新 三好春信は勇者である   作:mototwo

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この話には『乃木若葉は勇者である』のネタバレ、訳のわからんギャグが含まれます



7話 諏訪

ザクッ、ザクッ

 

長野県守屋山ふもと近くの平地

 

ザクッ、ザクッ

 

今日も諏訪の勇者、白鳥歌野(しらとりうたの)は一人で畑を耕していた

 

ザクッ、ザクッ

 

「結界の中で暮らしを保っていくために、自活が必要です。」

 

ザクッ、ザクッ

 

「畑を耕し、魚を獲りましょう!生き抜いていくために!」

 

ザクッ、ザクッ

 

生き残った皆に声をかけ、自ら鍬を振るう

 

ザクッ、ザクッ

 

しかし、人々はあまりに死を直視しすぎた

 

ザクッ、ザクッ

 

この先、この狭い結界の中で生きていく事など不可能だと諦めていた

 

ザクッ、ザクッ

 

誰も一緒に畑仕事をしようなどと考えなかった

 

ザクッ、ザクッ

 

それでも歌野はたった一人で畑を耕し続けた

 

ザクッ、ザクッ

 

この1年で作物も少しずつだが育つようになってきた

 

「ふうっ」

 

休憩しながら自分の耕した畑を見る

 

「…」

 

「おつかれ、うたのん…」

 

諏訪の巫女、藤森水都(ふじもりみと)が水筒の麦茶を差し出す

 

「あっ、ありがと、みーちゃん!

見てよ!私一人でここまで耕したんだよ!」

 

「うん、すごいね、うたのんは…」

 

「まだまだ広げていくよ!皆が食べられるようになるまで!」

 

「うん…」

 

水都は辛かった

 

「きっと皆もまた立ち上がってくれる!」

 

ろくに手伝う事のできない自分

 

「そうすれば畑だってどんどん広くなる!」

 

歌野を助けようとしない大人たち

 

「私の作る野菜で皆もっと元気になる!」

 

そんな中でも明るく、弱音を吐かない親友の姿を見ているのが辛かった

 

「うたのん…もう…」

 

もう、いいよ、もう()めよう、そう言おうとした時

 

ザクッ、ザクッ

 

「「!」」

 

「こんな感じでいいのかい?」

 

歌野と水都は畑で鍬を振るその男を見つめたまま固まっていた

 

「鍬なんて持つのは初めてなんだが。。。」

 

ハッとして男のそばへ駆け寄る歌野

 

「…ええ、ええ!良いですよ!才能あるんじゃないですか!?農耕の!」

 

「才能って。。。別に本気で畑仕事するわけじゃない、暇潰しの運動不足解消さ」

 

「それでも!一緒に耕す人がいれば畑は増えます!作物は実ります!」

 

よほど嬉しかったのだろう、歌野は笑顔に涙さえ浮かべて喜んでいた

 

「そうだな、折角神様が護って下さるんだ、自給自足はできるようにならないとな」

 

水都の方へ振り向き、大きく腕を広げる歌野

 

「すごいよ!みーちゃん!やっぱり人は立ち上がれるんだ!どんなに辛い目にあったって!

これで戦力は2倍!勝ったも同然だね!」

 

「もう、うたのんってば…いったい何に勝つんだよ…」

 

親友の嬉しそうな顔に思わず水都も涙ぐんでいた

「しかし、お兄さんも頑張りますねぇ!」

 

「僕は肥満体質だからな、体を動かしてないとすぐに太ってしまうんだ」

 

「肥満?結構な筋肉質に見えますけど…」

 

「まったくです!エクセレントに農耕向きですよ!」

 

「一時期、物凄い勢いで鍛えたんだ

その前は十代にして中年太りかと思われる事もあった」

 

「それは…すごいですね」

 

「いや、凄いのはお譲ちゃん達の方だろ

こんな広さを二人だけで耕すなんて。。。」

 

「違いますよ、私は全然!全部うたのんがやったんです!」

 

「ほう、一人でかい、そりゃすごい」

 

「それは違うよ、みーちゃん」

 

「えっ?」

 

「私が挫けずに頑張ってこれたのはみーちゃんが一緒だったから

私は初めから一人なんかじゃなかったんだ!」

 

「うたのん…」

 

「だからお兄さんの言うとおり!やっぱり二人で耕した畑だよ!」

 

「仲がいいんだな、二人は」

 

「はい!」

 

「もちろん!親友ですから!」

 

