個性以前に個性的な奴等ばかりなんですけど   作:ゴランド

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この度、初めてアンケートを取ることになりました。どうか皆さんの力をお貸しください。


これまでのあらすじ

修行開始

ヒーローショー

完全に一致

遅刻

壊れた

今ここ



第13話 よかれと思って

 

雄英体育祭、それはかつて世界中から各国代表の選手たちが競い合い、一番を決める国際大会に代わる新たな大会。

 

ヒーローを志す少年少女が今、熱き戦いを繰り広げる。

 

『雄英体育祭‼︎ヒーローの卵たちが我こそはとシノギ削る年に一度の大バトル‼︎』

 

プレゼント・マイクが実況を務めるらしく、相変わらずのテンションの高さだ。

そのまま彼は実況を続ける。

 

『どーせ、てめーらアレだろこいつらだろ⁉︎敵の襲撃を受けたにも関わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星‼︎ヒーロー科‼︎一年‼︎A組だろおおおおぉぉぉぉぉぉ⁉︎』

 

1年A組の生徒たちは緊張する者、責任感を感じる者、この場を楽しむ者、そして

 

「大きな星が点いたり、消えたりしている。アハハハハ、大きい...彗星かな?いや、違う、違うな。彗星はもっとバーって動くもんな?暑っ苦しいなココ。出られないのかな?おーい、出してくださいよ、ねぇ。」

 

現実逃避する者。

 

「やべぇってアレ!天倉やべぇよ!見えちゃいけないもの見えてるって、アレ!」

 

「上鳴ちゃん、そっとしておいてあげて、ああでもしないとこの場を乗り切ることができないの。」

 

上鳴が天倉を心配するが、蛙吹は逆にそっとしておくことで天倉のメンタル面を回復させてあげようとしているのだ。

それもそのはず先程までクラス全員を落ち着かせるために天倉が宥めたり、慰めたりなどをしていたのだ。

 

それはさておきA組に続き、B組、C組、D組と続々と会場に入ってくる。

そして、全員が揃うと台の上に教師の1人兼ヒーローである18禁ヒーロー【ミッドナイト】が手に鞭を持ちながら上がってくる。

 

「選手宣誓‼︎」

 

「ミッドナイト先生、なんて格好だよ・・。」

 

「さすが、18禁ヒーロー。」

 

「18禁なのに高校にいて良いのか?」

 

「いい!!!」

 

思春期真っ只中の男子高校生にとってミッドナイトは目のやり場に困る格好をしている。だが、あくまでアレはヒーロースーツであり、裸ではない。エロいが裸ではない

 

「ミッドナイト先生、公式の場くらいはちゃんとした服装になれば良かったのに。」

 

天倉はミッドナイトを見て、去年の出来事を思い出していた。あの時の出来事があったからこそ自分はここにいるのだ。根津校長先生とミッドナイト先生には感謝をしているのだ。

初めて会った時の印象はあまりよくなかったが・・・。

 

「天倉!お前は何てことを言うんだ!アレがミッドナイトの正式な服装《コスチューム》だろうがぁよぉ!テメェは"メシ"と"エロ"どっちが大事なんだよぉ!!!」

 

「メシ。」

 

「静かにしなさい!!!選手代表!」

 

天倉と峰田が注意され、代表の選手が呼ばれる、そして飯田は何故かソワソワしている。まるで自分が呼ばれるのを待っているように。

 

「選手代表1-A爆豪勝己‼︎」

 

「ハイ!!!」

 

爆豪の名前が呼ばれた瞬間、飯田が返事をした。そして、天倉は何かを察したかのように飯田を温かい目で見た。

しばらく生徒の間でヒソヒソと呟きが終わった後、爆豪が台に上がる。

選手宣誓はヒーロー科入試1位がやるものだ。決して学級委員長がやる訳ではない。

 

「せんせー。」

 

『・・・・・・・・・・』

 

あたりが沈黙に包まれる。生徒たちは一体あの素行の悪いヤツは何を言うのか、楽しみにする者が入ればドキドキする者もいる。しかし、A組は既に察したかの諦めた表情を見せている者もいた。

 

「俺が一位になる。」

 

『『絶対言うと思った!!!』』

 

さすが爆豪、俺たちができないことを平然とやってのけるぅ!そこに痺れもしないし憧れもしない‼︎

 

