新 三好春信は勇者である   作:mototwo

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この話には『乃木若葉は勇者である』のネタバレ、訳のわからんギャグが含まれます



5話 大阪

(ここは。。。建物の中、いや。。。)

(こんなところで何をさせるつもりだ。。。)

 

思案する春信の耳に女性の叫び声が飛び込んだ

 

「いやあぁぁぁぁぁっ!」

 

「へっへっへ…どうせもう皆死ぬんや、エエ事しようぜ…」

 

「まさかこんなお約束の現場に出くわす機会があるとは。。。」

 

「な、なんじゃ!お前!?」

 

女性と男の間に割って入ると、躊躇いも無く懐からナイフを取り出す

 

「追い詰められすぎだろ。。。もうちょっと冷静になれよ。。。」

 

(正直、素人の扱うナイフなんかに警戒する気すらしないんだが)

 

しかし相手はよそ者の話を聞く耳など持たないらしい

 

「ブッ殺す!」

 

叫びながらナイフを突き立てて来るその男を

軽くいなして手首を捻るとナイフを落して声を上げる

 

(いた)(いた)たたた」

 

「どうせ死ぬと思ってるなら、このまま腕を折って外に放り出しても良いんだが。。。」

 

勿論ただの脅しだ

だが、こういう輩には多少きつめの言い回しの方がわかりやすい

 

「わ、わかった!わかったから放してくれ!」

 

溜息を吐いて突き放すと痛そうに手首を撫でながら睨んでくる

すると奥から他の生存者も出てきた

 

「あっ、アニキ!」

 

(アニキって。。。流石は西暦って言うべきなのか?)

 

「おう、どうしたんだ?」

 

数名のグループのリーダー格らしい男が声をかけると

さっきまで怖気づいていた男がまた調子付く

 

「アニキ、あの赤い奴がいきなり俺にケンカ売ってきたんですよ!」

 

(うわぁ。。。適当な事言ってやがる。。。)

 

「ほぉ~う、あの赤い奴がか」

 

「確かに赤いな」

 

「うん、赤い」

 

「見事な赤さや」

 

「いや、赤さは言及してないっスよ!」

 

(なんだ、この昔見た漫画みたいなノリ。。。)

 

「そんだけ赤いって事は、3倍速かったり、強かったりするんか?」

 

「いやいや、きっと新ルパ○三世のコスプレやって」

 

「いや、何言ってんだ、アンタら。。。」

 

「とにかく!赤いってだけで偉そうに出来ると思ったら大間違いやぞ、小僧!」

 

「せや!赤さが強さと直結しとらん事教えたんぞ!」

 

(赤いジャケット着てるだけでなんでこんなに赤に(こだわ)ってるみたいに言われるんだ?)

(コレはツッコミ待ちなのか?)

(西暦の大阪ではコレが普通の会話なのか?)

 

「ま。。。まてまて、こんなとこで人間同士で争ってる場合じゃないだろ?」

 

「お前がケンカ売ったんやろが!この赤が!!」

 

(ついに共産主義者みたいに言われだしたぞ。。。)

 

「いや、そっちのソイツが女の子を襲おうとしてたから止めただけだって」

 

「なぁにぃ~?」

 

(まあ、見知らぬ他人の言葉なんか信じないよな。。。)

 

春信は諦めてチンピラグループを相手にする覚悟をする

自然体の両手を構えようとしたそのとき…

 

「だぁほ!お前、またやったんかい!」

 

(は。。。?)

 

「あのナンパは絶対失敗するって何回も言うたやろ!」

 

「大体、この状況やとシャレにならんっちゅーねん…」

 

(なんか兄貴分たちに(いさ)められてる。。。?)