休憩を挟み、そんな話をしながら耕し続けた

夕日が山々を赤く染める

 

「さあ、今日はこのあたりにしておきましょうか!」

 

「ふう。。。おつかれさま、だな」

 

「おつかささま、うたのん」

 

甲斐甲斐(かいがい)しく歌野の顔をタオルで拭く水都

その姿は勇者と巫女というより

運動部の選手とマネージャーのようだ

 

「そういえば、お兄さんはどこの人なんですか?言葉が…」

 

「「あれ?」」

 

つい先程まで話をしていたその男の姿はなかった

 

「夢だった…ってことはないよね?」

 

「ないない、ちゃんと畑も耕してたし」

 

そこには畑の端まで駆けていった足跡もある

 

「来るのも帰るのもいきなりだったねぇ…」

 

「まったく…って、ああぁっ!!!」

 

「ど、どうしたの?うたのん」

 

「あんまり嬉しくて、お兄さんの名前を聞くのも忘れてた!」

 

「そ、そういえば…」

 

「くっ…この白鳥歌野、一生の不覚っ!!」

 

「あはは、なんだか乃木さんみたいな口調になってるよ」

 

乃木若葉(のぎわかば)、それは四国を守る勇者のリーダー

直接会ったことも話したこともないが

歌野は毎日、通信で彼女と蕎麦うどん論争をしている

結界に閉じ込められた今の状況でも、他の土地に同じような勇者がいる

そのことが歌野や水都を支えてくれていたのだ

 

「ふふふん、このクオリティ!なかなか上手いもんでしょ!」

 

「でも、乃木さんもうたのんみたいに普段は違う喋り方なのかもよ?」

 

「え…?う~ん…

いいや!乃木さんはきっと普段から武士のような話し方をしているに違いないね!」

 

そう、通信で聴く乃木若葉の声はいつも凛としていて、話し方は武士のようだった

それに対応する歌野はまるでお嬢様のように丁寧な言葉で話していた

本人曰く、「電話とか手紙だと、なんとなく丁寧語にならない?」とのことだ

 

「まあ、あの調子なら明日も来てくれるだろうし」

 

「うん、その時に聞けば良いわね!」

 

初めての協力者に二人の心は晴れやかだった

次の日早朝

 

「お兄さん、遅いねえ…」

 

「なあに、きっと寝坊してるんだよ!先に始めちゃおう!」

 

「うたのんは朝から元気だねぇ…ふわぁ」

 

水都は欠伸(あくび)をしながら木陰に腰掛ける

歌野にああは言ったが、水都も普段は起きないような時間にここに来ていた

協力者の出現で気持ちが高ぶり、朝早くから目が冴えてしまったのだ

「はっ!」

 

慣れない早起きに木陰で居眠りしていた水都が目を覚ます

 

ザクッ、ザクッ

 

鍬の音に目をやると歌野が一人で畑を耕していた

 

ザクッ、ザクッ

 

日はもう高くなり、木陰も小さくなっている

 

ザクッ、ザクッ

 

(お兄さん、来てないんだ…)

 

ザクッ、ザクッ

 

いつものように元気に鍬を振る歌野

 

ザクッ、ザクッ

 

しかし、心なしか寂しそうにも見える

 

(なんで…来てくれないの…)

 

そのとき、水都の背筋を悪寒が走り、脳裏にイメージが浮かぶ

 

(こんなときに!)

 

諏訪の土地神様からの神託である

バーテックスが襲来したのだ

 

「うたのん!敵が!」

 

その言葉に歌野の表情が引き締まる

 

「オッケイ!私に任せて!敵はどこっ?!」

 

駆け出し、二人で本宮へ武器と勇者装束を取りに向かう

「これでフィニッシュ!」

 

最後のバーテックスを倒し、追いついたばかりの水都に胸を張ってVサインを送る

 

「どう!畑仕事もバーテックス退治も私にかかればこの通り!」

 

「は、速かったね…」

 

息を切らして言う水都に

 

「いやいや、みーちゃんが追いつく前に片付けて戻るつもりだったのに

遅かったくらいだね!」

 

「もう、うたのんったら…」

 

明るく言い放つ親友に呆れた顔で返す

 

また作業着に着替えるため、本宮へ戻る歌野と一旦別れ

水都は先に畑に向かうことにした

 

(また…)

(誰もいない畑に戻るのか…)

 

重い足取りで考えていると

 

ザクッ、ザクッ

 

畑の方から鍬を振るう音が聞こえる

 

(あれ?うたのん、もう戻って…?)