そしてA組の生徒以外からブーイングのコールが巻き起こる。さらに追い討ちをかけるように爆豪は火に油、もといダイナマイトを投下した。

 

「せめて跳ねのいい踏み台になってくれ。」

 

「アーアー、キコエナイー。ブーイングナンテーキコエナイーヨー。」

 

天倉はこれ以上、プレッシャーが掛からないように周りからの声に対して聞こえないフリをした。

そして、ミッドナイトはブーイングを無視するかのように第1種目を発表する。

 

「いわゆる予選よ!毎年、ここで多くの者が涙を飲むわ。さて、運命の第1種目!今年は・・・・コレ‼︎」

 

スクリーンに映された文字は"障害物競走"だった。計11クラスでの総当たりレース、スタジアムの外周4㎞を障害物を避けながらゴールを目指すシンプルなルール。

ただ、コースさえ守れば何をしても構わない点を除けば。

 

天倉は雄英体育祭に向けて、毎朝10㎞を走っているのでスタミナなどは問題無いだろう。ただ、問題なのは個性を使った妨害だろう。

 

などと思っていると天倉の背後から声がかかる。その瞬間、天倉の首が一瞬で真後ろを向く。

 

「やぁ、天くっ⁉︎」

 

「見切っt⁉︎」ゴギィッ‼︎

 

ちなみに首が真後ろということは首が180度真後ろを向くということなので、当然首を痛める。そして声をかけてきた拳藤は申し訳なさそうに大丈夫?と声をかける。

 

「アハハハハ。A組なのに、勝手に首を痛めるなんてバカじゃないの?」

 

何やら馬鹿にするような声が聞こえるが、天倉はそれどころじゃなかった。

そしてドゴォッと鈍い音がした後、ズルズルと何かを引きずる音が聞こえた。

 

「えっと・・・そ、それじゃあ天倉、そっちも大変だろうけど頑張りなよ。・・・・あ、どうしよう気を失ってる・・・。」

 

天倉は拳藤に励まされ、やる気が出てくるように感じた。首は痛むが。そして、ゲート前に生徒たちが集まる。天倉はちょっと下がった場所に立った。

あの集団の中で天倉が個性を使ったら身体から生えている棘などで周りの生徒たちを怪我させてしまうからだ。

 

そして、いよいよ始まる。第1種目!全員がその言葉と同時に駆け出す。

 

「スタート!!!」

 

そしてゲートがぎゅうぎゅう詰めになる。生徒全員が一斉に動いたため、ゲート前でこうなってしまったのだ。

そして天倉は。

 

「うん、知っていた。ていうか絶対こうなるでしょ。」

 

普通に考えてしまえば当たり前だ。生徒一人一人が先頭に行こうと前に出るため、こうなるのは必然だ。だが、全員それは当たり前に思っている。何故なら後ろにいる生徒はそのゲートにできた壁《ぎゅうぎゅう詰めの生徒》によって通れなくなるからだ。

 

「・・・ふぅーーーーーっ!」

 

天倉は精神を集中させるように息を吐いた。そして天倉はさらに何歩か下がり、クラウチングスタートの体勢になる。

 

「下がダメでも、上が開いているっ!!!」

 

天倉は走り出す。そして目の前の生徒の背中に飛び乗り、ジャンプする。そしてそのままゲート内で詰まっている生徒の頭、肩、背中を踏み台にして走る。

 

「っで⁉︎天倉ァ!!!」

 

「しまった!!!その手が⁉︎」

 

「そう簡単にできるもんじゃないよ、アレ⁉︎」

 

「テメェ!!!俺を踏み台にしてんじゃねぇ!!!」

 

上から切島、拳藤、芦戸、爆豪が言う。

天倉は山籠りによって険しい山道を踏み越える技術を習得しているため、この程度は楽勝だ。

そして天倉は一気にトップに出る。

 

「よしっ!!!まず、第一関門突破!・・・ってもしかして俺1位⁉︎」

 

天倉が自分で驚いていると、背後から感じたことのある冷気が遅いかかる。着地した瞬間、天倉の足と地面が凍りつく。天倉は一体誰の仕業か理解した。

 

「轟くん⁉︎」

 

「悪いな、1位は俺が貰う。」

 

