーローを志す者達は数え切れないほどいる。

 

━━負けられない。

 

そう彼は思った。

 

━━グギュルルルルルルルルルルルルルルル

 

しかし腹が減ってしまい思わず笑みがこぼれる。彼は待っている家族の元がいる方向、帰路に着く。

 

 

「腹が減っては戦はできぬ明日も頑張ろう。きっと明日は今日よりもいい日になる。そう信じて歩き続ける何処までも。

1日は終わるが人生はまだ終わっていない。だからこそ皆は明日も頑張って生きていくのです」

 

 

・・・・と謎の存在Xもとい天の助が良い感じ風に締めた。

 

「ぎゃーーーーーーっ⁉︎また出やがった!!?て言うか何しに来た!!?」

 

「ところてん買ってくれぇぇぇぇ!!お前となら良いコンビになれそうな気がすんだよーーー!!」

 

「ギャアアアアァァァァァァアアアアアア!!??ところてん撒き散らしながらおれのそばに近寄るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」

 

 

こんな感じに彼の日常は過ぎ去っていく。

体育祭が終わったばかりでこの始末☆はてさて、この先どうなりますことやら。

 





〜〜募集したキャラ紹介。

『艦隊これくしょん』から
【天龍】

艦隊これくしょんに登場する艦娘の1人でありオレっ娘。序盤から入手しやすいキャラと言うことでゲーム初期から主戦力になりやすいキャラだがステータスは高いと言うわけでもなく、よく提督の皆さんからはいじられキャラとして扱われる。
フフフ、怖いか?が有名なキャラで「フフ怖」と略して呼んでいる提督も多い。だがシリアス・ギャグ・アダルトなどネタに事欠かない豊かなキャラを持つ為、艦娘の中でもトップ5に入るほどのイラスト量を誇っている。

番外編では天倉とは小学校の時の知り合いという事にしてみました。そもそも僕自身、天龍はお気に入りのキャラでもし可能なら本編でも弄り・・ゲフンゲフン再登場させたいです。

今回ゲストとして天龍の妹である【龍田】も出してみました。やはり天龍と言えばこの人。この2人を絡ませる事によって真のキャラが発揮できると自分は思っている。

"個性"は【軽巡洋艦】

軽巡洋艦の様な事が大体できる。
制限はあるが、体の至る所から魚雷・偵察機を召喚することが可能。頭の角は電探としての機能を持つ。
原作同様水上で移動する事が可能でありコスチュームを身につければ完璧に艦娘そのものとなる。


同じく『艦隊これくしょん』から
【夕立】

こちらはおしとやかでお嬢様風の外見をし、口癖が「〜っぽい」となっている。ふわふわした感じで掴み所のないキャラクター。人懐っこく可愛い癒し系の駆逐艦娘となっている。

・・・・・しかし、彼女を侮ってはいけない。
ソロモン海戦において彼女は『阿修羅』と評された程の武闘派であり単騎で突撃して大将首持って行くと言うトンデモナイ艦娘。
戦闘開始時には「さぁ、素敵なパーティ(血祭り)にしましょう」と言う台詞を吐き、改二へとパワーアップを果すと瞳が赤くなり、とんでもない強さを見せる。「お前の様な駆逐艦がいるか」
その強さからは想像もつかない、まるで仔犬のような無邪気さで提督にじゃれつく姿に撃沈される提督も多い。

設定では元ヤンキーであり単体で脳無とタイマンを張れると血迷った事があるが、結果的に中学時代の天龍の後輩で癒し系キャラという事で落ち着いた。



番外編はいかがだったでしょうか?もしよろしければ活動報告の方で出して欲しい他作品のキャラを募集してますので興味のある方は是非コメントしてください。

そしてまだ出せてないキャラも早く出したいッッ━━!!












そう言えば天の助ってバイオライダーっぽい能力持っているよな。
・・・・・・・よし

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