 

ザクッ、ザクッ

 

(ううん、そんな訳ない…)

 

ザクッ、ザクッ

 

(そうか!お兄さんが来てくれたんだ!)

 

駆け出し、畑にいるその人に声をかける

 

「「お兄さん!」」

 

「えっ?」

 

水都の声にかぶったその声の主は歌野だった

歌野も戻る途中で鍬の音を聞き、駆けて来たのだ

 

「お兄さんって…そったらおだてて、どういでぇ」

 

振り向いて二人に声をかける男性

それは”お兄さん”というにはあまりにも無理のある、ご老体だった

 

「宮阪のおじいさん!来てくれたんですね!」

 

「ああ、歌野ちゃんにばぁっかり助けてもらってはおれんて」

 

嬉々として老人に話しかける歌野

 

「うたのん…このお爺さんは…」

 

「あっ、みーちゃん!宮阪さんはね!昔からお世話になってる農業の大先輩なんだよ!

おじいさんが来てくれたら百人力です!」

 

「調子のええこと言うてっけど、誰かと間違えたんでねかぁ」

 

「え、いやー、あはははは」

 

「もーっ、うたのんたら!」

 

「ええっ?!私だけ?みーちゃんも間違えたんじゃあ?」

 

「まあ、わしも今までやるずくがねがっだし、おあいこだに」

 

(お兄さんじゃなかったけど…うたのんが元気だしてくれて良かった…)

 

宮阪老人と楽しそうに話す歌野を見て

ホッと胸を撫で下ろす水都だった

それから

日に日に増えていく協力者たち

よくよく聞くと皆、誰かにそそのかされるようにここへ来たという

 

「よそから来たって言う若い奴が『体動かして汗かくとなんか元気出るんだよな!』って」

 

「ワシんとこには『僕みたいな素人じゃ何やっていいかわかんないから

教えてくれる人が欲しいんですよねぇ』って」

 

「俺んとこには『ガキだけに働かせて恥ずかしくないのか!』ってハッパかけに来たっぺよ」

 

そして特徴を聞くと決まって皆が言う

 

「年甲斐もなく真っ赤なジャージを着た男だ」

 

お兄さんだ、きっとあの人だ

歌野も水都も顔を見合わせる

 

「誰だったんだろうねえ、あのお兄さん…」

 

「突然現れた謎の人物…まさか!」

 

「なに?うたのん?!」

 

「土地神様が遣わした神の使いとか!」

 

「それにしては随分俗っぽかったね、肥満体質だとか…」

 

「うーん、ホントに誰だったんだろ?名前くらい聞くんだったなぁ」

 

諏訪の結界は今日も安定、日々明るく過ごす勇者と巫女がそこにはいた

<農業王>

 

畑仕事の休憩中、その男は歌っていた

 

♪~

 

隣で休んでいる歌野と水都も一緒に歌っていた

 

♪~

 

(ピンチはチャンスか…)

(アピールに自意識過剰ってうたのんみたい)

 

♪~

 

(仲間を増やす言葉)

(ついて来いって言葉)

 

歌いながらお互いを思う

 

♪~

 

「いい歌だよね~」

 

「元気が出るよな!」

 

「私たちのパーフェクトな歌唱力も合わさってね!」

 

「しかし二人ともよくフルコーラス知ってたな、結構古い歌なのに。。。」

 

「有名ですから!」

 

「うたのんは特に好きそうだよね、このアニメ」

 

「えっ?なんでわかったの?」

 

「いつも言ってるもん」

 

「何の話だ?」

 

「ホラ、うたのん、アレ、気合入れて言っちゃってよ!」

 

「アレ?いっちゃう?しょーがないなー!」

 

「?」

 

(いぶか)しむ男に向かい、スックと立った歌野

胸を張り、腰に手を当てて大きな声で叫ぶ

 

「農業王に!わたしはなぁ~るっ!!」

 

「○フィーか!」

 

大笑いする男と親友と共に、にこやかに諏訪の勇者の休憩時間は過ぎていった

 




春信(以下略):歌も諏訪、それも○ィーアー!できたか

mototwo(以下略):うん

で、諏訪の話本編だけど

ブツ切りだよ

自覚はあるんだな。。。

大阪と同じだ、この後の事は今は書けん

ってか、名前出てなかったけど、あの「お兄さん」って俺なんだよね?