天倉は足が凍結してしまった為に動けなくなってしまったのだ。そして轟の凍結攻撃を逃れた生徒が次々と天倉の前に躍り出てくる。それはA組の生徒たちだった。

 

「お先にっ!」

 

「ドンマイ!」

 

「ごめんね、天倉くん!」

 

「調子に乗っているから。」

 

「悪いが、自分でなんとかしてくれ!」

 

「失礼しますわ。」

 

「ざまぁねぇーーーぜ!」

 

「ザマミロ!!!緑トカゲ野郎が!!!」

 

次々とクラスメイトに抜かれ、時々言われる罵声に心が折れかける天倉。しかし、その程度で諦める天倉ではない。しかし動けない。

 

「よっ、天倉。お先にっ!」

 

「よ、よかった〜、凍らされなくて。」

 

魔理沙や上条にも追い抜かれる。そして後ろから騎馬を組んで上に乗っている形で心操も追い抜く。

 

「・・・・この程度で諦めるなよ。ヒーロー目指しているなら尚更だ。」

 

「!」

 

天倉は心操の言葉に嬉しい気持ちが半分、そして心操から伝わる、やる気を感じた。心操もこの雄英体育祭で1番になる気なのだとわかった。

そして、何故だか天倉の顔は不思議と笑っていた。入場時の現実逃避やゲート前でのバカっぷりがまるで嘘のように消えていた。

 

「ァァァァァァァァァアアアアアアッ!ハァッ!」

 

天倉は足限定で個性を使用する。そしてその脚力で無理やり、足の氷を破壊したのだ。

 

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

天倉はその脚力を生かし、グングンと走るスピードを上げていき次々と他の生徒たちを抜かしていく。

そして、目の前に"本当の第一関門"が現れた。

 

『さぁ、いきなり障害物だ!まずは手始め...第一関門ロボ・インフェルノ‼︎』

 

天倉は90度回転し逃げようとした。だが、ギリギリのところで踏みとどまることに成功した。

アレはヒーロー科の生徒たちは見覚えのあるロボットだった。入試の時の0pの仮想敵だ。

 

非運用時は各国家機関に貸し出され有事の際の可動型のシェルター大規模災害時の救助基地などとしても使用される総工費2400億円。軍事費の5%を占めるこの国の国防設備の要

 

 

パキパキッ!ドゴオオオォ!!!ズガアァ!ドゴオオオォ!バゴオォ!!!ドゴオオオォォン!!!!ズドシャアアァァ!!!!ピシピシ!ボゴオオォォォッ!!!!ドガアァァァン!!!!!

 

 

ソレがこの始末☆

何人かの生徒が次々と容赦なく破壊していくのを見て、天倉は心配する。

 

「(ウチのクラスに賠償責任とか押し付けられなければいいんだけど・・・・・・。)」

 

ちなみに最低でも6体はいたため、【合計1兆4400億円】だ。

それを知ったらAクラスはどう思うのだろうか・・・・・。

 

周りを見てみると0p仮想敵以外にも妨害用の仮想敵が沢山いた。中にはそれに逃げている者もいた。

そして、天倉にも仮想敵が襲いかかってくる。

 

『ザッケンナコラーーー!!!』

 

『ナカマノカタキジャーーー!!!』

 

『パパヲヨクモーーーーー!!!』

 

「(喋るのコイツら⁉︎)」

 

天倉はロボットが喋ることに驚き、そして、何故か目の敵にされていることに戸惑いを感じ、動きが止まってしまった。

 

『ヘイヘイヘーーーイ!!!心情を揺さぶる為の音声付きだ!ボサッとしてるとやられちまうぞ!!!』

 

天倉は理由を知ると、ロボットを無視するかのように次々と攻撃を回避し、第一関門を突破した。

 

「(よし、なんとか個性の使用をギリギリ抑えられている。問題は次だけど。)」

 

そして、次の場所へと天倉は走る。しばらく、走り続けやっと第二関門に到着した。

そこには断崖絶壁の見るからに危険な場所だった。そこで何人かの生徒が立往生している。

 

『第二関門はどうさ⁉︎落ちればアウト‼︎それが嫌なら這いずりな‼︎ザ・フォール!!!』

 

