俺はかめはめ波(攻撃)を諦めない!   作:さわZ

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第七話 猪の丸焼きゴブリンのミンチを添えて

アルフが放ったかめはめ波を受けて、フレイム中等部学園の下級精霊達が中級精霊に一時的に進化した。その時間、僅か30分という短さだが、下級精霊が中級精霊にランクアップするにはなんと五十年かかる。それも精霊自身もランクアップするために様々な事を経験し、純粋な魔力の摂取をしていかなければならない。

だがその時間に見合うメリットもある。

仮契約した魔法使いが放つ魔法の力を10とした場合、下級精霊との本契約が50。中級が200。大精霊となると1000以上にもなる言われる。その為、学園長及び試験監督からかめはめ波は絶対に撃つなと注意されることになったアルフ。コレットにもこの事は誰にも言わないように箝口令がしかれた。

一時的にとはいえ自分達の持つ軍事力が4倍以上に膨れ上がると軍や戦争好きな貴族に知られればなにがなんでもアルフを手に入れようとするだろう。しかもそれは人間に限ったことではない。

人に協力的な精霊がいれば人に敵意を持つ精霊もいる。それは決まって人に近い姿を持った中級精霊以上の存在だ。

精霊は中級精霊以上にランクアップすると人間とほぼ変わらないほどの大きさに成長する。そしてその精霊達の容姿は美形と言われても遜色ないほどだ。その為、下衆な命令をされる精霊が反旗を翻し人間に牙を剥く。

純粋な彼等だからこそ誠意には誠意で。悪意には悪意で返す。

アルフのかめはめ波を受けた下級精霊達も30分だけとはいえアイドル・美人女優と言われても頷かざるを得ない容姿に変貌した。

火の精霊は紅の髪を腰まで伸ばし、同じ色のドレスを着た美女に。

水精霊はおっとりした貴族の令嬢を彷彿させる白いワンピースをつけた美少女に。

土精霊は目付きが鋭いグラマラスボディの特効服を着たレディースに。

風精霊は眼鏡をつけた敏腕秘書然とした知的美人に。

そんな美女・美少女に(かめはめ波を)もっともっとちょうだいと頬を赤く染めた精霊達にせめられたアルフの鼻が伸びそうになったがコレットの無機質且つ冷たい視線で我に返ったアルフは慌てて姿勢を正した。

その後、コレットの魔法試験も無事に終えて二人は男子寮、女子寮に割り振られた部屋へと戻り、直ぐに寮長へアルバイトの許可をもらいに行くことにした。

寮では在校中は衣食住はある程度保証されているが、食べる量も決められており、その量ではアルフの体調を支えることが出来ないからだ。

強力な魔法を使うには結構なエネルギーがいる。それはかめはめ波を放つアルフも当てはまる。コレットはアルフが行うアルバイトが彼の体調を支えることが出来ない場合手伝うつもりだった。そして、学園長と試験監督。そして派遣隊員達からの意見を取り入れて進められたアルバイトは害獣駆除のアルバイトだった。

 

 

 

とある冒険者達の話である。

その冒険者達は入学生を迎え入れるために王都アポロの周囲にある森や茂みに潜むゴブリンや猪ポイズンバイソンという蛇型の魔物がいたら駆除するように依頼された者達である。駆除とは言っても見かけたら仕留めるという巡回任務に近い。さぼってその依頼金だけもらおうとする輩の防止のため、依頼主であるフレイム中等部学園や他の魔法学園の教員がついて回るのでそううまくは行かない。

それに今の時期。王都アポロの全領土から魔法使いの卵達を迎え入れるためにゴブリンや猪といった害獣。魔物の討伐報酬に多少色がつくのでいつもの依頼よりやる気が出るのだがその日は違った。

森の入り口の前で狩ったばかりの猪をナイフを片手に解体している少年と、解体した肉の一部を布袋に入れながら、焚き火の上で鉄串を指した肉を焼いている少女がいた。森の入り口の前でそんなことをすればその、血の臭いと香ばしい肉の焼ける香りに誘われてゴブリンや狼が襲いかかってくるだろう。現に猪の解体・調理をしている子供達目掛けて一匹のゴブリンが襲いかかろうとしていた。

冒険者達の一人が危ない。と声をあげようとした次の瞬間、猪の解体をしていた少年はナイフを持っていない方の手で猪肋骨部分を身体強化魔法で強化した腕力をもって引きちぎると襲いかかろうとしていたゴブリンの方に振り向きながら投擲。哀れ、投擲された猪の肋骨の鋭い部分を当てられたゴブリンは襲いかかろうとしていた方向とは逆方向にぶっ飛び悲鳴をあげながら骨で木に打ち付けられて絶命した。

猪の解体をしていた少年。アルフはアルバイトの件を聞いて、まず猪の気配をコレットと共に探索。サーチアンドデストロイ。来た、見た、狩った!の順番で猪を仕留めると、一度森の外で猪の解体。調理を始める。その臭いに誘われた害獣も狩る。という《釣り》をおこなっていたのだ。

よく見ると彼らの回りにはその《釣り》に引き寄せられた哀れな被害者(害獣)達の骸が転がっていた。

冒険者達にも猪肉の串焼きをくれたコレットが害獣達の討伐部位をすべて回収するとにこやかにアルフごと水に流してそこであった惨状をなかったことにしていったのを見たのが一番怖かったと冒険者達は語っていた。




腹ペコ状態の前でクッキングする主人公は鬼畜の所業。
おびき寄せて狩る。以下エンドレス。
自分より強そうな魔物が出たら王都アポロに逃げ込む為に一度森を出てクッキングしていました。

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