 

「せやかて…このまま童貞で死ぬんかと思たら、つい…」

 

「せやから()ようにお店で捨てて来い言うとったんや」

 

「素人相手に拘っとるから…」

 

「すまんな、兄ちゃん、コイツちょっとお調子もん過ぎてな」

 

「あ、ああ。。。いや、分かってもらえたらそれでいいんだけど」

 

「しっかし見ん顔やし、言葉も変やな、どっかからの旅行者かいな?」

 

「ああ、四国から来たんだ」

 

「そうか、災難やったな、旅行中にこんな目におうて」

 

(こんな目に、か。。。一体どういう状況なんだ?地下街みたいだが。。。)

 

「そうだ、今の状況、知ってる事があるなら教えてくれないか?」

 

春信の質問に互いに顔を見合わせて首を振る

 

「多分、アンタの知ってるのとおんなじやで」

 

「何日か地震やら続いた後…」

 

「あの日、いきなり空からあの白い化けモンが降って来たんや」

 

(白い化けモン。。。小型バーテックスか)

(大赦は『星屑』とかいうコードネーム付けてたんだっけ)

 

「周りの(たて)もんも人間も食い散らかす化けモンから必死でウメ地下逃げて」

 

「ウメチカ?」

 

「ああ、梅田の地下街のことや」

 

「とにかくアイツらが入ってこんようにバリケード作って」

 

「色んな店や事務所から物運ぶん大変やったで」

 

「そんで食料とか、かき集めてもう1週間や」

 

「なんぼウメ地下が広い言うても食料なんて限られとる」

 

「いずれはジリ貧になる、その前になんとかせんといかんのやが」

 

「どうしようもないっスよ、アニキ…」

 

「弱音吐くな、気合で乗り切るんや!」

 

「だって、俺見たんスよ!ポリさんが拳銃撃ったのに」

「あの化けモン、怯みもせんとポリさん食うてしもたんやで!」

「あんなん、人間が勝てるわけ無いって…」

 

「そやからって女の子襲ってもしゃーないやろ!」

 

「だって、俺、童貞のまま死にたない…」

 

「あのなぁ」

「こういうときこそ、男の真価が問われるんやぞ」

「ここで男見せたら、本気で惚れてくれる女も出てくるもんや!」

 

「せや!お前みたいな童貞こじらせた奴には逆にチャンスやと思わんと!」

 

なんだろう、世界の趨勢(すうせい)がかかってる時期の筈なんだが

弟分の童貞卒業が同レベルで語られてる気がする。。。

 

「しかし。。。」

 

「ん?」

 

「今の話だと銃は効かない、建物も壁にならない」

 

「せやな」

 

「なんでバリケード食い破ってこっちに入ってこないんだろ?」

 

「そんなん知らんがな」

 

「地下が苦手なんか、地上片付ける間放ってるだけなんか…」

 

「もう1週間やで、流石に自衛隊とか米軍も助けに来ててええはずやろ?」

 

「でもドンパチの音なんか聞こえてけえへんぞ?」

 

「なんぼなんでも梅田で戦車や戦闘機出すわけにいかんやろ」

 

「そもそも、軍隊で勝てるんかどうかも…」

 

いかん、不安を煽ってしまったか。。。?

 

実際、僕の時代には四国以外地上はなくなっていた

なんでああなったのかはまだわからないが

いずれは人の住めない土地になる

300年の間のどの時点でそうなったのかわからないが。。。

 

この人たちとその子孫が生き残るためには四国へ行くしかない

しかし。。。

 

「皆が動けるうちに、食料をもって安全な場所に避難するってのは。。。」

 

「それはもう皆に提案した」

 

「でもここ以外にどこが安全やっちゅーねん?」

 

「そう言われたら行き先も考えんと出るわけにいかん」

 

「少なくとも、今この場所にアイツらは入って()んのやし」

 

「助けを待つんやったら篭城するしかないもんなぁ」

 

「助け、か。。。」

 

正直、この時代の資料は大赦内でも極秘扱いだ

僕程度の権限ではほとんど知らない事ばかり

助けが来るのか、来ないまま全滅したのか

それすら分からない

 

「軍隊の助けがアテにならない以上、自分でなんとかするしかないよな?」

 

「なんとかって?」

 

「ここで過ごす為に適応するか」

「ここを出て戦うか。。。ってか逃げるんだけど」

 

「さっきも言うたやろ?逃げるとこなんかあらへん」

 

「四国へ行ってみないか?」

 

「はあ?」

 