第二関門は綱が張り巡らされており、それに這いずりながらこの断崖絶壁を渡っていくということを天倉は一瞬で理解した。

そして、天倉が個性を使い一気に飛び越えようと思った時、不思議に思った。

ほとんどの生徒が綱を渡っている途中で止まっているのだ。よくよく見ると綱の大体中心辺りに色々なものがぶら下がっているのが分かる。

 

『一見普通の綱渡りだが、様々な誘惑があるから気を付けろぉ〜〜〜〜‼︎特に13号の素顔が入った封筒が人気だそぉ!!!』

 

天倉はさらに見るとその誘惑に負け、必死に手を伸ばしているA組を見た。

そして、天倉は一言心の中で呟いた。

 

「(うわっ・・・・なんて醜い・・・・。)」

 

A組や他の生徒たちの行為を哀れんでいると隣から1人、知り合いが出てきた。

 

「ひょー。こりゃあ獲物が沢山!盗りたい放題だぜ!!!」

 

と霧雨魔理沙が片手に先程の仮想敵の部品の一つである棒状の先端に変な突起物がある物体を取り出す。

 

「え?盗るって⁉︎何を⁉︎」

 

天倉が戸惑っている間に魔理沙は棒状の物体を跨ぐとフワッと魔理沙が浮かぶ。そしてそのまま空を飛んでいく。向かう先は誘惑の元、様々な封筒や雑誌などだった。

 

「よっ!まずは一つ!」

 

魔理沙は"慣れた手つき"でどんどん吊るされているものを盗っていく。

 

『おいおいおい!罠を自分からとっている・・・っていうか飛んでるー‼︎魔女か何か⁉︎』

 

『そもそも、なんであんなに慣れた手つきで取れるんだよ。』

 

魔理沙が吊るされている物を取っていくと、負けじと他の生徒たちも自ら進み取りに行く。

 

なんという・・・醜い争いだ。

 

このまま続けていれば体育祭で1位どころかヒーローにもなれない。天倉は決心したかのように個性を発動し、綱に向かって跳ぶ。そして片手で綱を掴む。

その反動で綱が大きく揺れる。

 

「うおおおおおお⁉︎天倉!危ねぇよ気をつけ・・・・・ろ・・?」

 

叫んだのは峰田だ。しかし、峰田の声は次第に小さくなっていく。目の前にはとある光景が映っていた。

それは天倉が、峰田が求めていた大人用の雑誌。通称【エロ本】を手にしていたのだ。

 

「あ、天倉・・・?お、お前何をしようと・・・・ま、まさか・・・・・⁉︎」

 

天倉のエロ本を持っている手の力が弱まっていくのが峰田には理解できた。そう、天倉はこの醜い争いを、その元凶を全て潰そうという魂胆なのだ。

そして峰田の声が震える。

 

「あ、天倉・・・・・俺たち、友達だよな・・・苦労を共に分かち合った仲間だよな・・・・。俺たちソウルフレンド(?)じゃねぇかよ。」

 

しかし、天倉の手の力は徐々に抜けていく。そして天倉は言う。

 

「俺はこれ以上、皆が醜く争うところなんて見たくない。じゃあやるべき事は簡単じゃないか・・・。」

 

「や、やめろおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

天倉の手からエロ本が落ちていく。そしてエロ本は谷底の深い闇に消えていき、2度とエロ本が戻ってくる事はなかった・・・・・。

 

「う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

峰田は嘆いた。悲しみが爆発した。

自分にとっての希望《エロ本》が深い絶望に落とされたのだ。しかし、天倉はあくまでA組の為にやっている事なのだ。悪気がある訳ではない。

そして、他の生徒は先程までの流れを見て理解した。次はこちらの番なのだと。

 

天倉はこちらに顔を向け、笑顔でこう言うのだ。

 

 

 

よかれと思って

 

 





な ん だ こ の 茶 番

現在、活動報告でアンケートを募集中です。

アンケート内容は小説内に仮面ライダーを出しても良いか?です。仮面ライダーに変身するキャラではなく、仮面ライダーです。もしかしたら皆さんの好きなのが出るかもしれません。

1.仮面ライダーを出しても構わない。

2.仮面ライダーを出して欲しくない。

3.作者の自由で?

アンケートの締め切りは小説内で雄英体育祭編が終わるまでにします。どうか、アンケートのご協力をお願いします。

ついでにアドバイス、感想、評価もよろしくお願いします。

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