俺はかめはめ波(攻撃)を諦めない!   作:さわZ

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第六話 おっきくなっちゃった(泣)

王都アポロにある中で最も難関と言われているフレイム中等部学園の教室で筆記テストを受けたアルフとコレットは試験終了と同時にため息をつきながらすテストを受けていた机の上にへたれこんだ。

簡単な読み書きと算術。掛け算、割り算の問題は難なくクリアできたが問題が中盤になると王都アポロ建国からの歴代国王と行ってきた政策について答えよという問題で二人は行き詰まった。

そもそも二人がいたアルマーニ村は田舎村だ。字の読み書くが出来るのは人口の半分。更に書物といった物を所持しているのはコレットの祖父。村長ぐらいだ。

その村長が持つ書物の中に政治に関するものはなかった。二人が解けたのは初代国王のアポロと現国王ホムラ王の名前だけだった。アルフはここに来て早速後悔してしまうが、次の実技試験に向けて気合いを入れ直す。

そもそも自分達のような平民に政治学関連は期待していない。派遣隊員達の中には魔力の強さを見ただけで何となくわかってしまう。その為、派遣隊員に認められさえすればよほど悪い結果が出ない限り不合格はあり得ない。その点を踏まえると二人とも及第点は取れただろう。

問題は実技試験だろう。コレットは日常、生活習慣のように水魔法を使っているから問題はないだろうがアルフは無属性の身体強化魔法のみで評価してもらわねばならない。

かめはめ波を披露したいが生憎実技試験に使われる物は学園内にいる火、水、土、風の中級・下級精霊が作り出した物への対処で評価される。火の魔法を評価してもらいたいのなら土の精霊に的を作り出してもらい、それを焼く。その威力は精霊達に伝わりそれによって評価される。そんな物にかめはめ波をぶつけたらどうなるか分かったものじゃない。

ちなみに卒業する時にその精霊に気に入られれば仮契約してもらうことが出来、魔法使いとしてのランクがあがる。更に本格的に気に入られれば賢者として国直属の魔法使いエリートとして扱われる。が、コレットは自分の村に戻って村に貢献したい思いがあり、アルフは身体強化魔法のみを極めようと考えているので精霊に気に入られようとは考えていなかった。のだが、

 

「この子かな?少し前に感じた魔力の人間は?」

 

「たぶんそうだよ。だって透明に近い魔力だよ」

 

「食べてみたいね」

 

「白?青?でも透明」

 

「「「「とってもとっても美味しそう」」」」

 

「何この物騒なことを言う小人!殴ってもいい?!」

 

試験会場となる屋外の演習場に来たアルフの回りに空を飛ぶ小人達が演習場の奥から飛んでくるとアルフの回りをぐるぐると旋回しながらなにやら物騒なことを言い出した。思わず握りこぶしを振り上げようとしたアルフを試験監督が慌てて止める。

 

「いや、駄目だよ!この子達がこの学園にいる数少ない精霊なんだから!」

 

よく見ればこの小人の髪や目が普通じゃない。というか宙に浮かんでいる時点で普通じゃないが。

火の精霊らしき小人は赤い服と帽子。炎のように赤い目と毛先が蝋燭のようにチロチロと燃えている。

水の精霊らしき小人は水色の服と帽子。細目で全体的にゆったりした感じの小人。

土の精霊らしき小人は茶色の服と帽子。他の小人に比べてややぽっちゃりな小人。

風の精霊らしき小人は、緑の服と帽子。一番活発的でアルフの回りを他の精霊よりも多く回っている。

 

「この子達は四属性の下級精霊でね。今年生まれたばかりなんだ。だから君みたいにこれからどの属性も選べる無属性の魔力に興味があるようだ。精霊と契約するということは彼らに魔力を与え、対価として強力な魔法が使えるんだよ」

 

「ここに来る人達は皆何色かに染まってる」

 

「私達は同じ色しか食べられない」

 

「だから君の魔力は美味しそう。白くて透明。しかも大きい。誰でも食べれそう」

 

「だから食べていい?」

 

精霊達から見ればアルフの魔力はご馳走見えるらしい。これにはアルフも困った。魔力を与える。というか放出するのはかめはめ波以外あるとしたら身体強化の魔法を全開開放した余波しかない。だがそれはアルフの魔力の1/100にも満たない。

実技試験は彼らが作り出す的に魔法をぶつける。正直なところ身体強化魔法全開状態でその的をぶん殴るつもりだったのだが、この下級精霊達、それはあまり食べられたものじゃない。強力な魔力砲撃。かめはめ波を自分達に撃ってこいと言い出した。

それは某獣王が某ドラゴンの騎士にギガブレイクしてこい。と言っているようなものだった。

そして学園側にかめはめ波を使わせるなと試験監督に伝えそびれた派遣隊員達の落ち度により、前代未聞の事件が起こる。

アルフもまた自分の必殺技(未完成)甘く見られたと思ったのか全力で撃つことにした。

 

「全力でやるからな!避けたら後ろの校舎がぶっ飛ぶぞ‼」

 

「「「「考えやがったなちくしょう!」」」」

 

実のところこのアルフのかめはめ波が人工物に当たるとどうなるか定かではない。しかも精霊は初めてだ。

だが精霊達は直感でわかっていた。

 

「か~め~は~め~」

 

あれは味方だ!受け止めろ!と、

 

「波ーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学園長!うちの下級精霊達が一時的に中級精霊に進化しました!」

 

「何がどうしてそうなった⁉」

 

答えは試験会場で零れたアルフの涙が知っている。

 


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