「こういうときは神頼みっていうじゃん?」

「四国は八十八ヶ所巡りがあるくらい寺社仏閣に守られてる」

「大橋で陸続きにもなってるし!」

 

「…にいちゃん」

 

「うん」

 

故郷(くに)へ帰りたいのは分かるけど、無茶言うたらアカンで?」

 

「え?」

 

「なんぼなんでも理由がこじつけ過ぎや、それで付いてく奴なんておらんで」

 

「そ、そうかなぁ。。。」

 

「アンタ一人を外に出せるなら無理には止めんけど」

 

「バリケードどけたらあいつ等が入ってくるかも知れん」

 

「誰も手伝わんし、勝手も許されんで」

 

「なるほど。。。」

「いいか春信、今回は自分の身が危ない時以外変身するな」

 

「なんで?変身しないと勇者の力が使えないじゃないか?」

 

「だから勇者の力を使うなって言ってるんだ」

 

「どういうことだよ?戦いに行くんじゃないのか?」

 

「違う、調査だ」

 

「調査?」

 

「西暦末期の状況ってのは大赦でもほとんど記録が残ってないんだ」

 

「極秘事項って事か」

 

「それもあるが、情報自体が無いんだ」

「なにせほとんどの都市は全滅させられた時期だからな」

 

「だから情報を集める為の調査を僕にしろって?」

 

「別の時空とはいえ、同じ歴史を辿る予定の過去だ

調べれば現在に活かせるデータは取れるだろう」

 

「僕なら万一のときは自衛できるってことか。。。」

 

「できればそれも最小限にして欲しい」

 

「なんで?!」

 

「お前のいなかった筈の場所でお前が敵を倒したという事実が

その世界の未来にどういう影響を及ぼすかわからんからな」

 

「できるだけそのままでデータだけ取れってか、しんどいなぁ。。。」

 

「1回目はお前の希望通り、三ノ輪銀を助けに行かせてやったんだ、こっちの希望も聞け」

 

「。。。わかったよ」

 

「あと、この間の戦闘で分かったと思うが、今の自分が昔のように無双できると思うなよ?」

 

「わかってるよ、量産型じゃ小型バーテックス相手でも油断できないんだろ?」

 

「ああ、囲まれて噛み砕かれて死ぬ」

 

「ハッキリ言うな。。。本人の前で」

 

「お前はこれ位言っても足りないくらいだからな」

(これは思った以上に厄介だぞ。。。)

 

データを取ろうにも外に出ることすら難しい状況

 

(出られても今の僕一人じゃ皆を助けて四国へなんて。。。)

 

しかも先の見えないジリ貧の戦況

 

(一旦帰った方がいいんじゃないか?コレは。。。)

 

そう考えてふと気づく

 

(どうやって帰るんだ?今回って?!)

 

神樹様の加護の無い大阪

当然、樹海化などしていない

前回のように樹海化が解けて祠へ戻るという訳にはいかない

 

(アイツ、帰り方とか考えてなかったんじゃ?!)

 

しかしすぐに別の考えが浮かぶ

 

(んな訳ないな、考えた上で僕に話さなかったんだ。。。)

(話す必要が無かったか、話さない事に意味があるのか。。。)

(考えるだけ無駄か、とにかく目の前の事に取り掛かる以外ない)

 

春信はアニキ達の案内で地下街を周ることにした

<With>

 

丸亀城の石垣の上で春信は歌っていた

 

♪~

 

ふと耳に入ったその歌声に千景が足を止める

 

(あれは三好春信…何か歌っているわね…)

 

♪~

 

(この歌は…)

 

♪~

 

(友を気遣う…(すべ)…)

 

♪~

 

(本当に…いつから私は…)

 

♪~

 

歌い終わった春信はふと背後の気配に気付き、振り向く

 

「うわぁっ!」

 

そこには無表情のまま涙を流す千景がいた

 

「ど、どうした、千景?!なんかあったのか?」

 

「?」

 

千景は不思議そうな顔をしている

どうやら自分が泣いている事に気付いてなかったようだ

やっと自分の涙に気付き、顔を拭いながら言う

 

「いい…歌ね…」

 

「あ、ああ。。。わかってくれるか、この歌の良さを。。。」

 