どうだろな?

意味もなく秘密にしようとすんな。。。

まあ、そうなんだけど、あくまでも諏訪の主役はあの二人だからな

えらく肩入れすんじゃん

「若葉」の上下巻読んだらそうなるって

まあ、いい娘達(こたち)だよな

頑張る少女を応援したくなるのは当然だ

別に少女に限った事じゃないが。。。

あと勘違いしないで欲しいが、最初のお爺さんは自分で来た協力者だ

あ、そうなんだ

「お兄さん」はその間ずっと他の人たちのとこ回ってる

あれ?ってことはもしかして。。。

別に「お兄さん」がいなくても爺さんの姿見て協力者は増えてたろうな

なんだそれ?いた意味あんのか?

いたこと自体に意味があると困るんだよ、この「お兄さん」は

なにしに行ってんだか。。。

きっと最終回になればわかるから

いいけど
そういや、そのお爺さんモブなのに珍しく名前が付いてたな

うむ

苦手だって言ってたのにどうした?

話の流れ的に名前出さないのが不自然になったもんだから

それで考えたのか

いや、諏訪で多い苗字を検索で探した
苗字だけでその土地に多い名ならいいかなと

どこにそこまで気を使う必要があったんだか。。。

まあ、読んでない人には解らんだろうからそれ以上は言わんよ

ギャグらしいギャグも入ってなかったし、真面目に終ったな、諏訪は

もっとアホみたいな話書けたらいいんだけど、二人が良い子過ぎてな…

短編だか番外編だかでしか出てないんだろ?

4コマでも言うほどはっちゃけてなかったしな、だからキャラも掴みきれてないかも…

なんなの?あの勇者の子の農耕推しは。。。

アレは原作でもあんなもんだと思う「農業王」目指してる子だから

アレ、歌ネタのギャグじゃなかったのか。。。
あと口調がバラついてたようだが?

ああ、通信以外に大人と話すときも丁寧語だったりしてたから

「!」とか「…」書けばいいってもんじゃないと思うぞ。。。

だって、文面だけだと特徴掴みにくいんだもん

思い入れがあるんだかないんだか。。。

文章書くって難しい!

で、どうすんだ?

ゴールデンウィークも終るし、一段落だな

休憩入るのか

んで、しばらくしたらシリアス上げる

ほう

予定

またか。。。

これ以上はギャグ回が思いつかん

思いついたら書くわけか

多分無理
本職の物書きさんってスゴイね、俺なんか鬱話書いた後でバカ話書けないもん

それで時系列無視して上げてたわけか

そゆこと

後で何とかしないと読みにくくなるぞ、コレ

そだな
で、シリアス回はほとんどがネタバレに通ずる

厄介だな。。。

書きたいけどっていうか、結構書き溜めてる分もあるんだけど

上げられないってか

まあ、文章としてちゃんと結べてないから上げられないってのもあるが
正直、話の流れは盛り下がる一方なんだな、この先

どういうことなの。。。

原作が佳境に入ると春信の入り込む余地がないんだわ、最弱勇者だから

また最弱って言った

書いてて気付いたけど、ほとんど泣きっぱなしだよ、お前

どんだけ酷い状況なんだよ。。。

しかも前作と原作を読んでないとわかんない話も混ざってくから

初心者お断りとか、何様だ

「読みたいけど『若葉』の原作本手に入んないよ!」って人がどれだけいるかだな

まあ、気にすんな、どうせコレを読んでる人は3人くらいなんだろ?

それを言われると痛いんだが。あっ

どした?

前作に感想が増えてた

おお!読んでくれてる人がまだ他にもいたのか!

「ホントに四つしかねえww」って

感想の数のこと?!また馬鹿にされてんじゃん!

その後に「結構好きですw」って書いてくれてた

そ、そうか。。。

そして!

なんだ?

遂にこの作品にも感想が!

なになに?何書かれてた?クレーム?誹謗中傷?

なんで悪評前提なんだよ…

なんて書いてあったんだよ?

まだ読んでない

はあ!?

いや、ホントに罵詈雑言書かれてたら泣きそうだから
コレ上げてから読もうかと…

乙女か!

という訳で早く読みたいから締めるぞ

次回予告は?

まだどこから上げるか決まってないから無し!

もう、第二期開始直前に一気上げしちまえ。。。

それもアリかもな

えっ?冗談だよ?!

<ホントにそうなったら笑ってやって下さい>

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