(まさか泣くほど感動してくれる人がいるとは思わなかったが。。。)

(アニメの歌って事は言わない方が良さそうだな、千景には)

 

「皆と出会って…いつかは別れる時が来るのかしらね…」

 

寂しそうに呟く千景

 

(ああ。。。自分の境遇と歌詞を重ねちまったのか。。。)

 

心境を察するが、ここで無責任に励まして良いのか迷う

 

(『別れなどない』そう言葉で言うのは簡単だが。。。)

(彼女たちにはこの先も過酷な戦いが待っているだろう)

 

「。。。」

 

ひと時の沈黙の後、春信は口を開いた

 

「君の心はすでに答えを見た。。。あとは。。。正直に生きろ」

 

少し驚いたように春信を見た千景はその言葉に頷き、応える

 

「マグナ○エース、かっこいいわよね…」

 

「アイア○リーガー知ってんのかよ!なんでだよ!14歳だろ?!

絶対年齢詐称してるよ、お前!!」

 

全力で突っ込まずにはいられない春信だった

「ところで。。。」

 

「え?」

 

「ホントにどこで知ったんですかね?『疾風!ア○アンリーガー』?」

 

「ネットでよ。GB版のゲームもクリアしたわ」

 

「ふーん」

 

「なに?」

 

「いや、千景ってああいう友情とか熱血とか馬鹿にして観ないタイプかと思ってたから。。。」

 

「そうね、昔はそうだったわ…」

 

「というと?」

 

「皆と一緒にいて、クリスマスパーティーなんて体験もして…」

「友情とか日常ってのも悪くないって思えるように…」

 

思わず顔のほころぶ春信に気付き、口をつぐむ

 

「ニヤついてんじゃないわよ…変態…」

 




春信(以下略):えーと

mototwo(以下略):どした?

ひょっとして皆の前で歌っていくの?俺?

そういう展開もありだな

あ、何も考えてないな、コレは。。。

最初の書き出しが定型文っぽくなるから、ネタさえ続けばやりたいけどな

まあ、そうそう思い付かんか

ま、ね

ところで大阪の方なんだが。。。

うん

なんなの?中途半端にも程があるだろ

あの後描くと原作のネタバレになるから

珍しく気を使ってるんだな

それに展開変わっていくから、アホ話はあの程度しか書けなかったの

真面目な話になるのね

そう、んでその辺はこの小説が佳境に入ったら補足していく

ふむ

つもり

うおいっ!!

だって、ホントに「ネタバレ含む」になっちゃうんだもん

前作でアホほどそれやってた奴がそれを言うか。。。

う~ん、やっぱ再放送までやってるアニメの話と発売して間もない小説の話じゃねぇ…

言わんとすることは判るが。。。

『わすゆ』での反省も踏まえてんのよ、コレでも一応は

ありゃあ、酷かったもんなw

春信って人物使って別視点から小説の話を駄々流しにしてたからな、過去編は…

最終回の引用っぷりも見事だったな。。。

いやあ///

照れるな、嫌味だ

まあ、アレも発売から1年半近く経ってたからって言い訳は心の中にあったんだが

今回は流石に。。。か

だからいきなり途中経過抜かして最終回になるかも知れん

最終回は決まってるんだ、内容

それも小説と結構かぶるからどう修正するか、だけどな

こんな見切り発車じゃその言葉すら信じ切れんな

良くあるよな、完結しないうちに原作の続編が始まって立ち消えする二次創作!

嬉しそうに言うな!
そうならないように頑張れよ。。。

は~い、頑張りま~す
皆さんも馬鹿が馬鹿な話書いてると思ってお付き合い下さい

ここで言い訳してる内は怪しいわな
さて、そろそろボ○ムズいっとくか?

ここは丸亀城
人類最後の砦にして勇者たちの学び舎

ん?

ここに乙女達の戦いの火蓋が切られ
男の笑い声がこだまする

あれ?

「さあ、ショーの始まりだ。。。」
次回「丸亀バトルロワイヤル」
勝者には全てが与えられる

○トムズじゃ。。。ない?

<作者は基本的に天邪鬼(あまのじゃく)!☆>

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